************************************** 西村ちなみメールマガジン第81号(2006年5月29日発行) 「武力紛争、本質的には」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週土曜日に開催された「智水会」総会では、大勢の方々からご参加いただき、本当にありがとうございました。当日配布した袋の中に、この1年間で発行したメールマガジンをまとめた冊子を入れさせていただきました。駄文を書き連ね、先週で80号を迎えました。今後ともがんばって書きますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 先週24日、独立から4年がたった東ティモールで、再び武力衝突が発生しました。首都ディリから避難する人も多く、周辺国から治安維持のため近隣国から軍隊の派遣も受けているのですが、今日現在、鎮圧化の方向に向かっているというニュースはありません。顔をゆがめて逃げまどう子どもたちの姿が報道され、胸が締め付けられる思いがしました。まずは武力の引き離しが一刻も早くなされなければなりません。 武力紛争の原因は、表面的には民族間紛争であったり同族による内紛であったり、政治的権力をめぐるものであることが多いのですが、本質的には、貧困など経済的な困難さが底辺にあると私は考えています。しかもその格差たるや、グローバル化や情報化が進んでいなかった時代とは異なり、急速に一体化が進む現代の地球上での経済格差です。まさに未曾有のものといえるでしょう。 先週27日、ジャワ島で大規模地震が発生しました。被害者の数は数千人、これからも増えていくことが、残念ながら、予想されるという報道です。家族と家と生業を失って途方に暮れる人たちのことを思うと、言葉も出ません。 そうした被災地や紛争に苦しんでいる人たちを見捨ててはいない。そのメッセージを、私たちからも発信していきたいと思います。今すぐできることは限られているかもしれませんが、明日以降、できることがあるかもしれません。同じ地球の上に暮らす同時代人として、不幸な人をつくらない、増やさない、そのために活動していきたいと思います。
メールマガジン
第80号「インターネット」(2006年5月22日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第80号(2006年5月22日発行) 「インターネット」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんばんは。衆議院議員の西村ちなみです。 政治家がホームページや電子メールアドレスを公開していると、多くの方々から多種多様なご意見やご要望をメールでいただきます。コミュニケーションを補完する道具として私たちの日常生活に定着した電子メールやブログですが、今や、コミュニケーションの主役となっている面もなきにしもあらず、です。 さて、日本では現在、インターネットを用いた選挙運動が、原則禁止されています。ホームページやブログを開設して選挙運動を行うことなどはできません。諸外国を見てみると、程度の差こそあれ、インターネットが選挙運動に活用されており、日本のようにインターネット選挙運動にかかる規制が厳しい国は特別であるとも言えます。 日本でも、この通常国会で、インターネット上のツールを用いた選挙運動を解禁してはどうか、という議論が活発化してきました。民主党でもかなり早い段階からインターネット選挙活動解禁を主張してきた経過がありますが、当時の自民党は、解禁するといわゆる「無党派層」が非自民に投票するのではないかという恐れをもったのでしょう、ずっと解禁には反対してきました。ところが昨年の総選挙で無党派層を取り込むことに自信をもったのか、自民党も対策本部を設置し、検討に前向きにはなったようです。民主党は、有権者が政治に関心を取り戻し、有権者にとって使いやすいものであるよう注意しながら、今後もインターネット選挙の解禁に向けて取り組んでまいります。 ところで、インターネット上のツールとしては、ホームページやブログや電子メールなどがあります。今や、毎日万単位でアクセスのあるブログや、書き込み式で情報が積み重なっていく掲示板など、その数すらも把握できないほど多くのサイトが存在するに至りました。数年前からインターネット世界が無法状態であることは指摘されてきましたが、未だに法整備などは行われておらず、ウイルス感染や個人への誹謗中傷などトラブルも発生しています。もちろん一定のテーマについて議論が深まっていくサイトもあり、要は使い方とマナーの問題、ということでしょうか。 ネットに書いてあることは真実か否か?真実だということの一つの事例として、あるサイトでは、インターネット上で参加者の書き込みによって修正され厚みを増していく辞書があります。ここで、ある人が実験で、故意に誤った情報を書き込みました。すると、2,3日中には書き込みが修正されて、正しい辞書になったということです。 また真実ではないということの一つの事例として、米国でハリケーンが発生した際、マスメディアが現場に入ることができず、地元の被災者がそれぞれブログなどを立ち上げて現場から通信で情報提供を行いました。これが報道とは異なったのです。略奪や暴行などが発生しているというニュースが伝えられ、当局などがあわてて現場に急行してみたところが、何も事件は起こっていなかった、ということです。 メディアリテラシーと言われますが、このように、真偽が入り交じったインターネットの世界で、何が真実で何が嘘なのか、見極めるのは極めて難しくなっていると思います。本来、コミュニケーションはフェイス・トゥ・フェイスで行われるものであり、自分の足で現場へ行き、自分の言葉でインタビューして、自分の耳で聞き、自分の鼻で感じ取って、そして自分の力で判断することです。インターネットの登場によって、私たちは、そうした「時間」や「努力」を労せずとも、いろんな情報を得ることができるようになりました。私たちの想像力や判断力は、より一層の強化を求められる時代にもなったのです。 私のメールアドレスにも、たいへん多くのご意見やご要望などをいただきます。原則として、私は、申し訳ありませんが匿名のメールなどにはお返事をしていません。返事をするときにも、お会いしたことのない人にどうしたら活字だけで私の思いを伝えることができるかという細心の注意を払いながら返事を書いています。このメールマガジンも同様に、出来る限り私の思いをお伝えできるよう書いているつもりです。今後ともご愛読くださるよう宜しくお願いいたします。
第79号「教育基本法特別委員会」(2006年5月15日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第79号(2006年5月15日発行) 「教育基本法特別委員会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週、地域にお伺いしての国政報告会を行わせていただきました。20人ほどの方々からご出席いただき、活発な意見交換をさせていただきました。とても有意義だったと思いますし、改めて新潟の有権者の民度は高い、と思わずにはいられませんでした。会合の設定にいろいろご協力くださった方が、終了後、「こうでなくちゃならん」とおっしゃってくださったのが印象的です。私も、膝詰めで皆さんと座らせていただき、いろんな方面からの発言をいただきながら、距離感が近くなるのを感じました。今後とも同様の集まりをたくさんもっていきたいと思います。またご要望があれば、皆さんの地域にも伺わせていただきますので、どうぞお気軽にお声かけください。 さて終盤国会、私は、衆議院に設置された教育基本法に関する特別委員会に所属することになりました。全部で45名、そのうち民主党委員は11名です。そもそも民主党は、この特別委員会の設置に反対してきました。憲法に準ずる重要な基本法、この改正を小泉総理の高い支持率の間に通そうとする与党のやり方は、国民不在の論議によって進められてきたものです。また文部科学委員会という常任委員会がありながら、特別委員会を設置して審議しなければならないという合理的な理由は、見つかっていません。常任委員会は開催曜日が決まっており、月曜日などに委員会を開催することはできませんが、特別委員会はどの曜日でも何時でも構わず開会できるということになっています。昨年、郵政民営化特別委員会が設置されたときは、短期間のうちに、月曜から金曜までぶっ続けで120時間という審議時間を積み重ねました。残り少ない会期内で無理矢理にでも成立させたいという考えから生じた、特別委員会の設置なのです。 明日は本会議での質問が行われます。委員会での審議はその後ということになります。あまりに拙速な与党のやり方に対して、野党がどう対応するか。民主党の姿勢も問われています。
第78号「地方意見が反映される仕組み」(2006年5月8日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第78号(2006年5月8日発行) 「地方意見が反映される仕組み」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 皆様は連休いかがお過ごしでしたか。私は新潟で比較的ゆっくりと過ごしました。連休が明けてからの国会は、医療制度・共謀罪・米軍再編という大きな課題を前に、穏やかならぬ雰囲気が漂っています。いずれもしっかり取り組んでいく決意です。 この連休中、日本中を忙しく飛び回っているフランス人夫妻がいらっしゃいました。新潟市が姉妹都市交流を古くから続けているフランス・ナント市のジャン=マルク・エロー市長ご夫妻です。日本が大型連休に入るのと同時に来日し、東京に滞在した後に金沢や横浜など地方都市を廻られたのですが、最初に新潟・フランス協会と新潟市の招きで来新してくださいました。今夕はフランス大使の公邸で大使主催の歓迎レセプションがあり、新潟市長とともに再びエロー市長と懇談してまいりました。 彼はフランス社会党に所属する国会議員でもあります。なんと市長と国会議員を兼職しておられるのです。日本の政治システムから考えると、市長と国会議員を兼職するなんてとても考えられないことですが、フランスの下院では、地方自治体の首長を兼任する議員は非常に多いと聞いています。シラク大統領も長くパリ市長と下院議員を兼任してきました。また上院においては、地方議員によって間接的に選ばれる「地方代表の議会」となっています。上院・下院ともに、地方議員との兼職が認められており、大雑把に言って約半数の議員が兼任しています。 フランスは中央集権国家だと言われてきました。しかし、必ずしもそうとは言えないと私は感じています。議員の多くがこのように兼職しているということからも想像できるように、フラン スの地方が、中央における政策決定に多大な影響力をもっているのです。国から地方への財源移転の配分決定には地方代表が参加しており、地方行財政の制度改正にあたっては、地方代表との協議が必ず行われるなど、制度的に中央の政策に対して地方意見が反映される仕組みが整っていると言えます。 ひるがえって日本では、三位一体改革の論議の際、いわゆる地方六団体(全国知事会など、首長、議会が、それぞれのレベルでともに構成している団体の総称)が政策決定に参加できるという形にはなっていませんでした。地方六団体がこれまで幾度となく補助金の削減や交付税改革などを提案してきても、中央省庁はそれらをほぼ黙殺し、縦割りの省益争いで終わってしまっているのです。 またフランス憲法では、地方財政の自主性について、ヨーロッパ地方自治憲章に則って、分権社会における税財政の基本原則がきちんと謳われています。しかし日本では、憲法はおろか、地方自治関連の法律のどこにも、地方自治の何たるかは明記されていません。 エロー市長は、新潟市でのスピーチの中で、他者を認めることの重要性にも言及しておられました。地方議員や首長が国会議員を兼任したりできるフランスの政治システムも、他者を認めることの一つの側面図なのかもしれません。日本で中央政府と地方政府がともに発言権と責任を有して分権を進めることができるようになるのはいつの日か。早く政権交代をしなければならない理由がここにもあります。
第77号「米軍再編」(2006年5月1日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第77号(2006年5月1日発行) 「米軍再編」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 連休谷間の月曜日、いかがお過ごしでしょうか。 先週28日の金曜日、私は羽田から金沢での講演に向かうため飛行機に乗りました。小松空港を降りて車で金沢市内へ向かい数分とたたないうちに、小松基地からグレーの戦闘機(おそらく訓練機)が轟音を立てて頭上低くを飛んでいきました。小松市内にお住まいの運転手さんによれば、あの騒音だけはいくら年月がたっても慣れるものではない、とのこと。28日に最終合意案が固まったとされる米軍再編によって小松へも沖縄から米軍機の訓練地移転と基地拡張が予定されていますが、地元は反対しているようです。 冷戦が終結し、9.11後の世界ではテロの防止が国際社会の合言葉になりました。今回の米軍再編の背景は、こうしたテロ防止という国際協調の流れと、沖縄の地元負担軽減という地域からの要請があると、一般的には理解されています。新聞の見出しなども「沖縄4基地返還へ」となっています。 しかし事実は報道されているほど単純ではありません。ひとつには、確かに沖縄から米国の海兵隊はグアムへ移転しますが、実際に移転するのはいわば司令部だけであり、犯罪や事故で市民生活を脅かしてきた実践部隊はそのまま残るという点です。沖縄県も普天間代替基地V字滑走路は問題ありとしています。また二つ目には、そのグアムへの移転費用について、日本政府は23日(日本時間24日)、60億9千万ドル(約7100億円)、負担割合にして59%を負担することで合意しました。この数字の内容や法的根拠についてはまったく示されていません。交渉の経緯も不明です。 米軍再編は、昨年10月29日の日米安全保障協議委員会(2+2)で採択された文書がベースとなっています。その2+2文書の主眼は、在日米軍基地・部隊の移転にではなく、日米の軍事力協力の深化にあるのです。基地・部隊の再編も、日米強化を実現するための手段として位置づけられています。新たに日米の共同統合運用調整所が設置される横田基地の再編案には特に注目していかなければならないでしょう。 沖縄から米軍の訓練機能などが移転される関係53自治体のほとんどが「これまで説明がなかった」「騒音や事故などの不安が払拭できない」などと慎重もしくは反対の意向を示しています。中には「戦車に轢かれても命をかけて反対」「ミサイルを撃ち込まれても基地強化を阻止する」と語る市長もいます。こうした米軍再編にかかる経費の日本負担が約3兆円に上ると米国国防省高官が25日に発言。米軍再編の目的の不明瞭さや米国のアジアに関するインテリジェンスの欠如、日本に対する米国の意識も浮き彫りになったと思います。 日本はすでに在日米軍駐留経費の74.5%を負担していますが(2002年の数字)これは米軍が駐留する国の中でもっとも高い負担率です。これらの負担をどう国民に説明するのか、また日本の安全保障を確保する観点からどういう現状認識に立ち、どういう判断で米国の戦略に協力しているのか、長期的に日本はどのようにアジア地域安全保障を組み立てていくのか。どの問に対しても政府は何一つ答えていません。 28日、折りしもこの日は横田めぐみさんのお母様、横田早紀江さんが米国大統領と面談した日であり、前日の米国議会公聴会での意見陳述に加えて、夜のニュースはこの話題で持ちきりでした。横田さんの演説に米国議員が涙した映像が印象的でした。 28日、この日はまた、新発田市と上越市に駐屯する陸上自衛隊の部隊に、イラク・サマワへの第10次イラク復興支援群に編成・派遣命令が出されました。とうとう新潟県からもイラクへ自衛隊員を出すことになります。 都合のいい時だけつきあうのが、本当の友人関係でしょうか。外交は国と国との関係ではありますが、最後は人と人との関係なのです。信頼できる外交関係を、日本が、他国と結ぶことができるのはいつの日か。すでにポスト小泉にシフトしている諸外国の外交が、小泉外交の失敗を如実に表しています。
第76号「誰がやるかより何のためにやるか」(2006年4月24日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第76号(2006年4月24日発行) 「誰がやるかより何のためにやるか」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 昨日、自民党陣営の公職選挙法違反による辞職に伴う衆議院補欠選挙が、千葉7区で行われました。民主党公認の太田かずみさんが接戦を制し、見事初当選を果たしました。小沢一郎代表のもと初めて臨んだ国政選挙で、民主党は一丸となって戦いました。接戦でしたので投票率が上がれば勝機があると思っていましたが、久々に良い結果となり嬉しい思いでいっぱいです。ご声援いただきありがとうございました。 今回の選挙は、小泉総理にとって最後と言われる国政選挙でもあります。小泉改革に対する評価を選挙を通じて与える最後の機会でもありました。この選挙に勝利したということの意味はたいへん大きいものがあります。 私が国会議員として見てきた小泉改革とは、単なる看板の付け替えにしかすぎませんでした。道路公団民営化では、公団を「民営化」したはずなのに新しい高速道路を作るかどうかは民営化された会社が採算性や効率性などをもとに判断するのではなく、国の関与が依然として残されています。郵政民営化では、公社を「民営化」して肥大な民間企業を新たに創出することに対する懸念が、ようやく最近になってマスコミからも表明されるようになりました。「民営化」イコール「良質化」では決してありません。民営化すればすべて上手くいく、というのは、単なる思い込みと思いますし、小泉総理による悪しき刷り込みだと思います。 民主党は、格差社会の是正を訴えてきました。勝ち組と負け組への二極化が進んでいます。勝ち組はほんの一握り、多くの人々は負け組であると感じているか今は負け組ではないけれども何時かそうなるかもしれないという不安をもっています。こうした社会になってきたのが政治とは無関係だと私は考えません。小泉総理が改革と叫びながらすべてを一緒くたにして行き過ぎた競争を推奨してきたことそのものが有害だったのです。 民主党が訴える構造改革は、「誰がやるか」よりも「何のためにやるか」を重視したものです。生活者の暮らしを守る視点から、適正な事業実施主体は何なのか。私企業が行うか、NPOやボランティア団体が行うか、地域コミュニティが行うか、あるいは行政(国か自治体か)が行うか、それぞれによるパートナーシップで行うか。官か民かの二つの類型だけにこだわる必要はありません。日本の社会は多様であり、二類型だけでは語りつくせないのです。 学校教育、年金・医療・介護などの社会保障制度など、すべての人にチャンスが平等に与えられる社会を目指していくためにも、補欠選挙での勝利を契機として、終盤国会、徹底した論戦を挑んでいきたいと思います。
第75号「医療制度改革 3つ緊急課題」(2006年4月17日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第75号(2006年4月17日発行) 「医療制度改革 3つ緊急課題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 医療制度改変がこの国会で提案されています。政府の考え方は、基本的には「医療費の総額抑制」という一言に集約されるといってよいでしょう。介護保険制度と横並びで入院時の食費など周辺費用の負担率増加や、高齢者の窓口負担率引き上げは、とりあえず目先の医療費の伸びに歯止めをかけるための施策。生活習慣病の予防に力を入れることによって病気の重篤化を防ぐというのは、中期的に医療費の増嵩をおさえるための施策。診療報酬の改定も行われますが、医者や診療科の偏在がそれで解決されるわけではありません。 この間、民主党としても、医療制度改革に向けて、患者の方から、また医療に従事する方から、ヒアリングを何度となく行ってきました。その結果、たいへん多くの問題がこの国の医療制度にはあるということが分かりました。 誰もがどこに住んでいても等しく質の良い医療を受けられること、また医療従事者にとっても納得のいく医療を提供できること、これらは成熟社会に入った日本ではごく当たり前に約束されるものでなければなりません。 しかし実態はどうでしょうか。私たちは病気になったとき、あるいは怪我をしたとき、医療を受けます。ところが、住んでいる場所によって受けられる医療の質が異なったり、医療従事者も情報交換の場が少ないことなどからどんどん地域医療の現場から離れていくという悪循環が発生したり、決して満足のいく状況とはなっていないのです。医療過誤は重大な問題であり、最近は医者個人の責任が問われるケース(福島県立大野病院での医療事故)なども出てきていますが、構造的な問題の議論にまでは至っていません。基本的には医療従事者と患者の間の、またドクターとナースの間の、コミュニケーションの問題ではないかと私は考えています。 民主党は、医療における緊急課題として3点に絞り、政府提案への対案を示しました。第一に小児医療制度の充実です。小児科医の減少が深刻です。産科もない地域が増えてきています。少ない小児科医は多くがオーバーワークで疲れ切っており、燃え尽きる寸前になっていると言われます。そうした状況を解消するため、地域における小児緊急医療のシステム化、医療機関の連携など小児医療の再編を大胆に提案します。 第二にがん対策の充実です。日本のがん医療は、地域格差・情報不足・専門医の不足など問題が山積しています。これらは日本の医療が抱える問題を象徴しており、政府のかけ声だけでは解消できません。がん情報ネットワークの構築と相談体制の確立、全国どこでも標準治療が受けられる体制の整備など、患者が医療機関の間をさまよう「医療難民」にしないためがん対策基本法案を提案しています。 第三に医療を受けるときの安心・納得のため、患者の知る権利や自己決定権などを確立し、医療機関などからも情報提供を求めることです。医療事故の調査制度を確立し、法整備も検討します。十分な情報と理解と納得は、医療が実施されるときの不可欠な要件だと考えます。 ぜひこれらの提案について国会で審議が行われ、法案を成立することができるよう、取り組んでまいります。 ところで現在、千葉7区で補欠選挙が行われています。これは、通常国会終盤、民主党が掲げている政策に対して有権者の方々がどのように評価しているのかを示していただくための選挙でもあり、重要法案が山積している今だからこそ負けられない選挙です。私も明後日は千葉7区に応援に行ってまいります。国会対策もがんばり、選挙対策もがんばります。
第74号「政権交代にかける思い」(2006年4月10日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第74号(2006年4月10日発行) 「政権交代にかける思い」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 前原代表の突然の辞意表明に伴い、4月7日に民主党の新しい代表を選ぶ両院議員総会が開催されました。小沢一郎さんと菅直人さんがこの代表選挙に立候補し、投票の結果119票対72票で小沢さんが新しい代表として選出されました。 私は、先週のメルマガでも書いたとおり、メール問題で崖っぷちに立った民主党の再生のため、今後の党運営のあり方等を考えて、どう行動すべきかということを自分なりに考え判断してまいりました。小沢一郎さんと菅直人さんの立候補表明の記者会見もすべて聞きましたし、同僚議員との意見交換も連日連夜おこなってきました。結果、やはり今回の代表選出は話し合いで一本化ではなく選挙で行ったほうがよいということ、そしてどちらが優れているかという問題ではなく菅さんからも立候補してもらいたいと思ったこと、などから、前回、前原さんと菅さんが競った代表選挙で菅さんの推薦人になったのに続いて今回も菅さんの推薦人の一人として名前を連ねさせていただきました。 小沢さんと菅さんは、もっておられるものが異なる対照的な政治家だと思います。2003年に二人の決断で民由合併がなされたとき、多くの皆さんが期待してくださったのは、両者の力が融合されることにあったのだろうと思います。 何と言っても今の民主党の最大の課題は、本気で政権を目指していく政党へと力を強化していくことです。先週1週間はマスコミが民主党の代表選挙を追いかけてくれました。これは代表選挙をやったことによる大きな効果であり、民主党のエネルギーを知ってもらう良い機会であったと思います。またこの1週間で本当に信頼できる仲間との連帯も深まりました。考え方や支持した候補の違いを超えて、政権交代にかける思いをともに再確認できたのは大きな意味があったと思います。 ともあれ、民主党は小沢代表のもとで再スタートを切ります。小沢さんが選挙で選ばれた、ということはとても大きな意味があり、良い結果になったと思います。挙党体制で民主党のパワーを発揮できるよう、私も全力で取り組んでいく決意です。
第73号「国民市民に見える形で」(2006年4月3日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第73号(2006年4月3日発行) 「国民市民に見える形で」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週7日、民主党の新しい代表が選出されることになりました。たった今ほど終了した両院議員総会で代表選出に関する特例規則が了承されたところです。私としては国民市民に見える形で新しい代表を選ぶべきだと考えていましたので、そのとおりになってよかったと思います。今後の民主党の進むべき方向性をきちんと示すことができるよう、自らがどう行動するかも含めて判断したいと思います。 また今日からは、行政改革推進法案の委員会審議が始まりました。明日には間隙を縫って医療制度改編も衆議院の本会議で審議が始まるようであり、国会の山場も続いています。今後、新しい体制で力を発揮できるよう、挙党体勢をつくるべく、また1週間がんばります。 今日は携帯メールから投稿しました。
第72号「夢のある立法」(2006年3月27日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第72号(2006年3月27日発行) 「夢のある立法」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週はPSE問題で混乱がありました。電気用品安全法(PSE法)は平成11年に、電気用品の製造、輸入、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自発的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的として制定されました。PSEマーク等が付されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならないこととなっており、5年の経過措置期間が今年の3月31日で終了するテレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子楽器、音響機器、ゲーム機器等が4月以降に販売できなくなるというものです。 経済産業省が広範な周知活動を今年2月中旬過ぎにようやく行うと、中古品が販売できなくなると業者などから反対の声が上がり、リサイクルや音楽文化などについての議論も巻き起こしながら大問題となりました。民主党は3月に入ってから経過措置期間をもう1年延長してその間に適切な対策を考えるという法案を検討してきましたが、3月31日までの日程では間に合わないということで頭を抱えていたところ、経済産業省が突如「検査を行ってPSEマークをつけて販売していただく」従来方針に変わりはないが、法的規制を受けない「レンタル」方式を活用して営業を継続できるとしたのです。何とも奇妙な論理でした。 ところで私は先月、予算委員会第一分科会で、無認可共済事業を規制するための保険業法改正について質問しました。改正保険業法は昨年成立しています。当時、無認可共済事業で被害にあう消費者が続出したことから、悪質な事業者を「発見」する必要が生じ、金融庁が少額短期事業者を届け出制とし、違反した場合は罰則が科せられるという仕組みに変えたのです。決算報告などのため規模によって数百万円の事務手続き費と課税負担が生じることになる、大変な法改正でした。 さて知的障害者の方々が入院するとき、付き添いの人が必要になることが多いのですが、その差額ベッド代や見舞金などを助け合うため親御さんが中心になって自治の原理で運営してきた共済事業が、全国各地に存在しています。こうした共済事業が各地で誕生した背景には、知的障害者の皆さんが医療保険に告知事項などで加入できないことなどがあると思います。保険業法の改正によって、新たにそうした共済事業も規制の対象になることになり ましたが、知的障害者の親御さんの共済事業者のいくつかにはヒアリングも周知も行われてはきませんでした。4月1日という届け出の時期が目前に迫った今年2月、規制の対象から外すことを求める署名活動が真冬の新潟市内で行われたのは記憶に新しいところです。 立法府として、こうした問題点に審議の過程で気付かなかったということについては、ただただ恥ずかしい気持ちでいっぱいです。同時に、文化や障害者の地位など本来私たちが目指すべき方向性と異なる法改正が行われてきたことに、驚きを隠すことができません。経済産業省は「国民に安全な電気用品を使ってもらいリユースを促すため」と言い、金融庁は「消費者保護と適正業者の信頼確立のため」と言います。しかし実際に行われようとしていることは「物を大切に使うこと」や「たすけあいの文化」を壊すことにつながりかねず、代わって国の仕事を増やそうとしているだけにしか見えません。最大の問題は、規制をかけようとするときに最終消費者(エンドユーザー)の視点が全く反映されていないことです。 夢のある立法を行いたい気持ちで国会にいますが、現実は、霞ヶ関から出される夢のない法律案の審議に時間をとられることが少なくありません。安全安心は規制の上でのみ成り立つものではなく、一人一人が社会を支える力の総体として生まれてくるのではないでしょうか。霞ヶ関の体質改善をこれからも求めていきます。