************************************** 西村ちなみメールマガジン第28号(2005年5月16日発行) 「すべての人が支えるべき政策分野」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 「障害者自立支援法」という法案が国会に提出され、先月末から衆議院で審議がはじまりました。この法案について、国会周辺では、廃案を求める声、改正を求める声、慎重審議を求める声、程度の差こそあれ法案を問題視するさまざまな市民団体・当事者団体などが、連日、抗議行動や集会を行っています。これほど多くの行動が展開されるのは、昨年の年金制度改正法以来。法案の中身および提出のプロセスに重大な問題点があることの表れといえましょう。 話は昨年10月にさかのぼります。厚生労働省が突如、「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン)」を発表しました。国連では現在、障害者権利条約制定に向けて急ピッチで議論が進められていますが、ここでNGOなどが「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing about us, without us)」というスローガンを繰り返し訴えています。政策決定の際には、当事者の意見を十分聴取するなど、市民と政府との協働が重要だという認識は、いまや国際的な常識となっています。ところがこのグランドデザイン策定は、当事者への協議や説明が不十分なまま行われ、内容そのものが荒削りであったこともあり、大きな戸惑いと不安を生じさせることとなりました。そのグランドデザインの具体化として、今通常国会に提出されたのが、「障害者自立支援法案」です。 この法案の第一の問題点は、「応益負担」の導入です。2003年4月からスタートした支援費制度は、サービス使用量の増加を見誤ったことなどにより、大きな赤字を生み出してきました。厚生労働省は、このことに対する評価をきちんと行わないまま、予算不足の現状だけをクローズアップしています。そしてこれまでは所得に応じて利用料の支払額が決まる応能負担の原則であったところ、利用するサービス量に応じて原則1割を負担する応益負担の導入が法案に盛り込まれました。 障害者の雇用促進は、法律によって目標数値が定められ、企業などへも努力義務が課せられてはいますが、実際に改善はなかなか進んでいません。また障害の重い人ほどよりサービスを必要とするという現実もあります。そうした中で、応益負担を導入すれば、受けるサービスを削らざるを得ない人も出てくるでしょう。そのため障害の重い人たちからは悲鳴にも近い声が上がっており、国会の内外からも障害者施策としては不適切な制度なのではないかという批判が強まっています。 現在グループホームで生活している人たちが、この法案が施行されるときには、障害の程度に応じて入居施設がふるい分けられることになるという点も問題です。グループホームは、障害者の方々や高齢者の方々にとって、より自分の家らしく過ごすことのできる地域の拠点として、各地で定着してきました。ひとつのグループホームに障害の程度がさまざまな方々が、一緒に生活しているところもあります。ところが法案では、障害の程度によって、軽度障害はグループホーム、重度障害はケアホームと、住むところが分けられてしまうのです。住み慣れたグループホームを出なければいけない方々が出てくる可能性があります。 今回の法案においては、知的障害・身体障害・精神障害の枠にとらわれず、また障害をもつ児童を加えて、障害者施策がひとつの制度・法律の中で統合されることになります。そのことについては、私たち民主党も主張してきたことであり、評価したいと思いますが、上記のほかさまざまな問題点があり、すんなりと審議し通過させるということはできないでしょう。法案に反対するか修正を求めるか、今後の議論にゆだねられることになります。 障害者施策は、当事者のためだけのものではありません。障害者が暮らしやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい社会であるはずです。また、今は健康でも、いつ何時、事故などにあって障害者にならないとも限りません。すべての人が支えるべき政策分野です。ぜひ皆さんからも関心をもっていただき、ご意見をお寄せいただきたく存じます。 ******************************* 民主党では「住民基本台帳法」一部改正案について皆さんからの意見募集(パブリックコメント)を行っています。住民基本台帳は、現在、原則公開とされており、誰でも大量閲覧が可能な状況となっています。しかしこの大量閲覧により、ダイレクトメール等が送られてくるという苦情や、プライバシー侵害の不安が、急速に広がっています。また住民基本台帳を閲覧して母子家庭を探し出し、わいせつ行為に及ぶという卑劣な事件が発生しました。こうした危機的事態をうけ、民主党では、原則公開となっている現在の住民基本台帳法を、原則非公開とし、公益目的のものであっても相当な理由がない限り非公開とするため、改正案を準備しています。みなさんからのご意見やご提案をお待ちしております。 民主党「住民基本台帳法一部改正案」へのパブリックコメント募集 期間 2005年5月9日から5月23日まで 方法 電子メール・郵送で受付 ・電子メール public@dpj.or.jp ・郵送(あて先)100−8981東京都千代田区永田町2−2−1衆議院第1議員会館 民主党政策調査会 住民基本台帳法パブリックコメント担当