●西村(智)委員
立憲民主党の西村智奈美です。
今日は、入管法それから技能実習法の改正案ということで、連合審査で質問をさせていただくことになりました。私は、厚生労働委員ということでもありますので、主には労働者としての保護について質問をしていきたいというふうに思っております。
働いている人という位置づけになっている技能実習生でありますけれども、今回は、育成就労制度というふうに制度自体は変わるということなんですが、これまで、やはり技能実習生については様々な問題が指摘をされてまいりました。本当にいろんな問題が発生をしてきておりますけれども、いわゆる労働法制によって技能実習生がいつから保護されるようになってきたのか、これについてまず確認をしたいと思います。
●武見厚生労働大臣
技能実習制度は平成五年に制度を開始をいたしまして、当初は、一年目の在留資格である研修の期間は労働関係法令の適用がなく、二年目ないしそれ以降の在留資格である特定活動、技能実習は、労働関係法令の適用があるという形でございました。
その後、平成二十二年施行の改正入管法によりまして、在留資格、技能実習を創設をし、一年目から、基本的に、全期間にわたって労働者として労働関係法令による保護が及ぶようにしたところでございます。
●西村(智)委員
平成二十二年から、一年目の技能実習生に対しても労働法制による保護が適用されることになったということでありました。
しかし、そういった目線で見ましたときに、やはり技能実習生の労災の発生率が高いというのは非常に気になるところでございます。
死傷年千人率という表し方でありますけれども、日本人を含めて全ての労働者の労災の発生率の千人率が二・三二であるところ、技能実習生は三・七九ということで、これはやはり際立った高さではないかというふうに思います。
労災に含まれるかどうかはそれぞれの個別事情はありましょうけれども、例えば自殺をされる方もいらっしゃるということで、本当に深刻なことだと思うんですけれども、労災の発生率が高い理由については、これはどういうふうに分析しておられますか。
●武見国務大臣
原因についてでありますけれども、技能実習生が労働災害の発生率が高い製造業それから建設業などの業種で就労する割合が高いこと、それから、技能実習生は経験年数が短くて、一般的に経験年数が短い労働者ほど労働災害が多く発生している傾向があるということ、それから、作業を行う現場における言語の制約から、技能実習生が危険な作業を行う場合のリスクの理解や周囲の労働者とのコミュニケーションが難しい場合もあること、こういったことが原因としてあるのではないかと考えております。
●西村(智)委員
今大臣がおっしゃったとおりのところはあると思うんです。つまり、特定のカテゴリーの方々、労働者に対して特定のある分野の仕事をしていただけば、やはりそこで労災の発生率というのが高くなってしまう。
これはやはり、ある意味、そのカテゴリーの方々、労働者に対する差別構造のようなものが私はあるというふうにも言えるのではないかというふうに思っています。そういったところを自覚しなければ、今後の技能実習の育成就労への転換ということもうまく仕組みとしてつくれないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
先ほど申し上げたような原因を踏まえた上で、労災の発生が多いことが直ちに差別的な取扱いをしているということではないだろうとは思います。
その上で、差別的な取扱いということでなかったとしても、日本を実習先として選んだ技能実習生が日本で労災に遭ってしまうことを防ぐ取組が重要であることはもう言うまでもありません。
現行の技能実習制度におきましても、入国後の講習での安全衛生教育の実施であるとか、それから、技能実習計画上、安全衛生教育を必須業務として、定期監査や実地検査を通じて確認するなどしているところでございます。
技能実習生が安全に業務に従事できるよう、これからも引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思います。
●西村(智)委員
取り組んでいただくことは必要なことですし、是非やっていただきたいと思うんですけれども、今後、日本が本当に選ばれる国になるために、また共生社会をつくるために、ここのところはよくよく心しておかなければいけないところだと思いますので、ちょっと具体的に今後も聞いていきたいと思っております。
先ほど、阿部委員が技能実習生及び特定技能の方の妊娠、出産に関する質問をされました。両大臣からは、非常に前向きな御答弁があったということで、うれしく思っております。私からも、追加のようになるんですが、改めて、データということでちょっとお伺いしたいんです。
令和四年の十二月二十三日、ここで「技能実習生の妊娠・出産に関する制度の更なる周知と不適正な取扱いの確認について」という注意喚起、これがなされているんですけれども、ここでちょっと気になったのが、不適正な取扱いというふうに記載をされているんですね。我が国には、男女雇用機会均等法という立派な法律がありまして、そこでは、第九条で、妊娠、出産による不利益な取扱いをしてはいけないというふうになっているわけなんです。これはなぜ不適正な取扱いという書き方になっているんでしょうか。
●武見国務大臣
厚生労働省においては、従前より、出入国在留管理庁とともに、妊娠などを理由とした技能実習生に対する不利益取扱いの禁止について累次にわたって周知、指導を行ってまいりました。
その上で、御指摘の通知は、監理団体等に対しまして、技能実習生に妊娠、出産に係る制度を説明することや、送り出し機関と技能実習生との間に妊娠したら仕事を辞めるなどの不適正な内容を含む契約がないか確認を求めるなど、更なる取組を依頼したものでございます。
この通知においては、事業主だけではなくて、監理団体や送り出し機関における取扱いも対象としているために、男女雇用機会均等法において禁止している事業主による不利益取扱いに加え、今ほど申し上げた送り出し機関における不適正な事案等を含めて広く注意喚起を行う趣旨で、不適正な取扱いという用語を使わせていただいたという経緯があります。
●西村(智)委員
送り出し国との関係については、先ほど、MOCの作成に当たって、きちんと交渉で、まさに不適正な取扱いなどがないようにということで周知していただけるということで答弁がありました。是非それはやっていただきたいと思います。
他方で、日本国内の側ですね、これについては我が国でどうにかなる話ではないかというふうに思うんですよ。監理団体あるいは事業者側による不利益な取扱い、せめてこのくらいはデータが取れるんじゃないかというふうに思うんですけれども、どのくらいあったのか教えていただけますか。
●武見国務大臣
技能実習の実施者を含む事業主について、男女雇用機会均等法において妊娠、出産を理由とした不利益取扱いが禁止されておりますが、これに係る是正指導などのうち、技能実習生や監理団体等に関する件数のデータは実は把握がされておりません。
他方、技能実習制度については、実習実施者や監理団体、送り出し機関による妊娠、出産に関する不適正な取扱い実態を把握することを目的に、技能実習生に対するヒアリングを通じた実態調査を出入国在留管理庁が実施をいたしまして、令和四年十二月に公表しているものと承知をしております。
同調査において一定の不適正な取扱いの存在が確認されたことから、先ほど御指摘のあった通知などを通じて、不適正な取扱いの禁止について一層の周知などを図ってきたところでございます。
外国人技能実習機構において、実習実施者や監理団体に対して定期的に実施している実地検査において不適正な取扱いがないかを確認しておりまして、不適正な事案について技能実習法違反が認められる場合には、認定取消しも念頭に置いた厳正な対処を行うこととしております。
●西村(智)委員
その厳正な対処というのは、今までどのぐらい行われてきたんでしょうか。それは、今回の法改正で含まれているものということですか。
結局、データがないんですよね、これまで監理団体や事業者側が不利益取扱いを行ってきた件数などについて。また、紛争解決の援助、それから是正指導、あるいは調停、こういったものがどのくらいあったのか分からないのに、今後どうするとか改善するとかというふうに言われても、これはなかなかやはり、本当に働く人たちを守っていこうと言えるのか、私はすごく疑問なんですね。
ここで議法の提出者の方にお伺いをいたしますけれども、私はやはり、閣法でこのような、本当に労働者としての保護は、実際には、今までもデータすら取っていないという状況ですから、これまでも不十分であったし、今回の法改正でも、結局、法律を見ても、どこにそういったことが具体的に書いてあるのか分からないという状況なんです。
議法提出者には、労働者保護の観点から、議法の目的や理念について伺いたいと思います。
●階議員
労働者保護という観点から、今先生からは、技能実習時代からの変化ということを、果たしていい方向に変化しているかどうかという問題意識からお話しされていたと思います。
そもそも、技能実習の時代は三つほど大きな問題があったと思っていまして、一つは、制度の目的として人材育成を通じた技能移転による国際貢献ということを言われていたわけですが、国際貢献という美名の下に安価な外国人労働力を大量に雇い入れていた。これはさすがに今回の法改正で技能実習という制度はなくなりましたけれども、まだ二つ問題が残っていると思います。
二つ目の問題は、技能実習の下では、やむを得ない事情がある場合のみ転籍が認められたということなんですが、このやむを得ない事情というのは極めて狭く解されることによって、実際には、転籍が認められず、人権侵害がある職場にもとどまらざるを得なかった。
そして、三点目は、送り出し機関が、人材紹介手数料ということで法外な手数料をその外国人労働者からいただく、そのために、外国人労働者の方は日本に来てからも、借金を背負って、その借金を払うために意に沿わないような働き方もしなくてはならなかった。
この二番目、三番目の問題は、なお今回の法案でも残っていると私どもは考えております。
そこにちゃんとメスを入れたのが私どもの法案で、目的とか理念というところは、そこだけ見ても分からないんですが、具体的なところで差異ははっきりしていると思っております。
●西村(智)委員
そもそもの骨組みのところが異なるということで、今、議法の三点の特筆すべき点について御説明をいただいたというふうに思っております。
次に、転籍についてはちょっとまた時間があれば質問したいと思いますけれども、派遣の問題について質問したいと思います。
有識者会議の最終報告書では、派遣については、認めることを検討するということで、認めるというふうに断定的には書いていなかったんですよね。それが突然、法案の中に条文として入ってきたわけなんです。しかも、労働者派遣法に規定する派遣による就労を通じて育成就労させるということのようなんですけれども、厚労大臣に伺いますが、労働者派遣法による派遣というのは、そもそもどういう労働者の派遣というのを想定しているんでしょうか。
●武見国務大臣
これは、農業や漁業といったような自然的要因による業務の繁閑がある分野では、企業努力を尽くしても、就労を通じた人材育成を単一の事業主の下で通年で行うというのはかなり難しいものがあると思います。このため、今般の育成就労制度では、特定技能制度でも農業それから漁業分野に限り労働者派遣が認められていることを踏まえまして、こうした分野に限り、労働者派遣を活用し、派遣元と派遣先が共同で育成就労を行わせる類型を設けることとしたところでございます。
したがって、こうした仕組みで受け入れる労働者は、育成就労外国人として、農業、漁業分野において就労するために来日した外国人を想定しております。
なお、これは、有識者会議の最終報告書や政府方針におきまして、季節性のある分野について、業務の実情に応じた受入れそれから勤務形態を認めることを検討するとされたことを踏まえて、こうした特定技能における取扱いも考慮をし、政府において具体的な方策を検討したものでございます。
●西村(智)委員
ちょっと違う答弁書を読んでいただいたような気がするんですけれども。
私、育成就労という考え方も、実はあちこちで矛盾のある制度だと思うんですけれども、ここに派遣というものが更に入ると、更にその矛盾の度合いが増すように思うんですよね。
特定技能制度、ここに派遣が入る。特定技能制度は人材確保が目的であります。そこに入るだけではなくて、育成就労制度、これは人材育成と人材確保を目的にする制度です、ここにも派遣が入るということなんですけれども、人材育成に派遣が認められるというのは、これはどういう理由によるものなんでしょうか。
●丸山出入国在留管理庁次長
人手不足分野における人材確保を目的とする特定技能制度では、繁閑期の労働力の確保や複数産地間での労働力の融通といったニーズに対応するため、農業、漁業分野で労働者派遣を活用した外国人の受入れを認めております。
一方、育成就労制度は、人材育成及び人手不足分野における人材確保を制度目的としていることなどに鑑みまして、自然的要因による業務の繁閑がある分野に限り、一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けた上で、労働者派遣を活用した受入れを認めることとしようとするものでございます。
●西村(智)委員
私は、なぜ育成就労制度にも派遣を認めるのですかというふうに聞いたんですけれども、今のは全く理由になっていませんね。ただ、そういう状況だから入れます、入れることにしましたという制度の説明をしていただいただけで、意図的に答弁をずらされているというふうに思います。私は、やはり育成就労の派遣というのはちょっとまずいんじゃないかと思うんですよ。
しかも、答弁の中にもありましたけれども、一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みを設けて、人材育成にも労働者派遣を認めるということなんですけれども、じゃ、この一貫した人材育成を担保するための特別な枠組みというのはどういうものなんでしょうか。
●丸山政府参考人
本法案におきましては、派遣形態で育成就労を行う者は、労働者派遣法上の労働者派遣事業の許可を受けた派遣元事業主及びその派遣先に限定しており、育成就労法上の規制はもとより、労働者派遣法の各種規制に服することになります。
また、育成就労外国人の受入れに当たりまして、季節ごとの就労先や業務内容を含めた三年間の育成就労計画をあらかじめ作成することとしており、無制限に就労先を変更することは認めないこととしております。
さらに、労働者派遣形態の育成就労の場合、複数の事業者の下で異なる事業所において育成就労に従事させるという労働者派遣形態による受入れの性質や、派遣元と派遣先の事業所のそれぞれで必要な体制や事業所の設備等が異なり得ることも踏まえ、単一の事業者による受入れの場合の通常の認定基準とは異なる要件を定める必要があるものと考えております。
具体的には、育成就労に係る労働者派遣による業務を管理監督する育成就労の実施に関する責任者の選任を求めること、受入れ人数枠の算定に当たっては派遣元の職員の総数及び派遣先の職員の総数をそれぞれ勘案する必要があることなども要件として定めることとしております。
●西村(智)委員
今政府参考人が説明された特別な枠組みの担保というのは、条文上のどこに書いてありますか。
●丸山政府参考人
条文上は、第二条の「定義」というのがございまして、その中に監理型育成就労という項目がございます。その中に、労働者派遣等のことについて触れたところがございます。
●西村(智)委員
特別な枠組みについて御説明をいただいたんですけれども、結局、その組織の在り方、管理者をつけること、あるいは人数の制限をつけること、せいぜいでこのくらいでありまして、私は、これではやはり育成就労の派遣についてすごく不安が大きいです。なし崩し的にこれが行われていくのではないかという心配があります。ここは是非もう一回考え直してもらいたいところであります。
ちょっと、監理団体の在り方について伺います。
高額な監理費、こういったものがずっと問題になってまいりました。アンケート調査などによれば、初期費用で大体三十四万円くらい、定期的に毎月三万円ぐらいですかね。どちらもかなり高いなというふうに思います。
今回は、監理支援団体ですか、ここの中立性を確保するということが盛り込まれるようなんですけれども、これによって監理費を安くするということは可能になるんでしょうか。
●丸山政府参考人
本法案では、現行制度で一部の監理団体がその役割を適切に果たしていない旨の指摘がされていることなどを踏まえまして、監理支援機関の中立性や果たすべき役割の実効性を担保する観点から、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行うことを職務とする外部監査人の設置を義務化することや、受入れ機関と密接な関係を有する役職員による業務関与を制限することとしております。
また、監理支援機関においては、現行の監理団体同様に、監理支援事業に通常必要となる経費などについて、実費に限り、あらかじめ用途及び金額を明示した上で監理支援費として育成就労実施者から徴収することができることとしております。
その上で、外国人育成就労機構による実地検査による確認、指導等を徹底し、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対しては厳格に対応を行うことなどにより、適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
●西村(智)委員
先日、法務大臣が、監理費用の適正化というのは必要だというふうに答弁をされておられました。押しつけになってもいけないし、過大な請求をしてもいけないということだったんですけれども、そこで、この過大な監理費というのが一体幾らくらいなのか、ここはこの法案審議の中で示していただきたいなというふうに思うんです。また、加えて、実地検査、外国人育成就労機構による実地検査、これまでは年一回程度行われてきたということですけれども、本当に過大な監理支援費をどのくらいと設定するのか、また、実地検査というのがそれに見合った頻度で行われなければいけないのではないかというふうに考えますけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
●丸山政府参考人
現行の技能実習制度におきましては、外国人技能実習機構が、監理団体に対して一年に一回、実習実施者に対して三年に一回、定期的に実施する定期検査と、技能実習生からの申告や各種情報に基づき技能実習法違反が疑われるものに臨時、随時に実施する臨時検査を行っております。
育成就労機構におきましては、詳細は今後具体的に検討することとなりますが、現行制度における実地検査の運用状況や育成就労制度下での受入れの規模感なども踏まえながら、監理支援機関や受入れ機関に対して適切に定期的又は臨時の実地検査を行うこととしております。
技能実習制度では、監理団体は、監理事業に通常必要となる経費等について、実費に限り、あらかじめ用途や金額を明示した上で監理費として実習実施者から徴収することができることとされており、現在、監理団体が受入れ機関から月ごとに徴収している監理費は、このうち定期費用でございますが、技能実習一号及び二号では、技能実習生一人当たり平均して三万円程度と承知しております。
育成就労制度の監理支援機関についても、技能実習制度における実費徴収の原則を踏襲することとしているところ、監理支援費は個々の監理支援機関やその監理支援事業の内容次第ということになるため、どの程度の監理支援費が過大であるかという点について一概に申し上げることは困難でございます。
他方、監理支援費の適正性を確認し、不適正な事案に対する指導等を行うことは重要であると認識しており、育成就労制度におきましては、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法や基準を明確化し、ホームページなどで公開することを主務省令などで監理支援機関に義務づけ、費用を透明化すること、費用の算出方法に係る考え方を運用要領などで明確化すること、外国人育成就労機構の実地検査による確認、指導等を徹底し、過大な監理支援費を徴収するなどの悪質な監理支援機関に対する厳格な対応を行うことなどにより、適切な運用を図ってまいりたいと思います。
●西村(智)委員
透明化はいいことだとは思うんですけれども、過大な監理費と言われたからには、やはりこの法案審議の中で大臣の言葉で明らかにしていただく必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
●小泉法務大臣
これは、基本的には民間団体が一つの契約の中で取り決める金額でありますので、公定的な基準というものがあるわけではないわけですが、様々な形で業務の適正化を図ってまいります。つまり、無駄な業務はしない、あるいは、不当にかかってしまう費用は制限する。様々な形で業務の適正化が行われれば、まず、方向としては、それがやがて監理費用の低減に反映されていくということもあります。
それを後押しするために、算定方法とか、今御説明しました基準、算出方法、これをホームページで公開をし、また監理支援機関にそれを義務づける、費用の透明化を義務づける、また機構による確認もここに行う、また悪質なものに対しては厳格な対応を行う、こういったものを重ねていくことによって適正な水準に行くということをしっかりと我々は図っていきたい、こういうふうに思いますが、民間団体が決める金額でありますので、これを超えると不当だということは、ちょっとにわかには判断ができないと思います。
●西村(智)委員
それは、実地検査を行って、必要であれば厳格な対応をするというふうに答弁がありましたよね。厳格な対応をするとまで言い切っておられるのであれば、やはり少しばかりの、デュープロセス的な、過大な監理費の考え方についてぐらいは述べる必要があるというふうに思っております。
これはちょっともう押し問答になっちゃってどうしようもないので、先に進ませていただきますが、そこは今後の質疑の中でも是非明らかにしていただきたいと思っております。
解雇のところも質問したかったのですが、少し、永住許可の問題について一点だけ聞かせてください。
永住者に対しては、入管法上の義務を遵守しないこと、故意に公租公課の支払いをしないこと、一定の罪により拘禁刑に処せられたことで在留許可取消し事由が追加になるということのようです。これも最終報告書には書いてなかったんですけれども、突然法案の中に入ってきたということでありました。
もうこの委員会でも何度も話が出ていますけれども、サンプル調査によりまして、公租公課の未納が千八百二十五件のうち二百三十五件あったということなんですけれども、この中で、本当に故意に支払わなかったものというのが一体どのくらいあるんだろう。つまり、故意に支払わなかった方が取消し事由に当たるということですが、一体どのくらいあるんでしょうか。
●丸山政府参考人
お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございました今回の調査は、永住を許可された者の許可後における公租公課の支払い状況を把握する目的で行ったものでございます。
入管庁におきましては、永住者の子として出生したことにより本邦に在留することとなった外国人から永住者の在留資格の取得の申請がされた際は、その許否判断のため、その外国人を扶養する永住者の公租公課の支払いを含む公的義務の履行状況を提出された納税証明書等により審査しておりますが、一般に、公租公課の支払いがなされていないことについて、その経緯や理由の調査は行っていないため、この調査結果の中で、故意に支払われなかった者の割合までは把握できていないことは御理解いただきたいと思います。
●西村(智)委員
つまり、分からないんですね。データがないんだけれども、これを含めるということなんですね。
八日の法務委員会で、こちらにいらっしゃる鎌田委員に政府参考人が答弁しておられて、未納があるかどうかということは、地方自治体等関係機関から入管に御連絡をいただいたところから手続が開始いたしますので、当然、連絡する前には、それぞれの部署において必要に応じた対応をしていただけるものと考えておりますというふうに答えていらっしゃるんです。
それまでに必要に応じた対応をしていたという、この必要に応じた対応というのは、これは一体何のことを指すんでしょうか。日本国籍者と同様に、督促ですとか差押えですとか、行政罰、刑事罰、こういった一定のペナルティー、こういったものが必要に応じた対応ということでよろしいのでしょうか。
●丸山政府参考人
御指摘の答弁につきましては、国又は地方公共団体の職員が、故意に公租公課の支払いをしないことに該当すると思料する外国人を知ったとして入管庁に通報するまでには、御指摘のとおり、公租公課の支払いをしていない永住者に対し、関係法令に従って必要な対応を行っているものと考えることをお答えしたものです。
その上で、永住者の公租公課の支払い状況については、個別の事案に応じて異なるため、国や地方公共団体の職員がどの時点で通報するかは、御指摘のような税金等の徴収手続で一概に区別し得るものではないと考えております。
なお、入管庁におきましては、国又は地方公共団体の職員が通報の要否を検討する際に参考となる事例を示す必要性があることは理解しており、施行までに、故意に公租公課の支払いをしないことに該当するとして、その在留資格を取り消すことが想定される事例につきまして、ガイドライン等として公表することを予定しているところでございます。
●西村(智)委員
故意に公租公課の支払いをしないことが今回は永住許可の取消し事由として追加されたんですけれども、先ほど答弁がありましたように、それぞれいろいろ、督促とか差押えとか、いろいろなことをやってきているんですと。やってきた中で、更に、どこの段階かは分からないけれども、取消し事由を追加しますよということなんですけれども、法令に従って適切に対応してきたら、追加事由による永住許可の取消しというのは本当に想定し得るんだろうかと私は思うんですけれども、これはどうですか。
●丸山政府参考人
委員の御質問が、国、自治体、担当の部署が差押え等の法令に従って適切に対応しさえすれば、永住者の在留資格を取り消すことができる制度を設ける必要はないのではないかという御趣旨と理解して答弁をさせていただきますと、今回の永住許可制度の適正化は、一部において、入管の永住許可の審査において必要とされる期間だけ税を納付し、その後、再び滞納するなどする事案があるとの指摘があるところ、かかる永住許可後の行為は、永住許可制度の趣旨に反するものであることから、永住者の在留資格の取消し事由として追加しようとするものでございます。
すなわち、法務大臣が適切な在留管理の観点から在留資格を取り消すことができるとすることと、国や地方公共団体が税金等の徴収のために差押えなどを行うことは、異なる機関が異なる目的で行うものであり、両立することから、差押え等がなされるからといって、永住者の在留資格を取り消すことができる制度を設ける必要がないとは考えておりません。
●西村(智)委員
データも取っていない、ですから立法事実が確認できない、極めて摩訶不思議な取消し事由の追加であり、私は賛同できないということを申し上げて、質問を終わります。