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西村ちなみメールマガジン第202号(2009年2月2日発行)
「報道の自由」
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みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。
先日、民放テレビをつけて資料整理をしていましたら、その局の周年記念番組というのが放映されていて、しばし目と耳が釘付けになりました。そこではテレビカメラがとらえた歴史的事件の映像を流した後、出演している方々がテレビというメディアの今後などについて話し合っているのですが、ある方がふと「NHKは報道の中立性をうたっているが、民放は中立性よりも視聴率だ」と言ったのです。
私はこれを聞いて、おそらく発言している方は分かっていて敢えてそう言ったのだろうと思いましたが、他の出演者の方はこの発言を視聴率に左右される民放という問題に流していきました。司会者の方だけは、趣旨を理解しておられるようでした。
電波は総務省の許認可事業であり、民放は総務省の許認可を受けて事業を行なっています。会社は系列化され、上場もしており、一方で番組制作は外注化が進み、スポンサーの納得する視聴率を出せる番組をつくることを求められます。「やらせ」や「あるある大辞典」などはこんな中で生み出されたものと思われます。
NHKにも心配な点がないわけではありません。NHK予算は放送法第37条により国会の承認が必要になっています(民主党はこの点、改正を視野に入れています)。予算案や事業計画の説明が必要ということから、NHKには国会担当の人がいて、国会議員などとの接触があります。承認と引き換えに、番組制作に圧力がかけられることもあるのではと言われています。
しかし実際に懸念されているのは、圧力がかかったから変更するのではなく、こういうことをやったら圧力がかかるかもしれないと自ら番組制作を抑制するということが、日常的に起こっているのではないかということなのです。
このジャーナリズムの自己抑制の問題は、「公共放送」であるか「民放」であるかを問わず、報道の自由にかかわる重要な問題と思います。人材の問題なのかもしれません。自律的に判断すること、そして選択することを、人は常に求められます。意識しなければ社会から消え去ってしまう恐れのあるものは数多くありますが、報道の自主性もその一つなのかもしれません。
今年もNHKの予算審議の時期がやってきます。一昨年までは総務委員会で直接質問してきましたが、今はいわば外野です。外野から審議を見つめます。