************************************** 西村ちなみメールマガジン第18号(2005年3月7日発行) 「この国の形」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 先週土曜日、初めての「オープンミーティング」を開催いたしました。足下の悪い中をお集まりいただいた皆さん、本当にありがとうございました。今回は民主党予算案などを中心に報告させていただき、その後、新潟県中越地震復興への取り組みなどについて質疑を行いました。会場でご記入いただいたアンケートをもとに、次はもっと充実したオープンミーティングになるよう努力します。次回の日程は未定ですが、取り上げてほしいテーマ等がありましたら、どんどんご提案ください。お待ちしております。 さて先週2日、衆議院本会議を平成17年度予算案が通過していきました。予算委員会委員長からの委員会報告を受けた後、反対・賛成・反対・賛成・反対と交互に、それぞれの政党の代表者が時間内で討論を行います。その後、記名採決となります。 記名採決とは、名前の書いてある札を持って、点呼の順に登壇して札を投じる採決の方法です。予算案や重要法案などの採決には、この記名採決という方法がとられます。議員それぞれの席に、賛成の人がもつ白票、反対の人がもつ青票が、それぞれ5枚ずつ置かれており、それをもって意思表示するのです。 平成16年度補正予算は災害復旧費用も入っており、私たち民主党も賛成しましたが、平成17年度予算案は税制改正や地方分権や財政健全化に向けた取り組みが不十分であるなどという理由で、反対の青票を投じました。 国と地方を通じての長期債務残高は平成17年度末に774兆円となります。これはGDPの1.5倍であり、先進国中で最悪の状況となりました。政府はきわめて楽観的な見通しを基に、2004年1月の「構造改革と経済財政の中期展望」2003年度改定において、2010年代初頭のプライマリーバランスの黒字化へのシナリオを示しました。しかしここに示された現実離れした甘い見通しは、発表当初から内外から批判の対象となっています。 財政制度等審議会によると、現在の財政構造を前提としたとき、10年後にはプライマリーバランスの赤字は27.8兆円に増加(平成17年度予算案では赤字は15.9兆円)と予測されています。これを、「入るを図って出を制す」:歳出削減だけで均衡させようとすると一般歳出の3分の1を削減することが必要であり、歳入増だけで均衡させようとすると約5割の増収が必要になるとのこと。 民間シンクタンクによれば、平成17年度は国民年金保険料の引き上げ、雇用保険料率の引き上げ、国立大学授業料の値上げ、介護施設の利用代・食事代の有償化などにより、家計に押し寄せる負担増は1.8兆円と推計されています。負担増を求める前提として、徹底した歳出の見直しがなければなりません。 歳出の見直しをするということは、事業の見直しをするということに他なりません。そのときに、政府に必要なのは「思想」だと思います。経済効率だけにとらわれず、この国をどういう形にしていくのか。その将来像のうえではじめて、事業の「選択と集中」は可能になるはずなのです。しかし平成17年度予算案の審議では、事業のメリハリのつけかたが最善だったのかどうか、決定的な結論を得るには至りませんでした。私は現時点では、ムダで不要不急な事業を削減し、特殊法人改革を行うなどして、歳出削減をはかる以外にないと思います。小泉総理がついに行うことができなかった「聖域なき歳出改革」は、政権交代によってのみ可能になると、今回の予算案審議を通じてあらためて痛感しました。