************************************** 西村ちなみメールマガジン第10号(2005年1月11日発行) 「象徴天皇と公務」 ※無断転用、無断転載は固くお断りします※ ************************************** みなさんこんにちは。衆議院議員の西村智奈美です。 通常国会の開会を21日に控え、1月上旬は新潟中心の生活を送っています。 今日は宮内庁から招待を受け埼玉鴨場にて鴨の捕獲を行ったのち、民主党本部で行われる岡田代表の記者会見の進行役をつとめることになっています。春と秋の2回行われる園遊会と、鴨の捕獲、1年のうち合計3回、衆参議員に毎回30名程度の招待があり、民主党には13名ほどの割り当てとなります。まったく行かない人もいますが、私は春の園遊会に続いて、2度目のご招待を受けることになりました。 天皇制は、どのような経過があったのかいまだに明らかになっていない部分がありますが、戦後はいわゆる「象徴天皇」として存続してきました。近年はとりわけ政治的にではなく文化的な位置づけとしての側面が濃厚になってきています。現在の天皇制および皇族が多くの国民から受け入れられていることは世論調査などからも明らかなことであり、それはそれでよいと私は考えます。 ところが、男子万世一系という物語に固められた天皇制を維持するため主役を演じてこなければならなかった天皇家の心理状況については、これまであまり語られてきませんでした。秋篠宮が「受け身的」と口にした公務の多忙さについても同様です。私としては、今の皇室に対して、同情の念を禁じえないというのが本心です。政治的発言は行うことができず、皇位継承者の維持というプレッシャーが常に存在し、しかも公私の別ない生活を余儀なくされているのですから。 現在は男性のみに限られている皇位継承者を、女性にも広げるためには、皇室典範を改定すればできることであり、比較的簡単なことといえます。政府では首相の私的諮問機関がこの分野でも設置され、初会合が今月中にも開催されるのだとか。その有識者会議の狙いは「皇位継承者の安定的な維持」ということであり、いわゆる女性天皇の是非を主要な検討課題として位置づけているという報道です。男女平等を謳い文句に、女性天皇容認の方向性が出てくるのは時間の問題といえるでしょう。 しかし、皇室をめぐる課題は、女性天皇を認めるだけで解決できるでしょうか。むしろ、女性天皇を認めることで、雅子妃殿下と愛子内親王にこれからどんな生活が待っているのかを考えると、このタイミングで容認することが良いのかどうか、判断に迷うのです。 新しい時代に即した公務のあり方を探ることは、皇太子の発言、そして天皇陛下の発言によって、皇太子と皇太子妃の二人に委ねられた形となりました。私は、これを、二人にだけ与えられた役割ではないと受け止めています。これからの日本と日本人の行く末を見通した高い精神性を伴うものでなければなりません。たいへんに難しい問題であり、短期間で解決できるものとも思えませんが、そういう問題意識だけは持ち続けたいと思うのです。 みなさんのご意見をお聞かせください。