************************************** 西村ちなみメールマガジン第41号(2005年8月15日発行) 「あれから60年」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。西村智奈美です。 衆議院が解散されてから今日で1週間です。私は、朝の街頭演説や市民の皆さんとの対話に力を注ぎ、また事務所のスタッフとボランティアのみなさんと一緒に、ポスターの作成やチラシの配布に汗を流しています。いよいよ選挙戦本番です。来週のメルマガでは、選挙戦で訴える重点項目をお伝えしたいと思います。 今日は8月15日。日本では終戦記念日として、過去の戦争と、その戦争で亡くなった方々に対して思いを馳せ、追悼する日です。そして、戦争をこの地球上からなくさなければいけないという誓いを新たにする日です。戦争は、とくに現代の戦争では、勝者も敗者もありません。女性や子ども、高齢者が、戦闘員・非戦闘員の区別なく命を落とす危険性があります。世界全体が人質にされているような、背筋の寒くなるような世界に、今の私たちは生きています。 戦後60年、世代がちょうど2回りして、戦争の記憶は少しずつ風化してきているのではないでしょうか。大きな危機感を抱きます。日本は唯一の原爆被害国ですが、その立場からもっと力強く訴えてよいはずの核廃絶の道は、未だに世界中の他の国から選択されてはいません。今、こうしている間にも、世界中のどこかで紛争は行われており、傷ついたり命を落としている人や悲しんでいる家族がいます。日本は、もっと世界に向けて明確なメッセージを発するべきではないでしょうか。 日本の外交は、北朝鮮をめぐる6者協議が休会に入ったこと、国連安保理入りが外務省の失敗で頓挫していること、イラクへの自衛隊派遣が続けられていること、中国・韓国との軋轢が解消されていないことなど、多くの問題を抱え込んでいます。戦後60年という大切な節目の年に、このような外交の失態はどうしたことでしょう。米国追随のみで北東アジアから信頼を得ることができていない小泉外交の限界を見る思いがします。 「国際社会の中で名誉ある地位を占めたいと思う」とうたわれた日本国憲法の前文。崇高な理念です。国の政治の過ちで人の命が奪われる悲劇を、二度と日本が繰り返さないためにも、私は真剣に取り組んでいく決意です。
メールマガジン
第40号「政権選択」(2005年8月8日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第40号(2005年8月8日発行) 「政権選択」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 いよいよ政権交代に向けて、最終章の幕開けです。 本日午後、参議院本会議において郵政法案が反対多数で否決され、小泉総理は解散を表明しました。民主党は内閣不信任案を提出し、夜7時から衆議院本会議が開会されましたが、不信任案の決議に入ろうとしたとき官房長官が議長席の後ろの通路から入ってきて「詔書」を議長に渡しました。議長が、憲法7条に基づいて衆議院を解散すると読み上げたとき、議場のあちこちで細波のようにバンザーイという声が上がりましたが、上がる手はバラバラ。衆議院が解散された本会議は5分ほどであっという間に終わりました。 今回の解散は、確かにきっかけは郵政法案ではありましたが、二つの意味でこれを争点にはできないと私は考えています。まず郵政法案は衆議院で可決され、参議院で否決されているという点です。小泉総理は、参議院で否決されたら小泉総理への不信任を意味するなどと自党の衆議院議員ばかりでなく参議院議員も脅し、参議院で法案が否決されたことをもってして、衆議院を解散するという暴挙に出ました。また、今回、郵政法案をめぐって分裂しているのは自民党です。自民党の中で、法案の賛否をめぐってAチームBチームに分かれて、権力闘争をしている。いわば自民党の内部の争いに、国会全体、そして有権者の皆さんまでをも巻き込んでしまっていることは、重大な問題でしょう。 では何が争点になるのでしょうか。私は、今回の総選挙の争点は、そういった自民党にこれからも政権を任せるのか、それとも、本物の構造改革はもっと別のところにあり、生活者優先の政策実現を目指すことがきわめて優先度が高いと訴えてきた民主党に政権をまかせていただけるのかという、政権を選んでいただく選挙だと思っています。そのためにも今必要とされている、本当の構造改革とは何かを訴え、またそれを実現するためにはもう自民党では無理なのだということを全力で訴えます。新しい政権をつくることができるよう、そして新潟市の将来のためにも、もてる力を振り絞ってたたかう決意です。 本会議が終わり、東京駅から20:12の新幹線に乗りました。今ころ新潟市内では大民謡流しがクライマックスを迎えているころでしょうか。 今日のメルマガは6日に開催したオープンミーティングの様子をご報告するのとあわせて、少子化対策のパート4をお届けするつもりでしたが、また機会を改めたいと思います。
第39号「少子化 パート3」(2005年8月1日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第39号(2005年8月1日発行) 「少子化 パート3」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 暑い夏です。最終盤の国会も、参議院での郵政法案の可否をめぐり、マスコミに煽られてさらにヒートアップしています。郵政法案のほかにもたくさん法案はあるのですが、郵政特別委員会にとられっぱなしになっている閣僚を、答弁者として委員会に呼ぶことができません。そのため審議が始まらない、ないしは中途のまま、今通常国会では廃案になる法案も、少なくありません。郵政法案が提出されて以降、実に長い政治空白の期間に入っています。 さて今日は少子化問題の3回目。今日は、子どもをもつこと・育てることについての意識の問題について、書いてみたいと思います。 『少子化社会白書』では、結婚している夫婦へのアンケート調査から、平均理想子ども数と平均予定子ども数(ないしは現在子ども数)との間に、差があることを指摘しています。簡単に表現してしまうと、持ちたいと思う子どもの数は3人、しかし実際の子どもの数は2人、という結果になっています。ここから、若い世代も子どもをほしいと思っているのだけれど、なんらかの事情からそれをあきらめてしまっている、という現状が浮かび上がってきます。 理想の子ども数をなぜもたないのか、その理由については、子育てや教育にお金がかかりすぎるから、高齢で生むのはいやだから、これ以上育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから、子どもがのびのび育つ社会環境ではないから、など、概して言えば子育ての負担感を感じていることが浮かび上がっています。こうした子育ての負担感を取り除くことは、児童虐待の防止にもつながると考えられています。「育児の社会化」は地域社会にとって共通した課題といえるでしょう。 また、初めて子どもを出産した母親は、出産前に仕事をもっていた人でも出産後には7割の人が無職となっています。「出産・育児か、あるいは仕事か」という選択は、これまで、雇用慣行の中で特に女性に迫られてきました。しかし、女性の就業率が高い国ほど出生率が高いということが国際比較研究から明らかになっており、子どもと仕事はトレードオフの関係(どちらか一方をとったときに、他方をあきらめる関係)ではありません。出産・育児と仕事の両立が可能となるような、保育支援・育児休業の取得促進・勤務時間の短縮・再就職促進等の雇用システムをつくりあげていくことが必要でしょう。 さらにいえば、男性も含めて、働き方の見直しを進めることが必要と思います。厳しい企業間競争の中で、夜遅くまで会社に残っているサラリーマン。健康も心配ですが、育児の負担感も相当なものと思います。子育ての負担感の軽減のために、また両親がともに育児をすすめるために、仕事と家庭のバランスのとれた生活を目指すことも大切でしょう。まだまだ取得率が1%未満と低い男性の育児休業取得を促進する育児休業法改正案を、民主党は提案しています。 また、晩婚化・非婚化の傾向は、ここのところますます進展しています。結婚して家庭をつくる→子どもをもつという人生設計が定着した日本においては、諸外国に比して婚外子も少ないので、晩婚化・非婚化が直接少子化の流れを加速することになります。目を転じれば、若い世代の人口妊娠中絶の件数はここ数年でかなりの数に達しており、看過することのできない社会問題となっています。 こうした点に着目した、具体的な政策提案はまだありませんが、適切な時期に検討すべき課題であるように思えてなりません。いずれにしても、労働時間やパート労働などの問題を含めた男性と女性の働き方の見直し、仕事と家事のバランスのとれた生活、職業の有無を問わず希望する人が誰でも受けることのできる子育て支援サービス、小児医療体制、児童虐待対策などは、少子化対応のひとつである育児の負担感を軽減するものとして取り組まなければいけないことだと思います。 次回は、少子化問題と若者の就労について考えてみます。
第38号「少子化 パート2」(2005年7月25日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第38号(2005年7月25日発行) 「少子化 パート2」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 一人の女性が出産する子どもの数を合計特殊出生率と呼びます。私は丙午の年(1966年・昭和41年)生まれの学年と同級ですが、この年は合計特殊出生率が1.58と例年から見ればきわめて低い年でした。1990年(平成2年)にはこの合計特殊出生率が丙午の年を下回ったことから「1.57ショック」と報じられ、少子化問題が表面化したのです。 それ以降の、日本におけるいわゆる少子化対策は、時系列的に3つの時期に区分することができます。 まず第一に1.57ショックから少子化対策への推進体制の整備をうたった有識者会議の提言までの少子化対策の形成期。1.57ショックへの対応として、平成2年には、厚生行政、労働行政、教育行政、住宅行政等を含めた総合的な施策の検討を行うため、14省庁からなる連絡会議が設置されました。平成3年には育児休業法が成立し、翌年から施行されましたが、この法律制定の背景には、少子化問題が存在したといわれています。その後、平成6年12月に「エンゼルプラン」が策定されました。この中では、子育てと仕事の両立支援の推進、家庭における子育て支援、住宅及び生活環境の整備、ゆとりある教育の実現と健全育成の推進、子育てコストの軽減という5項目が掲げられています。それに沿って平成7年に育児休業法が改正(すべての事業所への全面適用、休業中の所得保障・被用者への社会保険料の免除)、地域子育て支援センター事業がスタートするなどしました。さらに平成10年版の厚生白書では、「出生率の回復を目指す取組みとは(中略)子どもを産み育てることに夢を持てる社会をつくる取組み」であると述べており、また、平成10年に設置された「少子化への対応を考える有識者会議」は、①働き方、②家庭・地域・教育のあり方、③推進体制、の3つの領域について言及しています。推進体制の整備をうたったのはこの有識者会議が初めてでした。 第二に、新エンゼルプランの策定とその展開が見られた、少子化対策の確立期です。平成11年12月には「少子化対策推進基本方針」が閣議決定されました。それに基づく重点施策の具体的実施計画として策定されたのが、「新エンゼルプラン(平成12年度から16年度)」です。旧「エンゼルプラン」と比較して、不妊専門相談センターの整備、一時保育の推進、ファミリー・サポート・センターの整備などが新たに加わりました。また平成12年に児童手当法の改正(支給対象年齢を義務教育就学前に拡大)、平成13年には育児・介護休業法の改正(事業者に義務づけ)など、法改正も行われています。 第三に、新たな少子化対策の展開期です。平成14年には厚生労働大臣の有識者会議「少子化社会を考える懇談会」が、単に子育て負担の軽減を図るというアプローチだけでは限界があり、「望ましい社会像」を提示してそうした社会を目指して対策を講じていくというアプローチが必要であると提言しています。その流れで厚生労働省から公表された「少子化対策プラスワン」は、従来の、仕事と家庭の両立支援に加えて、①男性を含めた働き方の見直し②地域における子育て支援③社会保障における次世代支援④子どもの社会性の向上や自立の促進、という4つの柱を新たに加えました。その後平成15年には少子化社会対策基本法と次世代育成支援対策推進法が成立。それまでは、国が少子化対策を主導し、地方自治体や企業に働きかけるという方法でしたが、平成15年の法施行後は、地方自治体や企業自体に少子化対策を実施することを義務づけています。また平成16年6月には「少子化社会対策大綱」が閣議決定され、少子化の急速な進行に対する危機感が社会で十分に共有されていない」という認識に立ち、4つの重点課題が掲げられました。すなわち、①若者の自立とたくましい子どもの育ち②仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し③生命の大切さ、家庭の役割等についての理解④子育ての新たな支え合いと連帯、です。 こうした経過を辿ってきた、わが国の少子化対策ですが、効果が上がっているとは言えません。過去40年というもの、合計特殊出生率は下がり続けています。晩婚化・非婚化の傾向が直接少子化につながっていること、若者の雇用不安・所得不安・将来不安が少子化を後押ししていること、出産・子育て期に多くの女性が継続就労を断念している状況は昔も今も基本的には変わっていないこと、育児への負担感が増大していることなど、多くの要因が複雑にからみあっている結果でしょう。複合的な要因によってもたらされた少子化問題に、単一の解はありません。来週からは、具体的なテーマ毎に、考えることにします。
第37号「少子化 パート1」(2005年7月19日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第37号(2005年7月19日発行) 「少子化 パート1」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 いよいよ新潟も梅雨明け間近になってまいりました。本格的な夏の到来ももうすぐです。一足早く梅雨明けした東京では、参議院で郵政民営化法案が否決されたら小泉総理が衆議院を解散するという噂話がまことしやかにささやかれています。このささやき声は、連休中のマスコミ報道によってさらに煽られましたが、「参議院で法案が否決されるとどうして衆議院が解散することになるのか」という論理的な話をしていたマスコミは一つもありませんでした。また、「いま衆議院を解散すると政治の空白が生じてしまうので、解散すべきではない」と発言する与党議員がいらっしゃいましたが、解散したら政治空白になるというのは本当でしょうか。郵政民営化関連法案に多くの閣僚がかかりきりになっており、他の重要法案や市民生活にとって関わりの深い課題が審議されないまま「吊るし」にあっている今のこの現状こそが、政治の空白状態なのではないかと、私は思います。 こんな政治の空白に落とし込まれた重要課題の中に、年金制度改革や少子化対策などがあります。今回は、この少子化問題について、プロローグ的に少し書いてみたいと思います。 民主党の岡田代表と自民党の小泉総裁が一対一で議論をたたかわせる党首討論を、民主党からは、今月20日に行うよう求めているところですが、先回行われた党首討論で短い時間ながら岡田代表は少子化対策について議論しました。いつも取り上げるべく準備をしながら、時間切れで取り上げることができなかった課題です。民主党では、数多くの政策調査会やプロジェクトチーム、ワーキングチームが、それぞれの分野から少子化対応について調査を行い、統合された政策づくりに取り組んでいます。 現時点でまとまっている政策の、基本的な考え方は、以下のとおりです。少子化は重要な問題ですが、短絡的な解決方法はとるべきではありません。子どもを産みたい人もいるし、産みたくない人もいる。産みたいと思っても身体的な事情から産めない人もいる。「少子化」を考えるときには、こうした多様な状況を考慮に入れ、きめ細かな政策対応がなくてはなりません。「産めやふやせや」で、子どもをもつことのできない人を追いつめないことも大切です。子どもをもつ人でも、希望する子どもの数と、実際の子どもの数に、ギャップが生じているケースは少なくありません。また子育てしている人が社会的あるいは経済的に追いつめられることから、その矛先が子どもに向けられるケースも生じています。 子どもたちは、未来の社会を担う貴重な存在です。また子どもは、存在自体がすばらしく、子どもがいるだけで地域や社会が明るく前向きになれます。そうした子どもたちの育成を、地域全体で支えていく。地域の子どもたちの育ちを、社会全体の願いとする。そのことはつまり、子どもを育てる人たちを支える社会をつくるということでもあります。そのことが、結果として、少子化を食い止めることにもなるのではないか。私たちはそう考えています。 しかし現状では、合計特殊出生率(一生のうちに1人の女性が出産する子どもの数)は、減少の一途をたどっています。現在の政策が、子どもをもちたいという人たちの気持ちに応えられていないことの証左に他なりません。 いったい少子化の現状はどうなっているのか、またそれに対応するための政策課題は何なのか。次回から、何回かのシリーズに分けて、私の考えをお伝えし、またみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
第36号「いっせいの、せ」(2005年7月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第36号(2005年7月11日発行) 「いっせいの、せ」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週、日本青年会議所北陸信越地区協議会主催のシンポジウムに出席してまいりました。それぞれの県を代表する国会議員が集まり、一新塾の森嶋氏が基調講演につづいてコーディネイターをつとめてくださり、「地域主権」「地域力」「道州制」などをキーワードに議論を行ってきました。 道州制については、日本での実現を提言される方が何人かおり、議論が各地で進んでいます。初期はアメリカ型やヨーロッパ型の強い道州制を作るべきという考えが主流で、立法権などを有する、いわゆる「連邦型」を目指すべきだという主張が強くありました。市町村合併が進み、全国で3000から1800まで自治体の数が減った今、市町村合併の次は都道府県合併だという声はどことなくリアルに聞こえます。先月、地方制度調査会の専門小委員会で検討材料として提出された道州の区域案5案が新聞紙面に掲載されました。突然のことで驚かれた方も多いのではと思います。 区域案を眺めながら、やはり私は違和感を覚えずにはいられませんでした。こうして全国をハサミで切るようにきっちりと切り分ける道州制とは何なのだろうか、この区域割を行って一体何が得られるというのだろうか。疑問はふくらむばかりです。 現在、日本の自治体は、市町村合併とは無関係に「広域行政」や「広域連携」の仕組みがとられてきています。介護保険のときには単独で保険者になることは困難との判断から、広域連携によって複数の自治体が横につながるという取り組みが、新潟県内の各地でも見られました。環境保全などは行政区画を乗り越えて対策をとらなければなりません。政策的課題や特定の問題解決の手法として、関係する自治体が、ネットワークをつくる。そういう柔軟性が自治体にはあります。またそもそも、自治体とは一口で言っても、その規模はさまざまです。東京都は人口1200万人を超えましたが、その東京都の中にも、人口数百しかない村もあります。自治体は、その存在自体が多様であり、またサイズに応じた多様な行政を行ってきました。 今、青森・岩手・秋田の3県が検討に入っている「北東北3県合体構想」が注目されています。首都圏連合などを唱える知事もいますし、北海道などは特区制度を生かす考えをもっているようです。そこには、国の指導もなければ、アメもムチもありません。自治体の主体的な考えがあるだけです。 私は道州制そのものには反対ではありません。しかし、市町村合併のように、合併特例債というアメと、小規模自治体への交付税カットというムチを、使って合併を強制することには賛成できないのです。「いっせいの、せ」で道州制への移行など、できるわけがありませんし、また政府の都合で強制することはやってはいけないと思います。「地域の自立を促し、多様な地方自治を実現するため」に合併を推進してきた以上、政府は、各地で行われている地域主権に向けた取り組みを、ケースに応じて支援する必要があります。 「三位一体改革」で省益争いに終始した今の政治に、果たしてそれができるでしょうか。与党も真剣に取り組んでこなかった様子を見ていて、できないと、私は断言します。真に生活者の声が届く地域運営のためには、主権国家ではなく、地域の住民にこそ基盤をおいたヨーロッパ地方自治憲章や世界地方自治憲章草案の精神を生かしていくことが必要であり、そのことをこれからも訴えていきたいと思います。
第35号「疑惑も、疑問も、ひとつも解明されないまま」(2005年7月4日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第35号(2005年7月4日発行) 「疑惑も、疑問も、ひとつも解明されないまま」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 たった今、郵政民営化に関する特別委員会の最後の質疑が終わり、採決を終わって、議員会館に戻ってきたところです。私は午前中、短い時間ですが、参考人の意見陳述に関する質疑を行いました。午後からはテレビ入りで先輩議員が質問、討論ののちの採決は賛成多数で修正案・原案ともに可決しました。もともと自民党の委員の中には、反対派議員もいらしたのです。ところが採決が秒読みに入った先週金曜日に、反対派議員は全員が賛成派議員に「差し替え」られていました。その結果として、委員会室の雰囲気がそれまでとは全く異なり、下品な野次が飛ぶなど、賛成派議員によって自民党席のすべてを占められた委員会が変質したことは、ホームページにも書いたとおりです。反対派ないしは慎重派であった議員の方々がどれだけ良識的であったか、改めて思い知らされました。 109時間に及ぶ審議でしたが、なぜ今郵政民営化なのか、そのメリットとデメリットは何なのか、また官でやること公でやること民でやることはそれぞれ何なのか、法案の解釈は修正によって変わるのか変わらないのか、等々、納得のいく答弁は一つもありませんでした。それどころか、追及されて苦し紛れの答弁をした閣僚から、その答弁の訂正やお詫びが行われ、それのために109時間のうちどのくらいの不必要な時間を費やしてきたかも分かりません。極めつけは総理です。総理は、修正案がまとまる前日まで答弁で「政府案がいちばん良い。修正する必要はない」と言ってきました。ところが今日は、修正案が政府案の変更にあたると認識しているかという問いに対して、「私が最初から修正もありうると言えば、民主党が、修正案を出すくらいなら最初から出せ、と言うでしょう。だから修正もあるとは言わなかったんだ」との発言が飛び出しました。つまりこれは、修正はあると思っていたけれども、ないという虚偽の答弁をしてきた、と自らが語っているに他なりません。語るに落ちるとはこのことです。また、郵政民営化広報企画案にもとづいて全国1400世帯にフライヤー(チラシ)が配布されましたが、ここにびっくりするような記載があるのです。「小泉内閣支持基盤」として「主婦層&子供を中心、シルバー層」を挙げ、「具体的なことは分からないが、小泉総理のキャラクターを支持する層:小泉内閣を支持する層」などと表記した上でそれらを「IQ軸LOW」軸に位置づけ、ここに対する「徹底したラーニングプロモーション」を実施するとした内容です。これにも憤りを感じます。このフライヤーは、作成から配布まで1億5千万円を超えるものですが、随意契約で発注されました。これは政府内の心ある方からの内部告発によって明らかになったことです。 いずれの疑惑も、疑問も、ひとつも解明されないまま、特別委員会の最終日となってしまいました。空しい、というのが率直な感想です。しかし明日の本会議がまだあります。廃案をめざして、最後まで頑張り抜きます。そして人口減少社会に向かうこの国のかたちをしっかりとデザインする、基本的な議論に立ち返るまで、政権交代を目指して、改めてがんばる決意です。 また私は、この郵政民営化特別委員会で、本当にいろんなことを学ばせていただきました。多くの方々が評価してくださるように、民主党の委員会メンバーはよく連携し、中身の濃い質疑を行ってきました。また理事メンバーが委員会運営に全力で取り組む姿から学ぶことも本当に多かったです。今後の国会活動に、必ず生かしていきたいと思います。 昨日の都議選では、私が応援に伺った候補者全員が当選いたしました。皆さんのご声援に心からお礼申し上げます。都議会で民主党が第2党にしていただいたというのは、本当に重要なことと思います。今後ともご支援いただきますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。
第34号「政治は梅雨入りしないように」(2005年6月27日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第34号(2005年6月27日発行) 「政治は梅雨入りしないように」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日には、後援会「智水会」の総会と交流会を開催させていただきました。会員の皆さんからお集まりいただき、とても良い会にしていただきました。ご協力いただいた方々には、この場を借りて、心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。会場では、これまで発行してきたメルマガをまとめて冊子とし、出席者の皆さんに配布させていただきました。メルマガを知人や友人の方々にご紹介いただくときのPR用として、ぜひご活用くださるよう、お願いいたします。 さて昼のニュースによれば、新潟も遅ればせながら梅雨入りしたのだとか。今朝も8時から東大通交差点で国政報告を行いましたが、30分という短い時間の中でも雨の勢いはどんどん強まり、道路と歩道のあちこちに水たまりができていました。新潟市内も新潟県内も、そして日本ばかりでなく世界の各地でも、集中豪雨による水害に見舞われたことを、雨が降るたびに思い出します。今回の雨が、そういう水害をもたらすことのないように、と祈りながら、新潟を後にしました。 今週も私は、郵政民営化問題に邁進します。明日は新潟県上越市で地方公聴会が開催される予定であり、明朝、私も他の委員とともに東京から越後湯沢経由で上越市へ向かいます。与党の中で修正案をめぐってよほどのことが起きなければ、明日の公聴会と明後日の質疑は予定どおり行われる見込みです。問題点の多い法案ですが、政策論ではなく、むしろ政治論で、法案の行方が決まっていこうとしているのが、たいへん気がかりです。せめて民主党からはきっちりとした議論を行っていきたいと考えています。
第33号「55日間の延長」(2005年6月20日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第33号(2005年6月20日発行) 「55日間の延長」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 国会は金曜日の本会議で55日間の会期延長が決まりました。採決のために開かれた本会議場には、飲酒して赤い顔になっている与党議員が、私の目から見て少なくとも数名いましたが、議長からは何の注意もなく、記名採決が行われてしまいました。大変、情けない話です。 そもそも通常国会の会期は、国会法第5条により、150日間と定められています。ですから法案を提出しようとする内閣あるいは議員は、残り会期を勘案しつつ、法案の審議時間が十分とれるように配慮して、法案提出時期を決めなければならないのです。ところが郵政民営化法案は、3月中に提出される予定が、与党所属のいわゆる郵政族と呼ばれる議員の猛反発に遭い、協議および提出のための合意を行うために、法案提出が1ヶ月遅れました。その遅れを取り戻すために、会期の延長がどうしても必要だったということでしょう。この通常国会の延長は、どう考えても、郵政民営化法案を通過させるためだけのもの。決して自民党の郵政族に組するものではありませんが、今回の法案はあまりにも滅茶苦茶です。小泉内閣の任期が来年秋に迫ってきているからと、自分の都合だけで、時代遅れの政策にこだわり、法案成立に向けてごり押しする小泉総理の認識が、私には理解できません。 小泉内閣が始まって5年。この間、日本では、所得の格差は広がり、ニートやフリーターは増え続け、自殺者も減少の兆しはなく、少子化対策が喫緊の課題といわれながらも手付かずのままで、財政赤字も増えました。国民からの人気はあっても事態を悪化させてきたのが小泉内閣です。郵政民営化を「改革の本丸」とこだわり続けている間に、社会は少しずつ崩壊してきています。10年後、20年後の社会の有り様をしっかりとデザインし、それに向けて1日も早く制度システムの再構築に着手しなければなりません。しかし現政権は、自らのせいでこんがらがってしまった問題すら棚上げ・先送りして、そしてたいていは「私はやっている」と嘯いて、解決のための努力をしないままです。総理および総理人気に乗るだけの与党に対して、大きな怒りを覚えます。 ところで法案一つが採択されるまでには、いくつかのプロセスを経なければいけません。衆議院では、①法案の趣旨説明→②本会議質問→③委員会審議→④公聴会→⑤委員会採決→⑥本会議採決→参議院へ、と、ざっと思いつくだけでもこのような手順を踏むことになります。②と④は、省略することもできます。現在、③の委員会審議を最低100時間やろうという理事会での合意のもと、5合目くらいまでは質疑が進められてきたでしょうか。また今回、④公聴会の一環として、新潟県内で地方公聴会が行われることになりました。長岡市で開催することを軸に理事会で調整中とのことです。 与党内での法案修正も含みを残しているようですので、いつ、どのような形で採決が行われるのか、法案の行方は見通しが立ちません。しかも小泉総理は自民党議員に対して解散カードと公認カードを、また公明党は推薦カードを、それぞれちらつかせています。6月24日は東京都議会議員選挙が告示となります。都議選のある年は国会延長はないという、これまでの定式を破って国会延長が決まりました。何があっても、対応できるようにしておかなければ、と思います。 先週もほとんど第1委員会室にカンヅメになっており、金曜日の夜も新潟に帰ることができずに、東京に滞在しました。土曜日の早朝ようやく、新潟へ帰ってくることができましたが、この日は新潟市内も天気が良く、夕方、事務所から自宅へ帰る道を少し遠回りして関屋浜に立ち寄りました。真っ赤な夕日がちょうど海の上の霞に溶けこもうとしているところで、波の音を聞きながら、烏賊釣り漁船の灯かりと夕日を交互に眺めました。防波堤の上には、釣りをする人、並んで座って海を見ているカップル、手を繋いで歩く家族連れ・・・たった数分間の寄り道でしたが、すべての生のすばらしさに心から感謝しました。新潟の街と人からエネルギーをもらい、また今週も、国会でがんばってきます。
第32号「耳障りのいい言葉だけ」(2005年6月13日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第32号(2005年6月13日発行) 「耳障りのいい言葉だけ」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週、今週と郵政民営化特別委員会の関係で、月曜日に備え日曜夜に東京入りしています。新潟駅頭での国会報告ができず、申し訳ありません。 今日は郵政民営化に関する特別委員会で1時間の質問をしました。終わってみれば反省点ばかりなのですが、また次につなげたいと思います。 昨日のNHK「日曜討論」をご覧になりましたでしょうか。番組中、自民党の山崎拓筆頭理事から驚くべき発言がありました。国会の会期延長に関連して、「会期は鉄道でいえばレールみたいな話であって、レールの上に石を置くようなことはやるなと。投身自殺なら男らしいが」。午後からの野党質問で、私が午後のトップバッターでしたので、質問の冒頭で委員の1人として抗議しました。そして官房長官に所見を求めたところ、「延長の問題につきましては、もちろん政府としては、ぜひこの問題の重要性にかんがみ、これを含みまして、今後とも成立に向けてよろしくお願いしたいという立場でございます」との答弁だったのです。 閣僚が国会の延長に口を出すということは、国の最高機関としての国会の地位にかかわる問題につながってきます。理事の言葉を借りれば「内閣がふっとぶくらいの話」だったのですが、官房長官からその後、答弁の中の「これを含みまして」の部分を速記録から削除することの発言があり、今日のところは収束。明日、また理事会で議論していただくことになっています。 聞けば聞くほど訳の分からなくなってくる今回の法案です。法案の中身そのものが矛盾だらけ。また審議が始まってたった2週間しか経っていませんが、そのときの都合で答弁をすり替えているので、答弁がくるくる変わってきています。地域の郵便局は残せるのか。残せたときに業務は維持されるのか。民でしかできないこととは何なのか。郵便貯金銀行、郵便保険会社、こうした名前がついた民間会社もおかしいのですが、果たして民営化したときに、民業圧迫となるか、もしくは現時点で340兆円という貴重な資産を外資にもっていかれることはないのか。すべて耳障りのいい言葉だけで法的な措置はまったくないままです。与党を騙し、野党を騙し、国民を騙して、無理に通そうとしている今回の法案。廃案しかない、と、質問を終えたあと改めて感じています。 19日に国会は会期末を迎えます。週末に向けて、まだ緊迫した状態が続きます。