************************************** 西村ちなみメールマガジン第91号(2006年8月7日発行) 「昨年の今日は、解散前夜」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 冷夏が一転、暑い夏の日差しがやってきました。枝豆やスイカなど新潟の夏には欠かせない味覚は、日照不足のため取り返しのつかない状態だということですが、せめてこれから盛り返してくれることを期待します。今日の夕方は信濃川でとうろう流し。毎年参加していますが、暗くなった水面を灯篭が流れていくのは、非常に風情があって良いものです。もう少し日が傾いたら白山小学校の裏手まで出かけることにします。 新潟市は今日から「新潟まつり」の幕開けです。明日は新潟まつり行列の進行補助係を、新潟青年会議所のメンバーとともに務めます。私は午後から古町通6番町付近で出し物のタイムキーパーをすることになっていますので、黄色と水色のまつり衣装を見かけたらぜひお声をかけてください。 昨年の今日は、衆議院の解散前夜でした。永田町の独特の雰囲気が、いつもとは異なる一段と独特なものだったということを、昨日のことのように覚えています。焼けたアスファルトの熱なのか、テレビカメラのライトの熱なのか、それとも自分たちから発せられる熱なのか、異常に暑かった。今日のジリジリ焼けるような日差しを受けながら、解散から1年が経ったのだということを思い出しています。 一寸先は闇。先の見通しが立たない、思いどおりには事が運ばないという意味で、政治の世界ではよく言われるフレーズです。また同時に、あきらめようと思いつつも試行錯誤や暗中模索する中から一縷の望みが見えてくるという意味で、一寸先は光、とも言われます。 日本の政治は、今は闇。しかし希望を捨てずに頑張り続けることで、政権交代という光が見えてくるはずだと信じています。政策の勉強や有権者の方々との意見交換など、やることは山ほどあります。この夏休みを充分に使いきり、来るべき決戦にまた備えたいと思います。
メールマガジン
第90号「進化する街」(2006年7月31日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第90号(2006年7月31日発行) 「進化する街」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週は中国上海からメルマガをお届けします。上海は中国の経済の中心。もちろん租界の時代からのこともありますが、改革開放路線へと大胆に舵を切った中国が、1990年代から外資を呼び込む中核として上海の黄浦江の東側、浦東(プドン)区を大規模開発した結果、アジアでも屈指の高層ビル群が出現しました。市街地は、古さと新しさ、洋の東と西、さまざまなものが交錯しています。時間に追い越されることはないとは思いますが、進化する街が人間の知力や体力を引っ張っているようにも見える街です。 今日は、中国が国際ハブ港とすべく強気で建設中の洋山深水港を視察しました。郊外を一時間ほど走ると、浦東区の次の開発地とされるナンフィ区に入ります。ここの臨港新城は、2010年の上海万博めざして第二期工事中。そこから海上に架けられた全長32.5キロの橋を渡って行くと、小さな島をつなげて造成された洋上の港に出ます。水深があり、大型化や高速化の進む船の出入りが可能とされています。しかし水の流れが速く、長江(揚子江)河口に近いからなのか海水はかなりの部分が土砂を多く含んだコーヒー色、土砂がすぐに堆積してしまうようです。そのため、実は大型船の停泊が楽ではなく、また浚渫(しゅんせつ)を絶えず行なわなければならないなどの問題があると港の専門家から伺いました。現在も第二期工事がすすめられている洋山港ですが、展望台はしっかり整備されており、そこから港を一望できました。 滞在中、上海市内では、子どもたちが博物館や本屋で食い入るように知識と夢を拾おうとする姿にも遭遇しました。上海は、中国は、アジアは、世界は、これからどうなるのか。もう少し滞在してフィールドを歩いてみたくなります。 今晩はジェトロ上海センターにいる大学時代の先輩に会い、懐かしい話だけでなく上海の現況について話を伺う予定で楽しみです。明朝の飛行機で帰郷します。それではまた新潟でお会いしましょう。
第89号「モンゴル滞在3日目」(2006年7月24日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第89号(2006年7月24日発行) 「モンゴル滞在3日目」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。けさ明け方4時、寒さを感じて目が覚めました。手洗いに行こうと手探りで灯りを点け、靴を履いて扉を開けて外に出たら、空は満点の星。細かく砕いた岩塩をばらまいたようでした。ゲルに戻り、寒くて眠れずにいると、若い管理人が火を焚きに来てくれました。燃料は馬糞を乾したものです。暖かくなったゲルの中、6時の起床時間までもう一眠りしました。今日はモンゴル滞在3日目です。今回の訪問は、モンゴル国政府からの招聘により経済視察団が結成され、モンゴル産業貿易省、北東アジア輸送回廊ネットワーク、環日本海経済研究所、日中東北開発協会の主催で開かれる経済会議と、実情視察が目的です。今日は現地視察で、銅地金の埋蔵量が世界最大と言われるオユトルゴイ銅鉱山の状況を視察してきました。 オユトルゴイは中国国境に近いゴビ砂漠の中にあり、現在試掘が行なわれています。精製には電力と水の確保が必要ですが、輸送ルートと精製所の所在地が重要な問題といえます。モンゴルは大国に挟まれているだけに、民族資本を活用して経済的に自立することを、私は今回のモンゴル滞在でも何度も聞いています。環日本海圏の一員としてのモンゴルの、輸送ルートなどにこれからも注目していきたいと思います。360度の地平線を見ながら今回のメルマガをお届けしました。これから飛行機が順調なら、夜9時ころにはまだ明るいウランバートル市内に戻る予定です。それではまた、次回は上海からリポートします。
第88号「緑のダム」(2006年7月18日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第88号(2006年7月18日発行) 「緑のダム」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 雨が続きます。このところ梅雨前線が本州付近で停滞するという天気が毎年繰り返されていますが、今年も北陸地方を中心に豪雨災害が発生しています。毎日、天気予報を見ながら、早くこの梅雨前線が弱まり、通り過ぎてくれればよいと祈るような気持ちです。一昨年の7.13水害のみならず、8年前の新潟8.4水害の記憶も新しいところ。都市型水害の防止は政策課題となっていますが、これをやったら必ず水害が防止できるという決定打がないところが、この問題の難しいところです。自然を征服し完全に水害を生じさせないという考え方よりも、少なくとも人の命を奪うような濁流が起きないようにする、という考え方のほうが、合理的であるかもしれません。 先日、全国森林環境・水源税創設議員連盟という、全国の山間地における自治体議員の皆さんが結成している議員連盟の定時総会に、民主党を代表して出席し挨拶を述べてきました。森林のもつ多面的機能は、たとえば、土砂崩れの防止や都市型水害の防止にも一定の役割を果たしていると考えられています。間伐材の処理や下草刈りなど、山の管理を適切に行えば、森林が本来もつ保水機能が発揮され、土砂崩れはもちろんのこと鉄砲水などが生じにくくなり、ひいては堤防の決壊や平場の水没などが発生する危険性が低減されるという考え方です。 今、山は荒れています。外国産材の流入などにより、国産材の価格は低下し、山を管理する人たちはどんどん少なくなると同時に山を降りるようになってきました。「自分たちの代では使えないけれど子や孫が大きくなったときのために」と言って、雪で倒れた杉に縄をかけ、渾身の力でひっぱってまっすぐにしようとがんばる老夫妻がテレビ番組で紹介されていましたが、極めて稀なケースなのではないでしょうか。個人や世帯の力でどうにもならなければ、政治が何とかするしかありませんが、自治体も楽ではありません。自治体とりわけ山間部に多い小規模自治体を狙い撃ちにした交付税改革が、山の荒廃に拍車をかけます。自治体は毎年の予算組が厳しくなり、福祉などの予算を削るわけにもいかないので、当面の措置として森林管理費などを削減します。さらに山は荒れる。悪循環に陥っています。 民主党は、「緑のダム」構想を、民主党創設当時から主張してきました。「緑のダム」とは、森林のもつ多面的機能に着目し、国費を投じることによって新たな雇用を生み出し、森林の保全と都市部の環境確保を目指したものです。コンクリートで固められたダムは、一定期間は大きな働きをしてくれますが、土砂の堆積などにより長期間の耐用がないと指摘されています。どうせお金をかけるのであれば、持続可能で自然と共生できる方法を選びたい。私たちの思いです。 ところで、私は今週末から海外視察に出かけることになっており、来週・再来週は、海外でメールマガジンの筆をとります。おそらく短いものになるでしょうが、ホットな視察地からホットな情報をお届けします。どうぞご期待ください。
第87号「ミサイル問題」(2006年7月10日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第87号(2006年7月10日発行) 「ミサイル問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週は北朝鮮がミサイルを発射、日本海に着弾するという事案が発生しました。日朝平壌宣言を踏みにじる行為であり、国際法にも違反しており、断じて許せません。日本海を平和な海にしようと運動してきた人たちの思いと歴史を無視した、生活の海である日本海に対する冒涜です。断固として抗議したいと思います。 このミサイル発射事件後、在日朝鮮人の方々にカメラマイクが向けられ、「こんなことをされては日本で生活している私たちが困る」「やめてほしい」などと発言してられたのは印象的でした。顔を隠さずにカメラに向かって答えていたのです。また北朝鮮と新潟とを往復する万景峰号は特定船舶入港禁止法によって入港が禁止されましたが、人道的措置としていったん着岸し、乗っていた子どもたちが下船、何も積まずに戻っていきました。国の政治体制はどうあれ、子どもたちに罪はありません。その子どもを日本で育ててきた大人たちも、日本でがんばるしかなかった人たちです。そういう人たちに対して新潟県がとった今回の措置、全国・全世界からもっと注目されるべきだと思います。拉致問題の解決を、この機会に国際世論にさらに訴え、ミサイル問題だけではないということを国際社会から認識してもらうべきです。 小泉総理には全く期待していませんでしたが、「プレスリー館にいるときでなくてよかった」「いつ発射されるのか予測不能だった」などの寝ぼけた発言を聞くと、早く総理が交代してくれればよいという思いは募る一方です。国連で決議案が採決されることになりましたが、その決議に反対しそうな国もあります。それらに対して日本政府ができているのは事務レベルでの折衝だけ。そろって中国を訪問していた民主党の小沢代表・菅代表代行・鳩山幹事長が、いち早く中国政府首脳に協力を直接お願いしてきたのとは大きな違いです。 先週土曜日のオープンミーティングでは、このミサイル発射をめぐって話し合いが盛り上がりました。私が冒頭に話したのはたった10分ほどで、その後は1時間超の意見交換となりました。最後のほうは参加者の皆さん同士で横の意見交換を行うなどされ、皆さんが今回の事件を冷静に分析されていること、そして政治がもっとしっかり対応すべきという要望をもっておられることが分かりました。とても充実した話し合いだったと思います。 今後の影響などについてはさらに調査し、また機会を見て皆さんにご報告したいと思います。 ところで、新潟市出身の国土交通省事務次官である佐藤信秋氏が勇退されるとのことで、きょうは最後のご挨拶に事務次官室を訪ねてまいりました。私から、国土交通省から見た今後の新潟の課題は?などと伺っているうち、最初はスローペースでのお話だったのが、机をひとつ叩いたかと思うと、新潟への思いが溢れんばかりに口をついて飛び出してきました。歯に衣着せぬ物言いは、佐藤事務次官の魅力のひとつであり、そのベースが役所志向でなく現場志向であることに私は心からの敬意をもっています。中越震災復興はモデルを新潟で作るべきだ、平場は新潟を売る気概をもとう、まずはやってみようの精神だ、西村にもその方向でがんばってほしい、などのご指導を生かしてこれからもがんばります。
第86号「調査は誰のために」(2006年7月3日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第86号(2006年7月3日発行) 「調査は誰のために」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 きょうは約10日ぶりに議員会館へ来ました。新しい議員会館をつくるための仮囲い工事が始まっていて、会館付近の風景も異なって見えます。部屋に入ると机の上には1つ半まで減らしておいたはずの資料の山がまた3つに増え、倒れないように互いに支え合っていました。 議員会館は10日ぶりですが、東京へは一昨日も来ていました。情報公開や個人情報保護に取り組む団体の求めに応じて、国勢調査を見直す市民シンポジウムに出席するためです。先日、昨年の10月1日を基準日として行われた国勢調査の抽出速報集計結果が出ていましたが、皆さんご覧になりましたでしょうか。日本が、世界で最も少子高齢化が進んでいる国だとの結果が明らかになったとのことです。これは、国勢調査を行った中から1%を抽出して速報値として出したもので、全数の調査結果が出るのは先になりますが、おおむねの傾向はこれで掴むことができます。全数調査結果と1%抽出の結果とでは、これまでも大差は生じてきていません。 国勢調査には、10年に一度行われる本格国勢調査と、その間をぬって5年目に行われる簡易国勢調査とがあります。簡易といえども調査項目が多少少ないだけで、悉皆(しっかい)調査(すべての構成員に対して行われる)であることには変わりがありません。投入される公費は600億円、総務大臣から任命される調査員は全国で85万人。たいへん大規模な調査であり、統計法では、調査への申告を義務として違反したときには罰則も科しています。 ところが、オートロックマンションが増加し、プライバシーへの意識が高まるなどしたことにより、この国勢調査に大きな異変が現れるようになりました。「正確な調査ができない」のです。調査員の人たちからは、対象者を訪問しても会えない、調査票が回収できない、調査される側からは何のために調査されるのか分からない、なぜ名前を記入する必要があるのか、などの不満や不安の声が多数聞かれました。ニセ調査員を名乗って個人情報を引き出そうとする事件まで発生。民間団体や自治体などが設置した相談ホットラインでは、電話が鳴りやまなかったそうです。 今、有識者懇談会において国勢調査のあり方が検討されており、インターネットや郵送などを活用した調査方法に変えることが提案されていますが、根本的な解決にはなっていません。何のための国勢調査なのか、その結果はどのように反映されているのか、それらが全く不透明なままであることが問題なのです。先ほど私は、1%抽出の速報値と全数分析の結果とでは大差は生じていない、と書きました。人口は正確に把握する必要があると思いますが、傾向を知るのであればそもそも悉皆で行う必要はなく、最初から1%抽出で調査すれば済む話だと思うのです。また人口の把握も、住民基本台帳や外国人登録など既にある別の統計をもって活用できるのであれば、改めて行う必要があるとは考えにくいところです。 先の通常国会での住民基本台帳法改正案の審議を通じて、私は、「情報は誰のものか」ということを考えました。個人情報は、その持ち主のものであり、その持ち主のために使われなければなりません。しかし、その個人情報を預かっている行政側では、「個人情報は行政内部で扱うものであり、外には出さないもの」という不思議な反応が見られます。新潟でも地震発生時に、障害者支援のノウハウをもつNPOが行政の窓口で要援護者の所在地を知りたいと申し出たところ、個人情報だとして提供を拒否されたということがありました。何のために行うのか不透明なまま国勢調査への協力を求められること、そして行政がもっている情報は活かされていないということ。相反する事柄が起こっている、とても奇妙な状況だと思います。 情報は、民主主義社会においてはその根幹をなすものなのですが、この国ではまだ、その扱いをめぐって論議をもっと深めていかなければなりません。2010年の本格国勢調査のときに、また同じ失敗をしてしまった、と言わないようにするためにも。
第85号「緊急であること、緊急でないこと」(2006年6月26日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第85号(2006年6月26日発行) 「緊急であること、緊急でないこと」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週20日、小泉総理が記者会見でイラクからの自衛隊撤収決定を発表しました。陸上自衛隊が撤収作業を国旗を隠しながら行う傍らで、米軍への燃料補給を行っているとされる航空自衛隊が補充されるなど、決して「撤収」になっていないことは大きな問題です。 記者会見のときの背景が、いつもの青いカーテンから赤いカーテンに変わっていたことに皆さんお気づきでしたでしょうか。あの赤いカーテンは、昨年8月8日に郵政解散をした日以来です。あの場面で、総理が何をアピールしたかったのか全く分かりませんが、いずれにしても小泉総理にとって最後の赤いカーテンだろうと思いながら見ていました。 つい最近、防衛庁幹部が「イラク派遣をとおして、有事の際にはどうなるかという心の訓練を、隊員及び家族は行うことができた」と発言していました。日本は、サマーワは非戦闘地域で安全だという根拠で、自衛隊派遣を行ったはずです。なぜ安全なところに行く隊員が、心の訓練などできるのでしょうか。日本政府の本音が垣間見えた気がしました。 いずれにしても、イラクの復興は、実際にはまだまだこれからと思います。復興のためには治安の維持が絶対条件ですが、まだ混乱を抜けたとはいえません。外国の軍隊が撤収し続けている今これからが本番。国際社会がイラクの復興を責任もって支援していく必要があります。 私は、イラクへの日本の支援は、もともと良かった対日感情を考えたとき、やはり顔の見える協力であるべきで、現地の人たち自身が治安回復し国土の復興に努めることができるよう、警察官の育成やいわゆる民生部門で尽力すべきだと考えています。そのときに活躍するのは日本の現場を知っている人たちや現地とのコーディネイトができる人たちで、そうした人たちが現地で活動するのを応援すべきだと思います。 ところが、日本政府は、プライドがあるのか、現場を知っている人やコーディネイトができる人への支援をすんなりと行ってはくれません。スーダンのダルフールで200万人近いと言われる避難民の帰還に際して、日本のNGOが政府のODA予算を活用できないかと無償資金協力を申請したところ、「緊急支援ではない」という理由で撥ね付けられた経過があると聞きました。スマトラ沖地震へもジャワ島地震へも日本政府は「緊急支援」という名目で支援を行っています。しかしスマトラ沖地震のときは、機材を積んだ飛行機が現地に入るまでに何度も荷物の積み替えをするなどし、最後は現地に到達しなかった機材もあるとかで、緊急支援にもなっていなかったお粗末です。「緊急」であればかなりラフなお金の使い方をしますが、緊急を脱すると、とたんにどう叩いてもお金を出さなくなることも、日本の特徴だと思います。 しかし私たちの税金を使うのに、緊急だからOKで緊急でないから不可、などと一概には言えないと思います。今のような使い方でよいのかをチェックし、望ましい使い方へと改めるのが、私たち国会と有権者の役目でもあります。限られたお金ですから、同時代を生きる人たちのために有効に使われるよう、活用していかなければなりません。 「金儲けはいけないことですか」と開き直った村上氏。きょう5億円を払って保釈されました。「悪貨が良貨を駆逐する」ここまでくると、もう訳が分からなくなりそうです。
第84号「第164通常国会閉会」(2006年6月19日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第84号(2006年6月19日発行) 「第164通常国会閉会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週金曜日、第164通常国会が終わりました。正確に言うと会期は昨日18日までなのですが、日曜日は本会議や委員会を開会することができませんので、金曜日で審議そのものは終了です。通常、閉会日には本会議で議長が「諸君、第164国会は本日をもって閉会…」などと挨拶するのですが、それもなし。なんとなく拍子抜けしたような終わり方です。 この通常国会、私としてはとても多くのことに取り組んできた国会でした。所属する総務委員会や拉致問題特別委員会での質問や作業のみならず、途中から設置された教育基本法特別委員会への参加、そして男女共同参画調査会での活動から所属以外に厚生労働委員会へも法案を提出したり質問・答弁に取り組んだりと、新しいことにも挑戦してきました。終わってみれば、一国会での質問回数は15回(答弁除く)で最多となり、途中息切れしそうにもなりましたが、今後につながる答弁を引き出すなどそれなりに成果を出すことができたと思います。 国会全体を見たときには、本当に残念な思いでいっぱいです。本来であれば、小泉総理の下での5年間はいったい何だったのか、何をもたらしたのか、という総決算を野党の立場からしっかりと行うべき国会でした。しかし途中から、率直に言えばメール問題発生後から歯車がずれてしまい、与野党ががっぷり四つに組んで小泉政権の評価を下すという状況ではなくなってしまいました。 会期後半は、与党内部からも抑えきれないほど小泉総理の政策と政権運営に対する批判が生じていました。狂信的に小泉政権への賛辞を送っていた議員はほんの一部だったように思います。「小泉総理的なもの」VS「反小泉的なもの」という切り口で評価すべきなのかもしれません。 通常国会の事実上の最終日である先週金曜日、NPO議員連盟が再編され新たなスタートを切りました。1999年にいわゆるNPO法(非営利特定法人活動促進法)が成立したとき、この超党派の議員による議員連盟が中心となりましたが、多くの役員が落選の憂き目に遭っていたため、しばらく開店休業状態が続いていました。当時の役員が国会に戻ってきたこともあり、もう一度市民活動を日本の社会の中で育てていく機運を作るべきだという声にも後押しされて、自民党の加藤紘一さんを代表に再編されたのです。市民活動団体については、常に活動資金不足と民間資金の脆弱さが指摘されてきましたが、議連では今後、団体に対する税制支援策や法案の名称などを重要テーマとしていく予定です。 小泉内閣の5年間で失ったもの、失いかけたもの。それが何なのか、議連の活動再開によってはっきり見えてきました。この5年、総理は「改革」と叫び続けてきました。しかしその中身は、思想や哲学のない改革だったと思います。自己責任を声高に叫び、効率や競争を過度に強調したあまり、人間と人間のつながりを断ち切り、ご近所などの地域コミュニティを壊し、会社ではリストラの対象とならないよう我武者羅に働く風土を生み出し、学校でも良い進学・就職をするためにさまざまな場面で選別が進んできました。一人一人の尊厳を重視せず、人を道具のようにとらえる社会の風潮が、頻発する事件の背景にもなっていると考えます。この方向性を転換してこそ、未来に希望があります。政治が果たすべき役割は非常に大きい。政権交代しなければならないと改めて痛感した国会でもありました。 国会閉会直前には、日銀福井総裁の村上ファンド投資問題、社会保険庁の年金保険料納付率操作問題などが明らかになりました。閉会中もしっかり議論を求めていきます。これからもどうぞご支援ください。お二人以上からお声をかけていただければ、どこにでもお伺いして国会報告などさせていただきますので、お気軽にお声かけください。
第83号「ワールドカップとサミット」(2006年6月12日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第83号(2006年6月12日発行) 「ワールドカップとサミット」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 いよいよ通常国会の残り会期が1週間となりました。昨年の通常国会と比べると拍子抜けするほどの短さですが、私の仕事量は昨年よりも格段に増えました。質問回数も、提出法案も、とても多くなっています。息切れせず、最後までがんばりたいと思います。 サッカーワールドカップが開幕しました。4年前は日本と韓国の共同開催で、新潟スタジアム(ビッグスワン)でもゲームが行われ、大変な熱狂だったことを昨日のことのように思い出します。新潟駅からビッグスワンへの観客の輸送は、世界的にも注目されたほどのスムースさでしたが、その後のビッグスワンはどうでしょうか。もちろん今でもバスの輸送は行われていますが、地元のアルビレックスのゲームがある日などは自家用車の長い列ができ、とても渋滞しているようです。成功例をしっかりと引き継ぐことができていないようで、とても残念に思います。 今、新潟は、2008年のサミット開催地誘致に向けて、横浜市と連携しながら、県と市を上げて誘致活動に取り組んでいます。私は、この活動に単純に賛同し、応援しているところです。その理由は、新潟が日本海側に位置する街であること、対岸との交流の歴史がしっかりと展開されてきたこと。人間は、いま自分がいる地点からしか世の中を見ることができません。想像力で地球の裏側の人たちがどんな暮らしをしているかを認識することはできますが、その想像力も暮らしの中から出てくるものなので、「私」がどこにいるかは時代を見るときにも極めて重要な要素です。新潟は「裏日本」と呼ばれていた地域にあります。おそらく欧米の政府首脳は、日本といえば東京、太平洋に面しているところだと感じていることでしょう。新潟でサミットを開催することができれば、そうした発想を転換するきっかけを、日本国内のみならず世界に向けても発信することができるのではないかと思います。 ところで新潟が「大きなもの」を誘い込むことを選択したのは、ワールドカップサッカーに次ぐ出来事だと思います。日本で前回のサミット開催地は、沖縄でした。クールビズというのが永田町では大流行で、私は単に環境省が主導しているネクタイ外し運動だと感じていますが、国会の中でも2年目になりました。小泉総理はこのところ「かりゆし」という沖縄の衣服を着ていますが、そのパフォーマンスは米軍基地再編で煮え湯を飲まされた沖縄県へのささやかな配慮ではないかと噂されています。 地方は今、医師不足に悩み教育機会の不均衡など大都市部との格差が広がりつつあります。沖縄の問題に関して言えば、総理が留意すべきは、「かりゆし」を着ることではなく、沖縄の人たちと真正面から向かい合うことでしょう。もちろん新潟でサミットが開催されることになったとしても、そのときの総理は小泉氏ではもはやありませんが、浮ついたパフォーマンスに眩まないしっかりとした目で、新潟の将来を見つめていきたいと思います。
第82号「国家百年の大計」(2006年6月5日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第82号(2006年6月5日発行) 「国家百年の大計」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 終盤国会はいよいよ法案の「促成栽培」の様相を呈してきました。小泉総理が通常国会は延長しないと発言しているため、残り2週間の会期内で提出法案すべてを無理矢理にでも成立させたいとする与党の姿勢が強化したためです。いちばん法案が詰まっているのが厚生労働委員会で、重要法案が男女雇用機会均等法の改正も含めてまだ何本も残っていますが、ねんきん事業機構法案の審議前に社会保険庁の各地方事務所における国民年金保険料の免除申請不正手続き問題が明らかになり、この集中審議を行うため、さらに委員会日程はタイトになりました。法務委員会では共謀罪の法案をめぐって二転三転、小泉総理がサミットに出かける前にお土産を持たせなければと考えているのか、与党は、会期内での成立に躍起になっています。国際テロ防止条約の批准については、民主党も賛成しました。しかし政府提出法案は与党の修正を待ったとしても国内犯罪にまで対象を広げることになり、大きな問題があります。国際条約の批准は確かに大切なことですが、国際条約の批准という目的のみを追求した結果、国内に暮らす人々の人権が逆に脅かされるようでは本末転倒と言わなければなりません。また日本には、国際社会から度々指摘されている課題にまだ対応できていないもの(たとえば高等教育の無償化や人身売買の問題など)があります。ここまで来たら振り出しに戻って出し直すしかありません。 こんななか、教育基本法に関する特別委員会でも、審議が着々と行われています。私も委員の一人として審議に参加していますが、今もって「なぜ教育基本法の改正が必要なのか」という説得力のある改正の根拠、言い換えれば立法事実をこれまで委員会の中で聞いたことがありません。確かに教育にいろんな課題があることは承知しています。しかし教育基本法を改正することで何が改善されるのか、どういう科学的根拠に基づいて法改正をしようとしているのか、具体策が全く見えないのです。 一連の教育改革論議は、故小渕恵三元総理大臣が平成12年3月27日に設置した「教育改革国民会議」における議論からスタートしました。まもなく小渕総理が逝去されると、その後は森喜郎前総理に引き継がれます。この会議の開会挨拶で、故小渕氏は一言も教育基本法について触れてはいませんが、森氏は総理に就任して直後の4月5日に開催された会議で教育基本法の改正について言及しています。同年12月22日に「教育改革国民会議報告−教育を変える17の提案−」がまとめられ、座長から報告を受け取る森前総理と同席していた町村元文部大臣は、基本法の見直しについて中央教育審議会等で議論を行いしっかりと取り組んでいきたいと発言しています。今、教育基本法に関する特別委員会の中で、森氏は委員に、町村氏は自民党の筆頭理事となっています。 教育は、国家百年の大計と言われるとおり国の根幹に関わることであり、皆で考えなければならないテーマです。仮に国会でどんなに良い改正を行ったとしても国民に定着し国民によって活かされなければ何の意味もありません。何よりも必要なのは、教育基本法を自らのものとしてとらえること、そのために教育のあり方について国民的な議論を呼び起こすこと、そのうえで変えるか変えないか、変えるとすればどのように変えるか、という判断をすることではないでしょうか。そのためにはもっと慎重でもっと幅広くもっと自由な議論が必要です。拙速な議論は避けなければなりません。 微力ですが、しっかり踏ん張っていきたいと思う今日この頃です。