●西村(智)委員
立憲民主党の西村智奈美です。
男女雇用機会均等法は、今からおよそ四十年ほど前、一九八五年に成立をしました。今年の二月にお亡くなりになった赤松良子さんが均等法の母というふうにも呼ばれますけれども、いろいろなことがあって、結果、成立したのが男女雇用機会均等法でありまして、その後、大きな改正が二回行われております。
二回目の改正は二〇〇六年でしたけれども、このときに、私は小宮山洋子元厚生労働大臣などと一緒に対案を提出させていただきまして、いろいろな点について議論をしてきたという経過がございます。その中でもやはり大きな論点の一つは、二〇〇六年の改正によって間接差別が導入をされたということでございました。
均等法の今の第七条、ここで間接差別が禁止をされるということで、当時、この間接差別については、限定列挙にとどまってはならない、できるだけ幅広く、見えない差別を可視化するということでもありましたので、なるたけ限定せずに掲げるべきではないかという議論を私たちとしてはさせていただいたんですけれども、結果として、三つの類型にとどまってしまっております。
このときに、質疑の中で、政府参考人の答弁として以下のようなものがございます。
今回、省令で規定する予定であるのは三つの措置であるが、間接差別は、性中立的なものであれば、およそどのような措置でも俎上にのり得るものであることから、これら三つの措置以外の措置についても省令に規定され得る、このため省令を適時適切に見直すというふうに当時、政府参考人の方が答弁をされました。
その後、実際に省令は見直されてきたんでしょうか。間接差別について伺います。
●武見厚生労働大臣
間接差別については、今委員御指摘のように、直接差別とは異なる、性別要件を別にすれば、おおよそどのような要件でも間接差別に該当し得る、広がりのある概念であり、男女雇用機会均等法に基づき行政指導等を行う上では、対象となる間接差別の範囲を明確化する必要性があります。
このため、労働政策審議会における議論も踏まえて、男女雇用機会均等法上の間接差別の対象となるものを省令に規定しているところでありますけれども、更なる対象の追加については、間接差別として違法となる範囲についての社会的合意の形成状況を踏まえつつ、必要に応じて検討をしていきたいと考えます。
●西村(智)委員
これまで省令の見直しまでは行ってこなかったということですか。局長が手を挙げていますけれども。
●武見国務大臣
過去においては、二〇一三年の省令の改正において、労働政策審議会での議論を経て、転勤に応じることを要件とすることについて、総合職に限定していたものを見直し、それ以外の労働者も対象とするなどの改正は行っております。
●西村(智)委員
一度だけ行われたんですけれども、大変小幅なんですよね。三つの類型の一つの類型を少し形を変えたということであって。
やはり、私は、社会的な合意を形成するとさっき大臣がおっしゃいましたけれども、結局、二〇〇六年改正からですからもう二十年近くたっておりますけれども、この間も社会的な合意形成をやるような環境になかった、それはやはり私は法律の不備であったと思っていますし、省令を本当に適時見直すというふうに答弁をしていただきましたけれども、実際にはほとんど見直しがされてこなかった、その結果としての、社会的合意といったものが形成されてこなかった、こういった環境になっているんじゃないかというふうに思うんですね。
実際に、それでは、均等法七条によって、助言、指導、勧告、こういった件数は、一体、過去何件ぐらい行われてきたんでしょうか。
●堀井厚生労働省雇用環境・均等局長
男女雇用機会均等法第二十九条に基づきまして行った、西村委員御指摘の法第七条の間接差別に関する是正指導件数でございますが、平成三十年度は一件、令和元年度は一件、そして令和二年度から令和四年度につきましては該当がなかったところでございます。
●西村(智)委員
つまり、こうやって是正指導件数が年に一件、年に一件、過去三年間はゼロ、ゼロ、ゼロというふうに続いているということは、やはり、せっかく作ったこの第七条の規定が、私は、生かされてこなかった、機能してこなかった、その結果だというふうに受け止めざるを得ないんです。
何となれば、今、現に日本国内では、男女間の賃金格差というのは歴然として残っています。それから、赤松良子さん、晩年は、女性の議員をとにかく増やそうといって、私たちも随分叱咤激励していただいたんですけれども、赤松さんもよく、ジェンダー平等指数が日本では低い、政治家を増やさなきゃいけない、あるいは指導的地位にある立場に女性を増やさなきゃいけない、そういうふうにおっしゃっておられましたけれども、管理職に占める女性の比率などはやはりまだまだ開きがあるわけですよね。こういうふうに見てみると、間接差別というのはやはりあるんだと。ただ、それに対する指導などがなされてこなかったということからすると、やはり、このせっかくある七条が私は機能してこなかったというふうに思うんですね。
そこで、五月の、今週の何日でしたでしょうか、先日、東京地裁で判決がありました間接差別についての判示であります。
ここでは、均等法七条を受けた同法施行規則第二条二号に、まあこれは実は、住宅の貸与、住宅手当が争われていたものであって、総合職に認められていたんだけれども一般職に認められていないというのは差別ではないかということで争われていたんですけれども、その判決の中で、間接差別に該当する措置は同規則に規定するものに限られない、つまり、施行規則に書いてあることには限られないというふうに述べており、同時に、均等法の趣旨に照らし、間接差別に該当するというふうにしているわけなんです。
こういったことが、私は、本当は、この二十年の間にもっともっと蓄積をされてきて、もっともっと研究、分析がされてきて、そして施行規則などに書き込まれてこなきゃいけなかったというふうに思うんですけれども、結局、施行規則が不十分であったために、あるいは法律に書かれている考え方が不十分であったためにこういったことができてこなかったというその反省に立って、この際、この判決を受けて、施行規則をもっと限定しない形へと見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
先ほどの五月十三日の判決、報道等によれば、今回の東京地裁判決については、総合職のほとんどが男性、一般職はほとんどが女性で占められているという状況において、合理的理由なく総合職だけに家賃補助を適用していることが、男女雇用均等法の趣旨に照らして、間接差別に該当すると判断されたものと承知をしております。
個別の事案についてお答えは差し控えますけれども、本件事案はまだ確定がしておりません。また、委員御指摘の省令の見直しについては、間接差別として違法となる範囲についての社会的合意の形成状況等を踏まえつつ、必要に応じて検討を進めていきたいと思います。
●西村(智)委員
今、必要に応じてというときがまさに来ているんじゃないですか、大臣。二十年間、間接差別、だって、厚生労働省が指導している件数はゼロですよ、過去三年でいえば。だから、もっともっと現実を見ていただいて、適時見直すというのは、まさに今がそのときだというふうに私は思うんですよね。
遡って言えば、二〇〇六年改正の前に、男女雇用機会均等政策研究会というのが行われていて、二〇〇四年に報告書が出ています。報告書の中では、実は類型は七つあったんですよ。七つ示されていたんだけれども、施行規則に入ったのは三つなんですね。そこでぎゅうっと絞られてしまって。
じゃ、大臣は、今でもこの三つの類型で本当に十分だというふうにお考えになっているんですか。
●武見国務大臣
今、時代状況も大きく変わってきているところでもありますから、当然、必要に応じて検討をするということが私は適切だろうというふうに考えております。
●西村(智)委員
いつもは歯切れのいい大臣が、何か余り答弁してくださらないので、本当に残念なんですけれども。
確かに時代は変わっていますよ。自民党政権が女性活躍と言っているぐらいですから、本当に時代は変わったなというふうに思いますけれども、その女性活躍が看板だけに終わっちゃいけないんですよ。今のまま、女性活躍と看板だけかけ続けたら、何かやはり女性の方にばかりしわ寄せが行く。家事も育児も介護も、その上で活躍してください、外で働いてください、だけれども待遇はこういったことで我慢してください、こんなことをいつまで続けていくんですかということなんですよね。是非、施行規則の見直し、大臣、お願いしたいと思っています。
なぜこれを言うかというと、やはり、間接差別については、国際社会からも、もっと日本はちゃんと対応すべきではないかということを度々、指摘というか質問を受けているからなんです。
女子差別撤廃条約の実施状況について、CEDAWからは、日本の国家及び非国家主体による直接的及び間接的差別並びに公的及び私的な差別を含む、女性に対する差別の包括的な定義を導入するために講じた具体的な措置について関心を持っているというふうにされております。
日本政府は、二〇〇六年の均等法第七条の改正以降、何回か日本審査に対して回答はしているようなんですけれども、私は、この回答はCEDAWが求めている水準に達していないというふうに思っております。施行規則を見直していただきたいと思いますけれども。
今年、日本審査が九月三十日から行われますね、CEDAWの。ここで間接差別についてどういうふうに回答をするおつもりなのか、これは外務省への質問になりますでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
●穂坂外務大臣政務官
女性差別撤廃条約選択議定書で規定されている個人通報制度、こちらにつきましては、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度だと考えております。
一方では、同制度の受入れに当たっては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、同制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識しています。
本年十月になりますが、女子差別撤廃委員会による政府報告審査について予断を持ってお答えすることは困難でありますが、引き続き、政府として早期締結について真剣に検討してまいりたいと考えています。
●西村(智)委員
今、ちょっと違う答弁書なんですよ、済みません。私は間接差別についてお伺いしたんですけれども、今のは選択議定書についてお答えをいただいたというふうに思うんですね。ちょっと私の通告が、ここのところ、ちょっと、ごちゃっとなっていたのかもしれないです。選択議定書についても伺おうと思っておりました。まあ、外務省、間接差別についても、こういった判決が東京地裁から出ていますので、是非、それを真剣に受け止めていただいて、回答をお願いしたいと思います。
それで、選択議定書についても伺いたいと思います。
第九回報告においては、CEDAWからの質問が三つありまして、それに対して、日本政府からは、先ほど政務官が答弁してくださったように、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、そして実施体制の検討課題があるというふうに回答しているんですけれども、私は、この回答、誠実に答えているとは言えないと思うんですよ。CEDAWの質問に対してこういうふうに答えていると、いつまでも同じことを繰り返されることになってしまうんですよね。
ちょっと、じゃ、政務官からもうお答えいただくのは先ほどいただいてしまったので、法務省の方に伺いたいと思うんですけれども、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、それが課題だということで日本政府は回答したようなんですけれども、改めて伺うんですが、我が国の司法権の独立あるいは我が国の司法制度というのは、選択議定書との関係で何か問題があるんでしょうか。法務省に伺います。
●柴田法務省大臣官房審議官
個人通報制度の受入れにつきましては、我が国の司法制度と必ずしも相入れないものとは考えておりませんが、例えば、委員会から国内の確定判決とは異なる内容の見解が出されるなどした場合に、我が国の司法制度との関係でどのように対応するかという問題を検討する必要があるものと認識しております。
●西村(智)委員
申立ては、一応、国内の法的な手続を全部経てからということですし、なおかつ、勧告が例えば仮に出たとして、それが日本国内の司法の判断と異なるものであったとしても、法的拘束力はないわけですよね、その勧告に。ですから、必ずしも相入れないというふうには考えていないというのは、まさにそのとおりだと思います。
その後どう対応するかというのは、各国の状況もまさに様々ですから、ちゃんと受け止めて、国内の司法制度をどうしようかというふうに対応しているところもあるし、そうじゃないというところもあるし、私は、ですから、まさにケース・バイ・ケースだというふうに思うんですよね。ですから、そこのところは是非改めて認識していただきたいなと思っております。
改めて、外務省の方に伺うんですけれども、二〇二〇年の三月、参議院の外防委員会で、茂木外務大臣がかなり前向きな答弁をしておられました。しっかり議論をしてどこかで結論を出さなきゃならない問題だと考えているということなんですけれども、現在どのように検討しておられるのか、伺いたいと思います。
●穂坂大臣政務官
先ほどの、茂木外務大臣、元外務大臣の答弁も踏まえながら、個人通報制度、この条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度だと考えております。
先ほどもお話をしましたが、諸外国の状況に加え、各方面から寄せられる意見等も踏まえつつ、女子差別撤廃条約選定議定書の早期締結について真剣に検討を進めている、そういったところでございます。
●西村(智)委員
各方面から寄せられている意見も踏まえつつというのは、どの意見のことなんでしょうか。ちょっと、更に伺いたいと思います。
といいますのは、全国の自治体の地方議会から、もう既に二百を超える意見書が出されております。これは、各方面からの意見というものに含んでいるのでしょうか。
●穂坂大臣政務官
今、この状況につきましては、個人通報制度関係省庁研究会、こちらの方で検討を進めているところであります。今委員がおっしゃられたそういった意見も、様々な意見を踏まえて今検討しているところでございます。
●西村(智)委員
じゃ、各方面からの意見というのは、その二百を超える地方議会からの批准を求める意見書も含んでいるということでよろしいですか。
●穂坂大臣政務官
個人通報制度の研究会、こちらにつきましては、各参加者の率直な意見交換を確保するため非公開で、これを前提として行っております。そういったものの詳細を述べることはできませんが、そちらの研究会の方では様々な検討を行っているところであります。
●西村(智)委員
それだったら、本当に、せっかく地方議会が法律にのっとって意見書を出しておられるのに、それすらも参考にしていないということになれば、これは大問題だと思いますよ。
是非、省庁の研究会での議論について、中身、何を検討しているのかということについて、中身を議事録などで公開していただきたい、情報提供していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
●穂坂大臣政務官
ただいま申しましたが、率直な意見交換を確保するために非公開、これを前提としておりますので、今現在ではそのお答えは差し控えさせていただきます。
●西村(智)委員
申し上げましたように、地方議会からの意見書ですから、これはちゃんと法律にのっとって出しているものなわけです。それがその研究会の中で反映されているのかどうかということを確かめることは、会議を非公開だとすることと何にも衝突しない話だと思いますので、是非、情報の公開を強く求めておきます。
これについては結構長い間の議論がありまして、ただ、関係省庁研究会では、もう今から二十年ぐらい前にいろいろな議論があったというふうに伺っております。例えばなんですけれども、そこの関係省庁研究会の中で、とある参加者が、訴えられることは恥ではなく、自由権という判断がその国に根づいている証拠であるというふうに意見が出されたというふうにも言われております。また、外務省の人権担当大使が、通報を受けることに後ろ向きになる必要はなく、メンタリティーを変える必要があるのではないかと述べたともされております。
確かめたいんですよ、こういったことが本当に述べられたのかどうか。ですから、関係省庁研究会の中身について是非公開をお願いしたい。
あわせて、内閣府に伺うんですけれども、二〇二〇年の五月二十七日、衆議院の内閣委員会で、我が党大河原まさこ衆議院議員が質問されました。そのとき、橋本聖子当時の担当大臣が、これは先進国にとって重要な課題であって、しっかりリーダーシップを持って外務省とともに取り組んでいきたいと答弁しておられるんです。政府が後れを取ることがないようにということで取り組んでこられたと思うんですけれども、この間何をやってこられたのか、伺います。
●工藤内閣府副大臣
御指摘の橋本大臣による答弁以降の対応について、橋本大臣の下で第五次男女共同参画基本計画を閣議決定し、選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進めると盛り込んでいます。
また、外務省が主催する個人通報制度関係省庁研究会において、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や運用の実態等について、外務省や法務省を始めとする関係省庁とともに研究を行っております。
これらの検討の状況は、令和三年九月に女子差別撤廃委員会へ報告を行っております。
選択議定書に規定される個人通報制度について、政府としては、女子差別撤廃条約実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度であり、早期締結について真剣に検討を進める必要があると考えております。
他方で、個人通報制度の受入れに当たっては、先ほど法務省からの答弁があったとおり、我が国の司法制度と必ずしも相入れないものとは考えておりませんが、我が国の確定した判決との関係など、検討課題があると承知しております。
内閣府といたしましては、男女共同参画社会の形成の促進の観点から、外務省や法務省を始めとする関係省庁とよく連携して、政府全体での検討を行ってまいりたいと考えております。
●西村(智)委員
私、重ねて申しますけれども、ケース・バイ・ケースなんですね、例えば確定判決との差異が出たときにどうするかというのは。これはほかの諸外国もそうだというのは皆さんも研究してお分かりでしょう。
今年九月三十日からまた日本審査があります。そこでは、これまでと同じ回答をしているのであれば、本当に国際社会から人権外交を進める日本政府としての本気度が疑われると思いますので、是非強い取組をお願いしたいと申し上げておきます。
ちょっと時間がなくなってきまして、今日、資料で一枚おつけしていますのは、少し古い話にはなるんですが、二〇二一年の十二月の八日に私が衆議院の本会議で質問したときの会議録であります。
このとき、私は、岸田総理が格差と貧困の存在をようやく認めた、これについては評価をしつつ、その解決に向けて取り組んでいただきたいということで、国連が定めたSDGs一・二、ここにおいて、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある全ての年齢の男性、女性、子供の割合を二〇三〇年までに半減するとの目標を掲げている、これをもって、日本政府も数値目標を掲げて取り組むべきではないかというふうに質問しましたら、総理は、相対的貧困率が我が国の数値目標としてなじまないという驚くべき答弁をされたんですね。今読んでみても、何が言いたいのか分からないんですけれども。
日本政府もSDGsは共有するというふうに、ここに、総理答弁で書いてあります。ということからすると、目標設定を行うのも当然だというふうに思うんですけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
これまで我が国では、貧困とか格差の問題に取り組むときの指数としては、ジニ係数とか、それから相対的貧困率といったようなもの、様々な指標を用いて貧困対策を進めてきております。
国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsのターゲットについては、現時点において、同様の指標の設定というのは行ってはおりません。
しかしながら、貧困をなくそうという大きな目標については我々全く共有しておって、その趣旨を踏まえ、年齢や性別にかかわらず支援が必要な方々への支援にはしっかりと取り組んでいく所存であります。
●西村(智)委員
そうすると、日本政府は、数値目標を掲げていないけれども、貧困を削減しようということはやろうとしている。だけれども、この一・二が求めているのは、目標数値をちゃんと掲げて、それをあらゆる次元で、あらゆる年齢の男性、女性、子供において半減をさせてくださいということですから、やはりSDGsを共有しているというふうには言えないんじゃないですか、大臣。
●武見国務大臣
SDGsの貧困目標というのは、貧困をなくすという大きな大目標が設定をされているわけでありまして、その点に関しては、我が国においても、ターゲットについての指標は設定しておりませんけれども、貧困をなくすための、貧困、困窮者自立支援制度における相談支援を始めとして総合的な施策を展開するとともに、必要な見直しを行っております。必要な支援を行うことで、結果としてこのSDGsの目的も確実に履行していくというのが我が国の立場です。
●西村(智)委員
だから、その目的が達成できたかどうかを測るための指標を作りなさいというのがこの一・二なんですよ。
結局、これは私も今までも何度もやり取りしてきたんですけれども、厚労省の方は、適切に活用できる統計指標がないというふうに言うんですね、驚くべき話なんですけれども。
とはいいながら、一方で、内閣府で、子供の貧困対策に関する有識者会議、あるいは大綱の進捗状況及び子供対策策定に向けての意見でも、相対的貧困率とちゃんと掲げているんですよ、内閣府において。適切に活用されているんです。しかも、大臣も先日、本委員会で生活困窮者自立支援法の改正案の質疑があったときに、宮本徹委員の質問に対して、六十五歳以上の高齢者の単身世帯では男女共に相対的貧困率がより高くなっていると認識しておりますと答弁しておられるんですよ。相対的貧困率というデータを適切に活用しておられるし、それを目標数値とすることは何の障害もない。
ただ、政府は、相対的貧困率という目標を掲げるとやはりそれに向けてやらなきゃいけないから、そうしないようにということで数値目標を掲げることを嫌がっているというふうにしか私には見えないんですね。
やはり、数値目標を掲げての貧困削減の取組だというふうに思うんです。是非、グローバル指標を設定して、相対的貧困率の削減というのを目的に取り組んでいただきたい。それが、格差や貧困に気づいた、それに言及した岸田内閣の一員としての責務だと思いますけれども、最後に伺って終わります。いかがでしょうか。
●武見国務大臣
これまでも様々な、貧困対策を講ずるに当たって、各種統計調査であるとかそれから様々な生活上の課題など総合的に勘案をして、引き続き、様々な統計なども活用をしつつ、SDGsの趣旨もしっかりと踏まえながら、年齢や性別にかかわらず支援が必要な方々への支援にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
特に、社会の格差の問題については、我が国においても、以前は我が国はこうした格差の少ない社会だと言われていましたけれども、今日においては決してそうではありません。したがって、この問題に関しては、政府としても真剣に取り組んでいかなければならない課題である、こう認識しております。
●西村(智)委員
単身高齢者の貧困率は男女とも高いです。ただ、男性の貧困率はちょっと改善傾向にあります。全く改善されず、貧困率が更に上がっているのが単身の高齢者女性です。そこのところをどうするのかというところから厚生労働省は逃げることはできません。強く求めて、終わります。
ありがとうございました。