************************************* 西村ちなみメールマガジン第111号(2006年12月25日発行) 「安倍内閣初予算と政令市初予算」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************* みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 新年度の政府予算案が昨日提案されました。小泉政権時代には最後の予算編成でよう やく国債発行額30兆円を達成したのが昨年。今年、安倍内閣は国債発行額をどうするの か言明を避けてきましたが、新年度は25兆円となる見込みです。これが税の増収を背景 に財政改革をはかるとする「上げ潮路線」と批判されることになりました。上げ潮路線で は、税収の多寡つまり景気の影響を受けやすく、景気が悪いときには赤字国債をどんどん 発行するという根拠にもなってきたものであり、結果として巨額の財政赤字を生み出してき ました。今回の顛末を見ていると、安倍政権は結果として上げ潮路線に戻ったと言わなけ ればなりません。 そもそも今回、税の増収が見込まれるのは、定率減税を全廃し、家計への負担を重くし たためです。しかし税の無駄遣いの原因がどう解明され、どう再発防止策がとられたのか が明確にならない以上、実質的な増税をするのは順序が間違っているのではないでしょう か。また格差拡大が進んできている今、働いても報われず生活保護水準以下の賃金しか 得られない「ワーキングプア」問題をどうするか、根本的な対策は見えてきていません。「再 チャレンジ支援」もすっかり影を潜めてしまいました。 また、今、地方交付税は、人口と面積で単純に計算し、少子化に歯止めがかかったなど 「がんばった地方」に対して手厚く交付税を配分することによりインセンティブを与えようと いう方向で議論が進められています。地方への税財源移譲をすすめないまま地方交付税 の再編が進めば、体力のない自治体への影響は避けられないでしょう。がんばりたくても がんばれない自治体をどうするかが問題なのです。財政破綻した夕張市は、決して特別な 例外ではないと私は思います。 民主党新潟県第1区総支部と新潟市議会・改革ネット議員団では、今朝、新潟市長へ予 算編成についての要望書を手渡してまいりました。国民負担が増えてきているなか、生活 破壊から市民の暮らしを守るのと同時に、新たな政令市新潟のまちづくりを行っていただ きたいと考え、市議団の皆さんを中心に議論していただいて合計55項目からなる要望書 を作成していただいたものです。国と地方の議員が力をあわせて連携して、夢と希望のあ るまちづくりにさらに取り組んでいく決意です。 いよいよ年末も押し迫ってまいりました。今年も一年ご愛読いただきありがとうございまし た。また来年もよろしくお願い申し上げます。次号は1月9日(火)にお届けいたします。皆 様どうぞ良い新年をお迎えください。
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第110号「生殖補助医療」(2006年12月18日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第110号(2006年12月18日発行) 「生殖補助医療」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今日の一部全国紙朝刊一面で、「民主、代理出産を限定容認作業チーム中間報告 親族、報酬は禁止」という見出しで生殖補助医療に関する民主党の論点整理が報道されました。私はこの作業チームの座長として論点整理を行ってきました。この記事が出されたことで、厚生労働省、他のマスコミ、関係者から問い合わせが多数あり、反響の大きさに驚いているところです。 生殖補助医療は戦後すぐに実行されたことから始まり、国内に急速に広がりました。AID(非配偶者間人工授精)で出生している子は日本国内ですでに10万人を超えているとされます。また代理出産は長野県のクリニックによる祖母出産や向井亜紀さんご夫妻のケースでもあったように、国内外で行われている実態がありますが、ヨーロッパが厳しく規制する一方、規制の緩やかな国では代理出産がビジネスとなっています。日本では法規制が存在せず、もっぱら医師側の自主規制にゆだねられてきましたが、さて特別な設備がなくとも簡単な施術で実施が可能であることから、日本産科婦人科学会の戒告に背いた複数の医師が実施しているのです。 どのように生殖補助医療を規制するか、私たちは原点から検討してきました。倫理観・宗教観・道徳観に大きく左右されるテーマであることから、現実に立法するときには臓器移植法への対応と同様、党議拘束をはずすことになるだろうと思います。そもそも生殖に関することに人間が手を加えるべきではないという考え方から、全面的に禁止することも考えられました。ですが、それでは実際に生まれている子どもの法的地位をどうするのか、また仮に日本で禁止しても海外に渡航して生殖補助医療を実施することが可能であるということとどうバランスをとるのか、という問題が残ってしまいます。 子どもをもちたい人の意思、生まれた子どもが出生について知る権利と知らされない権利、そもそもどのような生殖補助医療がどこで誰に対してどのような条件下で誰が行うことが許されるのか。中間報告は、国内でしっかりとした倫理審査機関を設置して、具体的なガイドラインにのっとり、許可制にすることでとりまとめを行いました。今後も審査機関のあり方、親子関係などについて研究と検討をすすめるつもりです。日本の法制度では、養子をとることはとても難しくなっていますが、もっと容易にすることで、多様な家族のあり方が広く受け入れられる可能性があります。 たいへん難しい問題ですが、立法府としては放置できない課題です。皆様からの多様なご意見をお聞かせいただければ幸いです。
第109号「臨時国会も会期末」(2006年12月11日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第109号(2006年12月11日発行) 「臨時国会も会期末」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 師走ももう半ば。それぞれにお忙しい時期をお過ごしのことと存じます。国会は臨時国会の最終盤ですが、教育基本法の取扱いをめぐって会期末が見えない状況です。衆議院特別委員会でもう一度審議が行われる可能性もあり、まだまだ予断を許しません。安倍総理がフィリピンから帰国しましたので、今週一気に法案成立という線もまだ残っています。 昨年の郵政解散で自民党を追われながらも当選した議員のうち、11名が先週、復党しました。戻す自民党も自民党なら、戻る議員も議員です。しかも自民党との約束を破ったときには「政治家としての良心にもとづき、議員を辞職する」などという誓約書にまでサインをして。当該議員に負託を与えたのは自民党ではなく有権者です。それを忘れて自民党が議員の身分までも左右するというのは本当におかしい。総選挙をやり直すべきだと思います。 とはいえ、解散権をもっているのはこの国で唯一人、総理だけ。野党である民主党がいくら解散を迫っても、総理が決めなければ解散はできません。自民党復党問題や政府税調の報告やいろいろな要因があるのでしょうが、このところ内閣の支持率は急落していると言ってよいでしょう。このタイミングで来年の統一自治体選挙と参議院選挙がやってきます。民主党にとっても正念場です。 あきらめない、あせらない、あわてない。1日も早く政権交代して新しい政治をつくりたい思いは山々ですが、今日できなかったからといって明日あきらめることもないと思います。しかし機会をみて敏感に対応し、できるときには必ず勝つ。そのために平時の準備活動はしっかりやらなければなりません。今、私たちにできるのは、そのときのための政策づくりをしっかりと行うこと。いよいよ今週、小沢代表の政権公約がまとめられることになっていますが、私たちの意見も十分取り入れていってもらいたいものです。 新潟も寒くなりましたので、皆さんどうぞお体ご自愛ください。私もあと1週間、東京でがんばります。
第108号「少年法改正案」(2006年12月4日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第108号(2006年12月4日発行) 「少年法改正案」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 新潟市内に雪が降りました。白いベールが覆いかぶさったようでため息が出るほど綺麗です。タクシーの運転手さんが「雪が降ると引き締まって活気が出る」とおっしゃっていたのを聞いて、そういう見方もあるのかと感心しました。降雪で年の瀬が近づいてきたことを知り慌てて、忘年会が増えるのだそうです。なるほど。 さて今日は少年法改正案について書いてみたいと思います。昨年の通常国会で提出された改正案は衆議院の解散と同時に廃案になりましたが、今年の通常国会に再提出され、この臨時国会で審議入りとなりました。現行法では14歳以上に限られている少年院送致の下限年齢を撤廃すること、保護観察中の少年が順守事項を守らない場合は少年院に送ることを可能にすること、刑事責任を問えない14歳未満で違法行為をした「触法少年」の事件に対して警察の調査権限を明確化し押収・捜索などもできるようにすること、などとなっています。 刑事対象とする年齢は2000年の改正で16歳から14歳に引き下げられました。それにもかかわらず、「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している上、いわゆる触法少年による凶悪重大な事件も発生するなど、少年非行は深刻な状況」にあるということが、今回の法改正の背景だということです(カギカッコ内は法務大臣の法案提出理由趣旨説明文より抜粋)。 政策は科学的事実に基づいて立案しなければなりません。根拠のない政策は民衆にとって利益ではなくむしろ害悪を及ぼす危険すらあります。そういう目で、上記の趣旨説明を読むとき、一読すると正しいように思える文章でも実のところは多くの疑問点が浮かび上がってきます。 たとえば、本当に少年非行は増加しているのでしょうか?趣旨説明では「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加」しているとあります。しかし少年非行の発生件数そのものが増加しているとは書いてありません。警察当局が、少年非行を認知し事件として扱って初めて捜査が行われ検挙されます。警察当局が、かつては事件として立件しなかった比較的軽い犯罪を、検挙するようになった結果として、言われているような状況になっているとも考えられます。 また「強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移」しているのは、何もこの数年に限ったことではなく、比較する年数を長くとれば戦後にみられる長期的な傾向であることが分かります。少年犯罪の凶悪化を世代論と結びつけるには、もっと綿密な論証が必要です。またこのところ強盗などの少年犯罪は、単独でなくグループで行われることが多いそうです。仮に一昔前の強盗などが単独で行われていたとすれば、発生件数そのものが減少してなければ検挙人員が高水準であるというのは計算が合わないのではないでしょうか。 そもそも少年非行の凶悪化が言われるようになったのは、厳罰主義で臨むべきだという世論や、教育の場で愛国心や公共の精神を教えるべきだという世論を誘導するためではないかという指摘がなされています。犯罪被害に遭われた方やご家族のお気持ちに立てば、真実を明らかにすることがまずは第一と思います。今回の少年法改正では、そういった視点からすると評価すべき点もあるのですが、あまりにも多くのことが混ぜこぜになっているのです。 一度罪を犯した少年が本当の意味で更生するには、多くの手助けを必要とします。罪を犯した少年たちが福祉的、教育的に育てなおしの機会を得るための法律であってほしい。民主党としての修正案を検討していきたいと思います。
第107号「復党問題」(2006年11月27日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第107号(2006年11月27日発行) 「復党問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 昨年、郵政民営化法案に反対し、自民党を離党して無所属で9月の総選挙をたたかった人たちの復党問題は、きょう新たな動きがありました。平沼議員は「(郵政民営化に賛成という)踏み絵を踏むことはしない」などとの言葉どおり、自民党が提示した条件を受け入れないまま党本部に復党届を提出。他の復党希望議員との足並みをそろえるための苦肉の策だったようです。自民党本部は、当選している議員を今回先行して復党させ、落選中の人については次の段階にするとのこと。議席優先があまりにも見え見えで、何となく白けてしまいます。 選挙は民主主義のためにはとても大切な装置であるし、そこで受けた負託はとても重いと私は常々考えています。私自身は民主党という旗を最初から掲げて選挙をたたかいましたし、それでよいとおっしゃってくださる方の1票で議席を与えていただきました。もし私が、無所属で総選挙をたたかい、当選後に民主党入りを表明したら、それは大きな問題だろうと思うのです。有権者との約束を破ることになりますから。 すでに党利党略、選挙目当てなどと多くの批判が生じているようです。政党助成金の交付額は1月1日の所属議員数を基準としますので、12月中に復党を果たさせたいという背景はこのあたりにもあります。数の力と金の力。「自民党をぶっ壊す」という意味は、信義を貫き格差の是正に取り組むという良い点が消え去り、利益になることであれば数と金に頼るという悪い点が残る、単にそれだけのことだったのかと、今更ながらつくづくと感じています。 政治への信頼回復。民主党が新しい政治のあり方を示せるかどうかも問われています。
第106号「民主党の広報活動」(2006年11月20日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第106号(2006年11月20日発行) 「民主党の広報活動」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週は、タウンミーティングでのやらせ発言などの問題が解明されないまま、教育基本法政府案がとうとう与党単独で強行採決されました。国会は不正常な状態ですが、法案は参議院に送られ、すでに本会議での代表質問が行われています。いったい何のための、誰のための改正案なのか?私の疑問は深まるばかりです。国家の統制を強めるよりも、もっと大事なことはたくさんあるはずだと私は思うのですが。 さて、今週は、私が党務としてやっている仕事のひとつである、広報活動について書いてみたいと思います。民主党の広報活動は主として、「プレス民主」という広報誌(現在は月1回発行のものに加えて毎週国会報告版を作成)、ホームページ、ポスターなどを通じて行っています。このほかに政策パンフレットなどは、私が関わった「民主党の子育て支援プラン・未来世代応援政策」なども含めて多数発行されています。また選挙時にはテレビCMやラジオでのスポット、マニフェスト冊子(点字印刷版もあります)など、さまざまな媒体を通じて、民主党の政策のPRに努めています。 毎回、紙で発行される「プレス民主」の編集のために、限られた数のスタッフで頭を悩ませ、限られたスペースでどれだけの情報を盛り込むか、苦心に苦心を重ねています。書きたいことがたくさんあっても、ユニバーサルデザイン(誰にでも適合したデザイン)を追求すれば、弱視の方や高齢者に配慮して文字をあまり小さくすることもできません。また記事を入稿してから校正までの時間を考えると、「きょう、国会で審議されている法案について知っていただきたい」と思っても盛り込むことは難しくなってしまいます。 この点、ホームページはたいへん便利です。すばやくいろんな情報を載せることができ、しかも分量の制限をあまり気にしなくて良いからです。しかしだからといってどんな情報でも載せてよいか、といえば、そうではありません。見やすさ読みやすさを考えて、アクセスする側の視線に立ちつつ編集しなければならないからです。もちろんセキュリティの確保が必要であることは言うまでもありません。 プレス民主は、年3000円で購読していただけます。党員(年6000円)になっていただけると無料で送付されます。どうぞご購読いただき、民主党の今をぜひ知っていただきたいと思います。またホームページについても各方面からご意見いただいておりますが、一度アクセスしていただければ幸いです。党の広報委員会は、所属議員3名という少数部隊に再編成され、私が委員長代理となりました。これに伴い、プレス民主やホームページの見直しも行っていく予定ですので、ぜひご意見くださるようお願い申し上げます。
第105号「教育特は今週が山場」(2006年11月13日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第105号(2006年11月13日発行) 「教育特は今週が山場」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 教育基本法は今週が衆議院での山場となりそうです。そもそも現行法でどこまで達成できたのか、新たな立法事実が何でどういう目的で何を改正しなければならないのか、基本法を改正して何が解決されるのか、まったく不明な改正案。質問に対する答弁は筋が通っておらず、私は政府改正案に反対です。小泉前総理に「改革」と名のつく看板はすべて先取りされてしまった安倍総理、もはや教育改革しか残っていないということなのでしょうか、この臨時国会で可決させたいという意気込みのようです。 審議過程も滅茶苦茶です。高等学校のみならず義務教育課程での未履修や、タウンミーティングでの「やらせ」発言など、教育の基本を議論する上ではとても看過できない問題が次々と明らかになってきました。新たな時代へ対応するため基本法を改正するというのが提案理由でしたので、それらをどう解決するかという処方箋が少なくとも基本法改正審議の中で示されなければなりません。しかし文部科学大臣の答弁は、それらの解明と対策は官邸直轄の教育再生会議で議論するということでした。文部科学省と官邸主導の再生会議、いったいどちらが優先されるのか?これも不明なままで文部科学大臣とやり取りを続けているのですが、何だか茶番に思えてなりません。 この間、特別委員会での議論や地方公聴会や参考人質疑や地域での意見交換を行いながら、やはり教育行政のあり方を変えなければ教育の質そのものが変わらないと考えるに至りました。参考人の方々が口をそろえて「学校は隠したがる」と公式の場で発言し、また長く教育現場におられた方が「文部科学省から問題発生を隠蔽しろという無言の圧力を感じる」とおっしゃった、その問題の深さは、もうどうにもならないところまできていると感じます。「開かれた学校」をキャッチフレーズで終わらせないために、問題を隠さず出し合い、専門家の知見と多くの人々の参画を得て、生き生きとした教育現場を作り出すために、まったなしで取り組まなければなりません。 今日は北海道と大分で地方公聴会が開催されています。私は先週、仙台と宇都宮に行きましたので、今日の地方公聴会は別の委員にお願いしました。明日からまた第1委員室で缶詰になります。余談ですが、この教育基本法特別委員会では、聞くに堪えない下品な野次が飛び交っています。もし子どもたちがそれを見たらどう思うだろうか。私にはちょっぴり不安です。
第104号「想像力と基本法」(2006年11月6日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第104号(2006年11月6日発行) 「想像力と基本法」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週も教育基本法特別委員会が連日開催されることになりそうです。国会周辺では連日連夜、その基本法改正について意思表示をされる方々のデモが行われています。東京はまだ新潟に比べると気温が高く、夜でも窓を開けていますが、シュプレヒコールの声で仕事や来客対応に支障が出るので窓を閉めざるを得ません。夕方はまだ良いのですが、昼間は窓を閉めると温室のようになりとても暑い。私の部屋は南向きです。そろそろ議員会館の建て替えが始まるので、騒音防止のために窓が2重になり、そのため風通しは一層悪くなりました。11月といえばセーターなど毛糸の欲しくなる季節ですが、ここ永田町衆議院第2議員会館404では、厚くて上着を脱がなければならないのです。 先月、環境大臣賞を受賞した新潟の「4万人のごみゼロプロジェクト」関係者数名が、その表彰式のため東京に来られ、議員会館にも立ち寄ってくださいました。「4万人のごみゼロプロジェクト」とは、アルビレックス新潟戦がビッグスワンで行われる度に大量に出るごみを何とか減らそうと、2003年秋から活動を始めた市民団体で、学生さんたちが強力なメンバーとなっています。その後、ビッグスワンでは使い捨てコップに換えて何度も洗って繰り返し使えるリユースコップが使用されるようになったり、ごみの分別もすすみ、ごみ排出量が減ってきているということです。 環境問題は、私たち人類の発想に大きな転換をもたらしました。環境問題が発生する以前は、大量生産、大量消費、大量廃棄を続けてきました。それで一部の人びとは豊かになることができたし、資源は無限と思えるほどありましたから、何の問題もなかったわけです。ところが、地球上の人口が増え、皆が豊かになりたいという欲をもとに行動した結果、いわゆる環境問題は発生しました。地球の温暖化が進めば地表の氷を溶かし、ゼロメートル地帯の新潟をすっぽりと水没させることになるでしょう。ゴミの廃棄業者が身勝手なゴミ投棄を行えば、自然環境の破壊と人間を含む動植物への脅威となりえます。私たちの命と、環境は、一体(運命共同体)である、という見方が必要になったのです。 基本法では前文で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」と明記しています。ここから、「日本の教育の基本を確立する」ということにつながってきます。「私」から「地球社会」へという伸びやかなつながりと、「地球社会」の中での「私」というつながりの、二つの方向性が、目に見えるようです。 このところの教育基本法の議論の中では、自者と他者とをはっきりと区分した議論があまりに多いように感じています。上記のように、人類と環境はもはや運命共同体。環境が破壊されれば、そのときには人類もダメージを受けなければなりません。また核兵器の存在する地球上で、ひとたび核兵器が使用されれば、広範囲、長期間、高深度にわたって影響が及ぶことになります。同じような発想で、たとえば同じ社会に暮らしている他民族の人びとが不幸であれば私も不幸だというふうに考えることができるのではないでしょうか。同じ街に暮らしている障がい者にとって暮らしやすい街であれば私にとっても暮らしやすいというふうに考えることができるのではないでしょうか。 自分と他者がいかにつながっているかを考える想像力をもつことは、とても重要だと思います。しかし基本法を議論する国会議員の中に、それがあるかどうか。他者への信頼をあきらめ、自分の確立のみにこだわる教育が行われるとき、日本は国際社会の中で孤立してしまうことになるでしょう。基本法の議論の中に、想像力を注入することを最後まであきらめずにがんばりたいと思います。
第103号「女性参政60年」(2006年10月30日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第103号(2006年10月30日発行) 「女性参政60年」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週は教育基本法特別委員会一色になりそうです。月曜日は衆議院の委員会開催日となっていませんが特別委員会だけは例外で開催曜日は決まっていません。今日10時から5時まで質問が続けられましたが、前の国会と比べても議論が深まったとは思いませんでした。教育の問題は、いじめや未履修問題が最近また表出するなど、普段は隠れていて分かりにくい構造的な問題がたくさんあります。それらを一つ一つ明らかにし、どうしたら教育を良くすることができるのか、本質的な議論をしていきたいと願います。 さて皆さんは憲政記念館をご存じでしょうか。永田町には、国会議事堂、議員会館、国会図書館などの施設がありますが、1970年に議会開設80年を迎えたことを記念して「議会制民主主義について一般の認識を深めることを目的として」設立されたのが憲政記念館で、1972年に開館しました。常設では国会の組織や運営について、また憲政の歴史に関係ある資料などが展示されていますが、ときどき特別展が開催されます。 今月26日から来月17日までの日程で、「女性参政60年特別展」が開催されています。第1回目の衆議院総選挙で当選した女性議員は39人。昨年の総選挙では初めてこの数字を上回る43人の女性議員が当選しましたが、他のOECD諸国などと比べるまでもなく依然として女性議員の比率は低いままです。衆議院ではまだ9%にしかすぎません。 「女性議員を増やしたい。」これは、多くの女性たちの願いであり、また多様な視点から政策立案をすべきであるという時代の要請です。すでに北欧などでは閣僚の半数以上が女性だったこともありますし、女性の首脳が誕生している国もあります。そうした国々の中では、子育て支援などが充実し、合計特殊出生率の凋落に歯止めがかかっている国もあります。 しかし日本では国会も地方議会もなかなか女性議員は増えません。選挙に必要なのは「地盤、看板、鞄」だと言われてきた政治風土と、「男性が仕事、女性が家事」という性別によって役割を決めてきた価値観が背景にあると思います。しかし最近は女性でもやってみようと考える人も出てきていますが、いくつか壁を乗り越えなくてはなりません。そのための仕組みづくりも、女性たちの手によって行われています。もちろん男性も参加してくださっています。 アメリカでは民主党が民間の女性による選挙資金集めを行う非営利団体(1985年設立、本部ワシントンDC)「エミリーズ・リスト」を設立、女性候補者への経済的支援を行ってきました。団体の名前は、Early Money is Like Yeast の頭文字をとったもので、その意味は、早期の資金はパンを焼くときのイースト菌のように、ふくらます力があるということ。つまり、選挙戦の初期に資金不足で女性候補者が落選することのないよう支援しましょう、というものです。 日本でも、「ウィンウィン(Women In NewWorld,International Network)」がこれにならって活動しています。私も先の総選挙で推薦をいただきました。民主党では「WS基金(Waterand Seed:種と水)」を設置し、女性新人候補へのわずかですが支援も行っています。またローカルレベルでも、財政的支援はできませんが、女性の政治学習をすすめるための組織もたくさんあります。お隣の長野県で長く活動してきた「女性議員をふやすネットワーク『しなの』」は草分け的存在、新潟では「女性議員を増やそうネットワークにいがた」があります。 憲政記念館で特別展を見学していると、女性が参政権を得て政治に参画することの意味、そして意欲が改めて感じられます。また、これまで多くの先輩たちが行動して築き上げてくださったさまざまな権利や仕組みの上に、今の私たちが生活し活動できているのだということがひしひしと感じられます。そうした先輩方の多くはすでに幽冥世界を異にされておられますし、また現世界の進歩もめざましいものがありますが、先輩たちの志はしっかりと引き継がれていると思います。また引き継いでいかなければなりません。 新しい歴史の1ページを開くことができるよう、さらに決意をもって活動していきます。国会見学の折にぜひ憲政記念館へも観覧にお越しになってください。
第102号「ちょうど2年」(2006年10月23日発行)
************************************** 西村ちなみメールマガジン第102号(2006年10月23日発行) 「ちょうど2年」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 昨日行われた衆議院統一補欠選挙、残念ながら民主党の議席を得ることはできませんでした。皆さんからいただいたご声援に心から感謝申し上げますとともに、引き続き政権交代に向けて地道な活動を行っていく決意です。 さて新潟県中越大震災からちょうど2年目の今日、長岡市で追悼式典が開催され、私も出席して献花を行ってまいりました。早いようで遅い時間の流れ、ご遺族の皆様や被災者の方々には本当に言葉に尽くせない2年だったとことと思います。改めて心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。 式典では山古志をはじめとする子どもたちが、コーラスで今の気持ちを歌ってくれました。子どもたちが口を大きく上げて力いっぱい歌い上げるその姿と、ありがとうという気持ちが素直に表れた歌詞には、多くの参列者の涙を誘っていました。 今なお仮設住宅でお暮らしの方が多数いらっしゃいます。復興も早いスピードで進んではいるものの、まだ道半ば。今後とも私は、確実な復興で人の絆がきちんと紡がれていくよう、国会でしっかり応援していく決意です。