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西村ちなみメールマガジン第179号(2008年6月23日発行)
「今年の骨太2008」
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みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。
通常国会が終わり、国会は短い閉会期間に入りました。会期最終日には小沢代表から「年内もしくは年明けに解散ありうべし、準備怠りなく」との話があり、議員はそれぞれ地元に帰って国会報告活動などに勤しんでいます。新潟市内も空梅雨とはいえ、ずいぶん蒸し暑くなり、私も汗を流しながら活動を続けています。
霞が関界隈では、新年度予算編成に向けた活発な動きが表面化してきました。特に福田総理が消費税率の引き上げに言及したことで、マスコミなどの視線はそちらのほうばかりに向けられているようです。もちろん消費税率をどうするかというのはとても大きな問題ですが、今年の予算編成は、小泉・竹中改革そして安倍政権と続いてきた、リスクを個人化する米国型路線とは少し違ってくるのではないかなと予感しています。
6月3日に財政制度等審議会が「平成21年度予算編成の基本的考え方について」建議をとりまとめ、ここでは骨太方針2006で敷かれた方針どおり歳出削減(公務員人件費▲5.7%以上、社会保障費▲1.1兆円、地方交付税の減額など)を徹底していくことが求められました。建議からは競争を激化させ、それによって効率化をはかろうという意思が随所に読み取れます。この競争は、弱い人たちも巻き込むものであるということから、どんどん社会の序列化、差別化、格差の拡大を進めてしまいます。来年度予算でもそうした路線を歩くのだという姿勢が示されました。
6月17日には「基本方針2008」(素案)が公表されました。これはここ数年、予算編成を大きく左右するようになった経済財政諮問会議のいわゆる骨太方針と呼ばれるもののドラフトですが、昨年までとは微妙な変化が見て取れます。すなわち、総論として成長力の強化を謳い、これまで行ってきた歳出改革の努力を緩めず基本方針2006に則り最大限の削減を行うとしてはいるものの、医師不足、少子化対策、後期高齢者医療制度の運用改善など、財政削減によって痛めつけられた傷の手当をする意向も見えるのです。
今日は基本方針2008の原案提示日です。このメルマガを書いている時点では、その内容を承知しておりませんので、素案において保留とされていた地方分権、消費者庁、公益法人の見直しをはじめとして、社会保障費、教育費、道路予算の記述がどうなったか分析することはできませんが、いずれにしても歳出抑制にブレーキがかかっていることは間違いないと思います。基本方針2008は今週末に閣議決定され、それに基づいて予算編成の概算要求が行われることになりますが、その先に政府税制調査会や与党の税制調査会の考えが示されていきます。この後は、政治の意思がどこまで官僚主導で省益優先の予算編成に切り込んでいけるか、が焦点ではないでしょうか。
民主党でも、税制調査会で予算や税制の在り方について論議を行っています。先日、智水会総会で講師としてお話くださった民主党税制調査会副会長の古川元久衆議院議員のお話にもありましたが、民主党の目指す税制は誰にでも公平であること、そして現存の仕組みを前提とするのではなくあるべき形をつくるために今何をなすべきかという発想で取り組むこと、です。物価の上昇が続いているにもかかわらず消費税率引き上げが取沙汰されているのですから、還付付所得税の導入など低所得者への配慮は同時に提案されるべき仕組みだと考えます。そのような目の覚めるような政策が来年度予算で示されるのかどうか。秋の臨時国会のころには骨格が見えているのではと思いますが、閉会中もしっかりチェックしていきます。