************************************** 西村ちなみメールマガジン第77号(2006年5月1日発行) 「米軍再編」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 連休谷間の月曜日、いかがお過ごしでしょうか。 先週28日の金曜日、私は羽田から金沢での講演に向かうため飛行機に乗りました。小松空港を降りて車で金沢市内へ向かい数分とたたないうちに、小松基地からグレーの戦闘機(おそらく訓練機)が轟音を立てて頭上低くを飛んでいきました。小松市内にお住まいの運転手さんによれば、あの騒音だけはいくら年月がたっても慣れるものではない、とのこと。28日に最終合意案が固まったとされる米軍再編によって小松へも沖縄から米軍機の訓練地移転と基地拡張が予定されていますが、地元は反対しているようです。 冷戦が終結し、9.11後の世界ではテロの防止が国際社会の合言葉になりました。今回の米軍再編の背景は、こうしたテロ防止という国際協調の流れと、沖縄の地元負担軽減という地域からの要請があると、一般的には理解されています。新聞の見出しなども「沖縄4基地返還へ」となっています。 しかし事実は報道されているほど単純ではありません。ひとつには、確かに沖縄から米国の海兵隊はグアムへ移転しますが、実際に移転するのはいわば司令部だけであり、犯罪や事故で市民生活を脅かしてきた実践部隊はそのまま残るという点です。沖縄県も普天間代替基地V字滑走路は問題ありとしています。また二つ目には、そのグアムへの移転費用について、日本政府は23日(日本時間24日)、60億9千万ドル(約7100億円)、負担割合にして59%を負担することで合意しました。この数字の内容や法的根拠についてはまったく示されていません。交渉の経緯も不明です。 米軍再編は、昨年10月29日の日米安全保障協議委員会(2+2)で採択された文書がベースとなっています。その2+2文書の主眼は、在日米軍基地・部隊の移転にではなく、日米の軍事力協力の深化にあるのです。基地・部隊の再編も、日米強化を実現するための手段として位置づけられています。新たに日米の共同統合運用調整所が設置される横田基地の再編案には特に注目していかなければならないでしょう。 沖縄から米軍の訓練機能などが移転される関係53自治体のほとんどが「これまで説明がなかった」「騒音や事故などの不安が払拭できない」などと慎重もしくは反対の意向を示しています。中には「戦車に轢かれても命をかけて反対」「ミサイルを撃ち込まれても基地強化を阻止する」と語る市長もいます。こうした米軍再編にかかる経費の日本負担が約3兆円に上ると米国国防省高官が25日に発言。米軍再編の目的の不明瞭さや米国のアジアに関するインテリジェンスの欠如、日本に対する米国の意識も浮き彫りになったと思います。 日本はすでに在日米軍駐留経費の74.5%を負担していますが(2002年の数字)これは米軍が駐留する国の中でもっとも高い負担率です。これらの負担をどう国民に説明するのか、また日本の安全保障を確保する観点からどういう現状認識に立ち、どういう判断で米国の戦略に協力しているのか、長期的に日本はどのようにアジア地域安全保障を組み立てていくのか。どの問に対しても政府は何一つ答えていません。 28日、折りしもこの日は横田めぐみさんのお母様、横田早紀江さんが米国大統領と面談した日であり、前日の米国議会公聴会での意見陳述に加えて、夜のニュースはこの話題で持ちきりでした。横田さんの演説に米国議員が涙した映像が印象的でした。 28日、この日はまた、新発田市と上越市に駐屯する陸上自衛隊の部隊に、イラク・サマワへの第10次イラク復興支援群に編成・派遣命令が出されました。とうとう新潟県からもイラクへ自衛隊員を出すことになります。 都合のいい時だけつきあうのが、本当の友人関係でしょうか。外交は国と国との関係ではありますが、最後は人と人との関係なのです。信頼できる外交関係を、日本が、他国と結ぶことができるのはいつの日か。すでにポスト小泉にシフトしている諸外国の外交が、小泉外交の失敗を如実に表しています。