************************************** 西村ちなみメールマガジン第27号(2005年5月9日発行) 「国境のない問題」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 私は4日から公務でモンゴル国ウランバートルを訪問し、きょう戻ってきたところです。モンゴルは最高気温10度前後で湿度も低い国でした。成田で帰りの飛行機から降り立つと湿った空気が体にまとわりついてきました。あらためて日本の湿潤な気候を再認識したところです。 今回の訪問は、民主党を代表する公式訪問団として、衆議院議員の枝野幸男さん、参議院議員の福山哲郎さんと私の3人が派遣されたものです。3年前、モンゴルのバルスボルド自然環境大臣が日本にこられた際にモンゴルの環境問題の深刻さについて民主党で訴えられ、それを受け止めた民主党が当時ネクスト環境大臣だった衆議院議員の小宮山洋子さんを団長とする訪問団を派遣したのがモンゴルと民主党の交流のきっかけになったとのこと。呼びかけに応じて民主党所属議員全員が一人1日分の歳費をモンゴルの自然環境保全のための植林活動に寄付したそうです。元衆議院議員で現在は環境NGOの活動のため一年の半分をモンゴルで過ごすという高見裕一さんがご尽力くださり、交流はさらに厚みを増してきました。 昨年12月、バルスボルド大臣が再度来日され、民主党議員有志との交流会がもたれましたが、その席上、5月に大臣が私たち3人を招待してくださることになったのです。 スケジュールはたいへん過密でした。多くの方々とお会いし率直な意見交換をすることができたばかりでなく、実際に活動する現場を観察させていただくこともできました。また若い人たちとの交流の場を2度つくっていただいたのも貴重な体験でした。目をきらきらさせながら私たちに質問をぶつけてくる姿勢には、本当に学ぶことが多いと感じます。 モンゴルでは環境はきわめて重要な問題です。温暖化の影響は、海面の上昇に伴い水没の危機にさらされているツバルのような小さな島ばかりではなく、水資源がおおきく左右するモンゴルのような内陸国にも、およんでいます。このためゴビ砂漠は年々拡大し、ここに1990年に民主化後、市場経済が導入され格差が広がっているモンゴルで木を切り倒し燃料として売るなどの人為的な要因が加わり、水資源問題は喫緊の課題といわれるようになりました。新潟でもこれからの時期には黄砂が大量に降ってきますが、これがゴビ砂漠から中国大陸を越え、海を越えてやってくるのです。またウランバートル市内には地方から人口流入がすすんでいますが、地方出身の貧困層が市街地郊外につくって暮らしているゲル村から出る煙は、車の排気ガスとあいまって、冬場は喉が痛くなるほどの大気汚染をもたらしています。 こうしたなか政府のイニシアチブで、グリーンベルト構想が唱えられました。モンゴルの国土を東から西へ横断するように植林活動を行うというものです。またこうした国を挙げての植林活動に、ストリートチルドレンやスラム生活者に対する支援活動を行っている現地NGOも参画し、植林活動への参加を促すという非常に興味深いプロジェクトも拝見してきました。 今回の訪問ではまた、新潟とモンゴルとのつながりも確認させていただくことができました。昨年の新潟県中越地震の際にはモンゴルから毛布と義援金が届けられ、これに対して各方面でお礼を申し上げたところ、学生や若い人たちが自発的に行ったことであるとのことです。 バルスボルド大臣は、若い人たちとの交流の場で、米ソ両国がホットラインで戦争の危機を回避した歴史を紹介し、政治家同士の交流が大切であることを訴えられました。国と国との関係も重要ですが、多元的な交流も重要です。環境という、国境のない問題には、いろんな垣根を越えた解決方法を探していかなくてはなりません。個人対個人の交流が基本になることを改めて感じました。 大勢の方々にお世話になり、多くのことを学ぶことができました。これから報告書の作成と具体的に成果をどう生かすかという検討にうつります。数日以内にはそれらについて詳しくホームページで報告したいと思いますので、ぜひそちらをごらんください。今晩はこれから財政の勉強会の予定です。