************************************** 西村ちなみメールマガジン第104号(2006年11月6日発行) 「想像力と基本法」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 今週も教育基本法特別委員会が連日開催されることになりそうです。国会周辺では連日連夜、その基本法改正について意思表示をされる方々のデモが行われています。東京はまだ新潟に比べると気温が高く、夜でも窓を開けていますが、シュプレヒコールの声で仕事や来客対応に支障が出るので窓を閉めざるを得ません。夕方はまだ良いのですが、昼間は窓を閉めると温室のようになりとても暑い。私の部屋は南向きです。そろそろ議員会館の建て替えが始まるので、騒音防止のために窓が2重になり、そのため風通しは一層悪くなりました。11月といえばセーターなど毛糸の欲しくなる季節ですが、ここ永田町衆議院第2議員会館404では、厚くて上着を脱がなければならないのです。 先月、環境大臣賞を受賞した新潟の「4万人のごみゼロプロジェクト」関係者数名が、その表彰式のため東京に来られ、議員会館にも立ち寄ってくださいました。「4万人のごみゼロプロジェクト」とは、アルビレックス新潟戦がビッグスワンで行われる度に大量に出るごみを何とか減らそうと、2003年秋から活動を始めた市民団体で、学生さんたちが強力なメンバーとなっています。その後、ビッグスワンでは使い捨てコップに換えて何度も洗って繰り返し使えるリユースコップが使用されるようになったり、ごみの分別もすすみ、ごみ排出量が減ってきているということです。 環境問題は、私たち人類の発想に大きな転換をもたらしました。環境問題が発生する以前は、大量生産、大量消費、大量廃棄を続けてきました。それで一部の人びとは豊かになることができたし、資源は無限と思えるほどありましたから、何の問題もなかったわけです。ところが、地球上の人口が増え、皆が豊かになりたいという欲をもとに行動した結果、いわゆる環境問題は発生しました。地球の温暖化が進めば地表の氷を溶かし、ゼロメートル地帯の新潟をすっぽりと水没させることになるでしょう。ゴミの廃棄業者が身勝手なゴミ投棄を行えば、自然環境の破壊と人間を含む動植物への脅威となりえます。私たちの命と、環境は、一体(運命共同体)である、という見方が必要になったのです。 基本法では前文で「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない」と明記しています。ここから、「日本の教育の基本を確立する」ということにつながってきます。「私」から「地球社会」へという伸びやかなつながりと、「地球社会」の中での「私」というつながりの、二つの方向性が、目に見えるようです。 このところの教育基本法の議論の中では、自者と他者とをはっきりと区分した議論があまりに多いように感じています。上記のように、人類と環境はもはや運命共同体。環境が破壊されれば、そのときには人類もダメージを受けなければなりません。また核兵器の存在する地球上で、ひとたび核兵器が使用されれば、広範囲、長期間、高深度にわたって影響が及ぶことになります。同じような発想で、たとえば同じ社会に暮らしている他民族の人びとが不幸であれば私も不幸だというふうに考えることができるのではないでしょうか。同じ街に暮らしている障がい者にとって暮らしやすい街であれば私にとっても暮らしやすいというふうに考えることができるのではないでしょうか。 自分と他者がいかにつながっているかを考える想像力をもつことは、とても重要だと思います。しかし基本法を議論する国会議員の中に、それがあるかどうか。他者への信頼をあきらめ、自分の確立のみにこだわる教育が行われるとき、日本は国際社会の中で孤立してしまうことになるでしょう。基本法の議論の中に、想像力を注入することを最後まであきらめずにがんばりたいと思います。