************************************** 西村ちなみメールマガジン第39号(2005年8月1日発行) 「少子化 パート3」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 暑い夏です。最終盤の国会も、参議院での郵政法案の可否をめぐり、マスコミに煽られてさらにヒートアップしています。郵政法案のほかにもたくさん法案はあるのですが、郵政特別委員会にとられっぱなしになっている閣僚を、答弁者として委員会に呼ぶことができません。そのため審議が始まらない、ないしは中途のまま、今通常国会では廃案になる法案も、少なくありません。郵政法案が提出されて以降、実に長い政治空白の期間に入っています。 さて今日は少子化問題の3回目。今日は、子どもをもつこと・育てることについての意識の問題について、書いてみたいと思います。 『少子化社会白書』では、結婚している夫婦へのアンケート調査から、平均理想子ども数と平均予定子ども数(ないしは現在子ども数)との間に、差があることを指摘しています。簡単に表現してしまうと、持ちたいと思う子どもの数は3人、しかし実際の子どもの数は2人、という結果になっています。ここから、若い世代も子どもをほしいと思っているのだけれど、なんらかの事情からそれをあきらめてしまっている、という現状が浮かび上がってきます。 理想の子ども数をなぜもたないのか、その理由については、子育てや教育にお金がかかりすぎるから、高齢で生むのはいやだから、これ以上育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから、子どもがのびのび育つ社会環境ではないから、など、概して言えば子育ての負担感を感じていることが浮かび上がっています。こうした子育ての負担感を取り除くことは、児童虐待の防止にもつながると考えられています。「育児の社会化」は地域社会にとって共通した課題といえるでしょう。 また、初めて子どもを出産した母親は、出産前に仕事をもっていた人でも出産後には7割の人が無職となっています。「出産・育児か、あるいは仕事か」という選択は、これまで、雇用慣行の中で特に女性に迫られてきました。しかし、女性の就業率が高い国ほど出生率が高いということが国際比較研究から明らかになっており、子どもと仕事はトレードオフの関係(どちらか一方をとったときに、他方をあきらめる関係)ではありません。出産・育児と仕事の両立が可能となるような、保育支援・育児休業の取得促進・勤務時間の短縮・再就職促進等の雇用システムをつくりあげていくことが必要でしょう。 さらにいえば、男性も含めて、働き方の見直しを進めることが必要と思います。厳しい企業間競争の中で、夜遅くまで会社に残っているサラリーマン。健康も心配ですが、育児の負担感も相当なものと思います。子育ての負担感の軽減のために、また両親がともに育児をすすめるために、仕事と家庭のバランスのとれた生活を目指すことも大切でしょう。まだまだ取得率が1%未満と低い男性の育児休業取得を促進する育児休業法改正案を、民主党は提案しています。 また、晩婚化・非婚化の傾向は、ここのところますます進展しています。結婚して家庭をつくる→子どもをもつという人生設計が定着した日本においては、諸外国に比して婚外子も少ないので、晩婚化・非婚化が直接少子化の流れを加速することになります。目を転じれば、若い世代の人口妊娠中絶の件数はここ数年でかなりの数に達しており、看過することのできない社会問題となっています。 こうした点に着目した、具体的な政策提案はまだありませんが、適切な時期に検討すべき課題であるように思えてなりません。いずれにしても、労働時間やパート労働などの問題を含めた男性と女性の働き方の見直し、仕事と家事のバランスのとれた生活、職業の有無を問わず希望する人が誰でも受けることのできる子育て支援サービス、小児医療体制、児童虐待対策などは、少子化対応のひとつである育児の負担感を軽減するものとして取り組まなければいけないことだと思います。 次回は、少子化問題と若者の就労について考えてみます。