************************************** 西村ちなみメールマガジン第78号(2006年5月8日発行) 「地方意見が反映される仕組み」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 皆様は連休いかがお過ごしでしたか。私は新潟で比較的ゆっくりと過ごしました。連休が明けてからの国会は、医療制度・共謀罪・米軍再編という大きな課題を前に、穏やかならぬ雰囲気が漂っています。いずれもしっかり取り組んでいく決意です。 この連休中、日本中を忙しく飛び回っているフランス人夫妻がいらっしゃいました。新潟市が姉妹都市交流を古くから続けているフランス・ナント市のジャン=マルク・エロー市長ご夫妻です。日本が大型連休に入るのと同時に来日し、東京に滞在した後に金沢や横浜など地方都市を廻られたのですが、最初に新潟・フランス協会と新潟市の招きで来新してくださいました。今夕はフランス大使の公邸で大使主催の歓迎レセプションがあり、新潟市長とともに再びエロー市長と懇談してまいりました。 彼はフランス社会党に所属する国会議員でもあります。なんと市長と国会議員を兼職しておられるのです。日本の政治システムから考えると、市長と国会議員を兼職するなんてとても考えられないことですが、フランスの下院では、地方自治体の首長を兼任する議員は非常に多いと聞いています。シラク大統領も長くパリ市長と下院議員を兼任してきました。また上院においては、地方議員によって間接的に選ばれる「地方代表の議会」となっています。上院・下院ともに、地方議員との兼職が認められており、大雑把に言って約半数の議員が兼任しています。 フランスは中央集権国家だと言われてきました。しかし、必ずしもそうとは言えないと私は感じています。議員の多くがこのように兼職しているということからも想像できるように、フラン スの地方が、中央における政策決定に多大な影響力をもっているのです。国から地方への財源移転の配分決定には地方代表が参加しており、地方行財政の制度改正にあたっては、地方代表との協議が必ず行われるなど、制度的に中央の政策に対して地方意見が反映される仕組みが整っていると言えます。 ひるがえって日本では、三位一体改革の論議の際、いわゆる地方六団体(全国知事会など、首長、議会が、それぞれのレベルでともに構成している団体の総称)が政策決定に参加できるという形にはなっていませんでした。地方六団体がこれまで幾度となく補助金の削減や交付税改革などを提案してきても、中央省庁はそれらをほぼ黙殺し、縦割りの省益争いで終わってしまっているのです。 またフランス憲法では、地方財政の自主性について、ヨーロッパ地方自治憲章に則って、分権社会における税財政の基本原則がきちんと謳われています。しかし日本では、憲法はおろか、地方自治関連の法律のどこにも、地方自治の何たるかは明記されていません。 エロー市長は、新潟市でのスピーチの中で、他者を認めることの重要性にも言及しておられました。地方議員や首長が国会議員を兼任したりできるフランスの政治システムも、他者を認めることの一つの側面図なのかもしれません。日本で中央政府と地方政府がともに発言権と責任を有して分権を進めることができるようになるのはいつの日か。早く政権交代をしなければならない理由がここにもあります。