●西村(智)委員
立憲民主党の西村智奈美です。
雇用保険法の改正案ということで、今日から委員会で質問させていただくことになりました。
雇用保険や職業訓練は、我が国の労働政策の中でも非常に重要なものを占めているというふうに思っております。ですので、今回、雇用保険法、大変多岐にわたる改正になっておりますけれども、大きな方向性としては是としつつも、やはり幾つかの懸念点がありまして、先日、三月二十九日に衆議院本会議で大西議員が質問されておられましたけれども、それに引き続いて何点か伺いたいと思っていることがありますので、よろしくお願いいたします。
まず一つ、リスキリングについてです。
岸田総理が華々しく打ち上げたリスキリング、労働の三位一体の改革の一端として行うということでありましたけれども、私、ずっと気になっているのは、経産省でやられておられるリスキリングが、転職までを一体的に支援するということを目的として行っているということなんですね。在職者のキャリア相談からリスキリングをやって、リスキリングしながらということになるんだと思うんですけれども、転職まで一体的に支援するということになると、これはやはり、厚生労働省としてやっている職業訓練であったり、それに付随する様々な政策ということとは、ちょっと方向性、目的が違うのではないかなと。
つまり、経産省の方のリスキリングの方は、企業間、産業間の労働移動の円滑化とリスキリングを一体的に促進するというふうにも言っているんですけれども、これは、大臣、厚労省で考えている職業訓練、リスキリングとは明確に違うということは確認させていただけますか。
●武見厚生労働大臣
厚生労働省においては、三位一体の労働市場改革の一環として、リスキリングによる能力向上支援に取り組んでいるところでございます。
これは、希望する誰もが主体的に、希望する誰もがというのは労働者ということでありますから、労働者が主体的に能力向上を図ることができるように、また、自らの選択によって社内、社外共に労働移動できるようにしていくことを目指すものでございまして、転職ありきで取り組んでいるものではございません。
●西村(智)委員
確認をさせていただきました。
先ほど大臣からも、誰もが主体的に能力向上を図ることができ、自らの選択によって社内、社外共に労働移動できるようにしていくことを目指すものである、社外への労働移動ありきで取り組んでいるものではないという明確な御答弁だったかと思います。
ということであれば、やはり今回の雇用保険法の改正等の中で目指していくべきことというのは、労働者一人一人の能力をいかに向上させていくか、結果として就労ですとか賃金アップにつながっていくということが、それが望ましいわけなんですけれども、ただ、現在行われている職業訓練、公的な職業訓練の内容とかあるいは予算の規模ですとか、そういったものを見ると、とても、今大臣がおっしゃったような高尚な目的とは少し、少しどころじゃない、かなりかけ離れたような内容であり、予算規模のように見えてならないんですよ。
これは大西委員も指摘をしておられましたけれども、G7の中でも公的な職業訓練に係る予算が極めて少ない。フランスの三十分の一、ドイツと比べても十九分の一ということでありますし、また、内容ですとか施設も、私もかつて視察に伺ったことがあるんですけれども、ちょっと施設が古かったり、内容も、何か資格取得がメインの内容になっていて、本当に今の時代の必要なスキルアップ、能力アップにつながっているものが、あるんでしょうけれども、少ないんじゃないか。それが、今大臣が言われた高尚な目的と何かすごくかけ離れているように見えるんです。
やはり、予算の確保とそれからその内容の充実、あるいは職業訓練指導員の方々の人員の確保ですとか、そういったことも含めて、やはりちょっと、ちゃんとここは目的にかなったようにやっていかないとならないんじゃないかと思っているんですけれども、どうですか、大臣。
●武見国務大臣
委員からは少ないと言われてしまいましたけれども、公的職業訓練について、令和六年度は前年度から約二十四億円増となる約一千百八十六億円と必要な予算を確保した上で、リスキリングの促進に必要な取組を進めることとしております。
具体的には、職業訓練体制の確保のために、職業訓練指導員の確保については、職業能力開発総合大学校で毎年百人以上の養成を目指すとともに、国及び都道府県の設置する公共職業能力開発施設の整備を進めることとしております。
また、職業訓練を効果的に実施するために、こうした訓練提供体制の確保のほかにも、都道府県単位で労使団体など地域の関係者に参画いただいている協議会や、個々の公共職業能力開発施設と地域の企業との連携を通じて、訓練カリキュラムが地域のニーズに合ったものとなるよう、毎年度見直しを行っていることとしております。
こうした取組を進めることによって、リスキリングの促進のための支援というものを着実に進めていきたいと考えております。
●西村(智)委員
カリキュラムも地域の実情に合わせて毎年見直しているというふうにおっしゃっていただきましたけれども、地域の実情に合わせて毎年見直す、もちろん、それも大変重要なことだと思うんですけれども、今まさに、産業構造ですとか、いろいろなものがすごく大きく変わっていますよね。そういった中で、毎年毎年の見直しが本当にそういったものに追いつくのか。
あるいは、指導員の育成についても、先ほどのお話じゃありませんけれども、やはり長期的な見通しがあってこそ取り組めるもの、育成できる指導員もいらっしゃると思いますし、また、学校で長期的な見通しがあるからこそ取り組んでいける、そういったカリキュラムもあると思いますので、ちょっとここは本腰を入れていただいて、予算が増えたことは、それはよいことだと思いますし、それはいいんですけれども、そうじゃない、本当の意味の見直しというか、やはりそういうことをやっていって、人への投資をやっていくんだという、まさにさっき大臣がおっしゃっていただいた目的にかなったような、そんな職業訓練が本気で行われるようにしていただきたいなというふうに、これは強く求めます。
それで、今度は休暇制度の件について伺いたいんですけれども、これも先ほどどなたかからお話がありましたが、休暇制度がある企業はやはりそもそも少ないと伺っております。全体でいうと七・四%。大臣は、これに対して衆議院本会議で、更なる周知をしていきますというふうに答弁されているんだけれども、本当に周知だけで休暇制度を設ける企業が増えていくのかということを私はどうしても考えちゃうわけなんです。
つまり、やはり企業にとってみれば、日本の長らくの伝統というのは、新卒一括採用で、入ってから自分の会社で育てるという、何かOJTみたいな伝統がずっとあるわけですよね。そんなときに、スキルアップのためだということで休暇制度を設けるとか、それを使わせるとかということについては、やはりまだまだハードルが高いんじゃないか。しかも、女性活躍推進法の話にもなっていくんですけれども、特に非正規とか女性の方とか、スキルアップのチャンスがなかなかないということは間々私も聞くんですよね。
だから、本当に周知だけで休暇制度がある企業が増えていくのか。本当に増やしていくために、何かもっと、例えばですけれども、目標数値、数値目標を立てるとか、何かそういったことが必要なのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
私も職業訓練休暇制度の導入状況というのを見てみましたけれども、一千人以上の大企業で九・九%、それから三十人から四十九人ぐらいの企業規模でも八・七%。一割に満たない状況が現状だというのは、やはりこれは少ないというふうに思わざるを得ません。
厚生労働省としても、労働者が学び直しに必要な時間を確保できるようにするために、企業における教育訓練休暇制度が設けられていることは極めて重要だというふうに思っておりますので、今般の法案では新たな給付制度を盛り込みました。
教育訓練休暇制度につきましては、これまでも、人材開発支援助成金において、企業が教育訓練休暇制度を導入する際の経費などの一部を補助することとしておりまして、当該助成金の活用促進を通じて、この普及に更に取り組んできたところでございます。
今般の法案が成立した場合には、これまでの取組に加えて、新たな給付制度の創設に合わせた更なる周知を徹底して行って、より多くの企業で教育訓練休暇制度が設けられるように取り組んでいきたいと思います。
●西村(智)委員
員 休暇制度もつくってもらいたいと思いますけれども、その休暇制度の中身もやはり同時に問われるんだと思います。先ほど申し上げたように、女性や非正規が研修の対象から外されるケースというのはやはりあるんですよね。実際に、同じポジションに仮にいたとしても、男性の方にばかり声がかかって女性に声がかからないとか、現にありますので、大臣、そこのところ、よく中身も見ていただいて、対象企業を増やしていくのと同時に、その中身のチェックも是非やってください。
次の質問は、今度はフリーランスについてです。
今回、育児休業給付が、増やすという目的の下に、いろいろなことが法改正の中身で入っているわけなんですけれども、フリーランスは、やはりこの育児休業給付の給付は受けられないわけですね、雇用保険に加入していないので。そういうことなんです。
今、労災の方は、特別加入ということで、フリーランスの方も入ることができるようになってきました。それから、この間、不利益な取引などが防止されるようにということで、いろいろな法律やガイドラインなどもできてきてはいるんですけれども、やはりこの育児休業給付も、一般労働者と格差をつくらずに、何かしたらいいんじゃないかというふうに思うんですよ。
つまり、一般労働者であれば、こうやって育児休業給付などの制度もどんどんどんどん整っていく。だけれども、一方で、フリーランスの方はやはり少し置いてきぼりにされているようなところがありまして、このままだんだんだんだん格差が広がっていくということになると、一方で、これまで政府は、フリーランスを推奨するようないろいろなこともやってきました、何か自由度の高い働き方だということで。それで、だからフリーランスが増えたというふうには私は言わないですけれども、言わないけれども、でも、余りにもこうやって格差が広がっていくということは、やはりちょっとよろしくないんじゃないかと。
かねてから問題になっている労働者性の強いフリーランス、こういったことについては、やはり労働者性という基準をもう一回見直して、一般労働者と同等の、いろいろな保険的なものに加入できるような、そういうことを本当に検討しなければいけないんじゃないかと思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
フリーランスの方であっても、実態として労働者に該当する方は労働者としての保護を適切に受けられることが重要であるというふうに考えます。そうした取扱いを働く方へ周知するなど、適切な対応が必要だと考えます。
一方、労働者には該当しないで、雇用保険に加入できない方に育児休業給付を支給するということは、費用負担の在り方など多くの課題があって、これはちょっと困難であります。
その上で、自営業であるとかフリーランスなどの育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置としては、国民年金の一号被保険者について、育児期間に係る保険料免除措置を創設することなどを盛り込んだ法案をこの国会に提出したところでございまして、働き方にかかわらず、若い世代が安心して子育てができるように、適切な支援を進めてまいりたいと思います。
●西村(智)委員
保険料免除と育児休業給付じゃ全然違うじゃないですか、大臣。
つまり、一番最初の答弁はすごくよかったです。労働者であれば、労働者と同じように保護をしなければいけないと。一番最初の答弁はよかったんだけれども、その後が何かだんだんだんだん崩れてきちゃって。
これはずっと問題になっているんですよ。かねてから、一九八五年の基準を今も使っているんですよ、厚生労働省は労働者の基準について。一九八五年からもう四十年たっているわけですよ。その間にすごく変わりましたよね。当時はほとんどが正規で働く人たちだったんだけれども、今、働く人たちの四割ぐらいが非正規であって、フリーランスを始めとするいろいろな、それに当てはまらない働き方をする人たちも増えました。やはりこの労働者性ということについて、もう一回ここは検討すべきときだと思いますけれども、大臣、先ほどの一番目の文章だけもう一回読んでいただけませんか。
●武見国務大臣
冒頭のところでありますが、フリーランスの方であっても、実態として労働者に該当する方は労働者としての保護を適切に受けられることが重要であり、そうした取扱いを働く方へ周知するなど、適切な対応が必要と考えております。これは、御指摘のような労働者性というものに関して着目をして、フリーランスというふうな立場であったとしても、その労働者性が確認されたとすれば労働者としての扱いで対応することが適切という、そういう基本的な考え方がここに示されているというふうに思います。
●西村(智)委員
その判断基準をもう一回検討していただけませんかということなんです。
今回、雇用保険法でこうやって育児休業給付を増やしていこうと男性の育休取得の目標数値も立てられて、すごいですよ。これは達成できたらすごいと思いますけれども、そういう中で、一方で、四十年前の基準で労働者じゃないと言われている人たちはどんどん置いていかれてしまっているわけです。ここは本当に何とかしないと大変なことになると思います。これは今日は指摘だけにとどめておきたいと思います。
次に、雇用保険の適用拡大についてということなんですけれども、今回、十時間から二十時間の方々も対象になるということです。ちょっと視点を変えますと、この適用拡大自体は、言ってみれば労働時間を見たときの適用拡大なんですけれども、本当にこれが労働者の福祉向上につながるかということについて、私はちょっと別の見方をしたいと思うんです。
いわゆる会社都合退職と自己都合退職というのがあります。ハローワークに離職票を持っていって、それで、自己都合退職とそれから会社都合退職と、これは例えば給付内容とか給付期間とか、やはり違うんですよ。
例えば、我が党で、先日でしたか、ヒアリングをしたんですけれども、もう皆さん御存じのとおりですが、いわゆる自己都合退職ですと、二十年以上勤めていても失業手当の所定給付日数というのは百五十日。ところが、いわゆる会社都合退職ということになると、二十年以上勤めている四十五歳以上六十歳未満の方は三百三十日。期間でいうと倍以上の違いがあるということなんですよね。
今回、給付制限期間が原則一か月に自己都合退職の方もなったということで、そこは評価できるんですけれども、例えば、離職票を持っていったときに、実は私はパワハラで会社を辞めざるを得なかったんです、いろいろ会社側ともやり取りしたけれども、もうこれは辞めるしかないと思って辞めましたという人が、本当にこれは自己都合退職なのかというのはやはり難しいところだと思うんです。
つまり、パワハラで退職を余儀なくされた労働者の方がハローワークで相談したところ、証拠がないということで、会社都合退職じゃない、自己都合退職として扱われたというケースがかなりあるのではないかなというふうに思いますけれども、こういった事例がどのくらいあるかとか、そういったことをまず厚生労働省は把握しているでしょうか。
●武見国務大臣
まだ実態までは精緻に把握をしているという状況ではないかと思いますが、考え方として、基本手当の受給資格決定における離職理由の判定に当たっては、労働者が自ら離職を申し出た場合でも、その原因がパワーハラスメントを受けたことによるものであると明らかになった場合には、会社都合離職として取り扱われ、給付制限がなく、長い給付日数の基本手当を受けられることになります。
離職理由の判断は、事業主や離職者の主張に加えて、必要な資料を離職者や事業主から収集した上で行っておりますけれども、委員の御指摘のとおり、パワーハラスメントのような事例において、離職者が客観的に事実を明らかにする資料を提出できず、事実の確認が難しい場合も多いというふうに承知しております。
したがって、このために、ハローワークにおいては、客観的な資料の有無、離職票というようなものだけで判断するんじゃなくて、職場の同僚などの意見なども丁寧に聴取することなどによって、離職者の置かれた状況に寄り添って必要な判断を行うように努めていきたいと思います。
●西村(智)委員
そうやって会社側と本人の言い分を聞いて、それから、それによって会社都合退職に変更することも制度上はできるというのは理解をいたしております。だけれども、実際にどのくらいそういった件数があるか、これも把握していないと思うんですよね。
私、これはパワハラの対策ということにも今後つながっていく貴重な情報であるように思いますので、是非これはハローワークの方で、ちょっと手間かもしれないけれども、そういった話があったとかいう件数を確認していただきたいなと思っているんです。是非これは要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次は、紅こうじの問題について引き続き伺っていきたいと思います。
厚生労働省と消費者庁で合同でコールセンターを設置したというふうに伺っておりますけれども、こちらの方に何件ぐらい今電話がかかってきていて、どういう対応をしておられるのか、お聞かせください。医療面でのサポートも必要だと思うんですよね。先ほどの柚木委員の質問にもありましたけれども、お医者さんに行ってくださいというようなことはその窓口で電話でお話をされているのかどうか、確認をしたいと思います。
●武見国務大臣
厚生労働省、消費者庁合同コールセンターにおきましては、三月二十九日に設置をして、夜九時まで、また土日祝日も含めて相談対応を実施しております。四月四日までに、延べで二千九百七十九件の相談がございました。
コールセンターに様々なお問合せをいただいておりますけれども、例えば、委員御指摘の点について言えば、身体に明らかな異常がない場合であっても、小林製薬による回収の対象となっている製品を摂取したなどの理由で何らかの不安感等がある場合には、医療機関等の受診、また最寄りの保健所に御相談いただくよう案内をさせていただいております。
引き続き、このコールセンターにおいて、相談者の問合せに対してはこのような形で丁寧に対応していきたいと思います。
●西村(智)委員
引き続きよろしくお願いいたします。
次に、先日私がこの委員会で質問した際の答弁について、もう一回確認をさせていただきたいと思っております。
ちょっと時間がなくて更問いができなかったところも含むんですけれども、私は、先週の厚生労働委員会で、四月五日までに消費者庁が小林製薬に求めた科学的根拠の再検証について、なぜ四月五日で期限を切ったんですかというふうに伺ったところ、工藤副大臣が、それは、いや、回答期限じゃないんです、四月五日時点での回答を求めたということで、継続的に検証を進めていきたいというふうに答弁をしておられました。
改めて、その同じ、厚労委員会があった先週金曜日の夕方に開催された関係閣僚会合での資料を見ますと、ここに、回答期限、令和六年四月五日というふうに書かれているんですね。ちょっとこの辺りのことについて、もう一回、どういったことだったのか、説明していただけますか。
●工藤内閣府副大臣
先日西村委員からお尋ねがあった件でございますが、三月二十二日付で小林製薬に対し、届出食品の安全性に関する科学的根拠の再検証の結果を二週間経過した四月五日までに回答するように求めておりますということで、今再質問されましたが、まさに今日でありまして、対象となる小林製薬ほか一社、米紅こうじポリケチドに対する安全性に関することで、今日一時に回答をしてくるというお約束になっておりますので、私どもは一時の回答を待っている、そういう状況でございます。
●西村(智)委員
一時に回答を待つ、それで、ですから、その内容を見てということになりますかね。その内容を見て、今後とも継続的に検証を進めていくということになりますね、そうしますと。
そうすると、今日一時に提出される検証結果、どういった内容なのか分かりませんけれども、やはり消費者庁としては、事業者の責任に任せる、事業者任せにするのではなくて、消費者庁として主体的に科学的根拠の再検証を行っていくということなんでしょうか。
●工藤副大臣
機能性表示食品は、事業者の責任において安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報を消費者庁に届け出て、機能性表示を行う制度でまずあります。
今般、小林製薬に安全性に関する科学的根拠について再検証結果の報告を求めているのは、今回の事案発生を踏まえ、届け出た科学的根拠に合理性があるかどうか、事業者に再評価を求めているものであって、報告された内容を消費者庁が検討するものではありませんが、まず本日の報告を待ちたいのと、現在、厚生労働省の調査の結果を踏まえて、必要に対応していきたいと考えております。
●西村(智)委員
大変残念なんですけれども、このような事態になっても、結局、消費者庁としてのスタンスは、事業者の責任であるというところを全く出ないわけですよね、厚生労働省の方にも協力してもらってということではあるんでしょうけれども。
であるとすれば、やはり私は今回の件で、自見大臣が、七千件の機能性表示食品について、まさに健康被害情報の確認というのを今やっておられますよね。こちらの方の期限は四月の十二日でしたでしょうか。それと、今まさにその原因解明は、大阪市などの保健所も現地に行ったりして、厚生労働省の方も独自で分析していただいたりして、まさに今やっている最中であるので、そういった原因究明ですとか、それからそのほかの健康被害がなかったかどうかという確認について、これが終わるまでは、少なくともそこまでは、機能性表示食品の新規の届出というのはやはりストップすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
●工藤副大臣
現在、厚生労働省において、小林製薬が製造した製品に係る健康被害の原因となった物質と、当該物質が製品に含有されるに至った原因の特定を取り組んでいるところであります。
このような中で、小林製品以外のものに対して制度の運用を止めることは、消費者庁としては考えてはおりません。
●西村(智)委員
だって、健康被害情報の確認を今まさにしているわけですよね。法的には、健康被害情報は届け出ることになっているんですか。
これも、三月二十九日、先週の厚生労働委員会での私の質問に対する、今度は審議官の答弁について伺いたいと思うんですけれども、審議官は、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合には、届出者は速やかに消費者庁あるいは保健所等の衛生部局に報告することとしておりますと答弁しておられたんですよ。更問いできなかったんですけれども、これは法律に書かれていることなんでしょうか。
●依田消費者庁審議官
委員御指摘の届出後の健康被害情報の収集、評価、報告に関する事項につきましては、食品表示法第五条に基づき、食品関連事業者等が食品を販売するに当たって遵守しなければならない食品表示基準の運用通知でございます、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインで規定してございます。
●西村(智)委員
通知なんですよ、ガイドラインなんですよ。見ましたら、健康被害などが発生したときには報告する体制を取っておくことが望ましいと、割と曖昧な書き方、その体制を取って、そして報告することが適当であるというふうに書いてあって、法律にも書いていない。しかも、通知に書いてあるといっても、適当であるという書き方で、何々するように努めなければと、努力でもなければ義務でもないんですよ、適当であるなんですよ。
こういった何か緩いやり方で言っているものに対して、何かあたかも法的根拠があるかのような御答弁をされましたけれども、これはやはり違うでしょうということをもう一回確認したいんですけれども、審議官、どうですか。
●依田政府参考人
私どもが所管しております食品表示法につきましては、消費者に対して食品の表示の適正性、これを担保する制度でございます。
委員御指摘の健康被害情報の収集体制というものは、機能性表示食品制度における届出事項として食品表示基準に明記してございます。私どもとしましては、その届出事項がきちっと届出後においても裏づけされた形で表示がされているのかどうか、こういうことをフォローアップしていく責務があると考えておりまして、その中で、その運用通知で、フォローアップの指針として、今申し上げた報告の話を書かせていただいております。
ちょっと補足しますと、まず、体制をつくるだけでは駄目なんだと思っておりまして、この体制をして、収集すべき項目、そしてそれを評価し、そして、私どもに報告するのは、その評価の結果、届出食品による健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、消費者庁に速やかに報告するとともに、保健所に当然これは報告を適切に、食品衛生法の関係規定に従いまして適切に行うべし、こういうことを運用通知に明記しているところでございます。
●西村(智)委員
運用通知も、先ほどの柚木さんの資料の中で、半年以上情報の更新がないところが一五%もあったというようなお話もありました。それと、今回、私は、いろいろお話を伺ってくる中で、原材料工場の移転というのについても結構これは大事なファクターになってくるのかなというふうに思ったんですけれども、原材料工場が例えば移転しましたということは、これは変更の届出は必要ないし、されていなかったということで、通知そのものも結構甘々だというふうに思うんですよね。
先ほどの質問にもあったんですけれども、まず一つは、ガイドラインの見直しは、これはいろいろなことが分かる前にできることがあると思うんですよ。先ほどの健康情報の通知ですとか、それから工場を移転しましたというときも届け出るということとか、それは是非やってもらいたいと思うんですけれども、法改正、これを厚生労働省、消費者庁、どういう形でやるのか、どういう形で今検討しているのか、これは非常に重要なところだと思います。もちろん、今原因が分からないし、因果関係もまだやっている最中ではあるんだけれども、いろいろなことを想定しながら、私は、食品表示法でやるか、あるいは衛生法でやるか、それともどちらでもやるか。もちろん、消費者庁の機能性表示食品のガイドラインの見直しも行うか。私は全部やった方がいいんじゃないかと思っているんですけれども、厚労大臣はどんなふうにお考えですか。
●武見国務大臣
まず、先月二十九日に、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会議というのが開かれまして、そこで官房長官から、当面の対応として、国立医薬品食品衛生研究所と連携して、引き続き原因物質の特定、分析を進め、その結果の速やかな公表及び原因究明を図ること、それから、五月の末を目途に、食品による健康被害等に関する情報収集体制の見直し及び国の関与の在り方について検討するよう御指示があったところです。
厚生労働省としては、国立医薬品食品衛生研究所と連携をしながら、また大阪市と連携をしながら、この原因究明というものに徹底的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
その上で、関係各省庁と連携しながら、そうしたしっかりとした科学的なエビデンスに基づいて、再発防止のために、食品衛生法体系においていかなる施策が今後必要になるのかということを検討していきたいというふうに思います。
●西村(智)委員
私どももよくよく研究をし、近々、政府の方に要望に伺いたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
終わります。