************************************** 西村ちなみメールマガジン第52号(2005年10月31日発行) 「牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 牛肉輸入と沖縄基地と内閣改造。今日は同じ日にニュースになっただけで全く関連がなさそうなこの3つのテーマを、考えてみたいと思います。 第1に米国産牛肉輸入再開です。食品安全委員会プリオン専門調査会が今日の昼ごろ開催され、輸入が止まっている米国産とカナダ産の牛肉の安全性について、「危険部位を除去するなどの条件を守ればリスクの差は非常に小さい」とする答申原案をまとめました。これによって近い時期に米国産輸入が再開される可能性は非常に高くなったといえます。もともとBSEに関連して牛肉の安全性について議論する主体が、日本の政府内には、3つ存在します。ひとつ目は農林水産省、ふたつ目は厚生労働省、そしてみっつ目が内閣府に設置されている食品安全委員会です。農水省も厚労省も、それぞれにリスクコミュニケーション(市民・企業・行政など、利害関係を持つ者が行うコミュニケーション)などを行ってきたのですが、だんだん内閣府の食品安全委員会のウエイトが大きくなってきた感があります。食品安全委員会が今日出した答申によって、結果として12月の米国大統領の訪日前後に牛肉の輸入再開が可能となりました。しかし問題は、米国産牛肉の年齢把握や飼料管理の甘さなどに見られるように、政府の求めようとしている「条件」がきちんと守られるかどうかです。食の安心安全を守る見地から、拙速な輸入再開は認められません。 第2に沖縄基地移設問題です。日米両政府が先週まとめた米軍普天間飛行場の移設案ですが、今日、提案への対応を聞くため、沖縄県庁を防衛施設庁の長官が訪問しましたところ、沖縄県知事は提案を拒否する意向を示しました。日米両政府の閣僚がそろって記者会見し、地元からも理解が得られると自信を示していた案ですが、地元住民および知事の受け止めは当初からたいへん厳しかったようです。今後も政府は「地元の理解を得る」ために説得を重ねるのでしょうが、そのめどは立っていません。 第3に小泉第3次改造内閣です。人選についてここで述べるつもりはありませんが、問題は特別国会が閉会する前日に改造が行われたということです。明日の本会議は閉会中審査のための手続きをするだけで、短時間で閉会します。そのときには新しい内閣ができあがっているわけですが、新しい大臣は国会で所信も語らないまま年明けの通常国会まで業務を行うことになります。記者会見をしたからそれで済むという話ではありません。 いずれにしても今晩と明朝は、おそらく新しい内閣の顔ぶれに関するニュースで持ちきりになることでしょう。そのニュースの陰にかくれて、本来であればトップニュースになるはずの第1のニュース、第2のニュースは、おそらく小さな取り扱いになることと思います。しかし、牛肉輸入や沖縄基地の問題こそ、みなさんとともに考えるべき課題であることを思うとき、なぜ同じ日に3つの出来事が生じるのか、まったく不思議でなりません。 新聞やテレビニュースのトップ記事だけを見ていると、時に大事なテーマを見落としてしまうことになります。これからも情報を丁寧に拾い上げ、真理は何かを見極めようとする姿勢で、活動していきたいと考えています。