************************************** 西村ちなみメールマガジン第33号(2005年6月20日発行) 「55日間の延長」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 国会は金曜日の本会議で55日間の会期延長が決まりました。採決のために開かれた本会議場には、飲酒して赤い顔になっている与党議員が、私の目から見て少なくとも数名いましたが、議長からは何の注意もなく、記名採決が行われてしまいました。大変、情けない話です。 そもそも通常国会の会期は、国会法第5条により、150日間と定められています。ですから法案を提出しようとする内閣あるいは議員は、残り会期を勘案しつつ、法案の審議時間が十分とれるように配慮して、法案提出時期を決めなければならないのです。ところが郵政民営化法案は、3月中に提出される予定が、与党所属のいわゆる郵政族と呼ばれる議員の猛反発に遭い、協議および提出のための合意を行うために、法案提出が1ヶ月遅れました。その遅れを取り戻すために、会期の延長がどうしても必要だったということでしょう。この通常国会の延長は、どう考えても、郵政民営化法案を通過させるためだけのもの。決して自民党の郵政族に組するものではありませんが、今回の法案はあまりにも滅茶苦茶です。小泉内閣の任期が来年秋に迫ってきているからと、自分の都合だけで、時代遅れの政策にこだわり、法案成立に向けてごり押しする小泉総理の認識が、私には理解できません。 小泉内閣が始まって5年。この間、日本では、所得の格差は広がり、ニートやフリーターは増え続け、自殺者も減少の兆しはなく、少子化対策が喫緊の課題といわれながらも手付かずのままで、財政赤字も増えました。国民からの人気はあっても事態を悪化させてきたのが小泉内閣です。郵政民営化を「改革の本丸」とこだわり続けている間に、社会は少しずつ崩壊してきています。10年後、20年後の社会の有り様をしっかりとデザインし、それに向けて1日も早く制度システムの再構築に着手しなければなりません。しかし現政権は、自らのせいでこんがらがってしまった問題すら棚上げ・先送りして、そしてたいていは「私はやっている」と嘯いて、解決のための努力をしないままです。総理および総理人気に乗るだけの与党に対して、大きな怒りを覚えます。 ところで法案一つが採択されるまでには、いくつかのプロセスを経なければいけません。衆議院では、①法案の趣旨説明→②本会議質問→③委員会審議→④公聴会→⑤委員会採決→⑥本会議採決→参議院へ、と、ざっと思いつくだけでもこのような手順を踏むことになります。②と④は、省略することもできます。現在、③の委員会審議を最低100時間やろうという理事会での合意のもと、5合目くらいまでは質疑が進められてきたでしょうか。また今回、④公聴会の一環として、新潟県内で地方公聴会が行われることになりました。長岡市で開催することを軸に理事会で調整中とのことです。 与党内での法案修正も含みを残しているようですので、いつ、どのような形で採決が行われるのか、法案の行方は見通しが立ちません。しかも小泉総理は自民党議員に対して解散カードと公認カードを、また公明党は推薦カードを、それぞれちらつかせています。6月24日は東京都議会議員選挙が告示となります。都議選のある年は国会延長はないという、これまでの定式を破って国会延長が決まりました。何があっても、対応できるようにしておかなければ、と思います。 先週もほとんど第1委員会室にカンヅメになっており、金曜日の夜も新潟に帰ることができずに、東京に滞在しました。土曜日の早朝ようやく、新潟へ帰ってくることができましたが、この日は新潟市内も天気が良く、夕方、事務所から自宅へ帰る道を少し遠回りして関屋浜に立ち寄りました。真っ赤な夕日がちょうど海の上の霞に溶けこもうとしているところで、波の音を聞きながら、烏賊釣り漁船の灯かりと夕日を交互に眺めました。防波堤の上には、釣りをする人、並んで座って海を見ているカップル、手を繋いで歩く家族連れ・・・たった数分間の寄り道でしたが、すべての生のすばらしさに心から感謝しました。新潟の街と人からエネルギーをもらい、また今週も、国会でがんばってきます。