************************************** 西村ちなみメールマガジン第31号(2005年6月6日発行) 「郵政民営化特別委員会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 6月1日に「郵政民営化に関する特別委員会」に民主党が名簿を提出しましたが、このとき、私も委員として加わることになりました。財務金融委員会と総務委員会が主たる関係委員会ですので、そこから委員を集めたと思われます。全部で45人となる委員のうち、女性議員は私1人だけ。生活者そして利用者の視点から議論ができれば、と思っています。 特別委員会は、開催曜日が定められている常任委員会などとは異なり、曜日に関係なく、しかも朝から夕方までびっしり審議を行うことができます。1日にさっそく「お経読み(法案の趣旨説明)」があった後、2日の予算委員会をはさんで3日から審議が始まりました。今日は月曜日であり、本来であれば本会議も委員会も開催される曜日ではないのですが、朝から夕方まで質問が行われました。部屋は、第1委員会室といって、皆さんがテレビなどでよくご覧になる予算委員会の行われる、古めかしい、赤茶色の部屋です。机が狭く、足が出せないうえ、椅子も小さいので、体の大きくなった現代人には結構つらいようです。折しも衆議院主導で国会にも「クール・ビズ」なるものが導入され、ほとんどの人が上着をとって委員会に出席しています。部屋の設定温度も高くなり、上のほうでカメラを構えるマスコミの人たちの汗をぬぐう姿も増えました。そういう部屋で一日、郵政民営化に関する法律案6法が審議される様子・・・ぜひ一度、皆さんにも見ていただきたいと思います。 今日は、中央省庁等改革基本法33条1項6号をめぐる、先輩議員の質問で委員会が止まりました。「止まる」とは、委員長が速記を止めることを命じ、与えられた質問時間をはかっている時計を止めることを意味します。中央省庁等改革基本法33条1項6号は平成10年の通常国会で成立した法律で、郵便局については「新たな公社とすることにより、・・・民営化等の見直しは行わない」と定めています。国会の中で3人の郵政大臣が、この条文の解釈について「基本法に見直しはしないと書いてあるから、見直しはない」と答弁していました。民営化はしないという意味の法律がある限り民営化はしない、ということですから、民営化法案を出す前に、こちらの法改正を先に行うべきです。問題の所在は、歴代3人の郵政大臣が政府見解として述べてきたところの国会答弁を無視して、法案を提出してきた、手続きの欠陥にあります。 ところが竹中郵政民営化担当大臣は、今日の委員会で、「それらの発言は、閣僚であった3人が、一政治家の『心情』として述べたに過ぎない」と答弁。もし国会答弁が簡単に覆るようなことがあれば、国会での審議など無意味となってしまいます。これまでも再三、委員長から、「誠心誠意答弁するように」という注意を受けてきた竹中大臣でしたが、これほど雑でいい加減な答弁をされるとは、本当に驚きでした。1時間ほど委員会が休憩に入ったのち、明日までに、この問題についての政府としての正式見解をもってくる、という理事の間の協議で話がまとまり、質問は再開されました。 私も今週後半か来週には質問の出番があると思いますが、特別委員会は見通しがなかなか立ちません。何を審議するのか、参考人はどなたをお呼びするのか、質問時間は何時間か、すべて決まるのは前日の夕方もしくは夜になるといういわば「その日暮らし」。初めての特別委員会に、まだ多少戸惑っています。
メールマガジン
第30号「国民保護?」(2005年5月30日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第30号(2005年5月30日発行) 「国民保護?」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 最近、上越新幹線にお乗りになった方はご存知と思いますが、現在、新幹線車両の中のゴミ箱は口に白いテープが貼られ、使用できなくなっています。また車内では「JR東日本では、警察のご指導をいただき、車内の警戒を強化しております・・・」などとアナウンスが流されます。テロ対策として、新幹線のゴミ箱が閉鎖されてしまったのです。 乗客は、車内のゴミ箱が閉鎖されているので、駅弁の空箱などのゴミは、持って降りることが求められています。持って降りると、ホームに清掃の方がゴミ袋を広げてもっていて、そこに入れるか、さいきん設置された透明なゴミ箱に入れるかします。ゴミをもって降りるのが面倒な人は座席においていくようです。 ゴミ箱にも放置できないほど危険なゴミを、清掃員の方が手に持っているビニール袋に入れることは、危険ではないのでしょうか。またゴミそのものが危険であれば、それがゴミ箱にあろうが網棚の上にあろうが、同じことなのではないでしょうか。私は疑問に思っていました。 ある同僚議員が、この上越新幹線のゴミ箱について衆議院安全保障委員会で質問していました。上越新幹線、東北新幹線など、JR東日本管内の新幹線ではゴミ箱は閉鎖されているのですが、JR東海管内の東海道新幹線ではゴミ箱は使用しているということなのです。この理由について同僚議員が質問したところ、「東北、上越は乗車時間が短いから」という「あくまでもJR側の自主的な判断と管理の内容」にゆだねているということでした。どうやら乗車時間に反比例して車内ゴミの危険が高まるという理屈のようです。 さて、日本では現在、ちょうど約一年前の2004年5月20日に成立した、いわゆる「有事関連7法」により、各地方自治体に義務付けられた国民保護計画の策定作業が進められています。このための諮問機関として協議会を設置するための条例案と、対策本部を設置するための条例案の二案が、新潟県でも6月県議会に提案される予定と聞いていますが、新潟県は中越地震のため作業が遅れ、全国でも協議会が未設置の2県のうちのひとつとなりました。政府は、都道府県に対して2005年度中に、市区町村に対しては2006年度中に、国民保護計画の策定を求めています。 2004年の「有事関連7法」に先立って2003年の通常国会では、「有事関連3法」が成立していました。この3法では、有事における政府の対応を定めると同時に、自衛隊が「円滑に」活動できるようにし、そのための自治体の責務や国民の協力が盛り込まれました。基本的人権が侵されかねないという懸念が各方面から表明されていたのは記憶にも新しいところです。また昨年の有事関連7法により米軍が「円滑に」活動できるようにもなりました。それら有事に対応する国や自治体や公共機関などの役割は、武力攻撃事態対処法(2003年3法)そして国民保護法(2004年7法)に定められています。 有事法制の制定にあたっては、概念などをめぐって細かな議論が行われてきました。民主党も、昨年の有事関連7法の審議の際には、対立法案とはしない、という現場サイドの判断により、与党との修正協議も行ったところです。 しかし、もし仮に有事となったとき、これらの法律は実質的に国民の保護のためにどれほど機能することができるのでしょうか。JRの対応に見ることができるように、日本のテロ対策とは「やった」というアリバイづくりにとどまっています。また村上龍氏の最新作『半島を出よ』で鋭く指摘されているとおり、ケースに応じて避難指示などを誰がどのように出すかなどについての具体的な記述は国民保護法にはなく、ゆえに省庁縦割りになっていることの弊害が出るのではないかと懸念されます。つまり、法律ができても、きちんとそれを動かすことのできるだけのシステムに日本全体がなっていない。絵に描いた餅に終わる危険性があるにもかかわらず、法律だけができてしまった。こういうことではないかと思います。 それではいったい何のための有事立法だったのでしょうか。「有事に備え、国民の生命と財産を守る」とは、推進派政治家の常套句でした。本当に国民の保護を立法の目的として掲げるならば、取り組む順序が異なってしかるべきです。しかし実際には、基本的人権の保護のための立法は、順序が後回しになってきました。嬉々として有事法制3法、7法の制定に取り組んできた人たちの狙いはもっと別のところにあったのではないでしょうか。端的に言えば「戦争ができる国にする」ことが、本当の狙いだったのではないでしょうか・・・ これから各自治体で策定される国民保護計画が、少しでも現実にそくしたものとなるよう、民主党としても提言を行っていけたらと、今は自戒をこめて考えています。
第29号「奇妙な株式会社」(2005年5月23日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第29号(2005年5月23日発行) 「奇妙な株式会社」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 郵政民営化法案をめぐる取り扱いが山場を迎えました。私が所属する総務委員会にとっては、郵政事業も重要な審議事項です。郵政民営化法案が総務委員会に付託されたときには、小泉式民営化が不要不急であることと問題だらけであることなどを委員として問いただすつもりでいましたが、先週金曜日の本会議で野党欠席のまま、郵政民営化特別委員会の設置が決められてしまいました。大変残念です。報道によれば、総理は官邸からこの特別委員会の人事を指揮したとのこと。解散総選挙と候補者公認などをちらつかせながら与党議員をコントロールする小泉総理の賢しいやり方には、舌を巻くほかありません。 今回の法案には、あらためていうまでもなく、いくつかの重大な問題点があります。修正を前提としたままの欠陥法案を提出していること。郵便局ネットワークの設置基準など郵政事業の根幹にかかわる部分の多くは法案ではなく政府の裁量で変更できる政省令に委ねていること。条文にミスがあること。昨年、年金制度改正法案においても条文の間違いが発見されましたが、今回は、必要性も緊急性もないが出されてきた、世にもまれな悪法であると思います。そもそも中央省庁等改革基本法には、郵政公社とすることにより「民営化等の見直しは行わない」とされており、法案そのものが法律違反であるという極めて異常な事態になっています。 肥大化を続けてきた郵貯・簡保のかかえる問題点は、今回の民営化では解決しません。また現在の郵政公社の運営には税金は一円たりとも使われていないのです。むしろ民営化によって、株主を国とする奇妙な株式会社が誕生することになり、結果して民業圧迫になる可能性は大です。 財政投融資の金がこれまで無駄遣いされてきた責任は、郵貯・簡保にあるのではなく、使う側、つまり政府の側にあると思います。民主党は、行政改革を行うにあたっては特殊法人の原則廃止や特別会計の改革、天下りの禁止などを訴えてきました。これからも、本物の改革を訴えていくつもりです。 民主党の今回の戦術については、皆さんからもいろいろご意見のあるところだと思います。どうぞ忌憚のないご意見をお寄せくださるよう、お願い申し上げます。
第28号「すべての人が支えるべき政策分野」(2005年5月16日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第28号(2005年5月16日発行) 「すべての人が支えるべき政策分野」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 「障害者自立支援法」という法案が国会に提出され、先月末から衆議院で審議がはじまりました。この法案について、国会周辺では、廃案を求める声、改正を求める声、慎重審議を求める声、程度の差こそあれ法案を問題視するさまざまな市民団体・当事者団体などが、連日、抗議行動や集会を行っています。これほど多くの行動が展開されるのは、昨年の年金制度改正法以来。法案の中身および提出のプロセスに重大な問題点があることの表れといえましょう。 話は昨年10月にさかのぼります。厚生労働省が突如、「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン)」を発表しました。国連では現在、障害者権利条約制定に向けて急ピッチで議論が進められていますが、ここでNGOなどが「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing about us, without us)」というスローガンを繰り返し訴えています。政策決定の際には、当事者の意見を十分聴取するなど、市民と政府との協働が重要だという認識は、いまや国際的な常識となっています。ところがこのグランドデザイン策定は、当事者への協議や説明が不十分なまま行われ、内容そのものが荒削りであったこともあり、大きな戸惑いと不安を生じさせることとなりました。そのグランドデザインの具体化として、今通常国会に提出されたのが、「障害者自立支援法案」です。 この法案の第一の問題点は、「応益負担」の導入です。2003年4月からスタートした支援費制度は、サービス使用量の増加を見誤ったことなどにより、大きな赤字を生み出してきました。厚生労働省は、このことに対する評価をきちんと行わないまま、予算不足の現状だけをクローズアップしています。そしてこれまでは所得に応じて利用料の支払額が決まる応能負担の原則であったところ、利用するサービス量に応じて原則1割を負担する応益負担の導入が法案に盛り込まれました。 障害者の雇用促進は、法律によって目標数値が定められ、企業などへも努力義務が課せられてはいますが、実際に改善はなかなか進んでいません。また障害の重い人ほどよりサービスを必要とするという現実もあります。そうした中で、応益負担を導入すれば、受けるサービスを削らざるを得ない人も出てくるでしょう。そのため障害の重い人たちからは悲鳴にも近い声が上がっており、国会の内外からも障害者施策としては不適切な制度なのではないかという批判が強まっています。 現在グループホームで生活している人たちが、この法案が施行されるときには、障害の程度に応じて入居施設がふるい分けられることになるという点も問題です。グループホームは、障害者の方々や高齢者の方々にとって、より自分の家らしく過ごすことのできる地域の拠点として、各地で定着してきました。ひとつのグループホームに障害の程度がさまざまな方々が、一緒に生活しているところもあります。ところが法案では、障害の程度によって、軽度障害はグループホーム、重度障害はケアホームと、住むところが分けられてしまうのです。住み慣れたグループホームを出なければいけない方々が出てくる可能性があります。 今回の法案においては、知的障害・身体障害・精神障害の枠にとらわれず、また障害をもつ児童を加えて、障害者施策がひとつの制度・法律の中で統合されることになります。そのことについては、私たち民主党も主張してきたことであり、評価したいと思いますが、上記のほかさまざまな問題点があり、すんなりと審議し通過させるということはできないでしょう。法案に反対するか修正を求めるか、今後の議論にゆだねられることになります。 障害者施策は、当事者のためだけのものではありません。障害者が暮らしやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい社会であるはずです。また、今は健康でも、いつ何時、事故などにあって障害者にならないとも限りません。すべての人が支えるべき政策分野です。ぜひ皆さんからも関心をもっていただき、ご意見をお寄せいただきたく存じます。 ******************************* 民主党では「住民基本台帳法」一部改正案について皆さんからの意見募集(パブリックコメント)を行っています。住民基本台帳は、現在、原則公開とされており、誰でも大量閲覧が可能な状況となっています。しかしこの大量閲覧により、ダイレクトメール等が送られてくるという苦情や、プライバシー侵害の不安が、急速に広がっています。また住民基本台帳を閲覧して母子家庭を探し出し、わいせつ行為に及ぶという卑劣な事件が発生しました。こうした危機的事態をうけ、民主党では、原則公開となっている現在の住民基本台帳法を、原則非公開とし、公益目的のものであっても相当な理由がない限り非公開とするため、改正案を準備しています。みなさんからのご意見やご提案をお待ちしております。 民主党「住民基本台帳法一部改正案」へのパブリックコメント募集 期間 2005年5月9日から5月23日まで 方法 電子メール・郵送で受付 ・電子メール public@dpj.or.jp ・郵送(あて先)100−8981東京都千代田区永田町2−2−1衆議院第1議員会館 民主党政策調査会 住民基本台帳法パブリックコメント担当
第27号「国境のない問題」(2005年5月9日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第27号(2005年5月9日発行) 「国境のない問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 私は4日から公務でモンゴル国ウランバートルを訪問し、きょう戻ってきたところです。モンゴルは最高気温10度前後で湿度も低い国でした。成田で帰りの飛行機から降り立つと湿った空気が体にまとわりついてきました。あらためて日本の湿潤な気候を再認識したところです。 今回の訪問は、民主党を代表する公式訪問団として、衆議院議員の枝野幸男さん、参議院議員の福山哲郎さんと私の3人が派遣されたものです。3年前、モンゴルのバルスボルド自然環境大臣が日本にこられた際にモンゴルの環境問題の深刻さについて民主党で訴えられ、それを受け止めた民主党が当時ネクスト環境大臣だった衆議院議員の小宮山洋子さんを団長とする訪問団を派遣したのがモンゴルと民主党の交流のきっかけになったとのこと。呼びかけに応じて民主党所属議員全員が一人1日分の歳費をモンゴルの自然環境保全のための植林活動に寄付したそうです。元衆議院議員で現在は環境NGOの活動のため一年の半分をモンゴルで過ごすという高見裕一さんがご尽力くださり、交流はさらに厚みを増してきました。 昨年12月、バルスボルド大臣が再度来日され、民主党議員有志との交流会がもたれましたが、その席上、5月に大臣が私たち3人を招待してくださることになったのです。 スケジュールはたいへん過密でした。多くの方々とお会いし率直な意見交換をすることができたばかりでなく、実際に活動する現場を観察させていただくこともできました。また若い人たちとの交流の場を2度つくっていただいたのも貴重な体験でした。目をきらきらさせながら私たちに質問をぶつけてくる姿勢には、本当に学ぶことが多いと感じます。 モンゴルでは環境はきわめて重要な問題です。温暖化の影響は、海面の上昇に伴い水没の危機にさらされているツバルのような小さな島ばかりではなく、水資源がおおきく左右するモンゴルのような内陸国にも、およんでいます。このためゴビ砂漠は年々拡大し、ここに1990年に民主化後、市場経済が導入され格差が広がっているモンゴルで木を切り倒し燃料として売るなどの人為的な要因が加わり、水資源問題は喫緊の課題といわれるようになりました。新潟でもこれからの時期には黄砂が大量に降ってきますが、これがゴビ砂漠から中国大陸を越え、海を越えてやってくるのです。またウランバートル市内には地方から人口流入がすすんでいますが、地方出身の貧困層が市街地郊外につくって暮らしているゲル村から出る煙は、車の排気ガスとあいまって、冬場は喉が痛くなるほどの大気汚染をもたらしています。 こうしたなか政府のイニシアチブで、グリーンベルト構想が唱えられました。モンゴルの国土を東から西へ横断するように植林活動を行うというものです。またこうした国を挙げての植林活動に、ストリートチルドレンやスラム生活者に対する支援活動を行っている現地NGOも参画し、植林活動への参加を促すという非常に興味深いプロジェクトも拝見してきました。 今回の訪問ではまた、新潟とモンゴルとのつながりも確認させていただくことができました。昨年の新潟県中越地震の際にはモンゴルから毛布と義援金が届けられ、これに対して各方面でお礼を申し上げたところ、学生や若い人たちが自発的に行ったことであるとのことです。 バルスボルド大臣は、若い人たちとの交流の場で、米ソ両国がホットラインで戦争の危機を回避した歴史を紹介し、政治家同士の交流が大切であることを訴えられました。国と国との関係も重要ですが、多元的な交流も重要です。環境という、国境のない問題には、いろんな垣根を越えた解決方法を探していかなくてはなりません。個人対個人の交流が基本になることを改めて感じました。 大勢の方々にお世話になり、多くのことを学ぶことができました。これから報告書の作成と具体的に成果をどう生かすかという検討にうつります。数日以内にはそれらについて詳しくホームページで報告したいと思いますので、ぜひそちらをごらんください。今晩はこれから財政の勉強会の予定です。
第26号「5月3日は憲法記念日」(2005年5月2日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第26号(2005年5月2日発行) 「5月3日は憲法記念日」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 大型連休、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。天気にも恵まれ、遠回りして散歩したくなるような陽気が続いています。私は4日から公務でモンゴルを訪問することとなり、準備に追われています。この訪問についてはまた後日メルマガ等でご報告したいと思います。 さて明日は憲法記念日です。国会では、衆参両議院にそれぞれ憲法調査会が平成12年1月20日に「日本国憲法について広範かつ総合的な調査」を行うため設置されました。以来、5年あまりの議論・調査を経て、先月末にそれぞれ報告書がまとめられたところです。衆議院憲法調査会による「衆議院憲法調査会報告書」は683頁、参議院憲法調査会による「日本国憲法に関する調査報告書」は298頁。いずれも厚い報告書ですが、私の事務所に置いてありますので、ご覧になりたい方は事務所までお電話のうえお気軽にお越しください。 そもそも憲法とは何なのか。多くの学説等で共通しており、また民主党の憲法調査会でも確認されたとおり、公権力に対して一定の制限をかけるという役割を担う、中心的な存在であるといえます。そして、憲法で国民の権利と定められている項目がしっかりと私たちの生活の中に根付き、それによって主権在民の理念が具体化されていくことが期待されます。そういった意味で、憲法は不磨の大典とすべきではありません。つねに政府の公権力と私たちの人権・権利の間で、憲法を鍛えていくことが必要だと思います。 しかし今回の憲法調査会での議論および報告書について、本当にそういう意味から論議が行われてきたのだろうか、と首をひねらざるを得ない点が散見されます。 たとえば「公権力のコントロール」という、憲法に課せられた第一の目的から逸脱するものですが、国民の義務と責任を追加し明記すべきだという、主に自民党からの意見がかなり出されました。問題の所在には共感できるものもありますが、しかし憲法に義務規定を増やしたところで解決につながるとは思えません。 また、ここ10数年の間、官僚機構に対して内閣のリーダーシップを強化すべきという議論がありましたが、肥大化する行政府に対して立法府の役割をどう明確化するかという課題については、首相公選制も含めて、ずいぶんトーンダウンしました。自民党の関心の無さの表れといえましょう。 そして憲法改正といえば真っ先に槍玉にあがってきた第9条についてですが、国際社会への貢献を可能にするという言葉は美辞であるものの、国連中心主義というこれまでの日本外交の大原則を貫くのかアメリカ追随でいくのか、前提が曖昧なままの議論となっています。中身はまだ見えないがそれを入れる箱を先に作ろうというのは、議論の順序が逆なのではないでしょうか。 付け加えて、第96条で定められている国民投票法制は、憲法の中に制度化された国民の憲法制定権力の発露であって、現在この国民投票法制が不在であることは立法の不作為とみなければならず、しっかりとした制度設計をしなければなりません。しかし憲法改正を急ごうとするあまり、この国民投票法制を骨抜きにしようとする動きがあることは、本当に理解に苦しみます。 そもそも、憲法を改正しようとするのであれば、それに先んじてやらなければいけないのは、「目指すべき国家像」は何か、それを明確にすることではないでしょうか。その国家像の先にこそ、ふさわしい憲法の姿があるはずなのです。「Constitution」の訳語としては、「国のかたち」がもっともふさわしい、と複数の有識者から伺いました。「国のかたち」を議論せずして憲法は語れません。国のかたちが曖昧なまま改憲された憲法が、戦後60年近くかけて定着してきた憲法より、優れているはずだと、胸をはって国際社会の中で言うことは難しいと私は思っています。 ずいぶん長い時間、憲法調査会での議論が行われてきたのですが、結局のところ同床異夢でスタートした調査会、緻密な報告書をつくること自体に無理があったのではと思わざるを得ません。これから憲法調査会は新たな段階に入ることになります。議論を注視してまいります。
第25号「合併のあとに取り組まなきゃいけないこと」(2005年4月25日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第25号(2005年4月25日発行) 「合併のあとに取り組まなきゃいけないこと」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、宮城と福岡の二つの小選挙区における補欠選挙と、新潟市議会増員選挙が、投開票日を迎えました。私が応援してきた民主党の候補者は落選。残念ですが、この敗戦で明らかになった課題を、今後の努力で克服していきたいと考えてます。ご支援いただいたみなさん本当にありがとうございました。力不足をお詫びするとともに、今後ともご支援くださるようよろしくお願い申し上げます。 今月のオープンミーティングでは、外部講師をお招きし、2回連続で市町村合併について学びました。第1回目の「市町村合併〜国の視点から〜」では、全国の市町村合併の動向、政令指定都市の権限と財源、新・新潟市が政令指定都市に指定される可能性についてお話しいただきました。第2回目の「市町村合併〜市の視点から〜」では、合併後の新潟市のめざす姿、今後のまちづくり等に向けての課題、新潟市合併マニフェストについてお話しいただきました。参加者のみなさんからの関心も高く、活発な質問を出していただきました。 そもそも政令指定都市とは、急激に人口増加がすすむ大都市の問題に対応するために作り出された制度です。昭和31年に五大都市(大阪、名古屋、京都、横浜、神戸)の指定と同時にスタートしました。人口集積が急速に進むことにより、都市計画や道路の管理や教職員の任免などに生じるひずみを速やかに解消するため、その権限を都道府県から政令指定都市におろし、スムースな都市化をはかる、ということが目的でした。 地方自治法には、政令指定都市とは政令で指定される人口50万人以上の市をいう、としか書いてありません。この50万という数字は、昭和31年に指定された五大都市のなかに神戸市が含まれています。これは他の4つの都市が人口100万人を超えていたものの、神戸市がわずかにこれに届かなかったため、50万人以上としたのではないでしょうか。その後、人口100万人を超える都市、そして100万人には満たなくとも今後人口が増えて100万人くらいにはなるという見込みの都市が、次々と指定されてきました。平成13年には市町村合併推進プランが策定され、①大規模な市町村合併が行われ、②合併関係市町村と関係都道府県の要望がある場合には、弾力的な政令指定都市指定を検討することとされました。これを受けて市町村合併による政令指定都市への移行がさいたま市と静岡市で行われ、政令指定都市は新たな時代に入りました。 さて、市町村合併について2回にわたって話をお伺いしたところで、いくつかの課題が浮かびあがってきました。 ひとつには、地方財政についての課題です。国から地方への交付税は今後10年間確保されるということになっていますが、厳しい財政事情で将来にわたっても交付税が確保されるという確約はありません。いわゆる三位一体改革がスタートしてから、地方六団体(全国の都道府県、市、町村の首長と議長がそれぞれに構成している六つの団体の総称)が政府に要望書を出して、補助金の削減、交付税改革、税財源の移譲について、具体的な提案を行っています。国としてはそれを真摯に受け止めるとしていますが、実際には、権限と財源を手放したくない各省庁の抵抗にあり、実態はあまり進んでいません。 地方の財政計画を立てているのは国であり、その財政計画の決定の方法が不透明であるということも、問題です。また、政令指定都市に移行したとき、いわゆる市民の参画をいかに新しい市政運営にしっかりと組み込んでいくかも課題です。新潟市の合併は、政令指定都市の指定を受けるためという側面もありましたが、より実践的な住民自治を行うためのものとしなければなりません。大きな市になったからこそ、それぞれの地域の個性が生かされ、市域内の分権が確立されるしくみをつくっていく必要があります。 対外的には、新潟の拠点性をいかに高めていくかという大きな課題があります。 こうした課題について、次回のオープンミーティングでは、「国の視点から」「市の視点から」に引き続き、「市町村合併〜私(たち)の視点から〜」として、みなさんとともに今回の市町村合併と新潟市の政令指定都市への移行についてもう一度課題を整理し、私と参加者のみなさんとで話し合う場としたいと思います。前回、前々回のお話しを踏まえて、国や市の考え方に対してご意見やご要望をおもちの方、どうぞお気軽にお越しください。
第24号「不忘前事 后事之師」(2005年4月18日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第24号(2005年4月18日発行) 「不忘前事 后事之師」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 中国で反日デモが活発化しています。事態打開につながるかと期待された外相の訪中も、不発に終わる気配が濃厚になってきました。現在、中国に滞在している日本人は日系企業関係者など約8万人。大使館や領事館への投石が行われたり怪我など人的被害が出たりしており、国連のアナン事務総長も「両国の知恵で解決策を探すことを期待している」などと述べて懸念の意を表しています。その国連の常任理事国入りをめざしていた日本にとっては、同じアジア地域にある中国からの支持を取りつける可能性がほぼ皆無となりました。アメリカも今のところは日中両国に公平な立場を崩していないものの、最後は、中国サイドによっていくのではないかという観測がもっぱらです。 日中国交回復後、両国関係の最大の危機といわれる今回の事態。日中国交回復は1972年に当時の田中角栄首相と周恩来総理によってなされました。周恩来総理が、中国国内の反対勢力を説得して日本との国交回復に向けて前進を決断した話は今も耳にします。国交回復に反対する人びとを説得するため、周恩来総理は、農村をひとつひとつ回り、地道な説得を重ねたとも聞きます。「飲水思源」(水を飲むときには井戸を掘った人のことを忘れるな)という中国の言葉どおり信義の人だったからこそ、とても難しい国交正常化を成功させることができたのでしょう。政治の世界でも「誠実さ」を大切にすることの重要性を学べる数少ないエピソードとして、私の心の中に深く刻まれている事柄です。 日本では過去の歴史、とりわけ自らが加害者となった歴史については、伝承しようという雰囲気がほとんどありません。中国や朝鮮半島や東南アジアなどの各国各地域で日本が第2世界大戦当時に何をしたのか、家庭や学校や地域社会で学ぶこともほとんどありません。現地に出かけるなどして積極的に知ろうとしなければ無知のままです。ところが、被害者となった国や地域では、それらの歴史は家庭で、地域で、学校で、脈々と語り継がれています。当事国における若者の「知識の差」はますます広がる一方。この事実認識の差は、被害者と加害者の意識の差でもあります。相互交流の貧弱さと単眼的な情報によって、その差はますます増幅されています。また、ときの政権が、どういうスタンスをとるかによって、意識の差は拡がったり縮まったりする可能性があります。 北朝鮮による拉致問題の解決のためにも、日本にとって中国の位置づけはきわめて重要です。現在および将来の経済活動のありようを考えるとき、日本と中国の関係は友好的であるという前提に立たなければ成立しえないことがたくさんあり、関係の悪化は避けなければなりません。しかし、日中両国政府は、にらみ合ったまま膠着状態に陥りました。日中ともに問題の早期解決を望んでいながら、です。 なぜこのタイミングで日中関係が悪化したのでしょうか。複合的な原因があると見なければなりませんし、その原因についてこのメルマガで論じる紙幅もありませんが、私は、小泉総理の靖国参拝など日本政府が中国の感情を逆なでするような行動をとったことが、反日デモを引き起こすきっかけにもなっていると考えます。その小泉総理が、「対立の海から協力の海へ、お互いよく話し合っていきたい」と述べても、中国の政府あるいは国民にはそうした言葉は何の意味も持たないものであろうと思います。 外交に従事するのは、政府だけではない時代に入っています。日本が過去の歴史を「忘れる」のではなく「記憶する」ことによってのみ、打開の糸口を見つけ出すことが可能になるのではないでしょうか。もちろん今回のような暴力行為は認められるものではありませんから、中国に対して時には言いにくいことも言うべきでしょう。しかし、「私たちも忘れていない」というメッセージは、被害者としての日本からばかりでなく、加害者としての日本からも、常に発信しつづけるべきです。力による支配がつづく国際社会ですが、信義の人である周恩来が今なお語り継がれていることに、今後の日中関係の、少しの希望をつないでみたいと思うのです。
第23号「“改革”のようなもの」(2005年4月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第23号(2005年4月11日発行) 「“改革”のようなもの」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週水曜日、竹中大臣が委員会答弁をドタキャンするという事件が発生しました。この日、私が所属する総務委員会では、郵政事業を所管する麻生総務大臣と、郵政民営化担当という特命を小泉総理からうけた竹中担当大臣の委員会への出席を求め、与野党理事が合意のうえで質疑が行われることになっていました。民主党からもバッター(質問者を意味します)が4人決まり、質問通告も行い、朝10時の開会を待つだけになっていました。 ところが委員会開会直前の理事会で、竹中大臣が急に委員会を欠席するという知らせが届きました。「郵政民営化法案を具体化するため調整に一刻の猶予もならない状況にある」つまり忙しいというのが理由とのこと。これには与野党理事も、また自民党議員も、憤懣やるかたない様子でした。総務委員会は、委員長が「誠に遺憾」と述べ、答弁者がいなくては質問になりませんから、次の開会はまた理事会で協議することとし、1分ほどで散会となりました。 憲法63条には、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」と定めています。竹中大臣の今回の行動は明らかな憲法違反。しかもその理由と責任を問われた本会議質問で、「情報収集に不備があった」など苦しい逃げの答弁をしていましたが、総務委員会理事会で示された欠席理由とはまったく食い違うものでした。 その郵政民営化法案ですが、小泉総理が指示した期限(先週末)内にはとうとうまとまりませんでした。自民党に提示された政府案も、中身の何もない代物となっており、多くの問題点が指摘されています。私がとりわけ重要と考えるのは以下の2つです。 ひとつは、小泉総理が郵政民営化を主張した動機そのものが不明確だということです。当初、郵政事業の資金が財政投融資を介して特殊法人などに流れ込み、浪費されて大量の赤字が生み出され、それを解決するための手段として、財政投融資の「入り口」改革が言われたのが、郵政民営化論のスタートでした。しかし、財政投融資は入り口改革だけやっていては不十分で、出口改革(特殊法人そのものの改革)を行わなければ本末転倒となってしまいます。その出口改革は必要性が指摘されてから20年間というもの放置されつづけてきました。また今回の民営化案は、政府保証を残すというものになっています。郵貯・簡保の縮小にもまったく手をつけておらず、巨大な官有民営企業を生み出すことにつながりかねません。いったい何のための郵政民営化なのか。明確な答えは未だに聞かれません。 もうひとつは、世界では郵政事業の民営化は、かつて推進された時期もありましたが、先に民営化したドイツはじめ各国ではおしなべて失敗に終わっているということです。民営化して郵便サービスが向上したという国はありません。またアメリカは毎年日本政府に「年次改革要望書」を提出し報告を求めており、そこで郵政民営化について言及していますが、そのアメリカにおいてさえ郵便事業は国営のままです。郵政民営化が政策課題となったのは、ひとえに、小泉総理の私怨によるのではないか、と、国会周辺ではささやかされています。 いまや政府は内閣不一致、政府与党もばらばら。しかし小泉総理の人気を頼みに政権にしがみつくことしかできてこなかった与党に、いったいこれ以上何ができるでしょう。結果として、年金や介護保険や子育て支援など生活者に密着した政策については内閣の関心が薄くなり、そのしわ寄せは今を生きている市民、これからを生きようとする次の世代へと、不安の増大という形で押し寄せてきています。 ここで民主党がいかなる戦略をとるかが、とても重要です。今月は宮城と福岡で二つの補欠選挙が行われます。また新・新潟市においては市議会議員の増員選挙が行われます。これらの選挙で議席を得ることが、当面の目標です。それぞれの地域に民主党議員を生み出していただき、市民が主役の政治をめざして活動する民主党に、より大きなお力添えをいただけますよう、心からお願い申し上げます。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 西村ちなみオープンミーティングのご案内 [テーマ]市町村合併 −新潟市の視点から− [日時]4月23日(土)10:00〜11:30 [会場]ユニゾンプラザ *参加費は無料です。市町村合併に関する質問の時間もございます。 ご友人とお誘いのあわせの上、お気軽にご参加ください。 ご不明な点等ございましたら下記までお願いします。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
第22号「開かれた年金改革論議を」(2005年4月4日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第22号(2005年4月4日発行) 「開かれた年金改革論議を」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 今月のオープンミーティングは、新・新潟市の合併をテーマとして、特別に2回シリーズで外部講師をお招きして開催することとしました。9日(土)は10:00から11:30までの予定で、新潟駅前交番向かいのガレッソホールにて、総務省自治行政局行政課行政企画官の吉川浩民さんをお招きし、国の視点からとして、全国の市町村合併の動向、政令市の権限と財源、新・新潟市が政令市に指定される可能性などについてお話いただきます。質問の時間もあります。合併に関する「?」をお持ちの方、ぜひこの機会にご参加ください。 さて4月1日(金)の本会議、ようやく年金制度改革に向けた第一歩が踏み出されました。「年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する決議」が採択されたのです。 年金制度は昨年夏の参議院選挙では大きな争点となりました。国内世論も、年金などの社会保障制度改革を優先的に行ってほしいという意思を、たびたび示しました。年金財政が破綻に近づいていることは誰の目にも明らかでしたが、政府は「百年安心プラン」なのだと主張して引きません。民主党でなければ年金制度の改革はできないと訴え1日も早い政権交代を求めるか、あるいは視界不良ではあるけれども超党派での議論に持ち込むよう努力するか。民主党内でも本当に真剣な議論が行われてきました。その結果、粘り強く与党に働きかける道を選択しました。そうして先月から与野党協議がスタートし、自民党の重い腰も協議のテーブルへと向けてようやく立ち上がってきたのです。 いろんな問題点を隠しながら法案を出してきた厚生労働省、年金財政の赤字を積み重ねてきた責任を指摘することもなく法案にただ乗りするだけの与党・・・これまでの経緯を考えれば、野党としては、怒りと同時に「顔を洗って出直して来い」と言いたいところです。また、与党としては、昨年法案を通したばかりという面子もあるため、あからさまに自らに瑕疵があったとは言えないでしょう。両者の距離が縮まるのは困難な状況でした。 決議にはこう書かれています。「・・・出生率、経済財政情勢、産業構造、雇用構造など時代の大きな変化に対応すべく、過去の経緯などにとらわれず、議論に必要な論点を国民に提示し、あらゆる観点からの議論を尽くし、社会保障制度改革なかんずく年金制度改革について、その実現のため全力を傾注しなければならない」。この決議文をまとめるために、与野党間でどのようなやりとりがあったのでしょうか。野党が「これだけの文言は入れる」と主張し、与党が「こういう書き方でなければ駄目」などとやりとりしたその痕跡が、随所に浮き彫りにされているように、私には感じられます。 今後の進め方については決議および要綱で、以下のように決まりました。 ①全会派参加による両院合同会議を設ける。各党会派の割当は、自民13人、民主12人、公明6人、共産2人、社民2人。会長1人、会長代理1人、幹事8人。幹事は自民4人、民主3人、公明1人、幹事会オブザーバーを、共産1人、社民1人。 ②議論はすべて国民に公開する。 ③まず年金制度改革に関して各党が論点・目指すべき姿・施策について提起して議論を進め、今秋までに改革の方向付けを行い骨格の成案を得ることを目指す。 「骨格の成案を得ることを目指す」。日本語としては通じますが、表現は玉虫色です。議論を合同会議の35名に任せるのではなく、どのような成果をもたらすのか、しっかりとウオッチしていかなければなりません。 またこの間、話題となってきた国会議員年金制度ですが、これについても時代に適応した形へと変えていく必要があります。スタート当初の互助年金制度の枠組みを維持しつつも、国庫から多額の負担金が投入されており、あまりにも優遇された制度だと批判されています。今年に入って、衆参両院議長の諮問機関から、両院議長に答申がありましたが、その内容は短い時間の不十分な議論から出てきており、制度変更しないというものでした。これは納得できる内容とはなっていません。国家公務員の共済年金と一本化する案、一本化とまではならなくとも公務員共済年金に準ずる案、などなど、さまざまな試案・私案が出されてはいますが、民主党が主張する年金制度の一元化により、国会議員年金制度はその中に吸収されることとなり、議員年金だけが高い国庫負担率になっているという不公平な仕組みは解消されることになります。 皆さんからも引き続きウオッチをお願いします。