●西村(智)議員 ただいま議題となりました立憲民主党・無所属及び日本維新の会提出の解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会の問題については、昨年来、国会においても大きく取り上げられています。国会での審議等を通じ、旧統一教会が行ってきた社会的に許容し難い悪質な行為、とりわけ、悪質な寄附勧誘の被害の深刻さとともに、被害者による個別の民事手続による対応は困難を極めることが浮き彫りとなりました。
そして、10月13日に、旧統一教会に対して解散命令請求が行われました。解散命令請求が行われると、宗教法人の財産の隠匿や散逸のおそれがあることから、今後、被害者の救済に万全を期すためには、そのような行為を防止することが何よりも肝腎であると考えます。
このような状況等を踏まえ、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関し特別の定めをすることにより、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘を受けた者等に係る被害の回復に資し、もって消費者の利益の擁護に寄与するため、この法律案を提出した次第です。
以下、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと等を理由として、宗教法人の解散を命ずる裁判の請求等があった場合において、当該宗教法人が、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘等によって生じた損害の賠償に係る訴訟、示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等に照らし、その行為によって、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれること、当該宗教法人の財産の構成、国内から国外へ向けた多額の送金その他の当該財産の第三者への移転に係る状況その他の事情に照らし、当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあることのいずれにも該当すると認める相当な理由があるときは、裁判所は、所轄庁等の請求等により、当該宗教法人の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分を命ずることができることとしております。
第二に、前述の宗教法人の財産に関する保全処分について、弁護士法に倣い、会社法の所要の規定を準用することとしております。
最後に、本法律案による措置は極めて異例かつ特別なものであり、決してこれを前例とするものではないことを付言させていただきます。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。
し上げて、終わります。