************************************** 西村ちなみメールマガジン第96号(2006年9月11日発行) 「都市交通システム」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 人の歩くスペースを塞いで駐輪する自転車。車は商店街の中をスピードを出して走り、そこを横切ろうとした老人はビクビクしながら引き返す・・・これはどこか遠い町の風景ではなく、残念ながら新潟市で日常見られる風景です。障害者の移動の権利などがヨーロッパでは確立されつつありますが、日本では、車椅子の人が電車に乗ろうとすると、予め駅に電話をし、乗る電車を通知して、駅員さんの手を借りて乗らなければならないそうです。まだ人の移動を社会全体が保障するところまでは来ていません。 先日のオープンミーティングでは、新潟の公共交通をどうするかという問題意識で、民主党市議団がヨーロッパへLRTの視察に行ってこられましたので、市議の進直一郎さんから報告をしていただきました。参加者からの発言の時間では、車の運転をやめる高齢者が出てきており、新たな交通システムの確立が急務だという意見や、利便性だけでなくまちづくりの視点で取り組むべきだという意見、また一台に一人しか乗らない車が通る道でたまにバスが通る程度では公共交通はなきに等しい、等々、さまざまな意見や質問をいただきました。 大学時代、他県から来た友人たちが、新潟の公共交通機関の未整備を訴えていたのを思い出します。特に新潟都市圏では一世帯当たりの乗用車保有台数は全国平均(1.09台)を上回り1.43台、それに伴って交通渋滞も激化し、また交通事故も増加しています。SOx、NOxが発生し、環境上の問題が発生していることも見逃せません。新潟市では、移動手段に占める鉄道やバスなど公共交通の割合はわずか5,4%。それ以外では自動車が約70%、残りが二輪車や徒歩などとなっていますが、このように交通手段の偏りが見られることから、バランスをいかにとっていくかという議論をしていくことが喫緊の課題です。ちなみにヨーロッパでは、公共交通の占める割合がだいたい5〜6割だということでした。 これまでの日本の地方都市ではほとんど、郊外へと街が膨張していき、新たな道路や上下水道を建築しなければならなくなり費用も多くかかるという都市開発のパターンでした。最近は、コンパクトシティという新しい考え方が生まれ、生活に必要な範囲の移動は歩いて行ける街をつくるというガイドラインが、国や自治体から示されています。価値判断の問題ですが、このまま車中心の社会を続けていくのかどうか、いろんな角度から考え直していくべきタイミングではないかと思います。 公共交通離れが起きている新潟市の現状では、どの交通機関を使うのかという問題以前に、まずは公共交通が市民の足として認識され、市民から公共交通の世界に戻ってきてもらうという大きな課題があります。公共交通網を新潟都市圏においてどう作り上げるのかという議論を、1日も早く始めるべきだというご意見も、オープンミーティングでは出されました。電車と人が共存したまちづくり(トランジットモール)、路面電車やLRTやバスなど異なる輸送手段の連携については、いろんな組み合わせが考えられますし、運賃や技術など細かな問題は解決し乗り越えられるのではないかと思うのです。政令指定都市目前の新潟市にとって、都市交通システムは最重要の課題といえるのではないでしょう。私も引きつづき皆さんとともに考え、自治体議員とともに行動していきたいと思います。