************************************** 西村ちなみメールマガジン第63号(2006年1月23日発行) 「安全国会 vs 行革国会」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週の金曜日からいよいよ第164通常国会が開会しました。総理を含めて四大臣の施政方針演説が行われ、引き続いて今日からは各党代表者による代表質問で本格的な論戦のスタートです。今日はその一部をお伝えしたいと思います。 まず金曜日の施政方針演説ですが、総理は「政府の規模を大胆に縮減するには」と前置きして、「行政改革推進法案を今国会に提出」すると述べました。ところがその前後に、なぜ政府の規模を大胆に縮減する必要があるのかという理由と、政府の規模を大胆に縮減したあと、どういう社会にしていきたいのかという将来像が、まったく欠落しています。 代わって演説では、痛くない注射針を開発した従業員6名の町工場、EU・アメリカ・韓国へ販路を拡大した北海道と青森県のホタテ加工業者、欧米諸国で日本食を広めている料理人、フランスでワイン醸造を始めた女性、廃業寸前の造り酒屋を再建し町おこしに貢献した外国人、朝青龍や琴欧州の外国人力士、大リーガーとして立派な成績を上げている野茂、イチロー、松井、井口選手などが、小泉総理の政治との関連性がまったく見あたらないのに紹介されました。 政策とは無関係な事柄の羅列とは対照的に、マンションやホテルなどの耐震強度偽装問題についての言及はわずか3行。ライブドアグループの証券取引法違反容疑に関しては一言もありませんでした。アメリカ産牛肉の輸入を再開したと総理は誇らしげに演説しましたが、その日の夜に背骨が混入していることがサンプリング検査で分かり、輸入は停止されました。安心して暮らすことができる社会をつくることが政治の役割なのに、その安心をどう作るのかという基本的なメッセージがどこにも見あたらないのです。 平成17年6月の『国民生活に関する世論調査』において、日常生活で悩みや不安を感じている人は66.4%に達しました。また一昨年の調査では日本が安全・安心な国でなくなったと考える理由の第一位に少年非行、ひきこもり、自殺など社会問題の多発、第二位に犯罪が多いなど治安が悪いとなっていますが、第三位で雇用や年金など経済的な見通しが立てにくいというものです。経済的危機がとうとう社会的危機に飛び火してしまったと説く識者がおられますが、私も全く同感です。社会崩壊につながる地殻変動が起きつつあることを多くの方々は実感しておられるのではないでしょうか。 こうした時期に必要なのは、「やればできる」という勝ち組の論理ではありません。政策的には、医療や年金、介護など社会保障制度の将来見通しと生活者本位・患者本位であることをしっかりと示すなど、安全に社会生活を送ることができるという安心感を社会に満たすための仕組みを作ることです。そのために医療制度の抜本改革などについて徹底的に論議していく必要があります。 都合の悪いことは頬被りをするという自民党の姿勢も問題です。ライブドアの堀江氏は、昨年は自民党から持てはやされ、総選挙に立候補して武部幹事長などの応援を受けました。人気があれば誰でもいい、人が集まるのであれば使い捨てできる案山子(かかし)でもいい。そんな自民党内の本音が、今回のライブドアグループによる証券取引法違反容疑に関する自民党の無反応ぶりから伺えます。このような日々のニュースが新聞やテレビから流されることで、この国の社会規範が徐々に危機にさらされているのではないかという懸念があります。 民主党はこの国会を「安全国会」と位置づけ、徹底的な論戦を挑みます。政府・与党は「行革国会」とするのだそうです。「この国会が終わるとき、少しでも将来の希望が見いだせるようにしていかなければ」と、通常国会の冒頭、改めて決意しています。