***************************** 西村ちなみメールマガジン第128号(2007年5月1日発行) 「集団的自衛権の有権解釈」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ***************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 連休いかがお過ごしでしょうか。私は、事務局長を務めている民主党NGO海外活動推進議連の視察に行く計画も立てていたのですが、参院選の前ということもあって延期することになりました。そのため予定らしい予定もないままのゴールデンウイークを過ごしていますが、たまっていた仕事をしたり、普段できない山歩きをしたりと、少し息を抜いて過ごしています。 さて先日、外交ジャーナリストという方のお話を伺いました。ちょうど安倍総理が米国・中東への訪問に出かける当日です。この通常国会では駆け込みで安倍内閣から日本版NSC(国家安全保障会議)法案が提出されましたが、それに対する意見や、インテリジェンス(情報機関の職員や協力者が行う情報収集、分析、評価、資料作成などのこと)の重要性などについてひとしきりお話された後、話は集団的自衛権に移りました。 ここで集団的自衛権を、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」としておきたいと思います。また有権解釈を、「国家機関による拘束力をもつ解釈」としていきたいと思います。 集団的自衛権については、内閣法制局が「日本は集団的自衛権を保有するが行使しない」という有権解釈を行っており、未だにそれは変更されていません。そもそも内閣の中にある法制局が有権解釈をすること自体が、自作自演のようなおかしな話なのですが(本来、憲法裁判所が存在して、そこで判断されるべきだと考えます)、いずれにしてもそれが日本の有権解釈だとされてきたのです。 安倍総理は、有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を先月25日に発足させました。またこれと平行して、自民党は集団的自衛権に関する特命委員会を27日に発足させました。報道から知る限り、いずれも集団的自衛権の憲法解釈の変更を視野に入れている模様です。これはすなわち、対米外交に対する政府与党の意図をありありと示しています。 集団的自衛権については、よく例え話がされることがあります。ある方は、「私が親密な関係にある女の子と一緒に歩いていて、彼女が暴漢に襲われた。そのときに傍観しているだけで何もしないということはありえない」という例えを話されました。何となく受け入れられそうなこの話、しかし私は何か違和感を覚えました。なぜ「私」が男性で、「一緒に歩いている」のが女の子なのか。仮に「私」が私・西村ちなみなら、体格の良い力瘤のある男性と「一緒に歩いている」こともありうるわけで、もしそのときに彼が暴漢に襲われたら、私は反撃などしないし、できないでしょう。交番に駆け込んで、「あの人を助けてください」と叫ぶと思います。 集団的自衛権の行使について議論することは結構ですが、安易な例え話で行使について道を開くのはいかがかと考えるのです。どうせ想像力を働かせるなら、もっと多角的に考えてみるべきではないか。そんなことを考えながら、憲法記念日を迎えます。