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西村ちなみメールマガジン第173号(2008年5月12日発行)
「G8開催地で生き方・働き方を考える契機に」
※無断転用、無断転載は固くお断りします※
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みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。
ホームページ「チャレンジサイト」でもご案内しておりましたが、先週9日に新潟市で連合主催シンポジウムが開催され、私もパネリストとしてディスカッションに参加させていただきました。11日から明日13日まで新潟市で開催されているG8労働大臣会合のプレイベントとして労働組合の側から「ディーセント・ワーク(人間的で働きがいのある仕事、などと訳されることが多い)」について課題提示を行うものです。連合の側からは、地元選出であるということ、またこの間男女雇用機会均等法やパート労働法など労働法制の審議にあたり民主党としての対案・修正案を提示してきたことから、政治の役割について話してほしいというご依頼でしたので、喜んで参加させていただきました。
シンポジウムでは国際労働運動の事実上のトップであるITUCのガイ・ライダー事務局長と、OECD30カ国の労働団体58のナショナルセンターを統括するTUACのジョン・エヴァンス事務局長のお二人がまず基調講演を行いました。世界の労働運動のトップお二人の話を間近で聞くことができたことも感激でしたが、そのお話の内容もコンパクトながら極めて的確に世界で同時進行している雇用の問題を力強く指摘しており、感嘆しました。
ガイ・ライダーさんのお話はこうです。賃金は下降しているのに、企業の利益は上昇している。その結果として、不平等が生み出され、貧困が悪化した。ジョン・エヴァンスさんのお話も考え方は同じでした。市場主義のグローバル化の成果は富裕層にのみとどまっており、開発目標を達成する妨げになっている。今や多国籍企業ではなくグローバル・サプライ・チェーンが世界経済を席巻している。お二人とも、世界的な連帯を強化して問題解決にあたる必要性を訴えていました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、弁護士の中野麻美さんと経済アナリストの森永卓郎さんと連合事務局長の古賀伸明さんと私とがパネリストで、連合新潟の江花さんの進行で、またフロアからの発言も多数いただきながら進められました。パネリストの4名ともに「非正規雇用者が基幹的な労働力となってきた現在、正規雇用との格差を解消していかなければ日本の社会も経済ももたなくなる、そのため雇用不安を解消しなければならない、日本の現状は問題が多すぎる」というところで一致しておりましたので、論争にはならず、問題点を深く掘り下げ共有するという方法で進められました。
私は、小泉改革以降とくに規制緩和と地域格差が進み、人々の雇用不安が増大している中で、政治が将来不安を軽減するような政策を実施するなどの役割を果たしていない、むしろ日本では税や社会保障による所得の再配分機能はOECDの中でも弱く、見直すことが必要だと問題提起しました。また新潟県に、働きやすい職場があり、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が実現できて仕事と生活の調和がとれる状況があれば、特に若い世代の雇用確保につながり人口流出に歯止めがかけられるのではないか、という考えも示させていただきました。
パネルディスカッションの最後には、ガイ・ライダーさんから「素晴らしい会になったことにおめでとうと申し上げたい」との挨拶がありました。また少なくない参加者の方々から、素晴らしいシンポジウムだったとの言葉をかけていただきました。雇用をめぐる問題を共有し、解決の糸口を示すという目的は、達成できたのかもしれないと考えています。
パート・フリーター・ニート・ネットカフェ難民・ワーキングプア・コールワーカー・有期契約社員・派遣社員・偽装請負・もっぱら派遣・名ばかり管理職。これらはすべて働き方と生き方に関する言葉ですが、どれも個人の問題としてとらえられがちです。しかしこれらはもはや社会全体の構造的な問題なのではないでしょうか。グローバル化が進み、期待された人間の安全保障が進められるどころか、逆にグローバル化によって人間の使い捨てが進みつつある。そのような危機感を強くもつのです。
昨日は、民間団体が主催したG8関連の二つのイベントに参加してきました。G8各国の出身で新潟に在住している若者による若者G8と、世界で2億人を超えるとされる児童労働の実態について考える講演会・ワークショップです。それぞれに「働く」生きる」ことについて見事に切り取った素晴らしいイベントでした。
働く人たち、生きている人たちには考える力があります。発言する力があります。そして行動する力があります。その力を信じて、一人ひとりの安心できる働き方を保障するため、政治がしっかりがんばらなくてはと決意しています。