***************************** 西村ちなみメールマガジン第156号(2007年12月10日発行) 「民主的熟議」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 臨時国会は今週15日に会期末を迎えるはずなのですが、テロ新法をめぐって小幅延長ないし大幅延長がささやかれています。他にさしたる閣法があるわけではないので、何とも間延びした感じがします。福田内閣が「自立と共生」を掲げて発足して4ヶ月ですが、テロ新法以外に福田内閣の目立った取り組みは見られません。民主党が一生懸命政策をつくって法案を提出しなければ、締まりのない国会になったことでしょう。 私はこつこつと委員会での質問や法案提出を続けています。先週は委員会での質問が2回と、児童扶養手当法の改正案を民主党からの議員立法として提出しました。やっていることは地味ですが、ひとつひとつの積み重ねで格差社会の是正につながるものと考え、全力を注いでいます。 ところで皆さん「国政調査権」というのをご存知でしょうか。憲法62条で「両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、承認の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と規定されています。国政調査権は議員個人ではなく議院に限られた権限であり、院全体の意思決定がなければ発動することはできません。しかしいったん発動されれば、「要求することができる」とあるように強力な権限であり、かつ要求を拒否した証人には罰則が課せられる重たい権限なのです。 この国政調査権は、各国の議会が制度として持っており、特にアメリカ連邦議会などは調査権を活用して大きな成果を挙げてきました。議院内閣制の国々でも議会主導でさまざまな調査が実施されており、議会の調査に基づく報告書が毎年山のように出されています。しかし日本では、1954年に衆議院で、1964年に参議院で、国政調査報告書が出されたのを最後に、同類のものは出ていません。 税金の無駄遣いなどをチェックするための重要な武器となりうる国政調査権ですが、ほとんど活用されてこなかった実態があります。その代わり1997年から衆議院に導入された「予備的調査」によって、議院40名以上の要請で資料提供などの協力を求めることができるようになり、これに基づいて民主党議員から調査要請がなされて年に1,2本は報告が出されるようになりました。しかし国政調査権の権限には及びません。 海上自衛隊の米補給艦への給油量が間違って報告されていたり、肝炎の被害者リストが厚生労働省の棚の上に雑然と置かれていたり、などの事態が明らかになったのも、与野党の力が伯仲してきたから。この上は国政調査権を活かして、年金の問題などに切り込んでいきたいものです。大連立などしなくても、国会が熟議すればもっとできることはあるはずです。そのことを立証するためにも、今週もがんばってまいります。