************************************** 西村ちなみメールマガジン第71号(2006年3月20日発行) 「競争激化社会へまっしぐら」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週私は厚生労働委員会に出席し、政府が提出している児童手当法の一部改正を含む国庫補助負担金の整理合理化に関する法案についての質問と、民主党が提出し私も提案者の一人となっている子ども手当法案についての質問への答弁を行ってきました。この日の様子と子ども手当法案の内容はブログでもお知らせしていますのでご覧ください。 立法府である国会の一員として、法案提出は重要な仕事の一つです。しかし野党にとってはこれが大仕事。与党には巨大な官僚組織がバックにありますが、野党には自前の政策調査会などがあるだけです。立法のための膨大な調査活動やバックデータなどが十分にそろっているとはなかなか言えません。しかし、生活者・納税者・消費者の視点から政府提案を見たとき、官僚組織の中からは決して見えることのない多くの論点や課題が浮かび上がってきます。それらを整理し、質問などをしていく中で、どうしても必要と思うときには法律案を作って国会に提出することになります。 これまでもしばしばあったことですが、野党が提案する政策は、数年経つとしっかりと与党の政策として「パクられ」てしまいます。国会での質問を見ていても、野党議員は法案の問題点を独自の視点からしっかりと追及し、あるべき論を主張しますが、与党議員は法案提出までの過程で政府とのすり合わせが終わっていると言いつつ、鋭く質問することはほとんどありません。 やはり大切なのは、政党ごとの政策軸の違いです。ここのところ政府与党は、経済原理・企業原理を公共サービス分野にも導入して、勝ち組と負け組を明確に分け、みんなをがんばらせる、みんなを闘わせる、そのような方向で日本の政治を引っ張っていこうとしているように見えます。これは一例ですが、先週予算案について審議が行われたNHKについて、受信料を払っている人だけがNHKの番組を見ることができるというスクランブル放送の導入を、竹中総務大臣が設置した私的懇談会が提案しました。民主党では、通信と放送の融合勉強会でこの点について議論中ですが、払っている人だけが見ることができる公共放送などありえない、公共サービスの分野においても負担と受益の関係をより明確にしようという方向性は違うのではないか、という見方をしています。 かつての自民党は、古き良き時代を生き、増え続ける人口を背景に政府の歳出歳入規模の大きさに物を言わせてそれを再分配するという政治を行ってきました。ところが人口減少社会に入り、そのスタイルが通用しないと見るや否や、今度は方向を180度転換して、小泉総理を先頭に競争激化社会へまっしぐら、です。しかしそれでうまくいくのでしょうか。希望格差社会と呼ばれる現状、過疎化が進む農産漁村、シャッターを閉める商店街の姿などが、この政策の失敗を証明しているとは言えないでしょうか。 かつてのような利益分配政治でもない、かといって競争激化社会でもない、新たな政治のキーワードを、私たちは探していきます。自民党と民主党の政策の明確な違いは、そこに存在すると思います。
メールマガジン
第70号「道州制と地方分権」(2006年3月13日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第70号(2006年3月13日発行) 「道州制と地方分権」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先日のオープンミーティングでも取り上げましたが、2月28日に首相の諮問機関である地方制度調査会が道州制について答申しました。 (答申はウェブ上で[url=http://www.soumu.go.jp/singi/pdf/No28_tousin_060228.pdf]http://www.soumu.go.jp/singi/pdf/No28_tousin_060228.pdf[/url])市町村合併が進み、県境を越える地域課題が増えてきている今、都道府県制度では限界が生じているとしたうえで、「道州制の導入が適当と考えられる」としたものです。答申では、道州制に移行する場合の区域例3例が新聞などで図示されており、ここまで話が具体化しているのか、と驚かれた方も多いのではないかと思います。 答申では、道州制の基本的な制度設計として、いくつかの都道府県をあわせた単位を基本とすること、必要な経過期間を設けた上で同時に移行すること、議会と長をおくこと、道州が担う事務は何か、などなど具体的な事柄が書かれています。現在、国会では、北海道を道州制の先行モデルとして移行させるという法案が提出されるかどうか議論されているところであり、そうした雰囲気の中で字面だけ追っていくと、明日にでも道州制に移行しそうな答申となっています。 ところがこの答申には、肝心のことが書かれていません。立法権と課税権をどうするのか、という問題です。諸外国の制度はどうなっているのでしょうか。たとえば米国に見られるような連邦制、つまり道州に国家のそれを凌ぐほどの立法権や課税権などを付与した強い道州を目指すのか、あるいは欧州で見られるような弱い道州を目指すのか。道州制は、単なる都道府県の合併とは異なります。立法権と課税権の議論は避けて通れないはずですが、答申では全くありません。 しかも3つの区域例は、各府省の地方支分部局に着目して作られたということですが、どの案でも沖縄県は単体の道州としておかれています。これはすなわち、沖縄県は単体の道州として存在しうるし、しかも権限も付与することができるということを意味します。これは今の都道府県制度であっても、「道州制の下で道州が担う事務」をすべての都道府県に移譲できるということを意味するのではないでしょうか。 答申では「権限移譲や地方税財政制度の改革が、道州制の導入に向けた検討を理由として遅れることのないようにしなければならない」と記しています。私も全くその通りだと思います。分権改革は、道州制を導入しなくともできることがたくさんあります。現状では、道州制への移行はまだまだ机上の空論レベルに過ぎません。しかしこの議論をきっかけとして地方分権への取り組みがさらにすすみ、地方での意識改革も起こる可能性があることに賭けてみたいと思います。 さて、新潟はどうすべきでしょうか?私は、道州制への移行は、立法権と課税権のあり方や道州制の役割が明確になったときには、うつることができる地域から移行するという流れで良いのではないかと考えています。現在、九州や東北3県で広域的な取り組みがいくつか行われており、そうしたところは話し合いの蓄積があるでしょうから、縁談はまとまりやすいものと思われます。そのときに新潟はどうするか。北陸にもなり、北関東信越にもなりえます。各府省の地方支分部局やエネルギーに着目すれば信越もあるし東北もある、などなど、極めて柔軟性の高い地域であると言えます。逆にいえば、どこにも属さない危険性もあるということです。 私は、新潟のこれまでの歴史と日本の今後の発展を考えるとき、新潟は関東地方への依存を断ち切り、日本海と対岸地域に目を向けて新しい地域づくりのモデルを構築するべきだと考えています。そのためにどんな道州が良いかと聞かれれば、北陸、ないしは新潟プラス内陸ということでしょうか。皆さんのご意見もお聞かせください。
第69号「ピンチのときこそ」(2006年3月6日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第69号(2006年3月6日発行) 「ピンチのときこそ」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 冒頭、メール問題に関してお詫び申し上げます。以下、『プレス民主新潟県第1区総支部版号外』として3月1日に私が書いた文章ですが、この場をお借りして転載させていただきます。 『永田寿康議員が衆議院予算委員会で質問したことに端を発するいわゆる「メール問題」について、党所属の衆議院議員として深くお詫び申し上げます。不十分な調査活動、稚拙な質問、そして問題が発生した後の対応は、野党第一党としてあってはならないものでした。今後、原因究明をしっかり行い、未だに明らかになっていない疑問点を明確にしつつ、自民党武部幹事長のご次男への謝罪をし、2度と同じ過ちを繰り返さぬよう教訓化してまいります。さらに世論に対して納得のいく十分な説明を果たすよう、しっかりとした対応を求めてまいります。これからも私は、国会で充実した質問を行い信頼回復に努めると同時に、誰にでも公平で公正な社会をつくるため、そして市民が主役の政治をつくるため、がんばってまいります。』 先週から今日まで、多くの支持者の方々からいろんなお声をいただいてまいりました。民主党に期待したのに今回のことで気持ちが離れた、情報をよく確認せず質問するなどなっていない、執行部が総入替えしなければもっと傷口は大きくなる、政権交代できる政党とはとても思えない、自民党を倒すためにとにかくがんばれ、などなどです。ご意見すべてをここでご紹介することはできませんが、いただいたお手紙やメールなどは必ず目を通しております。こういうピンチのときこそ、有権者の皆さんとの話し合いを行うことが重要だと身にしみました。これからも引き続きお聞かせくだされば幸いです。 平成18年度予算案は先週木曜日に衆議院を通過しました。この日の本会議は、財務金融委員会と私が所属する総務委員会で地方財政計画や税制などについて採決があった後、午後4時半から開会されました。新年度予算案については賛成・反対の討論に各党代表者が登壇し、議会運営委員会の決定に基づいてそれぞれ5分や10分や15分の演説を行い、それから記名採決となります。定率減税の廃止など国民にとって負担増となる新年度予算は、粛々と衆議院を通過していきました。本来であれば野党第一党がもっと追及しなければならなかったのに、悔しくてなりません。 今後の国会日程は、3月上旬に主だった内閣提出法案が出てきますが、衆議院と参議院のそれぞれで審議が始まります。私が関係している調査会や作業チームでは、それらの内閣提出法案に対して修正案や考え方を出すため準備中で、少ない人数がフル回転中。先週は児童手当を拡充し、子どもを社会全体で育てるという考え方を明確にするために、親の所得制限をなくして対象年齢も引き上げる、通称「子ども手当法案」をようやく纏め上げ、提出者5人のうちの1人として衆議院事務総長に提出しました。早ければ再来週にも審議に入れるのではないかと期待しているところです。また、男女雇用機会均等法や交通バリアフリー法の改正に向けて修正案を作成していますが、いずれも参議院先議になることから、作業は参議院議員の皆さんをメインに参議院法制局で行っていただいております。 ダメージを受けつつも、個々の議員はそれぞれがんばっています。どうか厳しくも暖かい目で叱咤激励していただき、政治を良くするためにがんばる民主党をこれからも応援してくださるようお願い申し上げます。
第68号「山場」(2006年2月27日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第68号(2006年2月27日発行) 「山場」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 新年度予算案の審議が衆議院で山場を迎えました。公聴会が行われたのに続いて、明日は分科会で各所管に分かれて細かい審議が行われる予定です。私も今日は総務委員会で1時間、災害対策特別委員会で25分、それぞれ質問を行いましたが、明日は金融庁関係で30分の質問を行うことになりました。質問時間は党会派ごとに割り当てられ、党会派が質問者を決めるため、いつものことですが、質問するのは急になります。短い準備時間ではあり ますが、しっかり取り組む決意です。 予算審議の山場を迎えたというのに、件のメール問題のため民主党の支持率はガタ落ちです。各委員会の審議まで影響が出ているわけではありませんのでご安心いただきたいのですが、「それにしても…」と、ため息が出るような思い。皆様から民主党に寄せていただいているご期待に背いているようで、本当に申し訳ありません。 個々の議員ががんばって、信頼に足る質疑を行い、あるべき社会像を示していく以外にありません。私も全力でがんばります。どうか引き続きご支援くださるようお願い申し上げます。
第67号「子どもたちを守る」(2006年2月20日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第67号(2006年2月20日発行) 「子どもたちを守る」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 身近にあった話をひとつ。ある夫婦は孫が通う小学校の近くを車で通りかかりました。孫の運動会や文化祭などでたびたび訪れてきた馴染みのある小学校です。するとグラウンドに孫のクラスが全員出ていて何やらやっている様子。いつもお世話になっている担任の先生の顔も見えます。その日、防犯用にブザーが配布され、皆でそれを使う練習をしていたのでした。何をやっているんだろうね、と車を降りてグラウンドへ近寄った二人に子どもたちからかけられた言葉は「不審者だ!」。 ここのところ子どもたちが対象となる事件が多発しています。昨年末は下校中の事件が相次いで発生し、先週は幼稚園児二人が亡くなる事件が発生しました。民主党は、まずは登下校中の子どもたちの安全を確保する観点から、「学校安全対策基本法案」を準備し、この通常国会での提出を目指して作業中でした。学習塾での事件が発生したことから、この基本法案の中に在校中あるいは登下校時に限定せず公共的施設や塾などを含めるべきかどうかをずいぶん議論したのですが、範囲の特定が困難なため、まずは学校の安全を確保するということを最優先にしたところです。 法案の作成にあたって、子どもが移動する範囲の特定が可能かどうかをめぐって、子どもの寄り道まで規制するのかということもずいぶん議論しました。ちなみに、学校と幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、学習塾は経済産業省と、所管もすべて異なります。子どもたちの安全確保は、そもそも私たち大人、地域社会の共通の願いです。ですが、現実に事件は発生してしまいました。そして今回の事件では、事件の加害者が保護者であるという信じたくない事態になっています。 あらためてこの国の社会が歪んでいることを考えさせられました。私は今回の事件について、断片的に報道されている事柄をつなぎ合わせて考えるのみですが、身のよじれるような思いで、直感的に、次のようなことを考えています。今回の事件は、日本社会の中での無言の圧力が、反動として、象徴的に現れてしまったのではないか、と。子育てのプレッシャー、携帯電話などが作り出すきわめて近距離的な人間関係とそこから疎外される孤独感、増えている外国人在住者に対する不寛容、日本ではこれらが増大しているのだというあまりにも強烈なサインを、私は受け止める必要があると感じています。 今回の事件の背景や動機については、早急に分析がなされなければなりません。そして私たちが本当に子どもたちの安全を確保するためにはどんな社会にしなければならないのか、その処方箋を、1日も早く書きたいと考えています。 私なりに答えはもっています。希望する誰もが安心して子どもを産み育てることのできる環境づくり、たとえ一本の綱が切れても別の綱で社会とつながっていることのできるネットワークづくり、そして外国人を疎外せず打ち解け合い多様性を認め合う文化づくり。いずれも一朝一夕で実現することが難しい課題ではありますが、現実に出てくる問題に対応しているだけでは、結局のところ本質的な解決にはつながりません。 民主党が「安全国会」と位置づけている今回の通常国会。本質的な議論に迫っていきたいと思います。
第66号「天下り&官製談合」(2006年2月13日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第66号(2006年2月13日発行) 「天下り&官製談合」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 「金帰月来(きんき・げつらい)」金曜日に地元に帰り、月曜日に地元から東京へ来る。国会議員の移動パターンを言い表した言葉ですが、私もこれを実行する日々が続いています。この土日もさまざまな行事や県議選区割り見直しを求める署名のお願いなど休みなく動きました。区割り見直しの署名では、多くの方々からご関心をいただいており、精力的に取り組んでおります。ご協力に心からお礼申し上げます。 土曜日はオープンミーティング(月例国政報告会)を行いました。質疑応答の時間では、先月明らかになった防衛施設庁の天下りと官製談合の問題について多くのご発言をいただきました。天下りは定年まで働き続けることができない政府の昇進システムに問題がある、官製談合は企業と天下りした人の関係をルール化することで防止できる、天下りそのものが悪ではなく密室の中で行われていることが問題なので情報公開を徹底すべきである、などなど、さまざまな角度からのご発言です。 一口に天下りといっても、防衛施設庁のように事業の受発注まで含めて組織的に行い、無駄な退職金の支払いと価格のつり上げが行われて、結果として税金の無駄遣いにつながるものと、退職金はもらうけれども利権とは全く無縁のものなど、さまざまなパターンがあります。天下りの件数そのものは以前とあまり違いはないと思いますが、官製談合防止法の監視下で、官製談合そのものは少なくなってはきているはずです。しかし防衛施設庁で平然としかも大胆に行われていたことには率直に驚きを隠せません。 防衛施設庁の問題で指摘しなければいけないのは、税金の無駄遣いをしている官の側に、罪の意識が殆どないか全くない、という点です。そうした罪の意識の欠如が、天下り&官製談合による税の無駄遣いを繰り返させてきました。「公金」などとよく言われますが、最近はその公(おおやけ)と私(わたくし)の分別がつかなくなっているようにも思えます。「自分さえ良ければ」という考え方が底流にあるのではないでしょうか。 民主党では今月、「官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案」を提出しました。刑法の談合罪の対象範囲を拡大し、さらに公務員の談合関与を処罰対象とするとともに、官製談合防止法を改正して公正取引委員会の改善措置要求の対象となる特定法人の範囲の拡大や入札談合等に関与したとされる行為の範囲の拡大などを行って、官製談合の防止を強化するものです。防衛施設庁の問題をうけて、与党は今あわてて法案の準備に入っているようですが、民主党は前国会に続いて2度目の提案となります。 あわせて、一部の人が昇進したら同期の人たちが辞めてしまう、定年まで働き続ける人は少ない、というおかしな暗黙のルールがある霞ヶ関の働き方も、変えていく必要があると思います。民主党はかつて「人の地方分権」、霞ヶ関の公務員が地方自治体で活躍できる道を探すなどと提言したことがありますが、実現可能性についてさらに検討する必要があります。 まだ寒い日が続きます。インフルエンザも流行ってきているようですので、皆さんお気をつけてお過ごしください。
第65号「県議選は新しい選挙区で!」(2006年2月6日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第65号(2006年2月6日発行) 「県議選は新しい選挙区で!」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週から予算委員会がスタートしています。耐震強度偽装、輸入牛肉、ライブドアの3点に加えて防衛施設庁の天下り・談合問題が明らかになり、4点セットでまずは攻防が始まりました。特に防衛施設庁の問題は、延々と続いてきた構造的な問題といえます。しかも公正取引委員会が官製談合の摘発を強化してきた間も堂々と行ってきたわけであり、言語道断です。この際、徹底的にチェックし、再発防止につなげなければなりません。 これら4点セットで自民党内部では相当に揺さぶりがかかっているようです。加えて、小泉総理の「格差はあっても悪くない」などの国会答弁があり、公明党からも反対意見が出て、大きな議論となりました。論者によっては今年の春ころ大きな政局になりそうだと予測する方がいらっしゃいますが、こればかりは誰にも分かりません。いずれにしても言えるのは、政権末期にはどの総理でも求心力が落ちるということです。 さて民主党では今、次の新潟県議選を新しい区割りで行うよう求める活動に取り組んでいます。ご承知のように新潟県内では市町村合併が大幅に進み、今年度中には、35市町村(合併前は111)にまで数が減少することになりました。市町村合併を推進するのは地方自治の推進が目的だったはずですから、1日の空白期間をも置かずに、新しいまちづくりを進めていく必要があるはずです。 ところが新潟県議会では、次の県議選も、旧市町村の区割りで選挙を行う条例を制定しました。いろんな理由が述べられたようですが、つまるところ、議席を確保するためには旧区割り、つまり現在の選挙区のまま行うほうが有利だという考えが働いたようです。いま旧区割りでやることを求めているのは自民党のみであり、他の政党・政治団体はすべて新しい市町村をもとにした区割りで選挙を行うよう、県議会で提案しています。しかし県議会の中で自民党が多数会派である以上、これを県議会の中だけで覆していくのは容易ではありません。 そこで、民主党も加わった「県議会議員選挙区の見直しを求める県民連絡会」では、全県で署名活動を展開し、県議会に3月下旬をめどに提出します。どうか皆さんからもこの活動にご協力いただき、新潟県議会が適正な選挙をとおして構成されるよう、新潟県議会をしがらみから守ることができるよう、活動を進めていきたいと思います。ご入り用の方はご連絡いただければチラシや署名用紙をお送りいたしますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
第64号「政府の大きさ」(2006年1月30日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第64号(2006年1月30日発行) 「政府の大きさ」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 「西村さんて大きいんですね」。初めてお会いする方からときどき掛けられる言葉です。そんな時、私は「新潟産のコシヒカリで大きくなりました」などと答えますが、さて私と会ったことのない方々は、上記のような会話から、私がどのような体躯だと想像されるでしょうか?また逆に「小さい」人とは、どんな体躯だと想像されるでしょうか? 「大きい」と「小さい」。考えてみれば何とも曖昧な言葉です。たとえばある人が「大きい」というとき、身長が高いのか、体重が大きいのか、明確ではありません。また、生活習慣病の恐れがあるほど「大き」ければ問題でしょうが、その人にとって健康的な生活を送ることができる「大きさ」であれば何も問題はないはずです。「大きい」といっても部分的に小さいところもあるかもしれませんし、また誰と比較して大きいのかも明確ではありません。 小泉総理はこれまで「小さな政府」について問われ、「政府の規模を大胆に縮減する」と述べてきました。昨年暮れに閣議決定された「行政改革の重要方針」では、「小さくて効率的な政府」をめざすと明記されています。 この政府の「大きさ」が今、問題となっています。「小さな政府」とは何でしょうか?また何のために「小さな政府」を実現する必要があるのでしょうか?以下、「小さな政府」にかかる5つの問題点を述べたいと思います。 第一に、何をもって政府の大小を測るのかが明確でない、という点です。歳出規模や公務員の人員数や人件費の総額などという量的基準なのか、あるいは官庁が抱える既得権益の大きさという質的基準なのかが、明確ではありません。質的基準について議論されたことは今までありませんので、量的基準をもって測るものと考えます。しかしその量的基準についても測り方がまちまちで、同じ土俵で議論しにくくなっています。 第二に、小さな政府を実現することによってどういう国のかたちを目指すのかが明らかではないという点です。確かに特別会計や特殊法人など多くの問題があることは民主党としても指摘してきたところであり、いびつな形の政府であることは間違いありません。しかし先日も内閣府や各省庁より小泉行革に関するヒアリングを受けましたが、「どういう国家の将来像を描いているのか」と尋ねても明確な答えは返ってこないのです。こうしたら減らせるという技術論だけに終始しているように思われます。 第三に、日本の政府は必ずしも大きいとはいえないという点です。仮に名目GDPに占める一般政府総支出比率を見ると、OECD諸国全体の平均値は約41%、日本は37.3%であり、相対的に小さくなっています。また仮に公務員数で見ると、人口1000人当たりの行政職員と防衛を加えた公務員数は、アメリカ、イギリス、フランスなどに比べて日本は半数以下と著しく小さくなっています。これを、痩せている人にもっとダイエットしろと言っているようなものだと言った人がいます。 第四に、政府が果たすべき役割は何かというきちんとした現状認識が欠けているという点です。地方分権と一体化した議論をとおして、政府の役割をまず明確にすることが必要なのではないでしょうか。 第五に、安全・安心を損なう恐れなしとしないという点です。規制緩和と組み合わせた政策によって、例えば大型店舗出店規制の緩和・撤廃にともなって旧市街地が空洞化し、高齢者などが暮らしにくい地域社会があちこちで出現しました。また耐震強度偽装問題や証券市場問題は、規制緩和が行われはしたものの、結果として安全や安心が二の次にされたために生じたとも言えます。 小泉総理が何を目指しているのか、私には未だに分かりません。識者によっては、小さな政府を実現して得をするのはアメリカの企業だという意見や、総理の政治的地位を保全するために郵政民営化の次のターゲットとして行政改革を打ち上げたなどの意見があります。「政府の規模を大胆に縮減する」というのであれば、総理はもっと丁寧に細かく、その中身について、そして生活の安全安心をいかに守るかについて、説明すべきだと私は考えます。
第63号「安全国会 vs 行革国会」(2006年1月23日発行)
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第62号「過疎と豪雪災害」(2006年1月16日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第62号(2006年1月16日発行) 「過疎と豪雪災害」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 昨日は民主党の前原代表らと豪雪被害の視察で十日町・津南・長野県栄村へ行ってまいりました。ここ数日の暖気でかさは減ったものの、道路わきには私の背丈の2倍はある雪の壁が残っています。7戸しかない集落で車を停めて住民の方からお話を伺ったところ、1件は70歳代後半の男性の単独世帯、そのお隣は98歳の女性の単独世帯でした。 地域の民生委員の方やご近所の方とのお話が印象的でした。雪が降るのは毎年のことだが、例年になく早い時期に降ったため食料も燃料も体力も気力も底を尽きそうになっていること、高齢化が豪雪災害に追い討ちをかけていることなどを伺いました。過疎と豪雪災害は背中合わせの関係です。若い人手があれば雪での事故を減らせるのですが、人手そのものが減っているため家屋の倒壊が起こってしまうということです。一方で雪は、多くの恵みを地域に与えてくれる大切な資源でもあります。今年も来年も降る雪が、これ以上の人命を奪うことのないよう、これからは豪雪対策を根本的に見直していく必要があると感じました。 そんなわけで、昨日は午後から半日、前原代表と一緒でした。豪雪関連以外についてはほとんど話せませんでしたが、視察が終わって越後湯沢駅で見送りがてら、私は前原代表に「党内で一致している政策をアピールしてください」と言いました。 一致している政策とは、たとえばイラクへの自衛隊派遣に民主党は一貫して反対してきましたが、ブッシュ大統領がイラクで大量破壊兵器が存在するという証拠がなかったとテレビを通じて国民に謝罪した今、日本の自衛隊がイラクに留まる理由はありません。日本は治安確保のための人材訓練や社会資本整備の技術を通して、イラクの民生の安定に貢献すべきですし、それが民主党の一致した政策です。また年金も多くの方々が改革を求めています し、小泉改革の結果として広がってきている所得の格差をどうするのかという問題にも、子どもの安全や耐震強度偽造問題にも、まだ解答は得られていません。 多くのみなさんが報道などを通じてご承知のとおり、民主党の前原代表は一昨日、安全保障政策で党内を集団的自衛権の行使を認める方向で集約できなければ、今年9月に予定されている代表選挙には立候補しない、と発言しました。前原代表は、自民党と政策は8割同じでも構わない、と発言するなど、自民党および小泉総理のスタイルを意識していると思われます。私は旧社会党出身でもありませんし、今さら健全野党などと言うつもりもありませんが、自民党と政策がほとんど同じ政党がもう一つできたところで、民主主義と市民の生活を守るために果たしてそれがどのくらい役に立つのだろうかという素朴な疑問を持っています。 党内で政策の一致を見なければならないと言われていることは「正しい」、だけれども何かが「違う」と私は感じます。もっとほかにやらなければいけないことがあるのではないか、そうした課題に全党あげて取り組むことが先ではないか、党内のバラバラぶりを示すようなことをあえてやる時間的余裕が今の日本にあるのかどうか。疑問がつきないまま今週金曜日の国会開会日を迎えようとしています。皆さんのご意見をお聞かせください。