************************************** 西村ちなみメールマガジン第58号(2005年12月12日発行) 「男女雇用機会均等法の改正にむけて」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 限られた空間の中で、皆が公平にお金持ちになるにはどうしたらいいでしょうか?空から飛行機がやってきて、お札をばらばら撒き、それを公平に分配すれば、皆がお金持ちにはなります。しかし現実的にそんなことはありえません。経済は閉じています。それではある人がお金持ちになろうと、物を買わないなどの節約をするとしましょう。そうすると、それは別の人の所得が減少することにつながり、それが他の人の商品を買わないなどにつながって、最後は再び自分のところに返ってくることになります。日本経済というひとつの系に、近年はグローバリゼーションなどによって多くの経済の系が密接にかかわるようになりました。ナショナル・エコノミーは今や野放しになっているといえるのではないでしょうか。 さて私は今、来年年明けの通常国会で内閣が提出を予定している、男女雇用機会均等法の改正に向けて、民主党内での論点整理に取り組んでいます。この改正においては、おおまかにいって3つの争点があります。第1に、男女間の雇用における差別をどう定義づけるかという点。間接差別という言葉が国際的には定着しており、日本では法の未整備により判例などはまだ数少ないのですが、コース別管理などによって結果として性差別となっている事例などをなくすことを目的としています。第2に、セクシュアルハラスメントの防止策を強化するという点。ドメスティックバイオレンスやストーカーなど家庭や地域で性暴力を禁止する法律は整備されましたが、職場での性暴力を対象とした法律は十分とはいえません。この間、数回にわたって、超党派議員で当事者からの貴重なお話を聞きましたが、おもわず涙される当事者の方々の姿に、法整備を急がなければと改めて感じました。第3に、男性女性を問わず、すべての労働者が仕事と生活を両立できるような働き方とするよう、男性も含めて働き方を見直すという点。男女雇用機会均等法そのものは、成立してから約20年、関係者の間からは、「結局のところ均等法は女性にも長時間働く男性と同じくらい働くことを強要してきた」という声が聞かれるところです。誰もが仕事と生活のバランスのとれた働き方ができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えています。 こうした均等法の改正にともなって、もうひとつ、たいへん重要な問題があります。それは、パートや有期契約社員や派遣社員やアルバイトなどとさまざまな呼び方をされる、いわゆる非典型労働者の働き方と賃金です。今年に入って日本は、OECDレポートの中で、1世帯あたりの平均所得(476万円)の半分以下しか稼げない世帯が15%を超え、(可処分所得の中央値の50%以下の所得しかない人の割合を貧困率と呼ぶのは、国際比較などでよく用いられます)この10年間で2倍に増えており、伸び率は他の国でも比類なきレベル。日本では、かつてないほどに貧富の格差が拡がってきているのです。 拡がる格差、拡大する国際経済。日本はどうしたらいいのでしょうか。引き続き来週考えてみます。