************************************** 西村ちなみメールマガジン第70号(2006年3月13日発行) 「道州制と地方分権」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 先日のオープンミーティングでも取り上げましたが、2月28日に首相の諮問機関である地方制度調査会が道州制について答申しました。 (答申はウェブ上で[url=http://www.soumu.go.jp/singi/pdf/No28_tousin_060228.pdf]http://www.soumu.go.jp/singi/pdf/No28_tousin_060228.pdf[/url])市町村合併が進み、県境を越える地域課題が増えてきている今、都道府県制度では限界が生じているとしたうえで、「道州制の導入が適当と考えられる」としたものです。答申では、道州制に移行する場合の区域例3例が新聞などで図示されており、ここまで話が具体化しているのか、と驚かれた方も多いのではないかと思います。 答申では、道州制の基本的な制度設計として、いくつかの都道府県をあわせた単位を基本とすること、必要な経過期間を設けた上で同時に移行すること、議会と長をおくこと、道州が担う事務は何か、などなど具体的な事柄が書かれています。現在、国会では、北海道を道州制の先行モデルとして移行させるという法案が提出されるかどうか議論されているところであり、そうした雰囲気の中で字面だけ追っていくと、明日にでも道州制に移行しそうな答申となっています。 ところがこの答申には、肝心のことが書かれていません。立法権と課税権をどうするのか、という問題です。諸外国の制度はどうなっているのでしょうか。たとえば米国に見られるような連邦制、つまり道州に国家のそれを凌ぐほどの立法権や課税権などを付与した強い道州を目指すのか、あるいは欧州で見られるような弱い道州を目指すのか。道州制は、単なる都道府県の合併とは異なります。立法権と課税権の議論は避けて通れないはずですが、答申では全くありません。 しかも3つの区域例は、各府省の地方支分部局に着目して作られたということですが、どの案でも沖縄県は単体の道州としておかれています。これはすなわち、沖縄県は単体の道州として存在しうるし、しかも権限も付与することができるということを意味します。これは今の都道府県制度であっても、「道州制の下で道州が担う事務」をすべての都道府県に移譲できるということを意味するのではないでしょうか。 答申では「権限移譲や地方税財政制度の改革が、道州制の導入に向けた検討を理由として遅れることのないようにしなければならない」と記しています。私も全くその通りだと思います。分権改革は、道州制を導入しなくともできることがたくさんあります。現状では、道州制への移行はまだまだ机上の空論レベルに過ぎません。しかしこの議論をきっかけとして地方分権への取り組みがさらにすすみ、地方での意識改革も起こる可能性があることに賭けてみたいと思います。 さて、新潟はどうすべきでしょうか?私は、道州制への移行は、立法権と課税権のあり方や道州制の役割が明確になったときには、うつることができる地域から移行するという流れで良いのではないかと考えています。現在、九州や東北3県で広域的な取り組みがいくつか行われており、そうしたところは話し合いの蓄積があるでしょうから、縁談はまとまりやすいものと思われます。そのときに新潟はどうするか。北陸にもなり、北関東信越にもなりえます。各府省の地方支分部局やエネルギーに着目すれば信越もあるし東北もある、などなど、極めて柔軟性の高い地域であると言えます。逆にいえば、どこにも属さない危険性もあるということです。 私は、新潟のこれまでの歴史と日本の今後の発展を考えるとき、新潟は関東地方への依存を断ち切り、日本海と対岸地域に目を向けて新しい地域づくりのモデルを構築するべきだと考えています。そのためにどんな道州が良いかと聞かれれば、北陸、ないしは新潟プラス内陸ということでしょうか。皆さんのご意見もお聞かせください。