***************************** 西村ちなみメールマガジン第134号(2007年6月11日発行) 「天下りは止まらない」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 天下りバンク法案が先週衆議院を可決通過しました。正式名称は「官民人材交流センター」ですが、私たちは、これまで非公式で政府が斡旋してきた官僚の天下り先を今度は公然と公的機関が行うようにする法案だとの認識で、「天下りバンク」「天下り促進法案」と呼んできました。渡辺行政改革担当大臣は大袈裟な身振り手振りでこの法案がいかに改革に資するかということを説明しますが、その中身はいかにと質問すると、枠組みを今回は作ったのであり、肝心の具体的な設計は今後設置される有識者会議 に任せるという一点張り。本当にこれで与党の議員たちも賛同できるのか?と首をひねっています。 霞ヶ関の官僚には、50歳くらいになると肩たたきが始まります。ピラミッド型になっている霞ヶ関で、トップまで登りつめ定年まで勤める人はごくわずかだからです。多額の退職金を受け取り、政府関係の独立行政法人などに転職しますが、そこで退職金と新たな役員報酬が発生します。場合によっては独法から独法へと「渡り」歩く人もいて、なんと一人の人が受け取った退職金と役員報酬が億の単位に上るケースもあるということでした。 ここで問題になるのは3つだと思います。ひとつは、これが税金の正しい使い方といえるのかどうか、ということ。生活者の感覚からすれば、これはノーでしょう。不必要な「渡り」を繰り返し、多額の報酬として支出された分を、医療や福祉に使うことができたらどんなに有意義でしょう。二つ目には、そもそも50歳前後で職場を離れなければならないというのが今日的な働き方なのか、ということ。民間では再雇用制度なども充実してきていますが、その人の自己実現という点からもやはり少なくとも60歳までは働いていただくというのがよろしいのではないか。三つ目には、こうした天下り先が不足して各省庁が多くの独立行政法人などを作ってきたのですが、これらをどう処理するか。不必要な機関を思い切って廃止することが必要だと思います。 私たち民主党の提案は、できるだけ定年まで働いていただけるようにすること、です。定年まで働いた方がその能力や経験を生かして再雇用ということもありうるでしょうが、それは多額の役員報酬などを必要とするものとなるとは考えにくく、いわゆる「天下り」とは別のものだと私は考えています。しかし政府の提案は、いわば50歳で肩たたきという霞ヶ関の根本的な問題に何らメスを入れず、天下りの斡旋を公的に行うことによってお墨付きを与えるというようなもの。政策のタイトルと中身が全く違うという例は、これまでにも、郵政民営化(これまで税金が1円も投入されてこなかった郵便局ネットワークを、税金を投入して維持するものとした)などがあるわけですが、この点だけは小泉前総理と安倍総理がよく似ていると感じています。 法案はすでに参議院の議論に委ねられていますが、残り2週間、しっかりウオッチしていきます。