■西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
六月一日に、いわゆる職域接種についてスタートするということになりました。
一日に加藤官房長官が記者会見をして、接種に必要な医療従事者や会場などについて、それを行う企業や大学などが自ら確保するということであったり、企業の場合には産業医が従業員とその家族らに接種することを想定しているというふうに発言がありました。同じ日に厚労省が全国の自治体に通知を発出しておりまして、職域接種の概要については、接種費用は予防接種法に基づき支給するとされておりました。
ここまでは整合するんですけれども、同じ日にワクチン担当の河野大臣が、BSの番組でこんなふうにおっしゃったんですね。職域接種について、費用は国が負担するということと、それから、企業でも病院を持っているところは早くスタートできるのではないかと。ちょっとこれを聞いて、おやっと思うわけなんです。
まず一つ伺いたいのは、厚生労働省に、職域接種については予防接種法に基づいて費用は支給されるというふうになっておりますけれども、この点について、どの条文をちゃんと適用してやるのか、それをまず伺いたいと思います。
■田村国務大臣 技術的なことなので読ませていただきますが、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種については、予防接種法附則第七条第一項の規定に基づき、同法第六条第一項の予防接種、臨時接種でありますけれども、これとみなして行われるものであります。
職域接種は予防接種法に基づく予防接種として行われるものであるため、接種を実施する機関は、医療機関として、被接種者の市町村から接種を受託し、接種後に市町村に費用を請求し、支払いを受けることとなります。
また、当該接種費用については、予診や接種の実施等に要する経費として、市町村との間の契約において、接種一回当たり二千七十円を支払うこととされており、市町村が支弁した費用は、予防接種法附則第七条第三項により、国が負担することとなるということを多分我が省としては申し上げたんだというふうに思います。
■西村(智)委員 ただ、ワクチン担当大臣は、費用は国が負担するというふうにはっきりと言い切っちゃったわけなんです。今の説明を聞くと、まずは市町村が請求によって支弁をして、その分は国が負担するということなんですかね。
ただ、テレビで言い切られてしまうと、国がとにかく何でもかんでもやるんですと、何かすごく、政府として、やった感を出すためにそういうふうに言っているように聞こえるんですけれども、これはどうですか。予防接種法の説明とちょっと違うところがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、ワクチン担当の政務に伺います。
■山本副大臣 今、厚労大臣からお話がございましたけれども、この職域接種に関しましては、厚労省の六月一日付の事務連絡で示されているとおりでございまして、予防接種法に基づく予防接種として行われるものでございまして、ワクチン接種に基本的に必要となる費用は全額国が負担することになっておりまして、河野大臣の発言もこれを念頭に置いたものと承知している次第でございます。
■西村(智)委員 なかなか、テレビ番組でも言い切りの発言が結構多いんですよ。
病院を持っているところは早くスタートできるというふうにも発言をしておられます。これは、企業立の病院で接種することを想定しているのか、推奨しているのか。また、実際にそれはできるんでしょうか。ワクチン担当の政務、山本副大臣に伺います。
■山本副大臣 ありがとうございます。
今般の職域接種に関しましては、自治体による高齢者等への接種に影響を与えないように、接種に必要な会場や医療従事者等は企業や大学等が自ら確保することとしている次第でございます。
このとき、接種を実施する企業においては、どのような形態で接種を実施するかにつきましては、企業立病院であるとか、また企業内の診療所で行う場合もございますし、また、外部の医療機関を活用して実施する場合も含めまして、接種対象者数や一日の接種回数等を踏まえまして、各企業において適切に判断いただくものと考えておる次第でございます。
一般に、企業立病院がある場合におきましては、外部の医療機関を活用する場合に比べまして、接種に必要な会場、また医療従事者等の確保、比較的スムーズに行えると想定されておりまして、河野大臣の発言もこのようなことを念頭に置いてなされたものと承知している次第でございます。
■西村(智)委員 では、担当副大臣としては、企業立の病院で接種することを推奨するということでよろしいですか。
■山本副大臣 今答弁しましたとおり、企業立病院もございますし、企業内診療所で行う場合もございますし、様々な形態がある中で各企業で適切に判断するということでございますので、その中での判断でございます。
■西村(智)委員 推奨はしないということだと思います。
余り、何か、テレビ番組等で言い切り型でいろいろ言われると、やはり担当者、関係者は混乱しますので、そこはやはり丁寧に、河野大臣から発言をきちんとしていただくというふうに、再々々度ぐらいなんですけれども、お願いをしたいというふうに思います。
それともう一つ、二日の日に全国知事会と会合をやられて、当初は従業員千人以上の企業で開始すると表明しておりますけれども、この千人以上とした根拠について伺いたいと思います。その結果、ワクチン接種において大企業が優先される、そういうことにならないかというふうに懸念するんですけれども、この点はいかがでしょうか。
■山本副大臣 今回の職域接種の仕組みでございますけれども、ワクチン接種に関する地域の負担を軽減をするということ、そして、接種の加速化を図っていくために企業また大学等で確保できる医療従事者等を活用して接種を進めるものでございまして、これにより自治体による接種の円滑化が図られるものと期待している次第でございます。
この職域接種につきましては、モデルナ社のワクチンを使用することを想定しておりますけれども、同社のワクチンは小分け配送ができないことになっておりますので、配送先にマイナス二十度のフリーザーを設置する必要があることであるとか、また、職域接種につきましては、六月二十一日から初めて開始することも踏まえますと、ある程度の規模の接種会場から順次開始していくことが適当と考えておる次第でございます。
この接種対象につきましては、その企業の社員に限らず、取引先企業であるとか下請企業の方々も対象とすることができるほか、中小企業が商工会議所等を通じて共同で実施することも可能としているところでございまして、順次対象を拡大していくことも考えられる次第でございます。
いずれにしましても、具体的な手続、手順、仕組み等につきましては、現在検討しているところでございまして、決まり次第お知らせをすることとしたいと思います。
■西村(智)委員 決まり次第ということなんですけれども、二十一日からスタートしたいと言っている企業が、私が今把握しているだけで三つぐらいあるんですかね、早くしていただかないとというふうに思います。
それから、千人以上の企業がというときに、私、これは産業医がいるということが前提になっているのかなというふうに思ったんですよ。加藤官房長官も、産業医が従業員とその家族らに接種することを想定するというふうに言っておられることもあるし、大体、従業員千人以上というと産業医を置くことになっておりますので、そうかなと思ったんですけれども、今のお話だと、そうじゃないということですね。
厚労大臣に伺いますけれども、加藤官房長官、産業医の方からやっていただくというふうに言っておられるようです。ただ、やはり、予診とそれから接種、分けていても今これだけ大変なのに、予診と接種を産業医の方が担うとかということになると、かなり負担が重いんじゃないか。また、私が伺っているところだと、例えば、産業医というと、今メンタルヘルスのことなんかも、いろいろこの間法改正をしてきて、精神科医などが産業医を務めているというケースも多いんじゃないかというふうに思います。ちょっと負担が重いんじゃないか。
また、個別の方の既往症とか基礎疾患の状況もよく分からないし、そこで本当に予診をやって判断できるのかという問題があると思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
■田村国務大臣 産業医、労働安全衛生法で規定されているわけでありまして、労働者の健康管理をしっかりやっていただくということで、一定の研修を受けていただいてという形の中で産業医になっていただくわけでありますが、今言われた産業医が直接予診して打つ場合もあれば、看護師かどなたかを派遣をお願いしてということもあるのかも分かりません。産業医がその分予診をして、予後を見るであるとか。いろいろなことは、やり方はあると思いますので、一概に、産業医の皆様方が負担がどうだというか、それは負担の範囲内でやっていただくんだろうというふうに思いますので、決して国の方が、こういうやり方で、こういうスピードでやってくださいと言うのではなくて、それぞれの職域を担当される主体が、その中でやれる範囲でやっていくということでございますから、そこは負担のないようにやっていただけるんであろうというふうに思っております。
■西村(智)委員 なかなか、本当にこの職域接種、進むのかどうか、ちょっと今御答弁を聞いて、どうなのかなというふうに思いました。
また、事業場で接種するということだと思います。そうしますと、今、例えば個別接種、大規模接種、集団接種などは、町内単位でやっているところというのは案外少ないのかなというふうに、私は実は、一番最初にこの場に立ってワクチンのことを質問したときに、町内ごとに例えば予約を入れて、それで来ていただいて打つということになるんじゃないかなと思っていたんですけれども、案外そういうところが少なくて、むしろランダムに予約していただいて打っていただくということになっているようです。
ただ、職域接種となると、今度、誰が打ったとか誰が打たないとか、より分かりやすくなりますよね。そうなると、打つ同調圧力と言ったらいいのか、何かそういうことがより強くなるんじゃないかという懸念があって、それが例えば不利益取扱いなどになるのではないかということが、改めて、職場ですから心配なんですけれども、その点についていかがでしょうか。
■田村国務大臣 同調圧力は、もう以前からいろいろと御議論を委員会でもいただいたことでございまして、厚生労働省のホームページでそこに関してはしっかりと周知をさせていただいております。今回に関してもそれは同じでございますので、同調圧力がかからないようにと。
一方で、そうはいいながら、それぞれ、職場でいろいろ打っていくという話でございますけれども、職場だけなのか。昨日も、いろいろな話がある中で、例えば下請の皆様方、関係業者の皆様方、いろいろなことが考えられるわけでありまして、接種の記録だけはしっかり残していただかなきゃならぬという、これがなくなっちゃいますと誰が打ったか分かりませんので、そこは把握をしていただくのが前提でございますけれども、職場だけではなくて、いろいろな方々、場合によっては家族ということもあるかも分かりません、いろいろな形がありますので。
いずれにいたしましても、どういう形であれ、接種をしなければならないという同調圧力、こういうものがかからないようには、我々としても周知をしてまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員 伺って、本当に進むのかなというふうに思います。
実際に、この職域接種でどのくらいの方が接種をして接種数が積み上がっていく、積み上がっていくというのはちょっとおかしな言い方ですけれども、どのくらいの方がこれによって接種をするというふうに見込んでいらっしゃるのか。現時点で見込みはありますか。
■田村国務大臣 基本は各自治体で対応いただいている接種でございますので、そこに関しては、高齢者の計画等々、お願いをさせていただきました。
しかし、職域での接種というものは、ある意味それを補完していくものでございますので、今これで目標をどれぐらいということを立てているわけではございません。
ただ、こちらの方が一定程度進みますと、各地域地域での接種も、今般、高齢者のときに混乱が若干見られた地域もございますけれども、そういうものが緩和をしていくということでございますので、両輪が回りながら接種がスムーズに進むようにというふうに考えております。
■西村(智)委員 まだ現時点で接種券の届いていない人に打つというわけですから、なかなか、事務手続も相当複雑、煩雑になってくると思います。そこのところは、よく自治体、関係者の声を聞きながら整理をしていっていただきたい、このことは申し上げておきます。
五月の十四日に、アメリカのCDCが、いわゆるワクチンの同時接種を認める方針を発表いたしました。
それまではアメリカも、またほかの国でも、同時接種、つまり二種類のワクチンを一回で打つ、右手に打って、左手に打ってというやつですね、これができないというふうに言ってきていたんですけれども、アメリカCDCだけは、五月の十四日に、同時接種はオーケーですよというふうに変更したというふうに聞いています。このことについては、大臣、御承知ですか。
■田村国務大臣 CDCがそのような、これはやむを得ない場合はというような話のようでありますけれども、十四日間の間隔を置くべきとの方針から、時期に関係なく接種するとの方針に変更するということ、これを公表したことは承知をいたしております。
■西村(智)委員 それで、今後、コロナワクチンの方が接種が広がっていった場合に、恐らく、いつかの時期には、経済活動といいますか、そういったものが少しずつ解禁になってくるということも見えてくるのかなというふうに思います。ただ、今、それに向けてみんなで一生懸命やっているところですので、いつかとか、どういう形でかとかということは予断を持っては言えないんですけれども。
そうしますと、インフルエンザの流行時期と重なってきちゃうんじゃないかということが懸念をされるわけです。それで、この点についてというか、ワクチンの同時接種について、二月の十五日に厚生審ワクチン分科会で、接種間隔は十三日以上の間隔を置きましょうねということでファイザーワクチンについては話合いがあった。五月の二十一日に、モデルナワクチンについても十三日以上の間隔を置きましょうということになったんですけれども、実際に、五月の二十一日の分科会の前の五月の十四日に、アメリカのCDCは同時接種を、やむを得ない場合というふうにもしながらも、変更しているわけです。
この二月、五月の議論を見ると、やはり、海外の事例に即してというような話があったかと思うんですけれども、この五月の二十一日の分科会でCDCの方針転換を踏まえた議論がされたのかどうか、ここはどうでしょうか。
■田村国務大臣 委員おっしゃられるとおり、五月十四日、米国CDCでこのような方針が示されたわけでありますが、当然、他国、例えば英国だとかWHOは、こういうことはおっしゃっておられないわけであります。
そういう中において、二十一日に開催した審議会でございますけれども、ここでは特段、この件に関しましては御議論いただいておりません。
■西村(智)委員 例えば子供なんかは、日本小児科学会が二〇一一年に同時接種を一般的にというふうに表明したことで、今、もうどこの小児科も一回で二種とか、三種というときもあるんですかね、そういうふうに接種をしているんですよね。
インフルエンザワクチンとの同時接種について、いろんな研究もあると思うんですけれども、ワクチン分科会で議論をしていただきたいというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 御承知のとおり、子供はいろんなワクチンを一定の期間に打たれるので、そういう意味で、こういうようなことが議論をされてきたわけであります。
一方で、インフルエンザのお話がございましたが、日本でいうと、定期接種は高齢者だけという話になっております。若い方々も、打っているという意味では、一定程度は打っていただいておるわけでありますけれども、時期を決めて打っていただいておるというよりかは、流行等々の時期を見ながら打っていただいておるということでございます。そういう意味では、お子さんと比べると、同時接種の必要性というものは子供さんほどは高くないんだというふうに思います。
これは、いずれにしても、まだちょっといろいろと知見、データを、ある程度こういうものが、集まってこないという言い方がいいのかどうか分かりませんが、集積が見られてこないとなかなか分析もできないわけでございますので、今のところ、そういうような知見が積み重なってくるのを待っているというような状況でございます。
■西村(智)委員 待っていても、いつまでもデータは多分上がってこないんだと思うんですよね。ちょっとこの辺り、よく検討していただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。
それから、この間、私、自治体の予約の話をさせていただきました。先ほども長妻委員からも質問があって、二回目が取れないというようなお話もあるんですけれども、まず、そもそも一回目の電話がつながらない、朝から長い行列ができている、こんな話がまだまだ実は聞かれるんですね。
うまくいっているところ、うまくいっていないところ、いろいろだと思うんですけれども、個別の自治体からの接種計画を厚労省は把握していますでしょうか。また、それに対して助言等は行っているんでしょうか。いかがですか。
■田村国務大臣 どの自治体がどういう計画をお作りをいただいているというところまで、網羅的には把握ができておりません、これは自治体の数がかなり多いということもございまして。大変申し訳ありません。
ただ、例えば、集団接種なのかどうなのかという形態でありますとか、それから、医師、看護師、事務職員等の数の充足感、こういうものがどういうものなのかということ、また、高齢者の一回目の開始予定時期、こういうものは把握は一定程度はさせていただいております。
なお、いろいろなお悩み、例えば今委員がおっしゃられたような、一回目、二回目がなかなか予約が取れない、先ほど長妻委員からもそういうお話があったというふうに思いますけれども、こういうものに対しては、サポートチームというものを、もう前から申し上げておりますが、二月からこれを立ち上げておりまして、元々、リエゾン、都道府県から職員の方々にお助けをいただきながら、地域の実情をそれぞれ分かっておられるような方が入っていただいておりますので、そういう方々がいろいろな形で、フォローといいますか、お手伝い、サポートをさせていただいております。
これは前回もお話しさせていただいたと思いますけれども、例えば、窓口を増やすのみならず、接種の空き状況、充足状況はどういうものかというものを自治体の方からお示しをいただいて予約を入れやすくするだとか、そういうようなことをされておられる、そういう自治体もありますので、そういう好事例も含めて、サポートチームがいろいろなお問合せに対してお答えをさせていただいております。
■西村(智)委員 基本的には自治体の取組だと思うんですけれども、やはりこれは国としての一大プロジェクトですので、もう少し都道府県から間に入っていただいてもいいとは思うんですけれども、何か本当に手助けになるサポートが必要、問題解決して、本当に接種したいというふうに考えておられる皆さんの助けになることが必要だというふうに思っています。
それで、個別接種についてで私が幾つか聞いた事例ですと、接種人数を少人数に絞ったり、医療機関のキャパの問題があるんだと思うんですけれども、少人数に絞ったり、それから、これもキャパの問題だと思うんですけれども、予約の殺到を避けるために受付情報を公開していないという医療機関もあると聞いております。
やはりこの辺、きちんとサポートしていく必要があるかというふうに思うんですけれども、医療機関が予約や接種体制を整備するために必要な費用負担、これはやはり厚生労働省としてやるべきではないかと思いますが、いかがですか。
■田村国務大臣 予約等々が円滑に進むためにいろいろな対応をするというのは、接種が円滑に進むための資金といいますか支援金のうちの一つの科目でございますので、内容にはもちろんよるわけでありますけれども、対応はさせていただけると思います。これは、自治体からそういう形でお支払いをするということはあり得るというふうに思いますが、予約を示していない、じゃ、どうやって打つ人は……(西村(智)委員「別の電話番号でやるとか」と呼ぶ)それにしても、それが分からないことには誰も電話してこないので、ちょっとどうしたらいいのか分からないので、それに対してはお答えがなかなかしづらいということは御理解いただきたいと思います。
■西村(智)委員 やはり医療機関にとってみれば、いろいろなキャパの問題、普通の一般の外来の患者さんもいらっしゃる、あるいは入院の患者さんもいらっしゃる中で、そこに人手が割けないということも伺っております。ですので、その辺についても、厚労省の方から何か通知なり出していただいて、きちんと財政的な手当ても可能ですということはお伝えいただけるとありがたいというふうに思います。
それでは、今日は私、質問しようかどうかと大変考えたところですが、LGBT関連の質問をさせていただきたいと思います。
四月の十六日に、厚生労働省は、履歴書の性別欄を任意とするという様式を示しました。
今、台湾で新型コロナウイルスの対応を指揮を執っておられるオードリー・タン大臣は、トランスジェンダーであるということ等を公表しておられる。オードリー・タン氏が、閣僚名簿に性別欄、性別を書くところがあって、そこに自分で何と書いたかというと、なしと書いたそうなんですよね。本当になかなか印象的なエピソードでありました。
また、日本国内でも、もうそろそろ内定が出ている学生がいますけれども、やはり履歴書に性別欄があるところで何と書こうかというふうに困って、そして就職活動のスタートラインにすら立てないという声も伺っております。
私は一定の前進だったというふうに思いますけれども、この趣旨について改めて伺いたいのと、ただ一方で、性別欄があることについて、まだやはり、もう少し何とかならないかと言う方もいらっしゃいます。ジェンダーバランスとか、それから、いろいろな統計を取るとかいうことについても工夫が必要だというふうにも思うんですけれども、更に改善を検討していただけないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 今まで厚生労働省はJIS規格のものを推奨してきたわけでありますけれども、昨年七月から、新たに参考となる履歴書様式例というものを作成をいたしました。
言われるとおり、今まで男女という形であったわけでありますが、性自認の皆様方もあられるわけでございますので、そういう形を考えたときに、任意の性別を記載できる任意記載欄とすることにいたしまして、未記載、これもいいということで、そういうことも明記をさせていただいております。
そういう意味では、これはしっかり周知をしていかなければならない話でありますが、元々、今言われたように、LGBTの方々がおられる中にありまして、昔から本当にこういう方々はおられたわけでありまして、もう特別でも何でもない話であって、そうやって日本の国も世界の国もずっと成り立っているわけでありますので、それを取り立てていろいろなことを言われる方もおられますけれども、そうじゃなくて、普通だということを我々もしっかりと伝えていかなきゃならないなというふうに思っておりますが、そうなりますと、やはり男、女だけではなかなか、それに対してどう記載すればいいのか、こういうこともございましたので、今回そのような対応をさせていただいたというのが我々の考え方でございます。
なお、更にというのがなかなか難しいのは、企業側からすると、例えば女活で、女性をどうしてもと思っておられる、これはなかなかLGBTの当事者の方々にとってはつらい部分もあられるのか分かりませんが、そういう部分もあって、どうしても何らかのものが欲しいというお声もあって、ここに関しては、これからも関係者の方々のいろいろな御意見をお聞かせをいただきながら検討していく課題だというふうに思っております。
■西村(智)委員 よろしくお願いします。大臣から非常に納得できる答弁をいただいたと思っております。
それで、実は、新型コロナウイルスの感染下の中で、やはり子供の心が私は心配です。特に、LGBT、性的指向、性的自認、性的違和ですね、そういったものを持つ子供や若者は、希死念慮が、そうではない子供と比べて極めて高いということがいろいろな統計、調査、研究からも言われておりますし、また、コロナによって更に希死念慮が高まっているのではないかということをGID学会の理事長なども言っておられるわけです。
今日はちょっと時間の関係で文科省にだけ伺いたいと思いますけれども、そういった子供たちへの対策、これをどういうふうに取っておられるんでしょうか。
■鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
今委員から御指摘もございました、児童生徒が自ら命を絶つということは本来あってはならないことであり、自殺が増加していることにつきまして、大変重く受け止めております。
文部科学省といたしましては、学校関係者や教育委員会の担当者を対象とした研修会である児童生徒の自殺予防に関する普及啓発協議会等におきまして、性的指向、性自認に関する悩みを含む様々な悩み、不安を抱える児童生徒の早期発見等に向けた取組の充実を図るよう周知するとともに、教育相談体制の充実やSOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育の推進などに取り組んでいるところでございます。
また、今般のコロナ禍におきまして児童生徒の自殺者数が増加していることも踏まえまして、先ほど申し上げました取組の更なる充実を図るとともに、本年三月におきまして、周囲や相談窓口への相談を後押しできるように、そのような啓発動画を作成いたしまして、ユーチューブ上で公開をいたしました。
また、そのほか、五月には、児童生徒の自殺予防に係る大臣メッセージを発出しているところでございます。
このように、様々な取組を通じまして、児童生徒の命を守るため、児童生徒の自殺予防の取組をしっかりと進めてまいります。
■西村(智)委員 今文科省から答弁があったとおり、性的少数者の子供たちに対しては、やはり自殺念慮、希死念慮が高いということを前提にいろいろな施策を講じていくことが必要だというふうに確認ができたと思っております。
今日は、資料を幾つかおつけしております。一番上は、新経済連盟が六月の三日、昨日発出された声明です。
皆さんも御承知のとおり、現在、超党派の議員連盟がございまして、私もそこで役員を務めさせていただいておりますけれども、合意案というものを取りまとめて、立法に向けた動きが進んでおります。私、筆頭提出者として、性的指向、性自認に関する差別の解消に関する法律案というのを野党としては提出をしており、五年前からなんですけれども、そして、今回、与党自民党の方から理解増進法案の骨子案というものが示されまして、それを超党派議連で議論をし、合意案を得ました。
この合意案について新経済連盟は、「大変重要な位置付けをなしている。日本の企業におけるイノベーションを促進し、世界に対して優位な競争力を発揮するため、与野党の枠を超え、あらゆる性的指向・性自認の人々が安心して暮らし、活躍できる社会づくりに全力を尽くしていただきたい。」と、極めて高い期待が述べられております。
次のページからは、IOCのホームページから持ってまいりました。日本語訳をつけようかと思ったんですけれども、英語の方がやはりニュアンスが伝わると思って、英語のまま持ってきております。
多様性と調和、IOCが、LGBTQのプライド月間、プライド月間というのは、六月がプライド月間と言われておりまして、そこでスポーツでのインクルージョンを強調したということの見出しで、IOCがスポーツや社会における包摂性と差別禁止の重要性を改めて強調した、しかもそれはプライド月間に合わせてというふうに書いてあるわけです。
ちょっと聞きましたら、IOCがこのプライド月間に合わせて声明を出すのは初めてのことで、しかも、内容を見ますと、日本に関する言及が極めて多いんです。このように、特定の国に関して事例を挙げつつステートメントを出しているという事例はこれまでになかった、初めてのことです。
その初めてのIOCの声明の中ではどういうふうに書かれているかというと、二〇一四年にIOCは五輪憲章を改正して、根本原則六に性的指向による差別禁止を明記したと。これはいろいろヒストリーがございまして、その前の冬季五輪のときにちょっといろいろあったということで入ったわけなんですけれども。そして、このことを引いて、IOCは日本にかなりの言及をしています。IOCは五輪開催都市契約の差別禁止条項に性的指向を含めることを決めた、全ての開催都市は、五輪競技大会プロジェクト全体を通じて、調達から準備から今までを通じて、根本原則、特にあらゆる形態の差別禁止を尊重することが求められる、このアプローチは東京二〇二〇年大会でもウィル・ビー・ビジブルですから、ここをどういうふうに解すかなんですけれども、それが表れてくるであろう、明確になるであろうというふうに言っているわけなんですね。
つまり、オリンピックを開催する以上は、私たちは今の新型コロナウイルス感染拡大の状況で五輪は強行するのはいかぬと思っております、これについてはもう我が党からも本当に多くの質疑者が言っているとおりなんですけれども、やるというのであれば、五輪憲章はきちんと遵守をする必要、義務がある。これは、私は日本政府に課せられた責務だというふうに思うんです。
ところが、国内には、性的指向や性自認に関して差別をしてはいけないということを担保する法律が一本もありません。一本もありません。それで、この間いろいろ議論がなされてきて、今回の改正案、合意案がまとまったんですけれども、大変残念なことに、内閣委員会でないとこれは質疑できないというふうに言われました。内閣府設置法があるから内閣委員会じゃないと駄目なんですよと言われて、私もちょっとうかつだったんですけれども、それをうのみにして信じちゃったんですよ。
ところが、内閣府設置法があっても、内閣委員会以外で審議して採決している法案がいっぱいあるというんですね。それを資料につけました。内閣府設置法を改正している法案で、内閣委員会ではなかった例、これについて衆議院の法制局から答弁いただけませんでしょうか。
■塩田法制局参事 お答え申し上げます。
資料三でお示しいただきました法律案につきまして、冒頭の第百八十三回国会提出、衆法第二四号、子どもの貧困対策の推進に関する法律案、これは、内閣府設置法の一部を改正し、内閣府の所掌事務に子供の貧困対策の推進を加える等の改正を行っておりますところ、平成二十五年五月三十一日の当厚生労働委員会において委員会提出法案として起草され、その後、平成二十五年法律第六十四号として成立したものと承知をしております。
次にお示しいただいている三本の法律案は、いずれも閣法、政府提出立法と承知しておりますが、いずれも内閣府設置法の一部改正をその内容に含む法律案であって、内閣委員会以外の委員会に付託され、採決に至ったものでございます。
参考として挙げられております三つの法律案につきましても同様、内閣府設置法の一部改正を行うものであり、かつ、内閣委員会以外の委員会において付託、審査、採決され、又は起草されたものと承知しております。
以上です。
■西村(智)委員 つまり、内閣委員会じゃなくても審議して採決することができるんですね。
今、法案について、取扱いは自民党の党三役の預かりという状況になっているというふうに報告をいただいております。そこがオーケーと言えば、この国会の中で、今会期中に成立させることが可能です。どうか皆さん、御協力をよろしくお願いいたします。
オリパラ担当の政務の方に来ていただいているので改めて伺いますけれども、このIOCから発出されているステートメント、組織委員会の橋本会長が、プライドハウス東京が設置されたときのオープニングに行って、スピーチをされています。また、バッハ会長もここに寄せて、プライドハウス東京がこの東京オリンピックの長く続くレガシーになることを期待しているというふうに言いました。
このプライドハウス東京は、今回の議連で合意した法案がこの国会で成立することを強く求めておられます。このステートメントをどういうふうに受け止めているでしょうか。
■とかしき委員長 三谷内閣府大臣政務官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
■三谷大臣政務官 お答えいたします。
まず、西村委員が本当にこのLGBTの理解増進に向けて様々な取組を進められていることに、心から敬意を表したいと思います。
その上で、オリンピック憲章の中でも差別の禁止が掲げられているということでもありますし、東京大会のコンセプトといたしましても、多様性と調和というものが掲げられております。IOCが声明を出したことについても当然承知をしておりまして、LGBT、そしてQも加えてでありますけれども、スポーツの世界などにおいても、偏見や不適切な取扱いを受けるなど様々な困難に直面している方々がおられるということは認識をしております。
そういったこともありまして、組織委員会におきましては、今年の二月に、小谷スポーツディレクターをトップとするジェンダー平等推進チームを発足させまして、多様性と調和の実現に向けて取組を進めているところでございます。
東京大会のコンセプトとしては多様性と調和を掲げており、年齢や性別、国籍、障害の有無、文化の違いにかかわらず、互いの人権を尊重し合える共生社会を実現することが極めて重要なものというふうに理解をしております。しっかりと深く受け止めてまいりたいと思います。(発言する者あり)
■とかしき委員長 御静粛にお願いします。
■西村(智)委員 じゃ、それはまた後で。
私、済みません、求めているのは理解増進であると同時に差別の解消です、元々は。それを今回はのみ込んで超党派議連の案に合意したんです。そこは誤解しないでいただきたいと思います。
G7、菅総理行かれますよね。G7のほかの国がこのSOGIに関してどういう法制を取っているかということを資料にもおつけしております。どの国も、LGBTに関して、性的指向、性自認に関する法的保護が、ほかの、日本以外のどの国でもあります。ないのは日本だけ。労働施策総合推進法が改正されて、アウティング等はガイドラインに書かれるということになりましたけれども、それだけなんです。
こんな状況でG7に行ったら格好悪くないですか。国際的な五輪憲章も満たしていないという状況で、本当に恥ずかしい事態になると思います。
そして、この間の議論で多くの当事者の皆さんが傷ついているということを、皆さん、どうか御理解ください。
■とかしき委員長 申合せの時間が来ております。
■西村(智)委員 ここまで言われても法律もできないのかということで、この国会が終わったら、国会の意味、存在意義が問われると思います。
そのことを強く申し上げて、終わります。