************************************** 西村ちなみメールマガジン第21号(2005年3月28日発行) 「政党のあり方」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 3月26日に私が総支部長をつとめる民主党新潟県第1区総支部の定期大会を開催しました。昨年を振り返り、新年度の活動計画を決める、大切な大会です。見慣れた顔、新しい顔、いろんな方に会うことができました。 最近読んでいる本の中から、政党の在り方について深く考え込まざるを得ない二つの事柄に出会いました。ひとつは、ドイツからアメリカに亡命した政治思想家ハンナ・アーレントです。彼女は当初、二大政党制における政党は公的な存在であると主張してきましたが、のちに政党そのものに批判的になり、政党とは、人々を代表すると称するが、結局は人々の政治への参加を制限する役割を果たしていると見るようになりました。アメリカの二大政党制がいかに不十分であるかを見たためだとも言われています。 もうひとつは、現代日本人の意識調査の分析結果です。NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている意識調査の結果がまとまりました。そこでは、9割の人が国民の意見が政治に反映されていないと感じる一方で、政治や職場環境を改善するためにとる行動は、「静観」が飛びぬけて多く、1980年代後半から「依頼」が「活動」を上回ってきているということが示されています。ただし地域活動やボランティアなどには積極的に「活動」したいという人が多くなっており、身近なことには参加したいという国民意識が明らかになりました。 古今東西、政党の在り方は実に多様です。かつて高度経済成長期、55 年体制といわれた時代には、自由民主党が社会党の打ち出した政策を吸収 して政府のものとすることが常であり、また国会活動でも、表向きは激し く与野党対立をしながら、実際のところは共存共栄のための暗黙のルール があったとも言われてきました。 現代日本社会においては、新しい政党の在り方があってよいはずです。民主党は、生活者重視の新しい政策を実現すると宣言し、市民が主役の政治をめざして、これまで活動を続けてきました。私が政治活動をスタートするときに民主党を選択したのも、民主党の理念に共鳴し、よりよい政策をつくり、実現できるとの期待があったからです。 現状では、よりよい政治を行うためには政権交代が必要です。政権交代 をするためには選挙で勝たねばならず、選挙で勝つためには組織を確立しなければなりません。しかしこのシナリオを、ゆっくり時間をかけて実現する余裕が今はありません。いきおい、次の総選挙で勝つことが一期生議員の最優先課題だから「地元活動」をしっかりやれとハッパをかけられるわけです。 こうした政党側の事情と呼応しているのでしょうか、政治的旗幟を鮮明にしたくないという有権者の皆さんが増えてきました。資本主義社会や地域社会の中で、政治を日常生活の中に持ち込むことはタブーだとする意識の現れでしょう。しかし本来、政治とは生活そのものです。政治にかかわらずに生きていくことができる人は誰一人としていません。 政党と有権者。互いに遠ざけあうアンハッピーな関係に、今の日本の政党政治はあります。この精神的な距離を縮めることが、よりよい政治の実現には不可欠です。まずは政党が、有権者にとって意味ある存在となることが重要でしょう。 また、「地元活動」と「国会活動」は、本来、トレードオフではないはずです。時間の有無に関わらず、やるべきことをしっかりやるしかないと思います。 まだまだ課題は山積していますが、参加している一人一人が、活動の意味を十分に噛みしめることができる、信頼を寄せていただける、そういう政党の総支部づくりをこれからも心がけたいと思っています。どうぞ皆さんからも民主党新潟県第1区総支部の活動にご参加いただき、新しい時代の、新しい政党をつくるために、ともに汗をかいてくださるよう、心からお願い申し上げます。