************************************** 西村ちなみメールマガジン第48号(2005年10月3日発行) 「少子化 パート4」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんばんは。衆議院議員の西村智奈美です。 朝夕はめっきり涼しくなり、日ごとに秋の気配が深まってくるのを感じます。食欲の秋、読書の秋、思索の秋。みなさんにとって今年はどんな秋をお迎えでしょうか。 さて今週は少子化パート4として、若者の就労と併せて書いてみたいと思います。最近、若い世代の雇用形態や収入の違いが、少子化と関連しているという観測が、多くの識者から聞かれるようになりました。実際に少子化につながる晩婚化・未婚化と、若者の就労問題は切り離して考えられないとする指摘もあるほどです。 「少子化と若者の就労が関連している」とは、実際にどういうことなのでしょうか。たとえば若い男性についてのデータでみると、25〜29歳では、年収500万円以上ある人で半数以上が結婚していますが、パートや派遣など非正規雇用者では結婚している人が15%にとどまっているという状況です。また、結婚している人の割合を年収別で見た場合、「高収入層ほど結婚している人の割合が高くなる」という傾向が顕著に現れます。 結婚も出産も子育てもしたことのない若者たちも、結婚や出産や子育てにはある程度のお金がかかる、ということは知っています。お金がすべてではないとしても、将来設計を立てることができなければ、なかなか結婚や出産、子育てに踏み切ることが難しい時代。若者の就労は、少子化を考える上でも欠かすことのできない重要な視点のひとつになっています。 政府の「少子化社会対策大綱」では、そうした視点から、若者の就労支援に取り組むことが打ち出されています。結婚したい、子どもをもちたい、という若者の気持ちを応援するためにも、就労支援はとても重要な政策テーマになっています。 民主党では仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しを進めることを主張し、育児休業制度を男性労働者もとりやすい仕組みへと改めていくことを提案してきました。「仕事か、家庭か」という二者択一は、私たちの生活からうるおいと楽しみを奪うものです。何かを得るために何かを犠牲にする。そうした思考回路に、私たちは知らず知らずのうちに慣らされてきてしまったようにも感じます。 これからは、多様なライフスタイルが存在することをお互いに認め合い、誰もが自分にあった生活を選択することのできる社会でなければなりません。そのために社会保障制度などは、誰にでも公平で将来への安心が約束される安定したものであることが必要です。つまづいたとき、失敗したときにも、立ち上がり、再びチャレンジすることができる。そういう温かい社会であってはじめて、私たちは将来への夢を育むことができるのではないでしょうか。 今、日本の政治は、圧倒的な多数を占める与党の力をバックに、小泉総理がやるといえばやる、やらないといえばやらない、そんな「強者の論理」の政治になっています。しかし私たち国会議員が本当に目を向けなければいけない現実は、「強者」の中ではなく、むしろ力の弱い人たち、声を発するだけの力すらも持てない人たちの中にこそ、あるのではないでしょうか。少子化問題を議論するときにも、生活者の側に立った発言を確保していくことが、ますます重要になってくると考えています。