************************************** 西村ちなみメールマガジン第71号(2006年3月20日発行) 「競争激化社会へまっしぐら」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先週私は厚生労働委員会に出席し、政府が提出している児童手当法の一部改正を含む国庫補助負担金の整理合理化に関する法案についての質問と、民主党が提出し私も提案者の一人となっている子ども手当法案についての質問への答弁を行ってきました。この日の様子と子ども手当法案の内容はブログでもお知らせしていますのでご覧ください。 立法府である国会の一員として、法案提出は重要な仕事の一つです。しかし野党にとってはこれが大仕事。与党には巨大な官僚組織がバックにありますが、野党には自前の政策調査会などがあるだけです。立法のための膨大な調査活動やバックデータなどが十分にそろっているとはなかなか言えません。しかし、生活者・納税者・消費者の視点から政府提案を見たとき、官僚組織の中からは決して見えることのない多くの論点や課題が浮かび上がってきます。それらを整理し、質問などをしていく中で、どうしても必要と思うときには法律案を作って国会に提出することになります。 これまでもしばしばあったことですが、野党が提案する政策は、数年経つとしっかりと与党の政策として「パクられ」てしまいます。国会での質問を見ていても、野党議員は法案の問題点を独自の視点からしっかりと追及し、あるべき論を主張しますが、与党議員は法案提出までの過程で政府とのすり合わせが終わっていると言いつつ、鋭く質問することはほとんどありません。 やはり大切なのは、政党ごとの政策軸の違いです。ここのところ政府与党は、経済原理・企業原理を公共サービス分野にも導入して、勝ち組と負け組を明確に分け、みんなをがんばらせる、みんなを闘わせる、そのような方向で日本の政治を引っ張っていこうとしているように見えます。これは一例ですが、先週予算案について審議が行われたNHKについて、受信料を払っている人だけがNHKの番組を見ることができるというスクランブル放送の導入を、竹中総務大臣が設置した私的懇談会が提案しました。民主党では、通信と放送の融合勉強会でこの点について議論中ですが、払っている人だけが見ることができる公共放送などありえない、公共サービスの分野においても負担と受益の関係をより明確にしようという方向性は違うのではないか、という見方をしています。 かつての自民党は、古き良き時代を生き、増え続ける人口を背景に政府の歳出歳入規模の大きさに物を言わせてそれを再分配するという政治を行ってきました。ところが人口減少社会に入り、そのスタイルが通用しないと見るや否や、今度は方向を180度転換して、小泉総理を先頭に競争激化社会へまっしぐら、です。しかしそれでうまくいくのでしょうか。希望格差社会と呼ばれる現状、過疎化が進む農産漁村、シャッターを閉める商店街の姿などが、この政策の失敗を証明しているとは言えないでしょうか。 かつてのような利益分配政治でもない、かといって競争激化社会でもない、新たな政治のキーワードを、私たちは探していきます。自民党と民主党の政策の明確な違いは、そこに存在すると思います。