************************************** 西村ちなみメールマガジン第61号(2006年1月10日発行) 「雪」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさま新年あけましておめでとうございます。衆議院議員の西村智奈美です。旧年中はメルマガをお読みいただき、ありがとうございました。本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。 年明けは、元日の年賀状出発式から公式に活動をスタートしました。4日は新春の街頭国政報告をいつもの東大通交差点で行いました。5日は魚市場や青果卸売市場での初競、各種団体の賀詞交歓会など行事が続きますが、私は例年この日を着物で過ごします。今年は濃い色の小紋の着物を着ましたら、「渋くて似合ってる」とおっしゃる方と「うわ、おばさん」とおっしゃる方といらっしゃいまして、さまざまな評価を楽しみました。8日は新潟市消防出初式、青空の下での一斉放水は見事でした。 こうして年明けからの数日だけを切り取ってみますと、気温は低く雪も降り路面も凍ったけれども新潟市内はどちらかといえば通常の幕開けだったということができます。しかし、昨年末の大停電は私たちの生活に大きな影響を与えましたし、JR羽越線脱線転覆事故は痛ましいの一言につきました。決して平穏な年越しではありません。 そして雪害です。雪は、さまざまな恵みをもたらしてくれるものではありますが、時には人の命を奪い、孤立集落を生み出してしまいます。毎日、天気予報とにらめっこしては、いつ雪が収まるか、祈るような思いでおります。もちろん政治の対応も必要で、除雪などのための自衛隊派遣要請や孤立した集落に対する医師の派遣など新潟県内でも行われはしましたが、そのタイミングが適切だったかどうか、検証する必要があるとも考えます。 このところ新潟県では災害が多すぎます。特に長岡から十日町・津南、魚沼・湯沢の地域は一昨年の中越地震から休む間もないことでしょう。「災害疲れ」におそわれている地域の皆さんの気力と体力が続いてくれるよう、国会からもしっかり応援していきたいと思います。
メールマガジン
第60号「日朝政府間協議」(2005年12月26日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第60号(2005年12月26日発行) 「日朝政府間協議」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 北朝鮮との交渉再開のニュースを、みなさんはいろんな思いで受け止められたことと思います。日本政府はこれまで、①国交正常化交渉②拉致問題などの懸案事項③核などの安全保障問題を並行して協議することを提案していました。この提案に対し北朝鮮がどのように対応するか注目されていましたが、日朝政府間協議で昨日、条件付きで受け入れる発言をし、年明けにも協議が再開される見込みです。 私は、11月に6カ国協議が開催された折に行われた日朝協議のあと、拉致問題対策特別委員会で質問に立ちました。政府が本当にこの問題を解決する強い姿勢があるのかどうかを質し、今後の交渉をどのように行うのかを質問しました。また同僚議員の中で、中国や韓国が対北朝鮮交渉では大きな力になるので、関係改善につとめるべきではないか、という質問をした議員もいました。 小泉総理は11月のブッシュ米大統領との日米首脳会談の後「日米関係が良ければ良いほど中国、韓国をはじめ世界各国との良好な関係を築ける」とあけすけに語っています。しかし本当にそうでしょうか。確かに米国との関係は重要です。ですが、同じく11月に開催されたAPECアジア太平洋経済閣僚会議のときに毎回行われてきた日中首脳会談は今回初めて取りやめとなり、日韓首脳会談は行われたものの、年内の大統領訪日もなくなってしまいました。11月下旬の日ロ首脳会談でも領土問題での進展はおろか、東シベリアからの原油ルートについてもプーチン大統領からの言及はまったくなく、大統領の日本訪問の成果は皆無でした。仮に日米関係がうまくいっていたとしても対岸各国との関係がこの有様では良好とはいえないでしょう。あるいはブッシュ大統領の支持率が歴代大統領の中でも最低であることと無縁ではないかもしれません。 小泉総理は、次の総理に誰を選ぶか改革競争でポスト小泉候補をたたかいあわせています。「偉大なるイエスマン」と自称する幹事長を筆頭に、総理に首肯し従うだけの人間を重用し、意見の異なる者を排除するかのようです。9月の総選挙のとき、郵政民営化に反対した人が次々と切り捨てられる場面が自民党内部でも残像となっているのでしょう。党内ではみな一様に口をつぐんだまま、例外的に消費税率の引き上げなどに言及した谷垣財務大臣や与謝野金融・経済財政担当大臣は小泉総理から睨まれてしまいました。ポスト小泉競争は、国内状況はもとより、国際状況を正確に認識することなく、政策の正しい方向性を見失うことになっていくのではないでしょうか。 今回の北朝鮮との交渉再開のニュース。これからもタイなど拉致被害者がいたとされる国との連携は重要なことですが、それだけで大きな力になるわけではありません。外交は、脅せば言うことを素直に聞くポスト小泉候補やあまりに無邪気な小泉チルドレンとは異なります。日々刻々と変化する国際状況のなかでは、日本が何を考え、何を目指そうとしているのか、他国に対して一層の説明努力が必要と考えますし、総理は一日も早くそのことに気づくべきだと思います。 年内のメールマガジン発行は、今号が最後となります。一年間お読みいただき、ありがとうございました。年明けのメールマガジン発行は1月10日からといたします。また来年もよろしくお願いいたします。みなさまどうか良いお年をお迎えください。
第59号「仕事と生活のバランス」(2005年12月19日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第59号(2005年12月19日発行) 「仕事と生活のバランス」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日、民主党の定期大会が開催されました。所属国会議員はステージの上で自由席ということでしたので、私は鳩山幹事長の後ろに座りました。その席が演台の真後ろでしたので、挨拶する代表の後ろにオレンジの服を着た私の顔がぼわんと大きく広がっているのをご覧になった方もいらっしゃるのではないかと思います。 さて先週、男女雇用機会均等法の改正に向けて、当事者のみなさんからお話を伺ったことなどをご紹介しました。男女雇用機会均等法という名称からすると、男女間の雇用機会を平等にするためだけの法律と受け取られがちですが、実はそうではありません。 来年の経済は、新潟においても多少、景気回復を実感できる状況となりそうです。今月に日本政策投資銀行や日本銀行の新潟支店が出したレポート等からも、新潟県内も景気回復基調にあることが分かります。今年秋ころからは、非正規雇用者(パート・アルバイト・有期雇用・派遣などを総称)から正規雇用者(正社員)へ切り替える動きが強まっており、すでに東京など都市部では新卒の求人倍率は近年になく高いとのこと。いわゆる団塊の世代が大量退職する2007年を見通して、大企業などが正規雇用者を増やしていることが影響しているようです。 しかし非正規雇用者はすでにこの10年間で急増しており、今や働く人の三人に一人が非正規雇用者。その非正規雇用者の年間所得平均額は正規雇用者の約4分の1。景気に大きく作用するのは、言うまでもなく国内の家計です。家計は、雇用と賃金と消費がそれぞれにかかわりあって成り立つものですが、この3人に1人の非正規雇用者が正規雇用者の4分の1の所得しかないというところに、景気回復が緩やかな理由と、所得格差が広がっている という原因があります。 よって、政策的に「同一価値労働・同一賃金」という原則をきちんと打ちたてることは、景気を回復と維持の面からも、働く人の権利の面からも、必要性のあることだといえます。どのような働き方をしていても、年金や医療など社会保障がきっちりと約束されていれば、安心して働き続けることができます。地道かもしれませんが、そのような社会になることを目指して、仕事と生活のバランスがとれた働き方を、男性も女性もとることができるよう、今回の法改正を行いたいと思っています。
第58号「男女雇用機会均等法の改正にむけて」(2005年12月12日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第58号(2005年12月12日発行) 「男女雇用機会均等法の改正にむけて」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 限られた空間の中で、皆が公平にお金持ちになるにはどうしたらいいでしょうか?空から飛行機がやってきて、お札をばらばら撒き、それを公平に分配すれば、皆がお金持ちにはなります。しかし現実的にそんなことはありえません。経済は閉じています。それではある人がお金持ちになろうと、物を買わないなどの節約をするとしましょう。そうすると、それは別の人の所得が減少することにつながり、それが他の人の商品を買わないなどにつながって、最後は再び自分のところに返ってくることになります。日本経済というひとつの系に、近年はグローバリゼーションなどによって多くの経済の系が密接にかかわるようになりました。ナショナル・エコノミーは今や野放しになっているといえるのではないでしょうか。 さて私は今、来年年明けの通常国会で内閣が提出を予定している、男女雇用機会均等法の改正に向けて、民主党内での論点整理に取り組んでいます。この改正においては、おおまかにいって3つの争点があります。第1に、男女間の雇用における差別をどう定義づけるかという点。間接差別という言葉が国際的には定着しており、日本では法の未整備により判例などはまだ数少ないのですが、コース別管理などによって結果として性差別となっている事例などをなくすことを目的としています。第2に、セクシュアルハラスメントの防止策を強化するという点。ドメスティックバイオレンスやストーカーなど家庭や地域で性暴力を禁止する法律は整備されましたが、職場での性暴力を対象とした法律は十分とはいえません。この間、数回にわたって、超党派議員で当事者からの貴重なお話を聞きましたが、おもわず涙される当事者の方々の姿に、法整備を急がなければと改めて感じました。第3に、男性女性を問わず、すべての労働者が仕事と生活を両立できるような働き方とするよう、男性も含めて働き方を見直すという点。男女雇用機会均等法そのものは、成立してから約20年、関係者の間からは、「結局のところ均等法は女性にも長時間働く男性と同じくらい働くことを強要してきた」という声が聞かれるところです。誰もが仕事と生活のバランスのとれた働き方ができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 こうした均等法の改正にともなって、もうひとつ、たいへん重要な問題があります。それは、パートや有期契約社員や派遣社員やアルバイトなどとさまざまな呼び方をされる、いわゆる非典型労働者の働き方と賃金です。今年に入って日本は、OECDレポートの中で、1世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか稼げない世帯が15%を超え、(可処分所得の中央値の50%以下の所得しかない人の割合を貧困率と呼ぶのは、国際比較などでよく用いられます)この10年間で2倍に増えており、伸び率は他の国でも比類なきレベル。日本では、かつてないほどに貧富の格差が拡がってきているのです。 拡がる格差、拡大する国際経済。日本はどうしたらいいのでしょうか。引き続き来週考えてみます。
第57号「社会規範」(2005年12月5日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第57号(2005年12月5日発行) 「社会規範」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 師走に入り、いよいよ新潟市内でも雪が降りました。ここまで降るとは誰も予想できなかったのではないでしょうか。急に寒くなりましたので、どうかお体にご自愛くださるようお祈り申し上げます。私は、国会閉会中にもかかわらず、週の約半分は公務や党務で新潟を留守にしております。ご無沙汰しておりますことをお許しください。 このところ広がり続けているマンションなどの耐震強度偽造問題、公表からすでに時間が経過していますが、依然として真相解明ができないままです。自民党の武部幹事長は、マンション業界のをかばうかのような発言をしており、この問題に真剣に取り組む姿勢がまったく感じられません。今回の問題はさまざまな要因が絡んでおりますが、とりわけ企業としてのモラルや社会を成り立たせている信用・信頼が、大きく揺らぐ事態となっています。物事を曖昧にせず、事実を明らかにして、いいことはいい、悪いことは悪い、世の中にはしてはいけないことがあると、はっきりと示すことが必要だと思います。 そもそも今回の耐震強度偽造は、住民の安心安全に直結する問題であり、政治にかかわる立場としては決してうやむやにすることができない問題です。しかしこの間の、この問題に対する政府与党の歯切れの悪さはいったい何なのでしょうか。これでは市民住民が何を信頼したらよいのか判断することができません。政治は、社会に対して規範を創造し、表明していくこともできるはずです。しかし小泉政権は「自己責任論」を繰り返してきたこともあり、社会規範を生み出すどころではありません。まさに危機的状況です。 政治を立て直すことが、社会の建て直しにつながる。冷たいみぞれの中を歩きながら、あらためて、生活者の安心安全のためにたたかう決意です。
第56号「災害とNPO」(2005年11月28日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第56号(2005年11月28日発行) 「災害とNPO」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、民主党NPO局・市民政策議員懇談会の主催で「災害とNPO」意見交換会を新潟市内で開催しました。NPOの5名の方々から私たちに対する政策提言をしていただき、参加国会議員6名からの質問、そして短い時間でしたが傍聴席からのご意見をいただくというものです。おそらく新潟市で、NPOの代表者と国会議員が向かい合って意見交換をするという場が設けられたのは、初めてのことではないかと思います。このような場をつくることができ、たいへん感慨深いものがありました。 内容も濃い意見交換会としていただきました。このところ日本列島をたびたび襲っている自然災害。救援・復旧・復興に、NPOやボランティア団体の皆さんが大活躍しています。しかし、活動を行うにあたってさまざまな問題が発生したり、それらを解決するためにボランティアだけの力ではどうにもならないことも多いということが分かってきました。地球規模的にみてもこれだけ災害の多い国ですし、すでにNPOやボランティアの活動にあたっての課題も集約されつつありますから、それを政策立案や立法に生かすことが必要だと思います。特に今回は日本の国土面積の約7割を占める中山間地での災害でしたので、今後の参考に資するところ大です。 私が今回、ぜひ政策提言者の皆さんから聞きたいと思っていたのは、3つです。1つは中山間地という特性から、どのように復興プログラムを考えるのが良いのか、という点。2つめは、すでに神戸や東京で開催された意見交換会の中で、災害発生時にボランティアや行政とのコーディネイトができる人材を確保し派遣するためのプラットフォーム(調整機関)が必要だという意見があったのですが、それをどのような規模で考えるのか、という点。3つめは、ボランティア活動のための資金繰りが難しいという声がある中で、今回新潟県では新潟NPO協会が呼びかけて5000万円の活動基金を集め、60のプロジェクトに支援しているのですが、この活動基金はどのくらいいつまで構築していくのか、という点。 たとえば今日も私はNPO局長の近藤昭一衆議院議員と中越地方を視察してきましたが、2度目の冬が近づいてきている被災地で、まだ住宅再建ができず、底冷えのする仮設住宅で過ごさなければならない方々がまだたくさんいます。被災者生活再建支援法などが本当に被災者の生活の復興を目的としたものといえるのか、大いに疑問を感じますし、これからも改正について訴えていきたいと思います。また私は災害発生時に県外の団体からアレルギーをもつ子ども用の離乳食などを提供するという連絡を受け、どこの避難所にそのようなものが必要なのか知りたいと思っても、そうした情報が把握できないという状況にも直面しました。たいへん良い活動をしている団体で、活動資金が枯渇したために撤退を検討していた場面にも出会いました。 もちろん、それぞれの団体は、活動の目的も異なれば対象としている被災者の層も異なり、すべての団体が同じ着眼点と関心をもとに活動しているわけではありませんので、1つの論点について議論しているときでも意見がかみ合わないということはときどきあります。しかしいずれの団体も、人のために体や頭を動かしたい、という思いは同じ。被災者の皆さんと、そして次に発生するかもしれない災害地およびそこで活動するNPOやボランティアのために、本当に真剣に意見を述べてくださいました。 民主党は結成の当時から「市民社会との連帯」をうたっており、生活者の目線から提案されてきたさまざまな論点を各部門会議での議論に反映してきています。「災害とNPO」というテーマで、今年は、新潟だけでなく神戸・東京・名古屋でも意見交換会を行います。いただいた意見を生かして、迅速にかつしっかりとした立法につなげていきたいと考えています。
第55号「外交の季節」(2005年11月21日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第55号(2005年11月21日発行) 「外交の季節」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 飯豊の山々に雪が降り、澄み切った空にくっきりと稜線が浮かび上がっています。いよいよ新潟にも本格的な冬の訪れが目前。どうぞ皆様お風邪など召さないよう、体調には十分お気をつけください。 国会閉会中の現在、日本は外交の季節を迎えています。先週は日米首脳会談、日韓首脳会談/面談、これから行われる日ロ首脳会談、このほか外相の各国との会談など、外交日程が目白押しでした。これまで行われた一連の外交日程の中で、政府にとっていちばん成果があったのは日米首脳会談ではないでしょうか。ブッシュ大統領と小泉総理は京都で蜜月ぶりを示し、小泉総理は米国産牛肉の輸入再開について早くも言及、ブッシュ大統領は総理への賛辞を繰り返していました。他国との冷ややかな会談ぶりと比べると、いかに日米関係が突出しているかが良く分かります。米国のプレゼンスのみに頼ることなく地域的安全保障の構築のために、と私たちも模索してきた東アジア共同体構想ですが、ここでも政府の東アジア軽視ぶりは指摘されなければなりません。もう少し、これまで積み重ねてきた議論や、これまで取り組んできたASEANなどの国々との関係を、大切にできないものかと強く感じます。 今月12日から14日までの間、1年近く閉ざされてきた日朝協議が再開されました。この日朝協議を受けて、私が所属する拉致問題対策特別委員会では国会閉会中ですが17日に3時間の審議が行われ、私も極めて短い時間ですが質問に立ちました。あらかじめ割り当てられていた時間は15分、しかし前からの質問者が押してきて3分ほど削られてしまいました。後戻りせず問題解決に立ち向かってほしいという強い思いをもち、なかなか議論が進展しないことに焦りや憤りを感じていましたが、それらを表すにはあまりに時間が短かったです。身のある議論を行うためにどうしたらいいのか、次の機会のためにさらに準備をしなければなりません。 およそ委員会や本会議での質問時間は、議会運営委員会や国会対策委員会、そして担当委員会の理事会で決められます。まずひとつの案件(おおよそ法案審査と一般質疑に分けられます)について、何時間の議論を行うかという総枠が決められます。その後、政党・会派別に何時間ずつ割り当てるかを、所属議員数に応じて決定し、その後、質問する議員(バッターなどと呼ばれます)の持ち時間が決められるのですが、このプロセスや割り当て時間の決定は委員長や担当理事の個性が反映されたものとなります。また関連する部門会議を定期的に開催している常任委員会であれば理事と委員との間で意思疎通は可能ですが、特定の部門会議をもたない特別委員会は、定期的に顔をあわせる機会がない分、委員会運営がより難しくなります。特別委員会がもっと重みを増すために、何かできることはないか、これからも探っていきたいと思います。
第54号「義務教育費国庫負担金」(2005年11月21日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第54号(2005年11月21日発行) 「義務教育費国庫負担金」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週は「学習権」という耳慣れない言葉をご紹介しました。1985年ユネスコの第4回国際成人教育会議で「学習権宣言」が採択されています。ここには、「学習権なくしては、人間的発達はあり得ない」という一文が入っており、また「学習権は、人間の生存にとって不可欠な手段である」とうたわれたことにより、学習権は生存権の一部としてみなされています。日本では、性教育や宗教教育、女性や青年の学習、学校教育を受ける子どもたちの環境、などの議論をするときに、この学習権という言葉がしばしば用いられてきましたが、最近では、いわゆる三位一体改革の中で義務教育費制度を議論するときにも用いられるようになってきました。 平成17年度、平成18年度予算で地方向け国庫補助負担金を3兆円程度廃止・縮減するという政府与党案がまとめられたのは昨年の11月です。どの国庫負担金を廃止・縮減し一般財源化するか見渡したときに、政府与党が着目したのが義務教育費国庫負担金でした。昨年は8500億円程度の減額を暫定的に行いましたが、減額相当額については税源移譲予定特例交付金という新しく創出された交付金によって措置されています。費用負担を含む義務教育のあり方については、平成17年秋までに中央教育審議会において結論を得るとされており、答申の内容が注目されていましたが、10月26日にまとめられた答申は「義務教育費国庫負担制度は今後とも維持されるべき」という、税源移譲を求める政府与党に対してはいわばゼロ回答の内容となり、今後の議論の行方が注目されているところです。 義務教育費国庫負担の廃止縮減に対しては、懸念の声、不安の声が、各方面から聞かれます。すでに教材費や図書費などは一般財源化されていますが、教材費では交付税積算ベースに対して東京が163.7%と高率なのに対して、徳島県などは35.6%と格差があり、新潟県も80%を少し超えるくらいとなっています。義務教育費が一般財源化されると、教育にかけるお金がさらに削られてしまうのではないか、という懸念が、制度廃止反対の大きな理由でしょう。また公財政による初等中等教育費の対GDP比率は、OECD諸国の中でも日本は決して大きくはありません。 一方、義務教育費が一般財源化され、法改正を行えば、地方の裁量度が高まり、自由な教育環境を整備できるとする、意欲ある声、期待の声も、各方面から聞かれます。教職員の人事権などは都道府県にありますが、より地域社会に近く独自性のある教育を行うためにも、市町村に人事権を移すべきという意見は、さまざまな場面で聞かれてきました。また一般財源化されたときに教育にどれだけ充てるか決めるのは首長ですが、選挙の際に住民から施政方針を問われることになりますので、そのときに住民有権者が審判を下せばよいというすがすがしい議論もあります。地方分権の視点から少なからず共感を覚える点です。 いずれにしても、このように意見が対立するなか、文部科学省の孤立はますます深まっていっているようです。新聞などでは数回にわたって「中学校分の廃止を検討」「3分の1に削減」「削減やむを得ず」などの見出しで報道されていますが、これに対して「報道された事実はないし、発言した大臣の真意もそこではありません」という趣旨の文部科学省からの説明文書がそのたびごとに出されています。これまで義務教育をコントロールしてきた文部科学省が、いよいよ自らの裁量を削られようとするときにいかに狼狽しているかが分かろうというものです。 また、自治体の首長の間でも、自由裁量度が高まることへの期待感を示す先駆的な方がいる一方で、教職員人事権とともに給与負担も移譲されるときには国庫負担金によってその財源を措置してほしいと考えている首長が8割を超えるということも、アンケートによって明らかになっています。すべての首長が、義務教育費一般財源化に積極的ではない、という結果は、態度を決定していく際に、重視しなければならないポイントです。 さて、いずれにしても、義務教育費の国庫負担制度をどうするか、いよいよ来年通常国会では本格的な議論がスタートします。民主党は、学習権の確保という観点から、義務教育費国庫負担金に代わって、教育一括交付金を創設し、国から市町村へ直接交付する、また義務教育費総額も増額するという方向で、方針案を検討することになりました。教育は、モノを生産せず、成果物が何なのか見えにくい作業ですが、教育を疎かにすることは無益だと私は考えます。人材を育成することに金と手間をかけ、工夫を施す、そういう社会とするために、今回の議論を、単に義務教育費をどうするかという一過性の議論にすることなく、複眼的に行っていきたいと考えています。
第53号「生涯学習」(2005年11月14日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第53号(2005年11月14日発行) 「生涯学習」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日、早稲田大学大学院公共経営研究科の学生会が主催したフォーラム「女たちは未来を拓けるか?」に参加してきました。民主党から小宮山洋子衆議、蓮舫参議、私の3人、自民党から片山さつき衆議、佐藤ゆかり衆議、西川京子衆議の3人で合計6人に、ニュースキャスターの筑紫哲也教授がコーディネーターを担ってくださり、少子社会対策や男女共同参画政策について議論しました。議員個々人の考え方の共通点と相違点が浮き彫りになり、フロアからの積極的な質問もあって、おもしろい会になったと思います。また筑紫さんからも、6人が自分の言葉で政策や考え方を語っていることから中身の濃い議論になったとの評論がありました。女性議員が増えることによって、日本の政治文化が変わることが期待される、とも。 ところで、今回のフォーラムの企画は、すべて研究科の学生60人くらいで行ったとのことです。社会人の方が半分、学部生からの方が半分くらいということで、私たちのお世話をしてくださったのも自治体職員や民間企業の社員から学びにきているという学生でした。年代もばらばらです。一昔前、ふた昔前は、学校を卒業してしまうと「勉強や研究は卒業してしまえば終わり」という社会的風潮がどことなくありましたが、今は、リカレント教育や大学への社会人入学や公民館での社会教育など、多様な学び方ができるようになってきました。生涯学習がもっと身近なものになるのではないかと期待しています。 OECD諸国などと比すると、日本で生涯学習に取り組む人はまだ少ないと言われます。かつて、日本で生涯学習が進まないのは、学習の機会そのものが地域的に偏在しているからだという議論がありました。私が県議会にいた当時も、立派な図書館があっても利用できるのは近隣住民のみであり、そういった施設は新潟市に集中するからけしからん、という議論があったと記憶しています。しかしだからといって図書館がないほうがいいという話にはなりませんし、図書館がなければ生涯学習に取り組まないという話でもないのでしょう。 現在、義務教育国庫負担金をいわゆる三位一体改革の中で一般財源化するかどうかについて検討が進められています。来週は、この関連で、学習権という言葉について考えてみます。
第52号「牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造」(2005年10月31日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第52号(2005年10月31日発行) 「牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造。今日は同じ日にニュースになっただけで全く関連がなさそうなこの3つのテーマを、考えてみたいと思います。 第1に米国産牛肉輸入再開です。食品安全委員会プリオン専門調査会が今日の昼ごろ開催され、輸入が止まっている米国産とカナダ産の牛肉の安全性について、「危険部位を除去するなどの条件を守ればリスクの差は非常に小さい」とする答申原案をまとめました。これによって近い時期に米国産輸入が再開される可能性は非常に高くなったといえます。もともとBSEに関連して牛肉の安全性について議論する主体が、日本の政府内には、3つ存在します。ひとつ目は農林水産省、ふたつ目は厚生労働省、そしてみっつ目が内閣府に設置されている食品安全委員会です。農水省も厚労省も、それぞれにリスクコミュニケーション(市民・企業・行政など、利害関係を持つ者が行うコミュニケーション)などを行ってきたのですが、だんだん内閣府の食品安全委員会のウエイトが大きくなってきた感があります。食品安全委員会が今日出した答申によって、結果として12月の米国大統領の訪日前後に牛肉の輸入再開が可能となりました。しかし問題は、米国産牛肉の年齢把握や飼料管理の甘さなどに見られるように、政府の求めようとしている「条件」がきちんと守られるかどうかです。食の安心安全を守る見地から、拙速な輸入再開は認められません。 第2に沖縄基地移設問題です。日米両政府が先週まとめた米軍普天間飛行場の移設案ですが、今日、提案への対応を聞くため、沖縄県庁を防衛施設庁の長官が訪問しましたところ、沖縄県知事は提案を拒否する意向を示しました。日米両政府の閣僚がそろって記者会見し、地元からも理解が得られると自信を示していた案ですが、地元住民および知事の受け止めは当初からたいへん厳しかったようです。今後も政府は「地元の理解を得る」ために説得を重ねるのでしょうが、そのめどは立っていません。 第3に小泉第3次改造内閣です。人選についてここで述べるつもりはありませんが、問題は特別国会が閉会する前日に改造が行われたということです。明日の本会議は閉会中審査のための手続きをするだけで、短時間で閉会します。そのときには新しい内閣ができあがっているわけですが、新しい大臣は国会で所信も語らないまま年明けの通常国会まで業務を行うことになります。記者会見をしたからそれで済むという話ではありません。 いずれにしても今晩と明朝は、おそらく新しい内閣の顔ぶれに関するニュースで持ちきりになることでしょう。そのニュースの陰にかくれて、本来であればトップニュースになるはずの第1のニュース、第2のニュースは、おそらく小さな取り扱いになることと思います。しかし、牛肉輸入や沖縄基地の問題こそ、みなさんとともに考えるべき課題であることを思うとき、なぜ同じ日に3つの出来事が生じるのか、まったく不思議でなりません。 新聞やテレビニュースのトップ記事だけを見ていると、時に大事なテーマを見落としてしまうことになります。これからも情報を丁寧に拾い上げ、真理は何かを見極めようとする姿勢で、活動していきたいと考えています。