************************************** 西村ちなみメールマガジン第21号(2005年3月28日発行) 「政党のあり方」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 3月26日に私が総支部長をつとめる民主党新潟県第1区総支部の定期大会を開催しました。昨年を振り返り、新年度の活動計画を決める、大切な大会です。見慣れた顔、新しい顔、いろんな方に会うことができました。 最近読んでいる本の中から、政党の在り方について深く考え込まざるを得ない二つの事柄に出会いました。ひとつは、ドイツからアメリカに亡命した政治思想家ハンナ・アーレントです。彼女は当初、二大政党制における政党は公的な存在であると主張してきましたが、のちに政党そのものに批判的になり、政党とは、人々を代表すると称するが、結局は人々の政治への参加を制限する役割を果たしていると見るようになりました。アメリカの二大政党制がいかに不十分であるかを見たためだとも言われています。 もうひとつは、現代日本人の意識調査の分析結果です。NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている意識調査の結果がまとまりました。そこでは、9割の人が国民の意見が政治に反映されていないと感じる一方で、政治や職場環境を改善するためにとる行動は、「静観」が飛びぬけて多く、1980年代後半から「依頼」が「活動」を上回ってきているということが示されています。ただし地域活動やボランティアなどには積極的に「活動」したいという人が多くなっており、身近なことには参加したいという国民意識が明らかになりました。 古今東西、政党の在り方は実に多様です。かつて高度経済成長期、55 年体制といわれた時代には、自由民主党が社会党の打ち出した政策を吸収 して政府のものとすることが常であり、また国会活動でも、表向きは激し く与野党対立をしながら、実際のところは共存共栄のための暗黙のルール があったとも言われてきました。 現代日本社会においては、新しい政党の在り方があってよいはずです。民主党は、生活者重視の新しい政策を実現すると宣言し、市民が主役の政治をめざして、これまで活動を続けてきました。私が政治活動をスタートするときに民主党を選択したのも、民主党の理念に共鳴し、よりよい政策をつくり、実現できるとの期待があったからです。 現状では、よりよい政治を行うためには政権交代が必要です。政権交代 をするためには選挙で勝たねばならず、選挙で勝つためには組織を確立しなければなりません。しかしこのシナリオを、ゆっくり時間をかけて実現する余裕が今はありません。いきおい、次の総選挙で勝つことが一期生議員の最優先課題だから「地元活動」をしっかりやれとハッパをかけられるわけです。 こうした政党側の事情と呼応しているのでしょうか、政治的旗幟を鮮明にしたくないという有権者の皆さんが増えてきました。資本主義社会や地域社会の中で、政治を日常生活の中に持ち込むことはタブーだとする意識の現れでしょう。しかし本来、政治とは生活そのものです。政治にかかわらずに生きていくことができる人は誰一人としていません。 政党と有権者。互いに遠ざけあうアンハッピーな関係に、今の日本の政党政治はあります。この精神的な距離を縮めることが、よりよい政治の実現には不可欠です。まずは政党が、有権者にとって意味ある存在となることが重要でしょう。 また、「地元活動」と「国会活動」は、本来、トレードオフではないはずです。時間の有無に関わらず、やるべきことをしっかりやるしかないと思います。 まだまだ課題は山積していますが、参加している一人一人が、活動の意味を十分に噛みしめることができる、信頼を寄せていただける、そういう政党の総支部づくりをこれからも心がけたいと思っています。どうぞ皆さんからも民主党新潟県第1区総支部の活動にご参加いただき、新しい時代の、新しい政党をつくるために、ともに汗をかいてくださるよう、心からお願い申し上げます。
メールマガジン
第20号「市町村合併と地方自治の本旨」(2005年3月22日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第20号(2005年3月22日発行) 「市町村合併と地方自治の本旨」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日21日は、新潟広域地域の合併記念式典が行われました。13市町村という、全国でも稀にみる多くの自治体による合併。人口は78万人という大都市レベルでありながら、食料自給率61%という驚異的な新・新潟市の誕生です。 式典では、合併市町村の首長さん・議長さんたちから、お一人ずつ、スピーチがありました。24人のスピーチは、それぞれに個性的で、地域の性格を反映したご挨拶でした。合併までの苦労話が飛び出たり、地域の祭りのPRがあったり、市長への「陳情」が行われたり。それぞれの地域の歴史と伝統がぎっしり詰まった1時間半でした。 私は、今回の合併を、「してほしい」というお任せ民主主義ではなく、「こうしたい」という市民の自発的な参画と適切なリーダーシップが育つきっかけにしなければと思っています。合併は、地方自治の発展のための手段。真の地方自治は、団体自治と住民自治によって成り立ちます。人々が暮らしている基礎自治体の規模が大きくなっても、「寄らば大樹の陰」のような発想では、スケールメリットは生じません。住民自治がきちんとまちづくりのプロセスに組み込まれなければならないと思います。 合併によって私たちの暮らしがどうなるのでしょうか?私たちはどうしたらいいのでしょうか?また新潟市は政令市になるのか、なったらどうなるのでしょうか?こうした疑問の声が多く聞かれます。いろいろな疑問について一緒に考えるために、次回のオープンミーティング(4月9日(土)10時00分からガレッソホールにおいて)では合併をテーマに取り上げた いと思います。こういったことを知りたい、あれはどうなるのか、というご質問などがありましたら、お気軽にお聞かせください。 総務委員会におけるNHK予算に関する質問の結果報告です。時間が足りず、十分な議論ができませんでした。しかしテレビとラジオで深夜に録画中継された後、全国の多くの皆さんから激励のお言葉をいただきました。公共放送の在り方に関する議論は、今回では終わりません。さらに議論を続けてまいります。気づいた点がありましたら何でもお聞かせ下さい。
第19号「明日は委員会質問にたちます」(2005年3月14日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第19号(2005年3月14日発行) 「明日は委員会質問にたちます」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ****************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 三寒四温。昨晩は新潟で美しい三日月が西の夜空にゆったりと浮いていました。少しずつ、春の気配を感じます。 さて国会ではそれぞれ提出法案の付託された委員会がそろそろと動きはじめています。総理および内閣の一部が並々ならぬ意欲をみせている郵政民営化法案は、当初の予定を大幅に遅れて4月ころ提出予定とのこと。本来であればこの法案は、郵政事業の所轄官庁であり私が所属する総務委員会で審議されることになるはずなのですが、竹中氏が担当大臣として任命されているということと、財政投融資など総務省以外の省庁が関係してくるということで、特別委員会を設置してそこで審議するという方向が強まってきました。 総務委員会では、明日、NHK予算案の審議が行われることになりました。私も20分という短い時間ですが、質問に立ちます。不正経理や政治との関係など、昨年夏から噴出してきたNHK問題。発生した問題の中身もさることながら、事後の対応のまずさを見ると、問題の根っこはかなり深いと見なければいけません。英国BBCなどとの対比で、今後のNHKの在り方等を議論したいと思っています。 明日の総務委員会の様子は、明日深夜にNHK総合テレビとラジオ第一で放送される予定です。23時15分から始まり、私の質問はおそらく翌午前1時10分過ぎから放送されると思います。深夜になりますが、この機会に視聴していただき、今後に向けてご意見などをお寄せいただければ幸いです。
第18号「この国の形」(2005年3月7日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第18号(2005年3月7日発行) 「この国の形」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日、初めての「オープンミーティング」を開催いたしました。足下の悪い中をお集まりいただいた皆さん、本当にありがとうございました。今回は民主党予算案などを中心に報告させていただき、その後、新潟県中越地震復興への取り組みなどについて質疑を行いました。会場でご記入いただいたアンケートをもとに、次はもっと充実したオープンミーティングになるよう努力します。次回の日程は未定ですが、取り上げてほしいテーマ等がありましたら、どんどんご提案ください。お待ちしております。 さて先週2日、衆議院本会議を平成17年度予算案が通過していきました。予算委員会委員長からの委員会報告を受けた後、反対・賛成・反対・賛成・反対と交互に、それぞれの政党の代表者が時間内で討論を行います。その後、記名採決となります。 記名採決とは、名前の書いてある札を持って、点呼の順に登壇して札を投じる採決の方法です。予算案や重要法案などの採決には、この記名採決という方法がとられます。議員それぞれの席に、賛成の人がもつ白票、反対の人がもつ青票が、それぞれ5枚ずつ置かれており、それをもって意思表示するのです。 平成16年度補正予算は災害復旧費用も入っており、私たち民主党も賛成しましたが、平成17年度予算案は税制改正や地方分権や財政健全化に向けた取り組みが不十分であるなどという理由で、反対の青票を投じました。 国と地方を通じての長期債務残高は平成17年度末に774兆円となります。これはGDPの1.5倍であり、先進国中で最悪の状況となりました。政府はきわめて楽観的な見通しを基に、2004年1月の「構造改革と経済財政の中期展望」2003年度改定において、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化へのシナリオを示しました。しかしここに示された現実離れした甘い見通しは、発表当初から内外から批判の対象となっています。 財政制度等審議会によると、現在の財政構造を前提としたとき、10年後にはプライマリーバランスの赤字は27.8兆円に増加(平成17年度予算案では赤字は15.9兆円)と予測されています。これを、「入るを図って出を制す」:歳出削減だけで均衡させようとすると一般歳出の3分の1を削減することが必要であり、歳入増だけで均衡させようとすると約5割の増収が必要になるとのこと。 民間シンクタンクによれば、平成17年度は国民年金保険料の引き上げ、雇用保険料率の引き上げ、国立大学授業料の値上げ、介護施設の利用代・食事代の有償化などにより、家計に押し寄せる負担増は1.8兆円と推計されています。負担増を求める前提として、徹底した歳出の見直しがなければなりません。 歳出の見直しをするということは、事業の見直しをするということに他なりません。そのときに、政府に必要なのは「思想」だと思います。経済効率だけにとらわれず、この国をどういう形にしていくのか。その将来像のうえではじめて、事業の「選択と集中」は可能になるはずなのです。しかし平成17年度予算案の審議では、事業のメリハリのつけかたが最善だったのかどうか、決定的な結論を得るには至りませんでした。私は現時点では、ムダで不要不急な事業を削減し、特殊法人改革を行うなどして、歳出削減をはかる以外にないと思います。小泉総理がついに行うことができなかった「聖域なき歳出改革」は、政権交代によってのみ可能になると、今回の予算案審議を通じてあらためて痛感しました。
第17号「重要広範議案」(2005年2月28日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第17号(2005年2月28日発行) 「重要広範議案」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 今日は新潟駅頭で毎週月曜日恒例の街頭国政報告のあと、事務所前の雪除けをしてから、新幹線に乗りました。 いま国会では、政府予算案を中心に審議が行われています。予算案とほぼ同時に審議が始まりそうなのが、総務委員会と財務金融委員会に提出される予定の地方税法と所得税法の二つの改正案。平成11年度の税制改正で、個人住民税や所得税のそれぞれ15%、20%という定率減税が行われました。この定率減税を2分の1に縮減する、つまり実質的には増税するというのが、今国会に提出された政府提案です。 この二つの法案は、「重要広範議案」という指定を受け、重要な法案であるという位置づけになっているのですが、政府与党は、あまりマスコミなどが大々的に取り上げないうちに、うやむやのままに、二つの法案を成立させたい考えのようです。これまでの「重要広範議案」では、たとえば昨年の年金改正関連法案がそれだったのですが、少なくとも40時間の審議時間を確保することとされています。しかし今回はどうやら十分な審議時間をとることにも否定的な様子。今週・来週は、この二つの法案をめぐってひとつの山場を迎えそうです。 ところで私は予算委員会の二つの分科会で質問を行いました。男女共同参画政策といわゆる官製談合について、そして新潟県中越地震と観光政策についてです。項目などについてはまた後日ご報告したいと思います。 今日はご案内です。私が国会で取り組んでいることや、民主党の政策や、地域社会の中での現状と課題などについて、誰もが参加して話し合える場をつくりたい、ということで事務所スタッフと話し合ったところ、今回、3月5日(土)10:00から11:30まで新潟ユニゾンプラザで、「オープンミーティング」を開催することになりました。これから毎月一回の開催を目指します。初回のテーマは民主党の予算案について。民主党として新年度予算についての独自の考えをまとめました。あまりマスコミなどでは出ていませんが、これを題材として、話し合いをさせていただきたいと存じます。テーマを設定しないフリートークの時間も設けます。お気軽にご参加ください。
第16号「補助金の削減と、交付税改革と、税源移譲。」(2005年2月21日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第16号(2005年2月21日発行) 「補助金の削減と、交付税改革と、税源移譲。」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日は、民主党役員室の仕事で、岡田代表の仙台遊説に同行しました。地方分権について宮城県の浅野知事との対談やフロアとのやりとりと、街頭演説・記者会見などの日程です。4月に行われる予定の宮城2区の補欠選挙に向けて、門間ゆきこさんの訴えもありました。寒い日でしたが、大勢の皆さんが集まってくださり、充実したフォーラムになりました。 フォーラムのテーマとなったのがいわゆる「三位一体改革」。財務省ふうに解説しますと、国と地方とのお金の関係を改革するため行われるものであり、補助金の削減、交付税改革、税源移譲の3つを意味します。政府は2010年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目指すとし、2006年度までに3兆円の補助金廃止・縮減と、2005年度までに3兆円規模の税源移譲を行うなどとしています。昨年は地方自治体が予算をつくる直前に税源移譲など地方財政改革の全体像が示されないまま補助金が削減されるという事態となり、各自治体から猛反発の声が上がったところでした。 そもそも日本の地方行財政のシステムは、地方自治とは言いながらも、手足をかなり国(中央)によって縛られていると指摘されています。20兆円にもおよぶ補助金は、法令によって決められた以上に細かい制約を地方自治体に求める源になっています。補助金を獲得するために自治体は細かな計画書を作成し、中央省庁は全国から集まった膨大な量の計画書を時間をかけてチェック、予算の獲得と箇所付けのためにまた膨大な作業を行い、配分を受けた自治体は事業を実施して綿密な報告書を書いて、省庁はまたそれをチェックして…と、日本では中央官僚や地方官僚など優秀な頭脳のほとんどは、無駄とは言いませんがシステムさえ改革すれば不必要になる仕事に多くの時間を割いているのが現状です。 また交付税の仕組みについて、国会論議の中では「交付税は地方固有の財源」と明言されていますが、実はその額がどのようにして決まるのか、どのような考え方で分配されるのか、仕組みはほとんど明らかにされていないのです。自治体の体力はそれぞれ異なりますから、財源調整という考え方は必要なことと思いますが、ここは総務省の独壇場、さじ加減ひとつで交付税の額と分配が決められると言っても過言ではありません。結果として地方の財政規律の破綻につながるのではないかという指摘も頷かざるを得ないところです。 補助金も交付税も、これまで社会資本の形成などにかなりの役割を果たしてきました。しかしもうそろそろ本当に改革が必要な時期ではないでしょうか。地域が創意工夫をこらし、住民・市民の声がきちんと行財政に反映される、いきいきとした地方自治の姿を目指すときです。結果として自治体間に一時的に格差が出るのはむしろ当然のこと。地方の力を信じてこそ、本当の分権改革が可能なのです。 民主党は、まずは市町村など基礎自治体がやれることをやる、できないことを都道府県などがやる、それでもできないことを国がやる、という、補完性の原理を貫いた分権論議をすすめていくことになりました。私もこの論議に、地方分権プロジェクトチームの一員として参加していきます。 プライマリーバランスの黒字化や消費税については、また機会を改めてお伝えしたいと思います。
第15号「政治とカネをめぐる問題」(2005年2月14日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第15号(2005年2月14日発行) 「政治とカネをめぐる問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週の衆議院予算委員会で行われた、政治とカネの問題をめぐる集中審議。テレビなどでごらんになった方もいらっしゃると思います。与野党間の議員運営委員会理事懇談会で、予算委員会での集中審議を1日だけ行うことで合意し、ようやく実現にこぎつけたものでした。 朝から始まった審議は、自民党議員からの質問でスタートしました。この議員は、民主党の2議員について政治とカネの問題を作り上げ、それについて自分の持ち時間をつかって、一方的にまくしたてたのです。何が不正なのか、どうして不正なのか、まったく語らないまま、不正だ不正だといい続ける、奇妙な質問風景でした。 政治とカネは、古くて新しい問題です。多くの問題が明らかになるたびに法の改正が行われてきましたが、どれも不十分なものだったのでしょう。問題発生は後を絶ちません。しかもその額は一般社会とはあまりにかけ離れたもので、どこか現実離れしているように感じられてならないのです。 「政治には金がかかる」とは、国会周辺でもよく耳にする言葉です。確かに、市民の皆さんと対話をしたり、議員として活動したことを市民の皆さんに知っていただくために広報活動をしたり、政策立案のための調査活動をしたり…など、議員としての活動をしていくうえではある程度の費用がかかります。この点においては、「政治には金がかかる」ということができるでしょう。しかし時々私は考えるのです。「政治に金がかかる」という言葉が、旧い政治を続けていくための免罪符として使われることもあるのではないか?と。むしろ私は、「金のかからない政治」をつくるために努力することが必要なのだと思います。 私の後援会「智水会」では、会員の皆さんから、一口3000円という会費をいただいています。県議の頃からこの金額は変わっていません。お一人お一人から、たいへん貴重なご厚志をいただいて会の活動は成り立っています。使わせていただくにはあまりにもったいないという気持ちですが、いただいた貴重なお金だからこそ、事務所スタッフと細心の注意で大切に使わせていただいております。 なぜこういうふうに思うことができているかといえば、それは、会費や寄付を寄せてくださった方々のお顔が「見える」からだろうと思うのです。会費は暦年でお願いしておりますので、新潟でいえば冬、寒くなる時期に、会費納入のお願いと振込用紙が送付されることになります。寒い時期にわざわざ郵便局へ行くなどして会費を納めてくださる方々の足音が聞こえるといっても言いすぎではないかもしれません。お金に色がついているといったらおかしな言い方かもしれませんが、そうやっていただくお金の色は、雪のように真っ白のような気がするのです。 国会での政治とカネをめぐる議論は、まだまだ続きそうです。
第14号「二つの美術館」(2005年2月7日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第14号(2005年2月7日発行) 「二つの美術館」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 土曜日、私は、二つの美術館、東京駅のステーションギャラリーで開催されていた長野県上田市にある「無言館」の出張展と、雪に覆いつくされた十日町・妻有郷のミティラー美術館を、見てくることができました。今日はこの二つの美術館に関して書いてみようと思います。 朝は「無言館」です。 東京駅周辺には、大きな荷物をぶらさげた人、待ち合わせをする人など、大勢の人が往来していました。風は冷たいのですが乾燥しています。レンガ造りの壁を眺めながらステーションギャラリーに入ると、入場券を自動販売機で買い、荷物をロッカーに入れてから入る仕組みになっていて、他の美術館と変わらない風景です。ギャラリーに入る人たちの流れに吸い込まれるように、私も入場券を買いました。 「無言館」は、戦没画学生が残した絵や彫刻を窪島さんという館長さんたちが集めた美術館です。創作物だけではなく、いわゆる戦地から家族にあてて送った手紙や日記や、使っていた絵の具などが展示されています。小さなギャラリーですが、30〜40人くらいの人がいたでしょうか。熱心に作品を観たりキャプションを読んだりしていました。 戦後、日本の平和教育は、戦争体験の伝承と戦争の悲惨さを語り継ぐことを中心に行われてきたといわれています。本物の平和教育は、そうした経験を語り継ぐだけでなく、悲惨な体験を自分のこととしてとらえた上になお積極的に平和をつくるため行動するものであり、本来であれば体験伝承のうえに成り立つべきものでしょう。しかし戦後60年を迎える昨今、伝承そのものが難しくなってきています。無言館などが果たす役割は決して小さくないと考えるゆえんです。 無言館の作品たちは、私にはどうも「生きている」と感じられてなりませんでした。絵は、無言のまま、しかし圧倒的な存在感で、何かを私たちに語りかけてきています。それが何なのかは分かりません。生きたかった、描きたかった、そういう作者の思いというよりは、「生」そのものがもつ力強さや尊さではないか。そう考えながら、私はギャラリーを後にしました。外に出たら、依然として空気は冷たく、乾いていました。 夕方は「ミティラー美術館」です。 越後湯沢駅で新幹線を降り、「ほくほく線」に乗り換える頃、雪はかなり降っていました。美佐島という無人駅で降り、迎えにきてくださった佐藤さんの車に乗って美術館へ向かう道中、私は自分の身長の2倍ほどの高さまで積もった雪の壁と遭遇しました。通り過ぎる車が2台あっただけで、人の姿や家にともった灯かりも見えません。美術館のかなり手前で車から降り、雪道を歩いて美術館へと入りました。 ミティラー美術館は、インドのミティラー画やワルリー画などを収集した世界でも屈指のインド芸術の美術館です。館長の長谷川さんは十日町市から閉校した小学校の校舎を借り、美術館を運営してきました。それが、新潟県中越地震で作品に被害が出、また建物そのものの被害もあって、現在は閉館中。2月23日の再オープンを目指して修復にとりかかりましたが、雪掘りでそれどころではなくなった、ということです。 長谷川さんはストーブを前にして文化の重要性を語ってくださいました。私はストーブの火で足を暖めながらそのお話に耳を傾け、相当の部分について同調しながらも、このさき「雪国の暮らし」というものはどうなっていくのだろうか、ということを考えていました。春や夏はとても美しい妻有郷。私たちがその夏を楽しむことができるのも、冬の暮らしを引き受けてくださる住民の方々がいらっしゃればこそ。しかし現実に冬の暮らしを雪の中で営んでいる人たちは、雪掘りに追われ、体力を使い果たし、場合によっては雪によって命さえ落としてしまうのです。 帰り道、無人の美佐島駅に定時に電車はやってきませんでした。遅れてやってきた電車に乗ったところ雪崩のため六日町でいったん降り、除雪をまって上越線の電車に乗りましたが、走行中にパンタグラフの雪のため停電。発車しようとしたところ電車前にたまった線路上の雪のため1時間以上停車。 雪国では本当に諦観思想でなければ生きていけないのでしょうか。そんなことを考えながら新潟市に帰ると、路面にはまったく雪がないのです。1日のうちに季節を3つくらい経験しました。
第13号「異例のスタート」(2005年1月31日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第13号(2005年1月31日発行) 「異例のスタート」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 いよいよ第162通常国会の本格的な論戦がスタートしました。先週24日のメルマガでは、衆議院代表質問前の様子をお伝えしましたが、その後の質問は異例づくめの展開となりました。民主党の岡田代表が論戦の口火を切り、それに対する小泉総理の答弁が不十分であったため再質問を行いましたが、総理は答弁拒否。その総理に対して議長の「総理は誠意をもって答弁するように」という注意があったのも前代未聞ですが、その注意に対して総理が「私は誠意をもって答弁しています!」と議長の言葉をけとばしたのも異常でした。この国会、波乱含みでスタートしました。これからどうなるのか不気味な感じすらします。 さて衆議院では、補正予算の審議が行われ、先週金曜日に全会一致で可決されました。この補正予算に関して提出されていた法案は、地方交付税の増加ぶんを処理するための法律が一本だけということで、委員会としては総務委員会で審議が行われるのみです。合計1時間10分の審議時間、そのうち30分を、私が質問することになりました。質問することが決まったのが26日の夕方。その2日後に質問。いつもそうなのですが、「質問は急に決ま」ります。私は地方交付税の繰越とあわせて、補正予算にも関連する災害対策、とりわけ壊れた家屋の修復への支援を定めた、被災者生活再建支援法の改正案について、議論をすることにしました。 被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災の後に制定された、被災者の行う住宅再建に国と地方がともに支援を行うための法律です。住宅再建のためというと、壊れた住宅を建て直すための支援かとイメージするのですが、法律的には、住宅本体の修理・建築費用にあてることはできず、がれき撤去費用やローンを組むときの利子への支援にとどめられています。また、被災者の年齢や年収による要件が定められており、たとえば45歳未満で年収501万円以上の人は受けることができないなどのしくみになっています。そして、支援を受けることができるのは「全壊」の世帯のみで、「半壊」の世帯は対象外となっています。新潟県では全壊の世帯が2867棟ですが、半壊の世帯は11122棟、圧倒的に半壊の世帯が多くなっているのです。法律はあっても、支援を実際に受けることができるのは限られてしまう。これではせっかく作られた法律も生きてきません。 この支給要件を緩和し、半壊の世帯も対象にして、支給限度額を300万円から500万円に引き上げるという法案を、民主党は他の野党とともに提出しました。自民党の中に賛成してくださる議員も多く、全国知事会や地元自治体・議会からも要望があり、世論調査などでも改正は妥当という声が8割にも上っている内容です。しかし本会議や予算委員会などでの総理・担当大臣の答弁は、一貫して、①住宅本体という個人資産に公的助成を行うのは妥当ではないという考え方がある、②耐震化や地震保険の加入促進など自助努力を促すことを損ねるという考え方がある、という理由で、さらなる支給額の上乗せなどは難しい、というものでした。 私はこの点を質問しました。①の考え方も、②の考え方も、根拠のない言い逃れにすぎません。そのことを質疑の中で問い質しながら、被災者の気持ちにたった支援をと訴えたのですが、満足のいく答弁を得ることができませんでした。本当に残念です。しかし必ずや国民の皆さん賛同をいただける改正案だと思っていますので、粘り強く取り組んでいきます。
第12号「日米演説の違いは」(2005年1月24日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第12号(2005年1月24日発行) 「日米演説の違いは」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週金曜日から第162通常国会が始まりました。今回の通常国会で民主党は、子ども、アジア、地域をキーワードに、論戦を挑み、改革を迫っていきます。大きな争点として、年金介護など社会保障制度、政治とカネ、憲法改正、少子化、郵政民営化などが挙げられます。金曜日の施政方針演説に続いて、今日は岡田克也代表と小宮山洋子ネクスト大臣が代表質問に立ちますので、ぜひ応援してください。 通常国会の初日21日は、小泉総理の施政方針演説につづいて、外交・財政・経済に関する演説がそれぞれの担当国務大臣から行われました。4人で合計約1 時間半にも及ぶ演説です。これまでですと、与党側からの賛同の声や拍手と、野党側からの反対の不規則発言で、議場はかなり騒がしくなるのですが、今回は様相が異なりました。小泉総理が演説を始めても、与党席は水を打ったように静かで、拍手が全くおこらないのです。小泉総理の原稿を読む声も、就任当初の絶叫とは180度転換し沈んだ調子になっていました。 演説原稿は本会議場で配布されますので、私たちもそれを手元において、見ながら演説を聞きます。A4縦書きで19枚になる原稿の5ページ目から7ページ目までが郵政民営化についてでした。総理がこの通常国会で何としても成し遂げたいと熱意を見せている唯一の政策です。しかし与党席からは何の音沙汰もなし。「民営化紙芝居」をやった議員も静かに座っています。「北海道が道州制に向けた先行的取り組みとなるよう支援」というフレーズのところで拍手をした議員もいましたが、おそらく北海道選出の方と思われます。 さて演説も中盤。総理の演説は淡々と続いていますが、与党席は完全にそっぽを向いています。これは嵐の前の静けさなのだろうか、それとも単なる惰性だろうか、と考えていたそのとき。滞っていた空気を破るような、勢いよく叩かれる手から発せられる音が、唐突に議場に響き渡りました。この拍手の主は誰かと振り返ってみると、それは、自民党の武部勤幹事長でした。轟きわたるクリアな音と、武部幹事長の憮然とした表情がミスマッチで、議場からは失笑が漏れています。その後もさしたる反応もないままに、総理の演説は終了しました。 日本の総理が国会で施政方針演説をしたのと同じ21日(日本時間)、アメリカでは、ブッシュ大統領が第2期の大統領就任演説を行っていました。このニュースは米国ばかりでなく関心をもっている全世界に配信され、日本でも内容について詳しく報道されていたのは皆さんご存知のとおりです。私もまたブッシュ大統領がどういう内容の演説をするのかと注目していた一人です。先週18日、北朝鮮を訪問した米国の下院議員団が、大統領就任演説か一般教書演説に自分たちの訪朝の成果を反映させたいと語っていましたが、つまりそれは大統領の演説が非常に重要なものであるということの裏づけでもあります。演説とは、それほどまでに重要なものなのだと思います。 小泉総理の演説は、全世界に配信されたのでしょうか。インターネットで全世界の有名紙を覗いてみましたが、重い取り扱いはされなかったようです。マスコミの報道姿勢によるものなのか、それとも内容の差によるものなのか…。ブッシュ大統領の演説と小泉総理の演説。国内的なインパクトも、国際的なインパクトも、あまりに違うところに、私は、戦後続いてきた55年体制の限界を見る思いがしています。 ところでこの通常国会では、内閣提出法案と民主党提出法案をあわせて約100本の法律案が審議される予定です。民主党として予算案も現在作成中であり、今月中には発表できる見込みです。また近いうちにご報告したいと存じます。 それでは本会議に行ってきます。またお会いしましょう。