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原点にかえり再びチャレンジ!
西村ちなみメールマガジン
第230号(2013年8月8日発行)
「集団的自衛権の全面容認に反対です」
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みなさんこんにちは。西村ちなみです。夏本番の暑さがやってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。先月行われた参議院選挙では、民主党の風間直樹参議に多くのご声援を賜り、誠にありがとうございました。おかげさまで大接戦でしたが当選させていただきました。今後の風間参議の活躍を願っています。
さて参議院選挙で大勝した与党・政府に、いくつか気になる動きが見えてきました。一つが日本国憲法の解釈変更です。参院選前に発表された自民党の改憲草案は、立憲主義に反するのみならず、3原則を大きく変えてしまうもので、とても受け入れられるものではありませんでした。従来の改憲論者からも評判が悪く反対が多いと見るや、安倍総理は、改憲そのものではなく「集団的自衛権」の解釈を変更する方針へと舵を切ったようです。しかも報道によれば、以前検討されていた集団的自衛権の4類型を超えて、全面的に認める方向を有識者会議が検討中だとのことです。
「集団安全保障」という考え方があります。これは国連憲章の第6章、7章で記載されており、何か事が起きれば国連軍が対応するとされているものですが、正規の国連軍は一度も設置されたことがありません。「集団的自衛権」という考え方は、国連軍が設置されるまでの暫定的な手段として、国連憲章制定過程の最後の段階で潜りこまされました。我が国では集団的自衛権は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することができる」とされ、長い論争の末に「集団的自衛権は有しているけれども行使することは禁じられている」という、内閣法制局長官の解釈が一応定着し、今に至っています。もちろん内閣法制局は政治とは切り離された行政府の一部ですから、有権解釈を行うことはできないはずなのですが。
例えば「目前で殴られている友人を助けるため加害者をやむにやまれず殴りつける行動=他者のための正当防衛=集団的自衛権」という分かりやすい話であれば、そこは議論すれば整理できると思います。しかし国連憲章で言う集団的自衛権はあまりに曖昧で、どういう状況下でどこまでが認められるのかといった歯止めはありません。もし全面容認となったら、戦後70年近くの間、日本国民は組織的な戦闘によって誰一人として命を落としていないという歴史が塗り変わってしまうのではないでしょうか。米軍が第三国に派兵をする際、自衛隊がつきあうことにはならないのでしょうか。海外で活躍する民間企業、NGO、在留邦人など日本国民が危険にさらされることはないのでしょうか。先のことは分からないからケース・バイ・ケースで良いのだと割り切るには、あまりに問題が大きすぎると思うのです。
安倍総理が言う「戦後レジームからの脱却」とは、自民党の先輩たちが実現してきたことや価値を否定することに他なりません。「日本を取り戻す」というキャッチコピーは、旧き良き時代の日本を取り戻すこととは違います。同じであれば麻生副総理が「ナチスに学んだほうがいい」と言えるわけがありません。首脳のあまりにねじ曲がった歴史認識に、背筋の寒くなる思いがします。今後、国会で徹底的に議論を行ってもらいたいと思います。