●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
過日、私、マイナ保険証のことについて加藤厚労大臣に質問をいたしました。
マイナ保険証ですね、これで資格確認が行われた約百五十七万件、これは今年の二月の件数だということで御答弁いただいたんですけれども、そのうち、マイナ保険証で薬剤情報を利用、閲覧したのが七十四万件、特定健診等の情報を利用した、閲覧したケースが三十二万件、診療情報を利用した件数が約三十一万件ということで、一言で言うと、資格確認した百五十七万件のうち、結構ほかの、薬剤だとか特定健診だとかの情報を利用した件数というのはまだ低い、二月の段階ではですね。そういうことで御答弁をいただきました。
それで、今年の四月から、紙の保険証とマイナ保険証とで、いわゆる点数が差がついております。紙の保険証は六点、マイナ保険証は二点、この加算だということなんですけれども、先ほど冒頭申し上げたように、マイナ保険証で、マイナンバーカードで資格確認をした場合であっても、薬剤情報などの利用に患者さんが同意しなかった、こういうケースが二月の時点ではかなりあるということだったんですけれども、例えば、薬剤情報、特定健診情報、診療情報などの利用に同意しなかった場合は、これは点数は六点つくんでしょうか、二点つくんでしょうか。
●加藤国務大臣 オンライン資格確認については、診療報酬上、システムを導入した医療機関であって、患者に対し、薬剤情報、特定健診情報、その他の必要な診療情報を取得、活用して診療を行う者について加算を設けているところであります。
その上で、この診療報酬上の加算については、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用した場合、オンラインで患者情報を確認でき、問診等の業務負担が減ると考えることから、カードを利用しない場合の初診時六点と比べて点数を二点と低く定めているところであります。
これが仕組みでありますので、今委員言われたように、患者が薬剤情報の利用に同意しなかった場合には、問診等の業務負担は変わらず発生をするわけでありますので、従来の健康保険証とした場合と同様の点数六点を算定することとなります。
こうした点も含めて、リーフレット、ホームページ等で周知を通じて、分かりやすく、混乱がないように努力をしていきたいと考えております。
●西村(智)委員 私も幾つか医療機関などのホームページなんかも見てみたんですけれども、そういうことを大々的に広報しておられる、お知らせしておられる医療機関は余りないと思うんですよね。多くの方は、やはり、マイナ保険証を持って、それで資格確認をしたら、その時点で自分は二点だというふうに思っている、つまり加算がされない。
今年年明け前後に報道されたものを全部繰ってみましたけれども、その多くは紙の保険証のままだったら加算になるということだけで、マイナ保険証を持っていても、資格確認の後、薬剤情報の利用に同意しなかった場合には六点になるということは、その当時報道されていないんですよ。
これはすごく大きな勘違いといいますか、勘違いというか誤解というか、ある意味のリスクだというふうに思うんですけれども、実際に、自分は二点、二点とか六点とかという点数まで承知している方がどのくらいいらっしゃるかは分からないですけれども、自分は紙の保険証じゃないから加算されないと思って行って、資格確認はした、だけれどもそういった情報については同意しなかった、だから結果として加算されているという方は、実は結構いらっしゃるんじゃないかというふうに思うんですよ。
四月からこれは始まったわけですけれども、四月に入って、マイナンバーカードによる資格確認を行ったにもかかわらず薬剤情報などの利用について同意しなかった方というのは、一体どのくらいいらっしゃいますか、加藤大臣。
●加藤国務大臣 先ほど二月の数字をおっしゃられたというふうに思います。実は、まだ四月のやつは統計は取れていませんので三月段階ということになりますが、まず三月段階については、マイナンバーカードによる資格確認が行われたのは約二百六十七万件、薬剤情報を利用した件数は百二十四万件、診療情報については三十一万件、特定健診等情報については三十二万件というのが三月の時点の利用状況であります。
これは、患者本人が同意をした上で、患者のそうした情報を医療機関、薬局が実際に閲覧した件数でありますので、患者の同意件数自体は把握をしておりません。したがって、お尋ねの不同意の件数、これも把握することは難しいということは是非御理解いただきたいと思います。
●西村(智)委員 これは、詐欺とまでは言いたくありませんけれども、何というか、ある種の、私、政府の説明不足であると同時に。やはり後で、大臣、四月に入ってから不同意だった件数というのは、ちゃんと出していただけませんか。でないと、いつまでたっても、この六点と二点の差、実際に被保険者の皆さんに伝わらずに、誤解がずっと残ったままになるというふうに思うんですけれども、出していただけませんでしょうか。
●加藤国務大臣 済みません、ちょっとその前に、先ほど申し上げた数字は、委員がおっしゃった二月の数字を私申し上げてしまって、三月は、薬剤情報が百二十四万、診療情報が五十九万、特定健診等情報が約五十二万、資格確認が行われた件数は約二百六十七万件でございます。
その上で、今、不同意の件数をとおっしゃったわけでありますけれども、オンライン資格確認等システム上、同意、不同意に関する集計はなかなか時間が要するところ、又はシステム上それが対応できるかという課題もあるというふうに認識をしております。
大事なことは、今委員御指摘のあったように、そうしたことに点数が、ということは、要するに負担が違うということを医療の窓口等でしっかりとPRしていく、周知を図っていくということだと認識をしておりますので、引き続き、そうした周知に我々も、また、医療機関の協力も得ながら、しっかり周知させていただきたいというふうに思っております。
●西村(智)委員 これに限らず、一つはやはり、マイナンバーカードを持っているから既に保険証が付与されているというふうに思っておられる方々もいらっしゃるというふうに思うんですね。とにかく、報道の出方からすると、マイナンバーカードを持っていれば既にそこに保険証がついていて、そして、保険証を持っていてそれで資格確認をすれば自分は加算されないというふうに、やはり思っておられる方々は多いんじゃないかというふうに思うんです。
実際に、来年の十月にはいよいよ紙の保険証がなくなるということなんですけれども、これ以降、そういった政府の周知不足だとか説明不足だとか、私はちょっと、今の大臣の、周知をちゃんとしていきますというお言葉はあったんだけれども、何というんでしょう、きちんと説明をするという積極的な姿勢を、残念ながらそこから感じ取ることはできなかったので、実際に、それ以降、無保険になる方というのが出てくるんじゃないかと、これはすごく心配をしています。
こうなっちゃったら、私、本当に厚生労働省としてどういう責任を取るのかというふうに心配をしているんですけれども、大臣、その点はどういうふうにお考えですか。
●加藤国務大臣 委員の御指摘は、マイナンバーカードを持っているけれども、健康保険証として結びつけていないことによって使えないケースというお話であります。
マイナンバーカードで医療機関を受診していただくためには、今申し上げたように、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録していただく必要があり、これはマイナポータルアプリ等を用いるなど、様々な方法で事前登録することは可能でありますが、さらに、この利用登録は医療機関や薬局の受付窓口に設置をする顔認証つきカードリーダー、これによって行うことができるわけでありますので、マイナンバーカードでそうした事前に利用登録をしていなくても、その場で簡単に手続していただくということが可能となっておりますので、そうしたことをしっかりと周知することによって、来年秋、健康保険証が廃止された後、医療機関が受診できなくなる、こういった事態は防げるものと考えております。
●西村(智)委員 この間、いろいろな医療機関などから、あるいは医療従事者の方から、やはり受付の窓口などで混乱がかなり出るんじゃないかということも言われていますし、また、カードリーダーが間に合わないとか、いろいろなその課題も言われております。
私は、元々のマイナンバーカードの設計そのものにやはり見直すべき点は大きいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、やはりそういった実際に利用される方々の声をよく聞きながらでないと、デジタルということで、何かすごく政府は旗を振るけれども、実際についていける方々がいないとか少ないとかということであれば、これはまた逆に逆効果にもなるというふうに思うんですよね。
実際、今日はお呼びしていませんけれども、マイナンバーカードを使っての住民票、これが、全く違う人のものが発行されたりということで、本当に大問題だというふうに思うんですよね。こんなことを政府が一丸となって推進しているというのは一体どういうことかと本当に思います。ここは、是非もう一回考え直していただきたい。
そして、先々月でしょうか、全国保険医団体連絡会がアンケートを行って、高齢者施設などの方々が今は紙の保険証などを実際には管理している、預かっているというようなことがあるということなんですけれども、これがマイナンバーカードになったらどうですかというふうにアンケートを行ったら、施設のうちの九四%が、管理できないというふうに答えていらっしゃる。理由としては、やはりカードや暗証番号の紛失時の責任が重いというふうに答えておられるということなんです。
私もそうだろうなというふうに思います。以前この場でも申し上げたとおり、こういった施設でも預かることが出てくるだろうし、あるいは学校の子供たちが行事に参加するときに、今も紙のコピーを持っていくわけですけれども、そういったことをいろいろ考えますと、実は、資格確認書、これの発行数を厚生労働省としてどのくらい見込んでおられるのか、それはちょっと伺いたいなと思っているんです。実は相当な数になるんじゃないか、今私たちが想像しているよりも。これはどのくらいだというふうに今厚生労働省は考えているのか、加藤大臣、答弁をお願いいたします。
●加藤国務大臣 まず、ちょっと前半のところが、マイナンバーカードの管理に関しては、これまでも、関係者の方からもお話を聞かせていただいて、マイナンバーカードの申請、代理交付等々の支援、あるいは暗証番号の取扱いについて、暗証番号の設定に困難を抱える申請者がおられる現実を踏まえ、暗証番号の取扱いについての検討、また施設入所者のマイナンバーカードの管理の在り方などについて、取扱いの留意点を整理した上で周知、安心して管理することができる環境づくりを推進する、これは本年二月の中間取りまとめの中で盛り込んでいるところでありますが。
それを踏まえ、現在、マイナンバーカードを利用したよりよい医療を受けていただく、これは、介護施設に入所した方々においてもそうしたことができるよう、暗証番号の取扱い、第三者によるカードの取扱い、申請の取りまとめや代理での受取等に対する助成措置について、丁寧にお示しをさせていただいているところでございます。
そうした努力を進めていくことの中で、資格確認書については、本人からの申請に基づいて交付されるところではございますので、今の段階でどれだけの発行かということはなかなか申し上げにくいところでありますけれども、ただ、資格確認書についても、申請手続の失念等が起こらないように様々な案内を行っていく、あるいは申請を勧奨する、さらには、なお資格確認書の申請が期待できない場合には、本人からの申請によらず資格確認書を交付することを可能とする、こういった措置を講ずることによって、必要な方に資格確認書が届けていけるように進めていきたいと考えておりますが、委員の御指摘の、では、今何枚かと言われても、今申し上げた努力をさせていただいている状況でもございますので、今の時点で何枚かということは申し上げにくいことは御理解いただきたいと思います。
●西村(智)委員 そもそも国民皆保険制度の我が国で、なぜ申請しないと保険証に代わる資格確認書が取れないかというのは、本当にこれは筋論からしておかしいというふうに思うんですよ。そこはもう一回考え直してもらいたい、強く申し上げておきます。
私、次に、ちょっと順番を変えまして、性的指向、性自認に関する国内法制に関連して、性自認という言葉について、今日は幾つか確認をさせていただきたいと思っております。
ここにいらっしゃる皆様は既に御案内のとおり、今、超党派の議員連盟で二年前に合意した自民党の法案を、骨子案をベースとした超党派議連での与野党合意案、これをどうするかということが政治的な課題となっております。私たち立憲民主党は、性的指向、性自認に関する差別を解消するための法案というものを国会に提出しておりまして、是非その一日も早い成立を求めたいと思いますけれども、他方で、超党派での合意案については、私たちも責任を持ってまとめたものでございますので、今自民党さんの党内議論を二年お待ちしているところなんですが、ちょっとスタックをしているということであります。
この問題について、私はかねがね思いますのは、いわゆる当事者と言われる方々、性的指向、性自認についていろいろな違和感があるという方々は、一つは、やはり御自身でそれがなかなか分かりにくい、声を上げにくい、公表しにくい、そういった実態があるということだと思います。最近は、自らがそうだということでカムアウトされる方々も増えていて、それはそれでよいことだというふうに思うんですけれども、言い出さないことによる苦しみとか、つらさ、困難、こういったものがあるということをよく知った上で、いろいろな法律を作ったり、また制度をつくったりしていかないといけないんじゃないかというふうに思っているんです。
この問題について、いろいろな誤解とか心配があるということも私は承知しておりますけれども、しかし、今ちょっと聞こえてきますのは、性自認という言葉を法案の中で性同一性という言葉に置き換えようということが漏れ伝わってくるわけですけれども、性同一性という言葉になれば、これはまた、ある意味の誤解に基づいた施策が行われるおそれが非常に強いというふうに私は思っていて。やはりここは、性同一性という言葉ではなく、これは性同一性障害じゃないですけれども、性同一性という言葉ではなく、性自認という言葉を引き続き使っていくべきだというふうに思っているんです。
今日は、その意味で何点か確認をさせていただきたいと思っています。例えば、今、性同一性障害特例法、戸籍変更の特例法がありまして、これをめぐっても、いろいろ裁判なども起こされているんですけれども、まず、犯罪被害者給付金、この事件について伺いたいと思います。
名古屋高裁で、令和四年八月二十六日に、いわゆる犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求控訴事件という判決が出ております。犯罪被害者の方々の同性のパートナー、そういった方々に対して不支給だということが取り消された、それについての事件なんですけれども、判決の結論はともかくとして、この中で、いわゆる性自認がどのように説明をされているか、法務省の方に、これは当該部分を読み上げていただきたいと思います。
●松本政府参考人 それでは、読み上げさせていただきます。
御指摘の判決におきましては、性自認につきまして、「性自認(自分の性別についてのアイデンティティ)は、生物学的基盤によるものであると解されており、自らの意思や努力によって変えることのできない属性であるというべきである。」と判示されているところです。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
続きまして、また法務省に伺うんですけれども、今度は最高裁判決、こちらの方は、先ほど申し上げた性同一性障害特例法に関しての最高裁判決なんですけれども、ここでジェンダーアイデンティティーという言葉の訳語は何という言葉になっているか。ジェンダーアイデンティティーという、イコールで訳語が出ていないとしても、この判決の中では性同一性という言葉が使われているのか、あるいは性自認という言葉が使われているのか、そしてまた、性同一性障害の苦痛というのは何についての誰の問題だというふうにされているのか、読み上げをお願いいたします。
●松本政府参考人 それでは、お答えします。
最高裁判所の平成三十一年一月二十三日第二小法廷の決定におきましては、ジェンダーアイデンティティーの訳語としてどの用語を用いているかなどが明示されていないため、その訳としてどの言葉が当てられたかは直ちに読み取ることは困難なところがございます。しかし、性自認という言葉は判示の中で使われており、また、性同一性という言葉は性同一性障害者の一部として使われている、それらの言葉がそれぞれの文脈で使われていると承知しております。
なお、お尋ねの性同一性障害の苦痛につきましても、決定上は必ずしも判然といたしませんが、この決定には二名の裁判官の補足意見が付されておりまして、その意見では、性同一性障害者の性別の違和に関する苦痛に触れる部分があるほか、「性同一性障害者の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題でもある。」との記載があると承知しております。
●西村(智)委員 ありがとうございます。つまり、性同一性障害の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題である、社会の側の問題であるというふうにここに明確に書かれているということでございます。ありがとうございます。
続いて、厚生労働省の方に伺いたいと思うんですけれども、厚生労働省では各種の国家試験を所管をしております。ここで、令和五年度、今年度版になりますけれども、保健師助産師看護師国家試験出題基準におきましては、性同一性という言葉は使われているでしょうか。
●榎本政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘ございました、保健師助産師看護師国家試験出題基準令和五年度版、これは厚生労働省医政局看護課にて作成したものでございますが、ここにおきましては、助産師の国家試験出題基準の科目の中で助産管理というものがございますが、その中で、大項目として、二、助産師及び助産師の業務に関わる法と責任がございまして、その中の中項目、C、女性の支援に関わる関係法規の中で小項目としてキーワードを幾つか挙げておりますが、その一つとして性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律というのを挙げておりまして、ここの部分で性同一性という言葉が使用されているところでございます。
●西村(智)委員 ちょっと質問の仕方がまずかったかもしれませんけれども、では、性自認という言葉については、私が調べましたところ、確認をさせていただきましたところ、助産師国家試験基準、基礎助産学一の5のAの小項目において、性的指向、性自認の多様性という部分で使用されているということなんですけれども、これで間違いないでしょうか。
●榎本政府参考人 性自認という言葉の使用につきましては、今委員御指摘のとおりでございます。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
続いて、厚生労働省にまたお聞きしたいんですけれども、社会福祉士の試験、これの過去問題で、これもまた、ジェンダーアイデンティティーの訳語については、性同一性という言葉が使われているか、それとも性自認という言葉が使われているか、どうでしょうか。
●川又政府参考人 平成三十年度の社会福祉士国家試験の設問におきまして、性同一性障害や性的指向、性自認という表現が使われていると承知しています。
●西村(智)委員 性同一性という言葉は使われていないということでございます。
次に、また法務省の方に伺いたいと思うんですけれども、いわゆる経済産業省のトイレ事件と言われるものですけれども、これは職員の方がトイレの使用について争われた判決でございますが、現時点、地裁と高裁判決が出ておりますね。
地裁判決においては、自らの性自認に従って扱われることというものをどのように位置づけて判示しているでしょうか。また、高裁の判決では、性自認に基づく生活はどのような利益だというふうに判示しているでしょうか。法務省に伺います。
●松本政府参考人 お答えします。
御指摘の事件につきまして、令和元年十二月十二日の東京地裁判決におきましては、御指摘の点につき、「性別は、社会生活や人間関係における個人の属性の一つとして取り扱われており、個人の人格的な生存と密接かつ不可分のものということができるのであって、個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは、重要な法的利益として、国家賠償法上も保護されるものというべきである。」と判示されております。
次に、令和三年五月二十七日の東京高裁判決におきましては、御指摘の点につきまして、「性同一性障害者特例法の立法趣旨及びそもそも性別が個人の人格的生存と密接不可分なものであることに鑑みれば、一審原告が主張の基礎とする自らの性自認に基づいた性別で社会生活を送ることは、法律上保護された利益であるというべきである。」と判示されております。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
いずれも、重要な法的利益であるとか保護すべき利益であるということで判示されているということでありました。
次に、文部科学省に伺いたいと思います。
文部科学省の方では、いじめ防止等のための基本的な方針というのを、これは、二〇一七年でしたか、一八年でしたか、策定しておられますけれども、ここにおいては、ジェンダーアイデンティティーに関する部分で、恐らく、性的指向、性自認と記載されているということだったと思うんですけれども、それを確認させていただきたいと思います。
●寺門政府参考人 お答えを申し上げます。
性的指向、性自認の言葉につきましては、御指摘のいじめの防止等のための基本的な方針、平成二十九年に最終改定してございますが、この中で記載がございます。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
次に、また厚労省の方に伺います。
自殺対策大綱、こちらにおいては、またジェンダーアイデンティティーに関する部分で、性的指向、性自認と記載されているというふうに思いますけれども、それを確認したいと思います。
●川又政府参考人 自殺総合対策大綱の性的マイノリティーへの支援の充実という部分におきまして、性的指向、性自認と記載されております。
●西村(智)委員 ありがとうございます。
次に、自治体の方です。
自治体へ行っても、性的マイノリティーに関する条例が策定をされてきております。私が承知している限り、その多くでは差別を禁止しているものがほとんどだというふうに思うんですけれども、その中で、自治体、例えば、自分がそう思ったら男や女になれるという性別の自称、自ら称するというようなことに対する差別が禁止されているという事例を総務省としては把握しておられるでしょうか。
●吉川政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの条例につきましては、一部の地方公共団体が地域の自主性、自立性に基づいて取り組まれている独自施策であると認識しております。
総務省といたしまして、御質問のような事例については把握をしておりません。
●西村(智)委員 そして、最後の方では、加藤厚労大臣に伺いたいと思います。
労働施策総合推進法、こちらの方で、指針で、パワハラについて、随分、厚労省からも当時、頑張っていただいて、超党派議連でも取組をしまして、相手の性的指向、性自認に関する侮蔑的な言動を行うことというのが挙げられています。このときの言う性自認というのは、自分がそう思ったら男や女になれるという性別の自称、自ら称するというようなものを含んでいるんでしょうか。
●加藤国務大臣 御指摘のパワハラ防止指針においては、パワハラに該当すると考えられる例として、性的指向、性自認に関する侮辱的な言動を行うこと、性的指向、性自認等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する、いわゆるアウティングを挙げております。
職場におけるハラスメント防止対策に関するパンフレットなどにおいて、性自認とは、自己の性別についての認識を指し、性的指向や性自認は、本人の意思による選択や変更、矯正や治療をするものではなく、本人の尊厳に関わる問題として尊重することが重要である旨掲記をしているところでございます。
御指摘の性別の自称というのは、どこまで含まれるのかというのは必ずしも把握できないところでありますが、政府としては、あるいは厚労省としては、今申し上げたそれぞれの解釈といいますか、それにのっとって、パワハラ防止指針の徹底などを通じて、性的マイノリティーの方々が働きやすい職場環境整備を推進していきたいと考えております。
●西村(智)委員 身体的な性と性自認が一致しているにもかかわらずそれと異なる性別を自称することは、少なくともパワハラ防止指針で言うところの性自認には該当しないということでよろしいでしょうか。
●加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げたように、性別の自称と一定おっしゃるところが必ずしも明らかでないので、それと該当するかどうかというのは明確に申し上げるのはなかなか難しいのではないかと、私は認識をしているところでございます。
●西村(智)委員 私、事前に厚生労働省に聞いたときには、これはパワハラ防止指針で言うところの性自認には該当しないというふうに答弁をいただいていたんです。
最後の質問になるかもしれません。また厚労大臣に伺いたいと思います。
性的指向や性自認で差別や侮蔑をしないといったときに、性的マイノリティーのいわゆる当事者と言ったらいいのか、性的マイノリティーだけが対象であるかのように言われるんですけれども、パワハラ指針については、この点は厚労省としてどういうふうに通達していますか。
●加藤国務大臣 パワハラ防止指針における性的指向、性自認に関する侮辱について、指針の詳細を示した局長通達においては、相手の性的指向、性自認のいかんは問わないものであるとしております。
また、ハラスメント防止対策に関するパンフレットにおいても、性的指向や性自認は全ての人に関係する概念である旨明記をしているところでございますので、御指摘の性的指向、性自認に関する侮辱については、全ての人を対象としたものであります。
●西村(智)委員 全ての人を対象にしたものということでございます。
ここまで確認をさせていただいたとおり、性自認という用語で、司法や医療や行政はずっと対応してきております。ですから、性自認だと、自称、自ら名のるということのように聞こえる、だから用語を変えますということになってしまったら、施策が根本から変わっちゃう、司法判決までひっくり返す、こういうことになりかねないので、是非、ここは確認をさせていただき、今後の議論に資するようにしていきたいと思っております。
終わります。