●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
旧統一教会の問題については、1980年代以降明らかになってまいったわけですが、政治の対応は私は極めて鈍かったというふうに思っております。我が党でも、有田芳生前参議院議員など一部の方々を除いて、私も含め、政治の取組がこの間不十分であったということは、国会に籍を置く全員が実は反省をしなければいけない、大変申し訳ないことだったと私は思っております。
また、この中で、政治と旧統一教会との関わりも明らかになりました。関わりのあった国会議員について、私たちの党にも何人かはおられまして、全て公表いたしておりますが、関わりの多くは自民党の議員でいらっしゃいます。国会全体の責任として、だからこそ、この反省を基に、解散命令請求も十月に出されましたので、被害救済のために立ち向かっていかなければ、何のための国会かということで、国会全体の責任が問われる事態だと私は思っております。
そんな中で、私たちは、やはり民事保全よりは、一般的な、包括的な保全が必要であろうという考え方の下に、憲法の定める信教の自由や財産権の保障にも十分に配慮して慎重に法案を作り、そして提出をさせていただきました。
自公国の法案については、実務が積み重なっているからということで民事保全の仕組みを使われているんですけれども、私はやはり、この民事保全、確かに仕組みとしては使えるところはあると思うんですけれども、入口のところで、旧統一教会によってマインドコントロールに遭っている人たちが、この民事保全というある意味世俗的な手続に入っていくというのは実は結構ハードルが高いということは、もうこれは多くの被害者の方がおっしゃっているとおりでありますし、また、全国弁連を始め、関わってこられた弁護士の先生方も指摘をされているところだというふうに思っております。
ですから、ここは、実務として確立している民事保全が全ての人に使えるということではない、やはり、一歩踏み出すためには、とにかく何か、献金をしなければ地獄に落ちるというふうに言われている人たちに、本当に旧統一教会を相手に民事保全を申し立ててもいいのかどうか、そういう心理状態にある方々に対して、本当にそういったことが可能なのかという、違う観点から是非法制度の議論に臨んでいただきたい。これは自公国の皆さんにも心から願っているところでございます。
とはいいましても、民事保全の仕組み、これは本当に使えるのであれば有用であるという面も、私はそのとおりだというふうに思います。今日は、与党の案に対しまして幾つかの疑問点がありますので、そこを質問していきたいというふうに考えております。もちろん、併せて私たちの法案も一緒に成立をさせていただき、車の両輪として被害者救済に資するように是非お願いをしているというところです。
まず一点目、指定までのプロセスについてです。
対象宗教法人から指定宗教法人、そして指定宗教法人から特別指定宗教法人に指定される、二段階で指定が進んでいくということになっているようであります。このプロセス、それぞれどのくらいの期間を見込んでいるのか、そこについてまず伺いたいと思います。
●柴山議員 我々の法案は、解散命令請求等がなされた宗教法人について、財産処分、管理の状況を所轄庁が把握をして、そしてその情報を被害者などに提供することによって、財産隠匿などを抑止しつつ、個々の被害者がその情報を基に適時の民事保全等の対応を行えるようにするということであって、今御指摘になった期間についても、そういった対応をきちんとできるような形にすることが必要だというふうに考えております。
まず、最初の対象宗教法人、これは、特定解散命令請求がなされ、そして特定不法行為に係る被害者が相当多数存在することが認められるような宗教法人であるということであれば、一般的な処分、管理の状況の把握の必要性が認められるということになりますので、対象宗教法人から指定宗教法人については、今言った要件が認められれば速やかに指定がされるということになろうかというふうに思います。
そして、これまで私どもが提出していた、そこから先、すなわち特別指定宗教法人に指定されるまでの期間でありますけれども、指定宗教法人の財産の内容、額、あるいは指定宗教法人の指定を受けた後のその財産の処分や管理の状況などを考慮して、被害者を害することですとか、あるいは財産の散逸のおそれみたいなものを判断するというふうにしておりましたけれども、それですと、この指定から特別指定への期間が長ければ、その間に必要な財産の流出がなされてしまう可能性があるという何人かの委員からの御指摘を受けて、この二つの要件が満たされれば、これを同時に行うことができ、かつ、その時期の年度のみならず、その前の時期の財産目録の提出も求められるようにするというふうに、私どもとしては法案の修正をして、委員の御懸念にお応えする準備がございます。
●西村(智)委員 速やかにと言っていただいたり、長ければというふうに言っていただいたり、一体どのくらいの期間なのかというのは依然として明らかになっていない。対象宗教法人から特別指定宗教法人に一回で指定されるということはあるということで、手続の簡略化、それはいいことだと思うんですけれども、この期間が余りに長いと、またこの間に財産の隠匿や散逸が起きかねないということですから、ここはやはり、どのくらいの期間なのかということは想定として明らかにしていただきたいなというふうに思っております。ちょっとお答えがないということであれば、また後でお聞かせいただきたいと思うんですけれども。
次に、財務書類の閲覧について伺いたいと思っております。
これまでもいろいろ議論がありましたけれども、財務書類に仮に虚偽の記載が行われていた場合、これは文化庁の方にお尋ねすることになりますが、どのような罰則が科せられているんでしょうか。
●小林政府参考人 お答え申し上げます。
宗教法人法第88条第4号の規定によりまして、宗教法人が財務書類等の備付け書類に虚偽の記載をしたときは、その法人の代表役員等は10万円以下の過料に処されることとなっております。
●西村(智)委員 100億円を供託しようかと言っていた団体に対して10万円以下の過料というのは、ちょっとどのくらいの意味があるのかなというふうに言わざるを得ません。今回、宗教法人法の特例というのを設けているわけですから、この罰則についても、その中で見直しをするということについては検討されなかったんでしょうか。
●柴山議員 確かに、先ほど答弁があったとおり、法人の代表役員等の10万円以下の過料というのは、それだけ見れば大したことのないペナルティーだというふうに思われるかもしれませんけれども、一年分の財務諸表の虚偽記載が、元々、宗教法人法上、代表役員等に対する10万円以下の過料となっている以上、四半期ごとの財務諸表の虚偽記載について、それより重い罰とすることは妥当でないものと考えているのが一つと、それからあと、実効性のことについて言えば、これも先ほどちょっと答弁しましたけれども、過料となる処分、かつ被害者の請求権を困難ならしめるようなことを当該宗教法人が行うというのは、これは解散命令請求に当たって極めて悪い情状になるというふうに考えておりまして、それは解散命令の判断に非常に悪影響を与えるという、そのこと自体が当該法人に対する抑止力となるのではないかと私は考えております。
●西村(智)委員 後段の部分については、私、理解できるところがあります。ただ、四半期ごとだからそっちの罰則の方を重くするのはいかがかということについては、それはそういう考え方だけではないんじゃないかなというふうに思います。ここも是非検討していただきたいと思っています。
また、閲覧ですね、財務書類の閲覧を、いわゆるかぎ括弧つきの被害者という方ができるようになるわけなんですけれども、どういった方々が具体的に閲覧することができるようになるのか。被害者の証明というのか、それはどのように行って、その方が被害者であるというふうに認められて閲覧することができるようになるのか。この辺りの実務についてはどうでしょうか。
●山下議員 被害者と申しますのは、対象宗教法人に対して、解散命令請求の原因となった不法行為等やこれに類する行為により損害を被ったということで、自らの権利の実現のためにするということでございます。そうしますと、結局、自らの権利が侵害された、これは、法律上でいえば、要するに債権ですね、不法行為に基づく債権が典型的でございますけれども、それを疎明する資料が必要になってくるであろうというふうに考えます。
例えば、疎明ということでありますと、大体この時期にこれぐらいのお金を払ったということ、これは個別具体的な状況によりますから、そこはまさに、だからこそ司法の民事手続によることが必要だということになりましょうけれども、そうした書類を見せるということで所轄庁に判断してもらうということになるんだと思います。
●西村(智)委員 所轄庁が判断をされるということなんですけれども、私も、被害を受けた方にお伺いをしますと、つまり、献金とかをしたときに領収書を取っていないというのがほとんどでありますし、また、ですから記録が手元に残っていないというケースが多いと聞いています。
例えば、通帳から多額のお金が一気に引き出されたようなときは、もしかしたらこの時期のこのお金ということである程度の疎明ができるかもしれませんけれども、そうじゃない、本当に手元に何も残っていない、ノートの切れっ端に書いたのが残っているぐらいのことであっても、これは疎明たり得るということでよろしいでしょうか。
●山下議員 どのようなものが疎明に当たるかということについては、本当に個別具体的な事例によるんだろうと思います。ですので、書類においてもいろいろな証拠が、資料があり得ると思います。そうしたものを総合考慮して認められる場合もあると思いますので、それはもう個別具体的な判断だということになろうと思います。
●西村(智)委員 個別具体の判断というのは、私たちの法案についての答弁でも個別具体の判断と言っているので、結局、与党さんの案も個別具体の判断なんだなというふうに思わざるを得ないところでございました。
やはり財務書類でいろいろなことが分かってくるということは私も期待しているところです。四半期ごとの書類の閲覧、できればもうちょっと頻度を上げて分かるといいというふうには思いますけれども、例えば、その財務書類の中で、通常とは思えない、通常とは異なる大きな変動があった場合、隠匿の様相を呈している場合、どういった対応が実際に可能になりますか、差し押さえるということについて。
●山下議員 まさに御指摘いただいたとおり、与党案というのは、そういった大きな変動を、四半期ごと、ある程度早期に、適時に把握できるというところに眼目があろうというふうに考えております。
そして、さらに、この民事事件手続、これに対する支援を行っているということにおいて、そうした大きな変動があった場合に、例えば保全をそもそも検討されている方であれば、これは保全の必要性がいや増すというふうな資料に使われるということで、民事保全の実現が、疎明がより容易になるだろう。そうした様々な形で保全をしていくということになるんだろうと思います。
●西村(智)委員 保全がしやすくなるという意味においてはいいんですけれども、最初に私申し上げましたけれども、通常の民事保全であれば、そのように実務として確立しているプロセスに普通に入っていくことができると思うんですけれども、とにかくこの旧統一教会の問題というのは、やはり違うんです。違うんです。だから、スタートラインというかベースが違うというところから制度についてはやはり考えていただく必要があったんじゃないかというふうに指摘をしたいと思います。
ちょっと時間が限られてきましたので飛ばさせていただいて、法テラスの問題だけ先に聞かせてください。立担保の問題です。
今回、担保などについては援助をするということで書いていただいています。それは、お金のない中で、場合によっては弁護士さんが担保のお金を立て替えるなどということもあったというふうにもちょっと伺ったんですけれども、そういったことにならないというためにも非常にいいというふうには思うんです。
ただ、例えば、高額の土地がある、7億円もすると一般で言われている。担保、仮にここに2割だというふうに想定いたしますと、1億4000万円の担保が必要になってくるということなんですね。そうしますと、とても個人で払えるような額ではありません。法テラスは、この1億4000万円も立て替えていただけるんでしょうか。伺います。
●柴山議員 まず、前提として、当該仮差押えの申立てをする際に、7億円の土地しかないのか、あるいは、より容易な不動産、つまり、もっと手頃価格でも債権保全をするというだけの実益がある不動産なのかということを判断して、より容易な不動産があればそれを仮差押えできますし、また、移転をするということが一か月前に分かっていれば、当該不動産が流出の危険があるということで、それを押さえるということになろうかと思います。
まず、それを前提とした上で、今の上限額についてのお答えをさせていただくと、これは、今おっしゃった、一般の担保の想定額を超える場合でも、必要かつ相当と認められる場合には援助を実施するということにしております。これは、現在の法テラスで既にそういう実務になっております。
次に、本法律案では、その当該援助についての立替金の償還、この償還について常に猶予することとしているほか、仮に、民事保全手続で、いや、この保全は実は間違った保全だよということで、相手方、すなわち宗教団体方に損害を与えた場合であっても、それが故意又は重大な過失による場合を除いては、この援助費用の償還を免除することが原則としてできるということなど、償還、支払いの免除については、原則として免除することができるというふうに、私どもの修正案では明示しております。
●西村(智)委員 つまり、1億4000万円でも立て替えていただけるということでよろしいでしょうか。答弁してください。
●柴山議員 先ほど申し上げた要件を満たせば、つまり、原則として免除できるということであります。
●西村(智)委員 そのように活用できればいい仕組みだというふうには思うんですけれども、あっ、終わっていました、済みません。ちょっとほかにも質問を残していたんですが、くれぐれも、両案、車の両輪として成立をさせるように引き続き御努力をお願いしたいということを申し上げて、終わります。
ありがとうございました。