************************************** 西村ちなみメールマガジン第67号(2006年2月20日発行) 「子どもたちを守る」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村ちなみです。 身近にあった話をひとつ。ある夫婦は孫が通う小学校の近くを車で通りかかりました。孫の運動会や文化祭などでたびたび訪れてきた馴染みのある小学校です。するとグラウンドに孫のクラスが全員出ていて何やらやっている様子。いつもお世話になっている担任の先生の顔も見えます。その日、防犯用にブザーが配布され、皆でそれを使う練習をしていたのでした。何をやっているんだろうね、と車を降りてグラウンドへ近寄った二人に子どもたちからかけられた言葉は「不審者だ!」。 ここのところ子どもたちが対象となる事件が多発しています。昨年末は下校中の事件が相次いで発生し、先週は幼稚園児二人が亡くなる事件が発生しました。民主党は、まずは登下校中の子どもたちの安全を確保する観点から、「学校安全対策基本法案」を準備し、この通常国会での提出を目指して作業中でした。学習塾での事件が発生したことから、この基本法案の中に在校中あるいは登下校時に限定せず公共的施設や塾などを含めるべきかどうかをずいぶん議論したのですが、範囲の特定が困難なため、まずは学校の安全を確保するということを最優先にしたところです。 法案の作成にあたって、子どもが移動する範囲の特定が可能かどうかをめぐって、子どもの寄り道まで規制するのかということもずいぶん議論しました。ちなみに、学校と幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、学習塾は経済産業省と、所管もすべて異なります。子どもたちの安全確保は、そもそも私たち大人、地域社会の共通の願いです。ですが、現実に事件は発生してしまいました。そして今回の事件では、事件の加害者が保護者であるという信じたくない事態になっています。 あらためてこの国の社会が歪んでいることを考えさせられました。私は今回の事件について、断片的に報道されている事柄をつなぎ合わせて考えるのみですが、身のよじれるような思いで、直感的に、次のようなことを考えています。今回の事件は、日本社会の中での無言の圧力が、反動として、象徴的に現れてしまったのではないか、と。子育てのプレッシャー、携帯電話などが作り出すきわめて近距離的な人間関係とそこから疎外される孤独感、増えている外国人在住者に対する不寛容、日本ではこれらが増大しているのだというあまりにも強烈なサインを、私は受け止める必要があると感じています。 今回の事件の背景や動機については、早急に分析がなされなければなりません。そして私たちが本当に子どもたちの安全を確保するためにはどんな社会にしなければならないのか、その処方箋を、1日も早く書きたいと考えています。 私なりに答えはもっています。希望する誰もが安心して子どもを産み育てることのできる環境づくり、たとえ一本の綱が切れても別の綱で社会とつながっていることのできるネットワークづくり、そして外国人を疎外せず打ち解け合い多様性を認め合う文化づくり。いずれも一朝一夕で実現することが難しい課題ではありますが、現実に出てくる問題に対応しているだけでは、結局のところ本質的な解決にはつながりません。 民主党が「安全国会」と位置づけている今回の通常国会。本質的な議論に迫っていきたいと思います。