***************************** 西村ちなみメールマガジン第130号(2007年5月14日発行) 「ふるさと納税?」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 参議院選挙が近づき、与野党ともに「目玉政策」の選定に余念がありません。私たち民主党の中でも政権政策委員会を中心に議論を進めている最中ですが、先日は某新聞社が民主党参院選マニフェストなるものを掲載。党内で議論されてもいないし承認されてもいない政策がなぜ公になるのか不思議でなりませんが、それだけマスコミもどういうマニフェストになるのか注目しているということなのでしょう。与党サイドからの報道も少しずつ増えてきました。 この通常国会では野党が「格差社会の是正」を主張してきました。与党および安倍政権は「格差は存在しない」と強弁してきましたので、格差問題からは目を背けたまま参議院選挙に入るのかと思っていたら、とうとう態度を変えました。そのひとつが、政府与党がこのところいろんな場面で発言している「ふるさと納税」です。 事の始まりは菅総務大臣が連休中に視察先のパリで開催した記者懇談会での発言です。住民税の一部(1割くらいと明言)を、自分の住んでいない自治体に対して納めることができる仕組みを創設する、と発言しました。これを後追いする形で、官房長官や与党幹部が後押し発言をし、「総理の指示があった」という脚色までついて、6月にまとめられる「骨太の方針」に入れることを検討するとのことです。 私は先週、この問題について総務委員会の中で質問しました。「ふるさと」に対して何がしかの恩返しをしたいという気持ちは十分理解できますし、誰にでもそういう気持ちはあるでしょう。しかし住民税というのはそもそも自治体が実施する基本的な住民サービスに対する対価であり、受益と負担の関係が前提となっているものです。自分が住んでいない自治体に納税するとなると、この関係が崩れてしまいます。またどういう条件をもって「ふる さと」を定義するのでしょうか?思いつきで口から出たものとしか思えません。 着眼点は否定しませんが、しかし実際に制度として運用するにはあまりに問題が多すぎる。これが私のふるさと納税に対する考えです。そもそも地域間格差の是正を、都市部などに暮らす市民の善意に頼って図ろうなどという発想が、政府の責任放棄ではないかと私は言いたい。ふるさとに貢献したいという市民の思いを叶えるためであれば、もっと本筋に戻って、税財政改革にまい進すべきだと強く主張するものです。 人口と面積とで配分する「新型交付税」も、鳴り物入りで導入されましたが、その影響の及ぶ範囲は極めて小さいものでした。このふるさと納税なるものも、おそらく、参議院選挙が終われば、小さな話題に降格することでしょう。大山鳴動して鼠1匹。惑わされずに参議院選挙を戦い抜きたいと思います。