●西村(智)委員
立憲民主党の西村智奈美です。
今回、育介休法と次世代法が改正になるということで、私はかねてから問題意識を持ってまいりましたのは、本当に取りたい方が例えば育児休業であったり介護休業であったりといったものを取れているのか、また、潜在的に、本来であれば取るべきというか取りたい方々も、いろいろ制度の壁があって、声を上げること、申し出ることをためらっているというような方もいらっしゃるのではないかということはずっと考えておりました。
そんな中で、やはり育介休を取るためにはというか進めていくためには、長時間労働の是正であったり、あるいは有期雇用の規制の見直しであったり、そういったものが必要だというふうに考えておりましたところ、今回改正案が出てきて、全般的に、評価できるところもあるんですけれども、考え方として、また、これまで指摘をされた点に対する対応として、やはりまだまだのところもあるというふうに思いますので、今日はそういったところを中心に質問したいと思います。
まず、育児休業の方について伺います。
正社員と正社員以外ではやはり育休の取得状況に差が生じているということは、これはもうデータの上でも明らかになっております。またあわせて、出産前後での雇用継続をしているという人の割合は、正規雇用者で約八割、ところが、非正規雇用者では約四割となっていて、いろいろな御事情はあるんだとは思うんですけれども、でも、これだけ出産前後での雇用継続に大きな差が出てしまっているということは、私は、労働者個々の問題というよりは、やはり制度上何か欠陥があるんじゃないかというふうに思っています。
やはり雇用の入口のところでそもそも差がついちゃっていますよね、正規雇用の人、それから非正規雇用の人。この入口で決められたコースがずっと続いていくと、せっかく育児休業制度が今回の改正も含めていろいろ改善をされていっても、何か、そのコースを越えられないというところでは間の差がずっと残っていってしまっているということは、やはりこれは私は問題じゃないかなというふうに思っています。
大臣自身の認識を伺いたいと思うんですけれども、取得したい、仕事をしながら育児もやりたいというふうに思っている人たちが育児休業などを取れるようにするという考え方を大臣も共有していただいているということでよろしいかどうか、伺います。
●武見厚生労働大臣
正規雇用であるとか非正規雇用であるとか、雇用形態というものにかかわらないで、男女が希望に応じて仕事と育児を両立しやすい職場環境を整備することは極めて重要だと考えております。
こうした課題に対応するために、令和三年の育児・介護休業法改正により、有期雇用労働者については、育児休業の取得要件のうち、事業主に引き続き雇用された期間が一年以上ある者という要件を撤廃をし、取得の要件を緩和することで、育児休業をより取得しやすいというふうにいたしました。
引き続き、育児休業の取得促進に向けた課題をしっかりと分析をしながら、正規、非正規、雇用形態にかかわらず、男女が希望に応じて仕事と育児の両立を図ることができるように取り組んでいきたいと思います。
●西村(智)委員
令和三年の改正については私も評価しております。他方で、やはり、雇用継続の見込みがあるというところでは、一年六か月の雇用継続見込みという要件はまだ残っております。
今回の改正の前にも、昨年の六月にいわゆる研究会報告書が出されました。ここでも、有期雇用労働者に対する育休制度の周知、まあ周知なので、ちょっと私が考えていることとは違うんですけれども、周知が必要という文言は入っていたんですけれども、建議においては、有期雇用労働者についての言及は、プラチナくるみんの目標数値の引上げのみだということでした。
大臣は同じ考えだというふうに先ほども答弁くださったんですけれども、何か、本当にこれで非正規の人たちも休業を取れるというふうになっていくのか、今回の改正でやろうというつもりが本当にあったのかどうか、私はちょっと疑わしいと思っているんですけれども、どうですか。
●武見国務大臣
令和四年度に厚生労働省が実施した調査によりますと、離職前に非正規雇用で働いていた女性について育児休業の取得状況を見てみますと、利用していた、及び、利用したことがなく利用希望もなかったの割合が四七%であるのに対して、利用したことがなかったが利用したかった、及び、制度がなかったという割合が四〇%となっております。
御指摘のような、いろいろな潜在的な育児休業取得希望者が存在するかについて把握するのは実は困難ではありますけれども、いずれにせよ、有期雇用労働者の方も希望に応じて育児休業の取得が可能とするように、厚生労働省としては当然に取り組んでいくべきことと考えます。現に、有期雇用労働者も要件を満たせば育児休業を取得できることを周知を徹底するということをこれからいたします。
そして、育児休業を取得した労働者の代替要員を新規に雇い入れた場合などに支給される両立支援等助成金において、有期雇用労働者が育児休業を取得した場合の加算措置を設けることなどの取組を通じて、引き続き、有期雇用労働者を含めて、雇用形態にはかかわらないで、育児休業を取得しやすい職場環境の整備に取り組んでいくという基本的な考え方に何の変わりもございません。
●西村(智)委員
私は、周知だけでよいのか、あるいは職場の雰囲気づくりだけでよいのかというふうに疑問を呈しているわけなんです。
やはり、いつ何どき育児休業が必要になるか、あるいは、いつ何どき介護休業が必要になるかというのは誰にも分からないわけですから、本来であれば、どのような働き方をしていても、誰もが休業ですとか短時間勤務、こういったものを取得できる、そういう制度が必要なのではないかというふうに思うんですよね。同じやり方で少しずつ条件は、確かに条件は少しずつは緩和されてはいってはいるんだけれども、でも、やはり最初のコースが違うというところで、このまま同じやり方を続けていっても、非正規の人たちの、有期雇用の人たちの休業取得が増えるかどうかというのは、私はすごく疑問なんですよ。
さっき冒頭申し上げたとおり、鍵は二つだと思っていて、一つは長時間労働の是正、それから有期雇用の在り方を見直すことだと思っているんですけれども、長時間労働の是正の方から先に伺いたいと思います。
これも、昨年の研究会報告では、今後の基本的な考え方において、ライフステージにかかわらず、全ての労働者が残業のない働き方となっていることをあるべき方向性と示すということであったり、長時間労働が是正されることが不可欠だというふうに記載されています。
今回、法改正の中では、長時間労働の是正は次世代法でやりますと。企業規模による対象事業主の限定もある中の次世代法、しかも、内容は数値目標を事業主が設定するということにとどまっていて、これで長時間労働を、私は、大変申し訳ないけれども、根本的に是正できるとは思わないです、済みません。
本来は、もっとどっしりとした恒久法で、事業規模を問わず長時間労働を是正するような、そういった方策を取るべきだったのではないかと思いますけれども、いかがですか。
●武見国務大臣
今回の法律の中でも、育児、介護などの事情のある労働者に限らず、職場全体として仕事と生活が両立しやすい職場環境を整備していくことが重要という認識がまずあって、今回の法案におきましては、次世代育成支援対策推進法の改正により、事業主が一般事業主行動計画を策定する際に、育児中の労働者以外も含めた労働時間の状況に関する数値目標の設定を義務づけることなどを盛り込んでおります。
それから、改正次世代法に基づく指針においては、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、育児等を行う労働者のみならず、業務を代替する周囲の労働者に対するマネジメントや心身の健康への配慮についても記載することとしております。
労務管理の専門家による中小企業への個別相談支援事業においては、育児休業等を取得する労働者のみならず、職場全体の業務の効率化にも資する相談対応も行っております。
こうした取組を総合的に推進をして、そして、引き続き、いかなるライフステージにもかかわらず、全ての労働者が仕事と生活を両立できる職場環境の整備を進めていきたいと考えます。
●西村(智)委員
進めていくためにも、本当に次世代法でいいのですかと思うんですよ。やはり、十年たったら終わりになる考え方じゃないですからね。十年たって、本当に日本の社会の中から長時間労働が全くなくなっているのであれば、時限法でもそれはいいですけれども、そういう時限法じゃないでしょう、これは。
ちょっともう一回、長時間労働の是正については本当に、別のテーマにもなってきますけれども、考え直していただかないといけないと思います。
それから、有期契約労働者、有期雇用労働者の入口の問題なんですけれども、私、入口規制、これはどういう形でかはいろいろ議論があるとは思うんですけれども、やはりやっていくという姿勢を持ってほしいと思うんですよね。
育児休業からの切り口で入るんですけれども、有期雇用の労働者の育児休業は、やはり一年六か月という雇用継続見込みがないと取得できないわけなんです。だけれども、それで区別する理由も私は逆に言うとないというふうに思っていて、繰り返しになりますけれども、育児・介護休業制度の充実がこのままなされていったとしても、非正規や有期の育児休業の取得の例えば要件とかが今のままついているということであれば、やはり進んでいかないんじゃないかなというふうに危惧しております。
ここは、有期雇用の入口規制とともに、均等待遇の実現、これが必要ではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
●武見国務大臣
有期雇用に関わることでありますけれども、合理的な理由がない有期雇用契約の締結を禁止することについては、公労使の三者でこれはもう既に丁寧に議論を行った結果、現行の無期転換ルールというのが定められて、そして、引き続きこうしたルールが適切に運用されるように厚生労働省として取り組んできているわけであります。
また、正社員への転換を希望する非正規雇用労働者については、正社員への転換に取り組む事業主への支援であるとか、あるいは在職中の非正規雇用労働者に対するリスキリングの支援であるとか、ハローワークにおける担当者制によるきめ細かな就職支援などによって、正社員への転換を促進していくということを着実に進めております。
さらに、同一労働同一賃金の遵守の徹底を図り、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保してまいりたいと考えています。
●西村(智)委員
教科書どおりの御答弁をいただきましたが、合理的でない差別というのは、これはそもそも文言が非常に難しいし、立証責任が労働者の方にやはりどうしても乗っかってくるんですよ。こういったところをやはり見直していかないといけないというふうに私は思っていますし、今のままですと本当に、出産前後で仕事を辞めている人はほとんど女性ですよ、男性は辞めていないでしょう。非正規の女性が特にやはり辞めているわけなんですよ。この大変理不尽な差というものがこれからも制度として残っていくということは、私は問題だということは申し上げたいと思います。
一つ具体的な、育児休業について、あるいは看護休暇について具体的なことを伺いたいと思います。
子の看護休暇については、取得可能日数が年間五日、子供が二人以上の場合は十日となっております。これは今回の法改正でも見直しがないんですけれども、私、小学生の息子がおるんですが、去年、風邪を二回引きまして、一回当たり三日ずつきれいに休みまして、六日になっちゃったんですね。今、インフルエンザに罹患すると五日休まないといけないですよね。やはり年間五日では足りないのではないかという声は多くの方から私たちも伺っておりますし、今回の改正で小学校三年まで延長するというのは当然のこととしても、もっと延長してほしい、こういう声もたくさんあります。
これらについて、二点について、いかがでしょうか。
●武見国務大臣
今回の法案において、労働政策審議会での議論を踏まえまして、男女共に仕事と育児を両立できるようにするために、子の看護休暇の見直しを行うこととしております。
子の看護休暇の対象年齢、これは、十歳以降の子と九歳までの子が診療を受けた日数の状況であるとか、子育て中以外の他の労働者との公平感それから納得感が課題であることなどと勘案いたしまして、小学校三年生修了までとしております。
子の看護休暇の取得日数につきましては、子の病気のために一年で利用した各種休暇制度の取得日数等の状況であるとか、それから、子の看護休暇の平均利用日数が女性の方が多く、男女共に取得されるよう促進することが必要であるということ等に鑑みまして、現行の日数についてはこれを維持するということにさせていただいております。
●西村(智)委員
子供の看護のために有休を使っている方、結構いらっしゃると思うんですよね。でも、本来の趣旨とはそれは違うと思うので、是非、今後の課題としてテイクノートしておいていただきたいと思います。
次に、介護休業の方について伺います。
介護離職者が十万人。かつて、介護離職ゼロというようなかけ声がありましたけれども、あのかけ声は一体どこに行ってしまったんでしょうか。介護休業そのものは、取得率が今一・六%ですね。この原因究明というのが私は今後の対策のためにも極めて重要だと思っております。
やはりここでも正規と非正規の差というものは歴然と出てきております。介護休業の取得率、それから介護休暇の取得率、フレックス、時差出勤の取得率、ここにおいて差が出てきているのとともに、勤続六か月未満の労働者に対する介護休暇の適用状況は約四割というふうに大変低くなっているわけなんですよね。
これでやはりいろいろ影響が出てくるんじゃないかなと思うんですけれども、介護離職している方が総務省の調査ですと大体十万六千人というふうに伺っていますが、正規雇用から介護離職した方、それから非正規から介護離職した方、それぞれどういった数字になっているか、答弁いただけますか。
●武見国務大臣
済みません。今、現状では、その数字、把握をしておりません。
●西村(智)委員
昨日通告はしておいたんですけれども、じゃ、ちょっと私の手元に数字が来ているんですけれども、介護離職の方が十万六千二百人、うち雇用者が十万五百人、うち正規の職員、従業員が三万二千人、そして非正規の職員、従業員の方が六万七千七百人。やはりここでも非正規から離職している人が圧倒的に多いんですよ。正規から離職している人がざっくり言って三万人、非正規から離職している人が七万人ですから、こういう差が出てきているわけなんです。
ここで、仕事を辞める理由となったことを厚労省もデータを取っておられるんですけれども、勤務先の問題ですというふうに答えられた方のうち、勤務先に両立支援制度が整備されていなかったという回答が六三・七%となっています。他方で、ほかのデータによると、介護休業制度の規定が七二・八%の事業所で整備されている、こういうデータもあるんですよね。
いろいろな事業所の規模などによって出てくるのかなと思うんですけれども、両立支援制度が整備されていないという数字が結構大きいのが気になりまして、それでちょっとお伺いしたいんですが、規定を設けている事業所で、そこで働く労働者は両立支援制度などをどの程度知っているのか。就業規則があるにもかかわらず、介護休業を取得できなかった人がどのくらいいらっしゃるのかということも知りたくての質問なんですけれども、これについてはどうでしょうか。
●武見国務大臣
今、厚生労働省の中での、そうした状況の把握ができていないというのが現状のようであります。
●西村(智)委員
つまり、この程度のデータもないんですね。それで介護休業を、今回法改正ということなんですけれども、私は、やはりまずデータをきちんとそろえてほしいなと思いますね。
今回の法改正では、研修や相談窓口の設置等による雇用環境の整備が、いずれか一つということで措置義務になっているんですけれども、データがない中で、こうやって幾つかの、三つですか四つですか、その例示の中でいずれか一つをやるということで、本当に十分周知ができるのか、規定を整備することができるのか、これは甚だ疑問なんですけれども、これについては、大臣、どうお答えになりますか。
●武見国務大臣
介護のための両立支援制度の検討に当たりましては、令和三年の育児・介護休業法改正により設けられた育児休業制度における雇用環境整備の履行状況も踏まえながら検討を進めております。
令和三年の育児・介護休業法改正では、育児休業に関して個別の働きかけの取組がある場合は、そうでない場合に比べて育児休業取得率が高くなっていたことなどの調査結果を踏まえまして、育児休業の個別周知や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置が設けられたところでございます。
雇用環境の整備につきましては、いずれか一つの措置の実施が義務づけられておりますが、具体的な措置の履行状況を見ますと、育児休業に関する相談窓口の設置、それから労働者に対する育児休業に関する制度と育児休業の取得促進に関する方針の周知の実施率が高く、企業規模によって異なるのではありますけれども、おおむね五割程度というふうになっております。
このような履行状況を踏まえまして、今回の法案では、介護離職の防止のために、介護に直面した労働者への個別の周知などに上乗せする形で、雇用環境の整備のいずれかを事業主に義務づけるとしているわけでございます。
引き続き、仕事と介護を両立できる環境の整備を目指していきたいと考えます。
●西村(智)委員
つまり、私、先ほども聞きましたけれども、規定を設けている事業所で、そこで働く労働者がどの程度両立支援制度を知っているのかというデータもない中で今のような御答弁をいただいても、何かふわっとしていて、本当にこれでどのくらい周知が徹底されるのかというのは極めて怪しいなと思っているんですよ。
今回の改正について、この点の改正については、育児休業についても、令和三年の改正によって同じようにいずれか一つを措置しなさいということで義務規定となったということなんですけれども、これもデータがないわけですよね、今まだ。令和四年四月からの施行で、令和四年十月のデータはあるんだけれども、十月のデータはあるんですよ、でも、四月の施行で十月ですから、やはり状況がよく分からないということなので、更にもっと必要だという判断もあり得るのではないかというふうに思うので、きちんと、今回の改正前とそれから改正後のデータを是非取っていただきたいということをお願いします。
ちょっと時間があれですので、先に進みます。
介護のために仕事を辞める理由の二番目に多いのが、アンケートによりますと、介護保険サービスや障害福祉サービス等が利用できなかった、利用方法が分からなかったなどのサービスの問題だと回答している方々が三〇・二%おられます。これは、利用者にとっても、介護や障害福祉などのサービスが安心して受けられる環境、それから、そういった事業者などからも広報される情報提供、こういったものは極めて重要だというふうに私は考えております。ですけれども、アンケートで三〇・二%というふうにお答えになられているとおり、現状はなかなか厳しいというところなんでしょう。
それで、今回、議法として二法案、緊急提出されておりますけれども、この二法案について伺いたいと思います。
まずは、訪問介護緊急支援法案についてですね。
訪問介護のみならず、介護、障害福祉分野は全体的に経営が厳しくて、人手不足も深刻であります。そのような中、今回、あえて訪問介護だけに向けた緊急支援法案を提出した理由を伺いたいと思います。
今回の訪問介護の基本報酬の引下げについては、この委員会でも多くの委員から懸念が示されたところでありますが、今の状況を放置すれば将来的にどのような影響が生じるとお考えか、提出者の見解を伺います。
●早稲田議員
西村智奈美議員にお答えいたします。
介護、障害福祉分野は全体的に経営が厳しく、人手不足も深刻であります。令和六年度介護報酬改定では、介護報酬全体としては一・五九%の引上げとなったにもかかわらず、訪問介護サービスの基本報酬は約二・四%引き下げられました。訪問介護事業者からは、新たな処遇改善加算を最大限取得しても収支がマイナスになるとの声が上がっています。
実際に、二〇二三年の訪問介護事業者の倒産件数は過去最多の六十七件であったことや、訪問介護事業の求人倍率は十五倍を超えていること、特に訪問介護事業においては現状でも全産業平均との給与格差が月収で約六万円もあることからも、訪問介護業界の事業経営が困難な状況であり、人手不足が深刻な状態であることは明白であります。
訪問介護の提供体制を確保し、ひいては利用者及びその御家族の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため、今年度の介護報酬改定により基本報酬が引き下げられた訪問介護事業者に対して緊急的な支援を行うため、本法案を提出いたしました。
また、今般の基本報酬の引下げにより、訪問介護事業者の収益の見込みが低下し、事業の縮小、撤退、新規参入の見合せなどが既に発生しており、訪問介護事業の経営に影響が生じております。実際、知り合いのケアマネから、訪問介護事業所を閉鎖をすると多く聞いております。特に、地域を回っている小さな事業者のお話を聞きますと、そうしたところにはもうヘルパーさんが来ない、辞めてしまう、そういうことから閉鎖に追い込まれているということであります。
さらに今の状況を放置すれば、訪問介護事業者の倒産や介護事業者の離職、それに伴う介護離職や介護難民の増加が想定され、在宅介護の崩壊を招きかねません。また、二〇三〇年時点で約九兆円に迫ると推計されるビジネスケアラー発生による経済損失が更に拡大するなど、国民生活全般に甚大な影響を及ぼすことが予想されます。
こうしたことから、緊急的な対策が必要不可欠と考えます。
●西村(智)委員
やはり、訪問介護を始めとするいろいろな事業がきちんとサービスとして存在するということの維持のために、是非よろしくお願いしたいと思っております。
次に、介護・障害福祉従事者処遇改善法案についてです。
介護、障害福祉分野における担い手不足はかねてからの問題でありまして、私どもとしては、保育における処遇改善と併せて法案を提出してきたという経緯がございます。
今回、法案の再提出に当たって、政府は他業種の従事者の賃金と同等の水準を目指して賃金を改善するための措置について検討する旨の検討規定を新たに設けておりますが、この規定を新たに設けた理由について伺います。
●早稲田議員
令和六年度の報酬改定では、介護、障害福祉従事者の更なる処遇改善が図られていますが、いまだ十分とは言えない状況です。
介護、障害福祉サービス分野の人手不足は深刻であり、特に訪問介護事業においては、有効求人倍率は十五倍を超える高い水準となっています。介護、障害福祉職員の処遇改善が不十分な状況が続けば、賃金水準の高い他業種への更なる人手の流出を避けることはできません。その結果、人手不足による介護、障害福祉サービスの質の低下が発生し、サービスの利用者のみならず、その家族にも深刻な影響を及ぼすこととなります。
そこで、政府の処遇改善に加えて、全ての介護、障害福祉事業所で働く全ての職員に対して、一人当たり平均月額一万円賃金を引き上げるための措置を講ずることを内容とする法案を令和四年に提出をいたしました。しかし、近年の他業種における高い水準での賃上げの流れもあることから、月額一万円の賃金の引上げに加え、他業種の従事者と給与格差を少しでも縮めることが、埋めることが、対策が急務となっております。
こうした社会情勢を踏まえて、他業種の従事者との給与格差を埋める取組を政府に下すために、この法案に新たに検討規定を設けることとし、この度改めて法案を提出したことであります。
●西村(智)委員
是非、安心して育児や介護も、また仕事もできるという環境整備を私どもも一緒にしていきたいと改めて思っております。
ちょっと時間になってまいりましたので、機能性表示食品の問題について質問をさせていただきます。
お配りしている資料ですが、これは昨日の我々立憲民主党のPTに提出をされた紙なんですけれども、この紙一枚に大変大きな問題が凝縮されているなというふうに思うんですよ。
まず、この緊急の確認というのは四月の十二日が期限だったはずです。ですけれども、四月の十六日二十四時の時点であっても、回答を全ての事業者が行っていない、それからメールすらも届かない事業者がある、また、最後になって駆け込みで、健康被害情報がありましたということで報告数が増えているということで、私、すごい唖然としたんですよ。
こんないいかげんな状況で機能性表示の制度が運用されていたのかということですよね。しかも、メールが届かない事業所については、もしかしたらもう廃業しているかもしれないですよね。だけれども、今これはどういうふうになっているのか分からないということが今の消費者庁のお答えなんです。
消費者庁に伺います。
メールが届かなかった事業所、あるいは今現在でも回答していない事業所、あるわけですけれども、これはどう思いますか。どう思いますかというか、どう対応しているのかというのと、やはり、管理が余りにもずさんで、今なおこの事業所とそれから届出製品情報については、消費者庁のホームページにまだ掲載されているんですよね。販売されているんですよね。どうなんでしょうか。確認させてください。
●工藤内閣府副大臣
メールが届かなかった事業者数は十七であります。現在、その事業者に対し、法務局に問い合わせている、調査を行っているところであり、届出をしたまま廃業した事業者がいると想定されていることや、販売状況についてのデータが未更新の製品が一定数あることは課題であると認識しております。
機能性表示食品の届出情報のデータベースについては令和七年度より新たなシステムに移行する予定であり、この時期に向け、改善すべき事項について検討してまいります。他方、早急に対応できるものについては、新システムへの移行を待たずに改善することも検討する必要があると考えております。
いずれにせよ、消費者庁といたしましては、今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について、五月末までをめどに方向性を取りまとめていくべく、スピード感を持って検討を進めてまいります。
●西村(智)委員
余りにも無責任で、ちょっと本当に憤りを通り越しているんですけれども、少なくとも、今、消費者庁のホームページに載っている届出情報については、既に誤りがあるということですよね、実態と違うことがあるということですよね。
機能性表示の制度というのは、消費者庁がそうやって情報を公開して、それによって消費者に判断をしてください、そういう前提の、私はこれもどうかと思いますけれども、国民の口に入るもの、しかも濃縮されているものが多いという中で、本当にどうかと思いますけれども、でも、一応、消費者としては、ホームページに載っている情報を消費者から見ていただくということが前提だったわけなんだけれども、その中に、今、もう既に誤り情報があるじゃないですか。売っていないもの、あるでしょう。もう廃業している業者もあるでしょう。
既に情報が違う、届出情報の誤りがあるということ、情報提供に誤りがあるということを消費者庁としては反省して、まず、国民の、消費者の皆さんにおわびをすべきじゃないですか。どうですか。
●工藤副大臣
届出をしたまま廃業した業者がいると想定されていることや、販売状況についてデータが未更新の製品が一定数あることは課題であると、当然ながら認識しております。
機能性表示食品の届出情報のデータベースについては、私、事細かに全てホームページを見ておりませんが、早急に改善すべきだ、当然、御指摘のとおりだと考えております。
そして、前も申し上げたとおり、食品であり、口から入れるものでありますから、絶対的な、信頼されるようにしっかりと是正する、そういうことを副大臣としては、消費者庁に戻り、指摘して、指導したいと考えております。
●西村(智)委員
副大臣らしい、本当に責任感のある答弁をいただいて、ありがとうございました。
さっき自民党の議席の方から、もう売っていないじゃないかと。そんなの、分からないじゃないですか。売っているもの、あるかもしれないですよ。
だって、ごめんなさいね、健康被害情報の報告の届出製品三十五、延べ百四十七件、この中で、今売っているもの、あるんでしょう。どうですか。確認させてください。今売っているもの、販売しているもの、あるんじゃないですか。
●依田消費者庁審議官
今回の調査対象は、まさに届出食品ということで、まさに届出をされているということは、販売中の届出食品を対象としたものでございますので、事細かに、売上げとかそういうものは私どもは知る立場にはございませんけれども、流通が前提というものを調査対象とさせていただいております。
●西村(智)委員
だから、いいかげんな不規則発言はやめてください。
それで、ガイドラインなんですけれども、おそれが考えられるという消費者庁の認識ですよね。私はやはり、ガイドラインにあるとおり、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当だと事業者に求めている文章ですから、消費者庁が、ガイドラインが破られて遺憾だぐらいは言うべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
●工藤副大臣
西村委員のおっしゃるとおりでございまして、今回の事件を受けまして、今までの消費者庁の在り方を、しっかりと早急に、検討するだけじゃなくて、スピード感を持って対応しなければ、また今後大変なことになるというふうに私は考えておりますので、責任を持ちまして対応させていただきます。
●西村(智)委員
ありがとうございます。
まだちょっと質問したかったこともありましたが、時間になりましたので、終わります。