■西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
先週の二十一日に、私はこの場で、余ったワクチンの接種対象について大臣に質問いたしました。そうしましたら、大臣の方からは、余ったものを、そういう対応というのは、接種券が届いていない人に打つということについては結構でございますので、そういうことはより分かりやすいような形で各自治体にお伝えをさせていただくようにいたしますというふうに答弁をいただきました。
その後、どうなりましたでしょうか。
■田村国務大臣 二十五日、昨日でありますけれども、事務連絡という形で、余るワクチンに関しては接種券の有無にかかわらず対応いただきたいというような形で御連絡をさせていただきました。
そのときに、ちゃんと記録だけは残していただかないとどなたが打ったかどうか分からなくなりますので、そこはしっかりとお取りをいただきますようにというお願いも含めて、事務連絡を通知させていただきました。
■西村(智)委員 よかったと思います。
もう一つ、高齢者の予約が非常に難渋しているということについても質問いたしましたところ、大臣からは、混乱をいつまでも続けるというわけにもいきませんから、我々もよく情報を収集して、なるべく早く予約をされる方々が対応できるように、自治体と協力をし合ってまいりたいというふうにも答弁してくださいました。
その後、いかがなりましたでしょうか。
■田村国務大臣 まず、その後の前ですけれども、コールセンターでありますとかいろいろな対応という意味では、国の方もいろいろな御支援をさせていただいておるということで、設置費用等々も補助対象にしておるというようなことも含めてやっておりますが、そんな中でこういうような混乱が起こったということでございますので、今、うまくいっている好事例集等々を集めながら、しっかりと自治体と協力をして、混乱が起こらないような、これは高齢者だけじゃなくてやがては一般も始まり出しますので、そういうときに同じようなことが起こらないような、そういう対応をすべくしっかりと今情報収集をさせていただいております。
■西村(智)委員 引き続きよろしくお願いいたします。
今日は、育介休法の改正ということで時間をいただいております。
ちまたでは逃げ恥婚ということが大変話題になっていて、私は年末の番組は見なかったんですけれども、そこで星野源さんが育児休業を取るという場面がどうも番組の中であったようなんです。若い世代の中では、何というか、仕事と生活という感覚についてはかなりアップデートされていて、育児休業を取りたいと思う人は男性も増えているんじゃないかというふうに私は思うんですね。それを後押しするような法律であってほしいというふうに思うわけなんですけれども。
徐々に徐々に改正が進んできて、いい方にはなっているであろうこの育介休法だと私も受け止めているんですけれども、一点だけ、休業している男性労働者が休業中に就業できるという点に関しては、率直に申し上げて、妊娠、出産の申出をする労働者と同じ側の性にいる私の立場から申し上げると、ちょっとこれはいかがなものかなというふうに思うところがございます。順次伺っていきたいと思います。
休業中の就労についてなんですけれども、就業できる日時は、あらかじめ労使協定で定められた労働者の同意を基に決められるということになっています。ですから、本来であれば時間外労働は発生しないはずだというふうに思うんですけれども、もし万が一、時間外労働が発生した場合は一体どういうことになるんでしょうか。これは、審議会の中では「パターンとしていろいろなパターンがあり得ると思っていますので、詳細については施行までの間に、また皆様とも御相談させていただければと思っております。」というふうな答弁があるんですけれども、どういうことになりますか、この場合は。
■田村国務大臣 そうですか。私も見ていなかったのでよく分からなかったんですが、新垣さんと星野さんには本当に心からお祝いを申し上げたいというふうに思います。
今のお話ですけれども、基本的には所定外労働時間に働くということが前提になっておりませんので、そういうことが生じないように対応いただくということになろうというふうに思います。
■西村(智)委員 では、発生しないということですね。
それで、この法律の前に建議が審議会の方から出されておりますけれども、ここで、新しい制度、つまり男性労働者が休業中に就業することが可能となるという新制度については、「ポジティブ・アクションの考え方等に沿ったものとして、設けることが適当である。」というふうに記載をされています。
ポジティブアクションというのはこういう意味で使うのかなと、私は少々疑問でした。つまり、ポジティブアクションというのは、これは厚生労働省も言っていますけれども、固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯からいろいろな差が男女労働者の間に生じている場合、この差を解消しようとして個々の企業が行う自主的かつ積極的な取組と。これは厚労省的なところでいうところの定義なわけなんですけれども。
だから、どちらかというと女性労働者の方に何か特別な措置を講ずるというのがやはりポジティブアクションの基本的な考え方なんだと思うんですけれども、一体どの点が、この男性労働者の休業中の就業を認めるという点に関して、ポジティブアクションの考え方に沿っているというふうに言えるんでしょうか。
■田村国務大臣 私だけですね、私だけ。
ちょっと通告がうまく伝わっていなかったんですが、していただいているんだと思いますが、うまく伝わっていなかったんですけれども。
育児休業の取得率が男性が非常に低いというのを、男性が育児休業を取ることによって女性労働者もいろいろな意味でよりよくなるという意味で、ポジティブアクションという意識なんだというふうに私は思っております。
中身は非常に不満だと委員がお考えになられておるのは、私もおつき合いが長いので大体分かるわけでございますけれども、分かる気はいたしますが、それにいたしましても、まずは男性の育児休業の取得を促進するという意味で、今般のような、若干、内容的にはいろいろな御議論が、異論があられるというのも分かりますけれども、今回のような新たな制度をつくらせていただいた。
あくまでもポジティブアクションでございますので、いついつまでも続くという意味ではなくて、そういう意味合いの下での今回の法改正のお願いであるということであります。
■西村(智)委員 私の心の中が読めるという、大臣、すごいですね。
では、ちょっと次の質問でもっと更に具体的に聞くんですけれども、つまり、男性が休業中に就業できるということになると、これはやはり女性と大きな格差が出ちゃうわけです。分かりますよね。つまり、女性の方は、八週間の産後休暇中、就業制限を受けていて、その間ははっきりとキャリアが、言ってみれば断絶されます、収入も減ります。そういう意味では、何といったらいいのかな、ちょっとマイナスになる。それはもう避けようのない事実だと思うんですよ。
そういう女性と比べると、男性が休業中に働けるというのは、その間の例えばキャリアの断絶がちょっとだけつながるという意味においても、ロスは少なくなりますよね。会社では、何か育児休業を取ったんだってとかといって、イクメンとかというふうに何か評価されたりとかして鼻高々になっている。だけれども、片や、育児休業を取っているかと思えば仕事に行ったりということでいうと、これは男女間の格差が更に開いてしまうおそれがある。
同時に、こういうことになると、やはり感情的にもいろいろな不満が出てくるんじゃないかというふうに思うんですよ、不平等感といったらいいのか。これについてはどうでしょうか、大臣。
■田村国務大臣 育休を取ったからといって鼻高々になるというのが鼻につくというのもよく分かるんです、立場が逆ならば、それは。常に私は、逆の、そう思う立場に立ってみて物事を見るものですから、委員と同じ立場に立ってみると、多分そうなるだろうなと。何で、私はキャリアが断絶しているのに、あの人は育児休業を取って育児せずに、仕事をやって評価されるのみたいな。
ただ、一方の見方をすると、それで評価される企業はまだいいかなと。何だあいつ、育児休業を取りやがってという企業は、これは何とかしてもらわなきゃいけない話で、とにかく、育児休業を取るのが当たり前になるために、取りあえず今回のこの制度をお願いいたしております。
問題は、育児休業を取る中において、男性側は、やはり俺がいなきゃ会社は回らないだろうなんて言って取らないというところに問題があるものでありますから、そこを何とか回避して一遍取ってみろよと。取ってみろよじゃない、取ってみてくださいよと。取ってみていただいた結果、やはり家で育児をする、それから妻が一番つらいときに一緒にいる、それによってどう思うの、どうなのということに気づいてもらうということが重要だというふうに思っておりますので。
委員の立場になれば、私もそうだよな、ちょっと何なのと思いますが、そこもひとつこらえていただきながら、まず前に進めるために、何とか今回、御理解いただければありがたいというふうに思います。
■西村(智)委員 確認ですけれども、休業中に就業した場合は、ちょっとざくっとした聞き方で済みませんけれども、育児休業の取得としてカウントされるんでしょうか、期間としてというか、日数としてというか。それから、そういったことが、例えばくるみんとかいろいろな認定制度がありますけれども、そういったものに影響はしてくるんでしょうか。
■田村国務大臣 仮に就業する日があったとしても、育児休業取得者という一回にはカウントされます。ただし、一回就業して、次の日また、次の日か二日後か分かりませんが、家で育児をやるというので二回というわけにはならないので、あくまでも制度として一回という形でカウントして、これはくるみんの認定の要件という中に入ってまいります。
■西村(智)委員 だとすると、是非、この制度が始まったときには実態をよく把握するように、やはり厚生労働省はしていく必要があると思っております。
例えば、A社で雇用されている労働者が、育児休業中にB社と、全く別の会社と請負契約を締結して仕事をするということは法律上可能でしょうか。
全部通告しております。
■田村国務大臣 これは、趣旨からいうと決して好ましい話ではありません。しっかりと育児休業を取っていただいて育児、家事をやっていただきたいという思いの中で今回の制度をつくっておりますので、好ましくはありませんが、ただ、いろいろな、ずっとじゃなくても若干、請負で仕事を若干やったみたいなこともあろうと思いますので、そういう意味では、月十日又は八十時間を超えて就労していなければ、逆に言うと、これを超えれば育児休業給付の対象にはなりませんが、この範囲であれば、育児休業の一応対象になるということであります。
■西村(智)委員 つまり、今のお答えは、B社と請負契約を締結して仕事をすることは法律上可能であるということだと思います。
その場合、休業中の就労の賃金と育児休業給付の合計額によって給付の減額調整が行われるんですけれども、ほかの会社と請負契約で働いているという場合に報酬を得るということになりますと、その報酬は、この法案で言うところの、要するに減額調整が行われるというものの賃金に含まれるのかどうか。そこはどうでしょうか。
■田村国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、月十日まで、八十時間までという限度の中においての話でありますけれども、その限度の中であれば、これは要するに併給で調整するかというお話だと思いますが、調整の対象にはなりません。
といいますのは、なかなかこれは把握がし切れないので、そういうような事務的ないろいろな問題もございますので、併給の対象にならないということであります。
■西村(智)委員 分かりました。
ただ、そういうふうにならないように、やはり法の趣旨なりを、大臣がお考えのとおり、適切に周知していただくということは必要だと思います。
ところが、やはりこの育介休法というのは今まで何度も改正をされてきているんですけれども、特に、前々回になるのかな、二〇一六年の改正のときに、いわゆるマタハラとかパタハラの防止措置が新設をされたわけです。
事業主による妊娠、出産、育児休業、介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止するというそれまでの法律に加えて、上司、同僚からの妊娠、出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせを防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務づけた。また、派遣労働者についてもいろいろなことが適用されるということになって、二〇一七年の一月一日から施行されたんですけれども。
今年の三月に、厚生労働省が委託調査を行っておりまして、職場のハラスメントに関する実態調査報告書というのがまとめられました。これを見ますと、やはりなかなかパタハラとかマタハラとか、なくなっていないんですよね。なくなっていないというか、やはりちょっと多いんですよね。
例えばどういうことかといいますと、過去五年間に男性の二六・二%がパタハラ被害の経験があるということなんです。経験者の四二・七%が、その被害からなんでしょう、育休の利用を諦めているという実態があります。また、誰が行為者かというと、役員以外の上司、これが六六・四%。内容としては、育休制度などを利用させなかったり、取るのを邪魔したりする言動、あるいは人事考課での不利益な評価やほのめかしがあったということなんですけれども。
一体、これは前回の、二〇一六年の法改正以降、周知と、それから義務の履行状況をどうやって把握しておられるのか、ここを教えていただけませんか。
■田村国務大臣 二十八年の改正で、今言われたとおり、ハラスメントの防止に関して、周知啓発、それから相談体制の整備でありますとかそういった方へのケア、さらには再発防止、こういうものを事業主に義務づけたわけであります。
今言われたあれでいきますと、令和元年度の均等基本調査でありますけれども、これで、ハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の割合でありますが、七五・七%になりまして、その前、先ほど言いました平成二十九年、二〇一七年の調査と比べて一八・九ポイント上昇をしておるということでございますので、そういう意味では、防止対策を行っている企業の数は着実に伸びてきているというふうに思います。
ただ、言われるとおり、今言われた話は多分令和二年のハラスメント実態調査だと思いますが、ここでは、言われるとおり、男性労働者、過去五年の育児に関わる制度を利用しようとした男性労働者に対して、過去五年ですから、若干これは今言った年度が重なっているというか、それ以前の部分も入っておりますので、十分な対策をした後どうなっているかというのはこれでは分からないんですけれども、過去五年の中で、ハラスメントを受けたと思われる方、こういう方は二六・二%男性でおられるということでございます。
これは、ちゃんと企業としては義務化されておる対応でございますので、もしやっていないということであれば、しっかりと労働局の方から事業主に対して指導の徹底をしてまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員 やってくださる企業は増えているという大臣の御答弁、私もそうだと思っております。
ただ、実際にこうやってパタハラを受けて育休制度を利用するのをやめた人が四割以上もいるということになりますと、では、その周知の中身とか措置義務の中身が一体どうなのかというところにまでやはり踏み込んでいかないといけないのかなというふうに思うんですね。
ちょっと女性労働者の話なんですけれども、妊娠、出産の申出をした労働者に対する個別の周知、意向確認の措置の義務づけについては、今回の改正法の中で、育児休業の取得を控えさせるような形での周知及び意向確認を認めないということを指針において示すとしております。具体的にこれはどういうことになりますでしょうか。やはり場面場面でいろいろなことが想定されると思うんですけれども、何かリスト化して示すようなことになるのか。実際に育児休業の取得を控えさせるような形では駄目ですよということはどういうふうに担保する考えでしょうか。
■田村国務大臣 ちょっと具体的に、今ここで申し上げるというよりかは、法律が成立後、建議でもこういうお話をいただいておりますので、労働政策審議会で御議論いただいて指針等々を作ってまいるという形になってまいるというふうに思います。
いずれにいたしましても、議論をしっかりとしていただきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員 やはりリスト化といいますか、そういうふうにして分かりやすくしないと、せっかく、取り組む企業は増えてきているんだけれども、肝腎の中身のところ、根本のところが追いついていかないということではちょっともったいないので、そこのところは是非やっていただきたい。
その上で、今度は男性労働者についてです。
男性労働者へのパタハラということでいうと、資料としておつけしているものなんですけれども、これは三枚目、四枚目のところですね。パタハラを受けたことのある人が二六・二%であるということと、それから次のページを見ていただきますと、男性労働者が育児休業等ハラスメントとして受けた内容は、やはり断トツに多いのが上司による制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動だということで、五三・四%なんです。
これは同じ項目で女性についての質問があるんですけれども、女性はさすがにこの数字の半分ぐらいなんですよ、二十数%。だから、男性が特に、やはりそういう意味では、制度の利用を控えるような、何か持って回った言い方かもしれませんけれども、そういうものを受けている危険性が非常に高いというのがこのデータからも明らかだというふうに思います。
男性労働者にも育児休業の取得を控えさせるような形での周知及び意向確認を認めない、こういうふうに言ってやらないと駄目なんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういったことを指針で示す考えはありませんでしょうか。
■田村国務大臣 言われるとおり、男性の方がいろいろな形で言われることが多いというのは、これは数字で出てきているというふうに思います。
今般、周知した上で意向確認をしていただく、これを義務づけているわけであって、そのほかにもいろいろ、環境整備のための義務という形で、選択ではありますが、企業にやっていただきます。
ただ、こういうようなことを取り決めていても、取らせない、若しくは取らせないように誘導する、嫌がらせをするというようなことがあってはならないわけでありまして、これは男女を問わず、指針でしっかりと示していかなければならないというふうに思っております。
■西村(智)委員 男女共に指針で示すというふうに今明確に言っていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
それで、続いてなんですけれども、今度は有期契約の労働者の育児休業についてであります。
有期契約労働者と正規雇用の労働者、やはり育休の取得ではかなり差があるのではないかというふうに考えます。伸びてはいるのかもしれないけれども、どうなんでしょうか。有期契約労働者、育児休業を取得できているでしょうか。大臣、いかがですか。
■田村国務大臣 全体では、委員も御承知のとおり、先ほど話がありましたけれども、男性七・八四、女性八三%ということでありますが、有期労働者に限って申し上げますと、女性は若干低いんですがそれほど差がなくて、七七・五%という数字が出ております。男性はやはり半分以下で、三・〇七%というような数字が出ておるわけであります。
■西村(智)委員 私の持っている数字だと、パートだとか派遣の人たち、育休を利用して就業継続をしている人はやはりまだまだ少ないんですよね。育休を利用しないで就業継続をしている人の数字と合わせるとそこそこボリューム的には出てきているんですけれども、育休だとかを利用して就業継続ということでいうと、やはりまだまだのところがあると思います。
今回、改正によって、有期契約労働者が、引き続き雇用された期間が一年以上である者という要件が撤廃されることになりました。これ自身は私は前進だというふうに思います。ですけれども、やはり、子が一歳六か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでないことという後要件、後要件という言い方がちょっと正しいのかどうか分かりませんが、そういった要件がまだ残っているわけです。
このことをずっと残しておきますと、やはり労働者にとっては、雇用を手放すべきか、それとも出産を諦めるべきかという究極の選択を迫ることにもなりますので、私はこの後要件はもう撤廃すべきであるというふうに考えますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
■田村国務大臣 後要件というのは、一年六か月の話ですよね。
これは、難しいのは、先ほど来議論を大島議員ともやっておりましたけれども、決して一年六か月という労働契約云々という話じゃなくて、要は継続して、例えば一年契約等々をやっておられてそれを繰り返しておった場合に、明確に、子供が一歳六か月を超えたときまでに、もう次の契約はしないだとか、労働契約の期間満了が明白になっている場合、そういう場合は育児休業が取れないわけでありますけれども、そうでない場合は、有期雇用であったとしてもまた継続して雇用をされるという可能性がございますので、対象になるわけでございます。
そこのところは、明確にもう分かっている人に育児休業を取らせるとなると、企業にとってみれば、働いてもらえるという期待があるからそこに育児休業というものを認めるというような、そういう意味合いもあるわけでございますので、なかなかそこは事業者の御理解をいただきにくいのかなという形の中で、今回は、今委員が言われた言い方をすれば、前要件はああいう形で撤廃といいますか、一律に一年という形にはしておりませんが、後要件といいますか、この一年六か月は残っておるということであるということであります。
■西村(智)委員 ここのところは、そもそも有期契約労働者の在り方そのものと関係してくる問題でもあるというふうに思いますので、私も引き続き議論はさせていただきたいと思いますけれども、本当に、出産を諦めるかという、実際、そういったところと二者択一だという現実はやはり依然としてあると思うんですよ。是非、ここは大事なポイントだというふうに思いますので、引き続き、厚生労働省、大臣としても問題意識を持って、改善に努めていただきたいというふうに思っております。
ちょっと最初の方に戻りまして、休業中の就労についてであります。
今回、私は、男性労働者について育児休業中に就労できるという仕組みを導入するということについては、百歩譲って、百歩譲ってですよ、女性労働者にも同じようにということであれば、働く女性の立場からすると、それはありかなと。ただ、やはり育児休業というのは育児に専念する期間として取るわけですから、それは働かないということが基本中の基本なんだというふうに思うんですよ。だから、大臣、もう一回考えてもらいたい。育児休業中に仕事をするということは、結果として育児より仕事の方を優先しちゃうということになりはしませんかということなんです。
それからもう一つは、こういったことができますと、育児・介護休業法というのは本当に労働法制の中でもなかなかスペシャルな法律で、申し出れば休むことができるわけです。こういったことになりますと、それ以外のほかの法律にも例えばいろいろな休業とかがある、そういったほかに類するような仕組みの中で、だけれどもその期間も働けますよという制度をつくっちゃうということに道を開くことにはなりませんか、波及することにはなりませんかということについて、答弁をお願いします。
■田村国務大臣 ポジティブアクションというお言葉がお気に召さないようで余り使えないんですが、要は、冒頭で申し上げましたけれども、これは恒久的にやろうというつもりではなくて、導入するためにやる、導入という言い方はよくないですね、より取ってもらうために、取りあえずこれをやってみる。ちゃんと、一定程度男性の育児休業というものが取得できるようになれば、これは審議会の中でも御議論をいただいた上ででありますけれども、やめてしまうということが前提であるということであります。でありますから、他のいろいろな休業制度に波及させるということは私は考えておりません。
その上で、女性にもこれをというのはちょっともう御勘弁をいただきたいのは、なぜかというと、女性が不利だとかというのではなくて、本来は、育児休業の本質からいけば、休んでもらって、途中、会社に出てきてもらうということは避けたいという思いであります。
男性が一人前じゃないと言うつもりはないんですけれども、本当の理想形からいえば、それはこういうようなことをせずにずっと休んでもらいたいんですが、まだそこの域まで達していないので、取得しやすいように一時的にこういうものを取り入れさせていただいておる、やがては女性と同じような、より崇高な育児休業の立場に持っていきたいということでございますので、御理解いただければありがたいと思います。
■西村(智)委員 であるとすれば、ちょっと大臣に一言是非言っていただきたいのは、休業している労働者は育児に専念することが望ましいということで、確認を取らせていただいてよろしいですか。
■田村国務大臣 本来の趣旨はそういうことでございますので、育児に専念していただくというのが本来の考え方であります。
■西村(智)委員 是非それが伝わるようなガイドライン等になるようにお願いしたいと思います。
最後の質問になります。所得保障について。
所得保障も、この間、比率としては上がってきてはいるんですけれども、やはり諸外国と比べますと、もう一息何とか欲しいというところではあるんです。
また、連合が男性の育児等家庭的責任に関する意識調査を行って、これは二〇二〇年バージョンですけれども、それによりますと、やはり男女共に、ここは何とかお願いしますと考えているのが所得保障なんですよね。所得保障に対するニーズが高いということで、やはり女性が退職せずに、とりわけ女性の方が退職せずに働き続けて、そして、キャリアが一時的に途切れるというようなことになったとしても管理職に登用されるように、所得保障の在り方についても更に研究と改善が必要だというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
■田村国務大臣 先ほど早稲田議員でしたかに御答弁させていただきましたけれども、委員の方からも、ユニセフで、世界で最優遇といいますか、一番高い水準の休業保障である、手当であるというようなお話をいただきました。実際問題、比べるとそういうような形になっているわけであります。
更なるというのは、もちろん高ければ高い方がそれはいいに決まっているんですが、一方で、労政審でも労使共に、これは当然保険料に跳ね返ってくる部分もございます。私が一回目に大臣をやったときに六七%にするときも、やはりいろいろな御意見はあったんですけれども、そこはもうこういう時代だからということで、労使共に御理解いただいて引き上げさせていただいたわけでありまして、今般、勘定も分けるというような話になってきておる中において、やはり労使共に御理解をいただきながらでないとなかなか難しいということは御理解いただければというふうに思います。
■西村(智)委員 これだけ政府の方が少子化は大問題であるというふうに言っている中ですから、私は、そこのところも政府のきっちりとしたリーダーシップで突破できる、すべき課題だというふうに思います。
それだけ申し上げて、終わります。