●西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
今回の法案、私は、このタイミングでこういう形で提出されたということが、ちょっと、いささか疑問に思っているんですね。これまでの質疑の中で、昨年九月に方針が決まった、対応の具体策が決まって、それを基にこの法案が提出されているという説明が繰り返し聞かされるんですけれども、なぜこのタイミングなのか、そこから伺いたいと思うんです。
つまり、答弁などを聞いていると、厚生労働省は業務がとても多い省庁である、大臣の一人の肩に負わせるのは重いから、それを外に出すんだというような答弁のように私には聞こえるんですけれども、そういったことを前々から厚生労働省としては考えていて、この機会にということでこの法案の提出になったんでしょうか、伺います。
●加藤国務大臣 流れそのものはもう何回も説明させていただいているので重複をなるべく省いてしゃべりますが、昨年六月、有識者において、これまでの評価と今後の対応について御議論いただいて、そうしたことを踏まえながら政府の対策本部で、厚労省の一部機能について、感染症対応能力強化の一環として生活衛生関係の一部の機能について他省庁への移管ということが出され、そして、今お話があった九月に具体的な方向性が出された。こういう流れの中で、今回、全体、それぞれについても、司令塔機能の話も別途出しています。それから、日本版CDCは、別途、国会にも出させていただいています。
一連のパッケージ、パッケージというか、一連として、今回この法律の改正案も出させていただいた、こういう経緯であります。
●西村(智)委員 日本版CDCをつくるとか、IHEATの話とか、それはそれで別個の話として議論があるところで、それは分かるんですけれども、生活衛生の件や水道の件については感染症とは直接関係がない。それをあえて切り離すというのは、私にはやはり、何か前々から厚生労働省はそういうことを考えていて、この機に乗じて法案提出をしているんじゃないかなというふうに見てしまうということは申し上げておきたいというふうに思います。
具体的に伺うんですけれども、食品衛生のことについてです。
今回、食品基準審査課、これが、厚労省にあったものが消費者庁に移管されるということです。法案の内容的には組織を動かすということしか書いていないものですから、あえて組織のことを聞かせていただきたいと思っているんですけれども、消費者庁に移管されるということなんですけれども、そもそもこの食品基準審査課というのはどういう業務を行っていたか。食品添加物、それから農薬、こういったもののポジティブリスト化、それから安全性の評価、こういったものは内閣府食品安全委員会が担う一方で、その結果を踏まえて、薬事・食品衛生審議会、ここにある分科会ですとか部会で決まっていたというふうに承知をしております。
消費者庁に審議会も新設することになるわけですよね。審議会の委員や審議会の規則は、どういうふうに決定をするのか。消費者庁には、どういうふうに決定するのかを伺いたいと思います。厚生労働省には、言ってみれば、審議会の事務局、送り出すわけですから、そこでどういうふうに委員会の委員や規則などを確認をするのか。そこは送り出す側の責任もあると思うので、厚労大臣と消費者庁に、それぞれ伺いたいと思います。
●三ッ林委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
●三ッ林委員長 速記を起こしてください。
加藤厚生労働大臣。
●加藤国務大臣 今、委員お話があった食品衛生基準審議会をどうするかという話になると、これは消費者庁によって設置をされますので、それを厚労省がとやかく申し上げる立場にはない。ただ、そこにおいて必要があれば、もちろん我々の方から知見や経験を有する職員の出向をさせたり、必要な支援はしていく、こういう関係になるわけであります。
●尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
この食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後におきましても、食品安全基本法に基づきまして、リスク分析の考え方により、科学的知見に基づいた衛生規格基準を策定するという食品安全行政の基本的な枠組みを継続していくことが重要だ、そのように考えております。
移管後も、引き続き、科学的知見に裏打ちされた衛生規格基準の策定が担保されるよう、今回の法案では、食品衛生基準行政に関する調査審議については、現行の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会から、消費者庁に設置される食品衛生基準審議会に移管するなど、消費者庁の対応を強化することとしているところであります。
この審議会の今後の在り方については、この法案を仮に通していただくことができますれば、その中で詳細を検討していくことになりますけれども、基本的に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の構成を参考とさせていただきながら、同様の科学的知見を得られた皆様方で構成をさせていただくということになろうかと思います。
●西村(智)委員 消費者庁の答弁はそのとおりだろうなというふうに思うんですね。
大臣、必要に応じて知見を消費者庁に提供するというよりは、もっと、今まで食品安全基準審査、そういったところに責任を持ってきた厚労省として、もう少し積極的に、これまでの知見あるいは人材、そういったものを消費者庁に提供するというか確認するというか、そういった姿勢が必要なんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
●加藤国務大臣 もちろん厚労省としては、移管当初から消費者庁においてそうした業務が適切に行われるよう最大限の協力をしていく、これは当然のことであります。
●西村(智)委員 次に、今度は、消費者庁の問題といえば問題なんですけれども、これまで消費者庁は、リスクコミュニケーションの総合調整をやるというところであった。一方で、消費者庁と名前がついているぐらいですから、消費者に寄り添う立場でもあられるわけですよね。
ただ、基準については、先ほども答弁ありましたように、科学的に行われるということがやはり消費者の不安を払拭するということにもつながると私は思っています。
ただ、この間、消費者庁のいろいろな問題の中で、例えば無添加表示問題、あるいはゲノムの問題、それから遺伝子の問題、なかなか、何と言ったらいいんでしょう、事業者と消費者の両方とも何かこれらをめぐって混乱して、逆にその不安をあおっちゃったんじゃないか、消費者庁がそういった不安を実はもたらしてしまったんじゃないかということがあったので、私は、消費者庁が本当に科学的な見地に立ってまさにこの基準の問題、やっていただけるのかということについてはちょっと不安を覚えているんですけれども、その点について消費者庁の方はどういうふうにお考えですか。
●尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
現行でも、消費者庁におきましては、食品表示に関する事務のほかに食品安全行政につきましても、基本的事項の案の作成とか関係行政機関の事務の総合調整等の司令塔機能を担っている、そういうところであります。
現在、厚生労働省が担っている食品衛生基準行政について、このような食品安全行政の総合調整を担う消費者庁に移管させることによりまして、消費者庁が政府内の司令塔となって関係府省間の調整をより円滑に行うことができる。結果、新たな食品に対応し得るバランスの取れた衛生規格基準の策定ができることになるものと考えておりますし、そのように心がけていかなければならぬ、そのように考えております。
また、先ほど申し上げましたとおり、また委員からも御指摘ございましたように、この度、食品衛生基準行政に関する調査審議に関する機能を消費者庁に移すということを通じまして、科学的知見に基づいた衛生規格基準の策定、こちらもしっかりと担保してまいりたいと考えるところです。
このように、食品安全行政の総合調整機能と科学的知見に基づきます調査審議に関する機能を活用することで適切に対応してまいりたい、そのように考えております。
●西村(智)委員 科学的な見地に立つというところはそれで了といたしたいんですけれども、バランスを取るというふうに言われますと、またちょっと心配なんですよ。
そこは、消費者庁ではあるけれども、先ほども私申し上げましたけれども、まさに消費者庁がこれまで司令塔としての役目を本当に果たせてきたのかというのは、よくよく考えていただきたい。無添加表示、何であんなに混乱したのかとか、本当にそこはよくよく考えていただいて、バランスは取らない、そういうふうにちょっともう一回言っていただけませんか。
●尾崎大臣政務官 何といいましても、一番大事なことは科学的知見に基づくことであります。そしてまた、関係省庁がございますので、その間で総合調整機能をしっかり果たして結論を出していきたい、そのように思います。
●西村(智)委員 関係省庁との力関係というのもありましょうから、ごめんなさい、あえて私こういうふうに言わなきゃいけないのは、今日は組織の改編に関する法律だから、あえてこういうふうに言っています。ほかの省庁との力関係でいうと、消費者庁はやはりまだ弱いところがある。そこはちゃんとしっかり科学的見地に立つんだということを肝に銘じてやっていただきたいと思っております。
厚労大臣にお伺いいたします。
監視行政が今回厚労省に残るということなんですけれども、この理由について伺いたいと思います。
●加藤国務大臣 食品衛生監視行政は、有毒、有害な食品、規格基準に合わない食品の取締り、食品関係の営業者に対する営業規制、監督指導などを通じ、食品による健康被害を未然に防止することや、健康被害が生じた際の被害の拡大を防止することを主な目的としております。
食中毒は、原因となる微生物や物質によっては、初動の段階で、原因が食品によるものかそれ以外によるものか、直ちに分からない場合もあります。このため、食品衛生部局は、常に感染症部局等の他部局と情報共有や連携を図りつつ、迅速に原因の究明や危害の拡大防止対策を行うことが重要であり、実際に保健所においては、食品衛生部局は他の部局と連携して原因の究明や危害の拡大防止に当たっているところでございます。
そうしたことから、食品衛生監視行政については、引き続き、公衆衛生に関する幅広い知見を有する厚生労働省において、感染症対策、健康危機対策と一体として担うこととしたところであります。
●西村(智)委員 食品に関する事故、あるいは食中毒、感染症、なかなか最初は原因が分からないと。初動のところで原因の特定をちゃんとやっていくためにも、従来どおり、保健所と連携をきちんと取ってきた厚労省のところで、自治体、都道府県も挟むことはありましょうけれども、情報のやり取りなどが遺漏なくできるということで残したんだということだと思って受け止めました。
その関連で、先日、実は阿部知子委員が、本委員会において、水俣病に関連して、食品衛生法の関連での検証をお願いしたいというふうに質問をされましたところ、厚労大臣は、当時の法律の体系の中で適切に対応してきたものというふうに認識をしておりますという答弁をされました。私、これを聞きまして、本当かなというふうに思ったんですね。
ちょっと振り返ってみますと、水俣病は、公式認定されて六十何年でしょうか、一番最初に水俣病というのが世に知らされたのは、恐らくは一九五六年であろうというふうに思います。熊本大学の水俣病医学研究班が、水俣湾の周辺地域で、どうも中枢神経性、当時はそういうふうに言っていたかどうかはあれですけれども、そういった疾患、同じような症状が出ているということで調査に入られて、結果、本疾患は、伝染性疾患でなく、一種の中毒症であり、その原因は水俣湾産魚介類の摂取によるものであるというふうに報告をしました。つまり、食中毒だと。魚を食べて中毒症状が出ているということですから、食中毒だということで明らかになったんですね。
翌年に、熊本県が、食品衛生法の適用で対処しようということにはなったんですけれども、当時、熊本県の副知事が主張しまして、当時の厚生省と、本当に食品衛生法を適用していいかどうか打合せをしようということになりまして、文書で厚生省に照会が行われたんです。
今も文言が残っていますけれども、原因となる、これは答弁を大臣もされていますけれども、有毒な、又は有毒な物質が含まれ、又は付着しているものの販売等を禁止するということで、当時の食品衛生法第四条第二号で書かれているんですけれども、厚生省からの回答は、残念ながら、適用するということにはならなかった。
水俣湾特定地域の魚介類を摂取することは、原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがあるので、今後とも摂食されないよう指導されたいというふうに言いながら、次の項では、しかし、水俣湾内特定地域の魚介類の全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められないので、当該特定地域にて漁獲された魚介類の全てに対し食品衛生法第四条第二号を適用することはできないものと考えるというふうに、前段と後段と矛盾したような答弁をされて、結論としては、食品衛生法の適用ができないというふうに回答が、当時の厚生省からされたんです。
大臣、なぜこのような矛盾する回答が当時なされたのか、まず、その回答の中身について、大臣はどういうふうに評価しておられますか。
●加藤国務大臣 矛盾というのはどこを指しておられるのか、ちょっと認識できなかったんですが。
当時の食品衛生法第四条第二号では、有毒な、又は有毒な物質が含まれ、又は付着しているものの販売等の禁止をしていた。その有毒な物質が含まれる食品については同号の規制の対象になるものの、その疑いのある食品については、いまだ同号の規制の対象になっていなかった。この点、昭和三十二年に、今委員お話がありました、熊本県からの疑義照会を受けた時点で、水俣湾内特定地域の魚介類全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められなかったことから、この特定地域で漁獲された魚介類の全てに対し規制することはできない、こういう判断をしたということ、まさにそのとおりだというふうに思っています。
●西村(智)委員 前段と後段というのは、水俣湾の、ちょっと略しますけれども、水俣湾特定地域の魚を食べることは原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがある、だから摂食しないように指導してほしい、ただし、魚介類の全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められないのでと。私、これは矛盾していると思うんですよ。前段ではおそれがあると言いながら、後段では全ての魚がそうか分からないというふうに言っている。これは、やはりちょっとおかしいと思うんですよね。原因物質が分からないということであれば、食品衛生法に基づいて施設の立入調査などを行えば、これはすぐに分かることだったんじゃないかというふうに思います。
何でこういうことを申し上げるかといいますと、今、公健法、それから二回の政治判断による解決法、これによってもまだ救済されない方がおられて、現に今も裁判を闘っておられる方々がたくさんおられます。私は、実は水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会の今会長をしております、私は地元が新潟ですので。
もし、一九五六年の時点で、熊本大学のお医者さんたちが原因不明のことに対して食中毒だと言われた、このときに、熊本県が一応問合せはしたけれども、当時厚生省が、いや、これは食品衛生法の適用でいいんだと。つまり、当時の、今もそうですけれども、食品衛生法には、例えば販売目的で魚を捕るということを仮に禁止したとしても、誰が生活補償をするとか、そういったことというのは食品衛生法には書かれていないわけです。だから、厚生省が食品衛生法を適用して、これは禁止してよろしいんだ、捕獲を止めてよろしいんだというような判断をしていれば、その後、要は、まだまだ水俣地域でも患者さんは物すごく増えられたわけです。新潟でだって、新潟はその数年後ですから、それが本当に止まったかもしれない。今いろいろな意味で補償も行われておりますけれども、被害者の数も少なくできたと思うし、それに伴って、補償のお金も、言ってみれば少なく済んだ、そういった問題じゃないかというふうに思うんです。
もう一回振り返ってみて、大臣、このときにやはり食品衛生法を適用しておくべきだったのではないか。もちろん、その後改正されまして、おそれがあるものというふうにはつけ加えられたんだけれども、大臣自身は、今振り返ってみて、こういうことで食品衛生法の適用が止められてしまったということ、このことについては、御自身でどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
●加藤国務大臣 まさに、今委員からお話があったように、そうしたこともあって、昭和四十七年の食品衛生法改正において「又はこれらの疑いがあるもの」がつけ加えられる改正がなされ、疫学調査等によって有害な物質が含まれる疑いが客観的に認められる場合にもこの規定が適用できるようになった、こういう経緯があります。
したがって、当時の規定文、やはり行政は法律にのっとって対応していくわけでありますから、その範囲では、先ほど申し上げたように、適用することはできない。しかしながら、当時の水俣湾の特定地域の魚介類を摂取することで、原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがあったことから、摂取しないような指導を行ったということ、そういった意味では、そういった法律がある中で対応できることという趣旨で、そうした指導が行われたものというふうに思っております。
●西村(智)委員 熊本県から当時の厚生省公衆衛生局に照会があってから実際に回答がなされるまでに随分、時間がかかっているんですね。恐らく、当時の厚生省はすごく悩んだと思います。だから、その悩んだ結果として、前段と後段が何か矛盾するような回答が、熊本県の方に、しかも知事宛てに出されているんですけれども。
私は、やはり、こういった食品衛生法のこれまでの経緯をよくよく踏まえた上で、今後も、例えば食中毒ですとかそういった案件に当たってもらいたいというふうに思っているからこそ、こういうふうにも質問をしている。もちろん、現に、今裁判を闘っておられる、あるいは声をなかなか上げられない被害者の方々のためということもありますけれども、やはり、あのときに本当に食品衛生法の適用をしていたら、ここまでにはなっていなかったというふうに思うんですよ。是非そこは、大臣も、当時の話をもう一回掘り返していただいて確認をしていただきたいというふうに切にお願いをいたします。
私はやはり、このとき、有毒な魚を食べるということを完全に規制して、生活補償と原因施設の調査に入るということが行政の責任だったというふうに思います。二度と同じことを繰り返さない、そのためにも、主には今は環境省に舞台は移っているわけですけれども、当時の行政的な責任は私はやはりあったというふうに思いますので、是非振り返ってみていただきたいと切に思います。
それで、環境省の方に伺います。
二〇〇九年、二回目の特措法で、健康調査をするというふうに規定が盛り込まれました。住民の健康調査を国が実施するということだったんですけれども、二〇〇九年から十三年たって、まだ行われていない。昨年の年末、十二月に水俣でようやく説明会があって、MEGというんですかね、客観的評価方法が大体ここまで来ましたということで説明があったそうなんですけれども、今後これはどうされるんですか。
●柳本大臣政務官 お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、水俣病の健康調査については、昨年十二月に国立水俣病総合研究センターにおいて開催された報告会におきまして、研究者から、脳磁計とMRIを使って、メチル水銀による脳への影響をある程度客観的に評価できるようになったとの報告がございました。
この報告を踏まえ、環境省では、この評価法が健康調査に活用できる可能性があると考え、評価法の精度として一定の段階には到達したと整理したところでございます。
健康調査の在り方については、関係者の中でも様々な御意見があると承知しておりまして、引き続き、丁寧に御意見を伺いながら、検討を進めていく必要があります。
あわせて、調査の在り方の議論を進めるためには、専門的知見の充実、整理も図る必要があることから、現在、研究班の立ち上げの準備を手続として進めているところでございます。
こうした専門家による議論も十分に踏まえながら、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと考えております。
●西村(智)委員 これから研究班を立ち上げるということなんですけれども、昨年の十二月に報告をして、今四月末ですから、もうここまでで五か月たっているわけですよね。十三年待ったから五か月も短いでしょうということにはならないわけなんです。
私は、先ほども、ある程度は患者さんを特定できる、聞きましたら、大体八割ぐらい、水俣病の患者だというふうに認定された方々のうち八割が、そのMEGという方式でも同じように患者さんだというふうに認定される、こういうレベルの結果だということなんですよね。
私が恐れているのは、これを患者さんのスクリーニングみたいにしてはいけないというふうに思うんですよ。八割ですよね。しかも、実際にMEGで検査をすると、お一人当たり二時間ぐらいかかるというんですか。もう何万人対象がいらっしゃるか分からない中で、物理的にはやはり無理ということをいろいろ考えますと、やはり、その開発していただいた手法は、それはそれとして、本当に長い時間をかけて、お金も随分かかりましたね、何億円ですか、かかりましたよね、かかった。
それはそれで、一つのものとしては、判断材料としてはあるんだと思うんですけれども、やはり疫学調査じゃないですか、ここは必要なのは。客観的にといいますか、医師による、それが必要なんじゃないか。それがやはり地域の皆さんが求めていることなのではないかというふうに思うんですけれども、疫学調査、これはやはり是非やっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
●柳本大臣政務官 お答えをいたします。
繰り返しになりますけれども、健康調査の在り方については、関係者の中でも様々な御意見があると承知しております。そういったことから、引き続き、丁寧に御意見を伺いながら検討を進めていく必要があるというふうに考えております。
●西村(智)委員 今、阿部委員から、何年も何年もそういうふうにしているという声がありましたけれども、本当にそうなんですよ。
本当に、水俣病は、四大公害病の中でも比較的特殊といいますか、この問題の発生の経緯も、それから病状も、それから、それに対する行政的な、政治的な救済の在り方も、その都度その都度いろいろなことがやられてきたというのは、それはそれであったんだと思うんですけれども、やはり余りにも長く待ち続けている。もう六十年、胎児性水俣病の方がもう六十歳ですから、そういうことを考えますと、やはり期限を区切ってでも私はやっていただきたい、本当に強くここは要請をいたします。
残り時間が短くなってきまして、厚労大臣の方に戻らせていただきます。
今度は水道の方なんですけれども、先ほども連合審査でいろいろ質問がありましたが、水道水の安全性評価についてですが、これもいろいろな、食品安全委員会、それから厚生科学審議会で審議されてきたと。
水道水の基準業務についても環境省に移管するということなんでしょうけれども、今まで環境省が取り組んできた水質というと、私のイメージは、湖の水質とか川の水質とかそういったものであって、ちょっとやはり人が飲む水とは趣旨が異なるんじゃないかというふうに思うんです。
環境省、実際に、水道水の安全基準については、どの課というか局に置くことになるんでしょうか。
●柳本大臣政務官 お答えいたします。
環境省は、これまで、環境中の水による人の健康への影響を防止する観点から、一般環境中の水の環境基準等を設定してきておりまして、その際培ってきた科学的知見、専門的な能力を有しております。移管後は、これらを最大限活用し、水道水源から蛇口の水までを一体的にリスク管理することができると考えております。
委員から御質問いただきました環境省への具体的な移管先につきましては、水道水質基準と関係の深い部局内で整理する方向で準備を進めているところでもございます。
環境省としては、水質に関する科学的知見、専門的な能力を生かし、国民の水道に対する安全、安心をより高めるべく、全力で取り組んでまいります。
●西村(智)委員 同じ水ですから、水の関係の局の中に置くということは分からないではないんですけれども、ここでもずっと議論が、午前中もあったんですよ。水というのは、やはり私たちの命の水だと。口の中に入る。人間、水がなきゃ生きていけないわけです。
そういう意味で、これまで環境省がやってこられたものとちょっとやはり発想が違う、その立場に私としては立ってもらいたい。飲む水、人の本当に体の中に入る水だということで、その重要性については、政務官、お分かりいただいているということでよろしいですよね。答弁してください。
●柳本大臣政務官 委員御指摘のとおり、まさに命の水といった形の表現もございますし、国民の水道に対する安全、安心をより高めるべく、全力を尽くして取り組んでいきたいと考えております。
●西村(智)委員 最後の質問になるかと思います。
今後、水道の施設の整備などについては、一元的には、事業者とのやり取りは国土交通省とのやり取りになるということであります。
水道水に起因する食中毒や水質事故があった場合には、保健所や事業所などから、都道府県などを介したりもして、国交省というふうになっていくというふうに思うんですけれども、これは厚労大臣にお答えいただくことになりますが、今後、例えば水質の事故とか水に起因する何か食中毒があった場合にも、何かあった場合にも、妨げられることなく情報のやり取りが、ずっと対処が可能であるというふうに考えてよろしいかどうか。厚労大臣、お願いします。
●加藤国務大臣 現在、水道水に起因すると思われるものも含め、食品中毒患者又はその疑いのある方を医師が診断した場合には、食品衛生法などにより、保健所に届け出ることとなっております。保健所は、水道水に起因すると思われる食中毒が発生した場合、食品衛生法に基づき、水道水の調査などの対応に当たることとなります。このような食中毒への対応に関する枠組みは、本法案によって何ら変更されるものではありません。
今般の業務移管が行われた後も、厚労省は食品衛生監視行政の観点から食中毒への対応に当たることになるため、水道水に起因する食中毒が生じた場合には、水道整備、管理行政を担う国土交通省や環境省と緊密に連携し、対応していくこととなります。
また、人の健康を害するおそれがある水質事故が発生した場合、水道法において、水道事業者は直ちに給水の停止等を行うこととされております。また、保健所は、地域保健法に基づき、水道の衛生に関する事項の指導を行うこととされており、水道の水質事故が発生した場合には、必要に応じ、水道施設の調査などの対応に当たることとなります。ここも従前どおりであります。
今般の業務移管が行われた後は、水道整備、管理行政を担う国土交通省は、環境省と保健所が連携して水質事故に対応することになりますが、移管当初から今申し上げたいろんな事態にしっかり対応できるよう、必要な準備を進めていきたいと考えています。
●西村(智)委員 とにもかくにも、やはり私たちが口にするものはまさに私たちの命を紡いでいるものでありますので、その安全、安心を最優先に取り組んでいただきたいと強く要望して、質問を終わります。