■西村(智)委員 立憲民主党の西村です。よろしくお願いいたします。
今日にでも、モデルナ社製とアストラゼネカですね、ワクチンが正式承認されるのではないかということで、手続を適切に進めていっていただきたいと思っておりますし、やはり、この間のワクチンのいろいろなことを見るにつけ、国内開発、これについてもっと力を入れていっていただきたいと強く願っているところです。
この間、いろいろなワクチンに関する報道が出ていまして、先ほど与党の議員の方からは、大規模接種センターの予約のことについてありましたけれども、やはり、政府から統一見解が出されていないことによって現場が本当に混乱しているということを、私、常々感じております。
私の地元でも予約が始まったんですけれども、案の定、皆さん大変お困りになっておられて、もうこれはどこの自治体もそうだと思いますけれども、予約ができない、電話をかけても通じない、通じたと思ったらもう終わりましたと言われる。こんなことで、高齢者のワクチン接種率、第一回が終わったのもまだ数%程度だと思いますけれども、本当にこれで、七月末までに七割ですか、八割ですか、自治体が終わるという見通しを立てさせること自体が、私は、政府から地方自治体に対する、言ってみれば圧力になっているんじゃないかというふうに思うんですよ。
ですので、ここはやはり、引き続き、政府としてワンボイスで接種体制については発信をしていただきたいと冒頭強く申し上げたいと思います。
私、今日質問したいと思っておりますのは、ワクチンが余るというお話があるんですね。シリンジの中に余るということではなくて、予約をしていたんだけれども、いろいろな事情があってでしょう、予約の時間に来られないとかということで余ってしまうワクチンがある。この現状というのは一体どうなんだろうかというふうに、まず、そこのところから教えていただきたいと思っています。
どういう状態が余るということなのか。解凍した状態でそのままになっている状態なのか、それとも希釈した状態で余っているということなのか、全体の分量とか、そういった全体状況、これについて政府参考人から答弁をいただきたいと思います。
■正林政府参考人 お答えします。
ワクチンの余剰が出る場合についてですけれども、一旦希釈したら、六時間以内に使用しなかったものは廃棄の対象になりますので、冷蔵や冷凍の保管設備を有する施設においては、一バイアル五回ないし六回分の端数が生じた場合がまず想定されます。
それから、巡回接種等においては、ワクチンの接種を予定し、打てるように準備していたけれども、キャンセルされてしまった等の理由により、準備していた回数と実際に打つことができる回数とに差が生じることとなったような場合が想定されます。
厚生労働省としては、可能な限り無駄なく接種を行っていただく観点から、このような場合には別の方に対して接種することができるような方法について、各自治体で可能な限り工夫していただくようお願いをしております。
■西村(智)委員 状況は分かりました。
ですので、希釈した状態で余るものもあるし、希釈しない、解凍しただけの状態で余るものもあるということなんですけれども、厚生労働省は、そういった場合でも別の方に接種できるように自治体に依頼しているということなんですが、本当にそうなっているのかどうかということについて、ちょっと引き続き質問したいと思っています。
関連で防衛省に伺います。
私は、大阪と東京に設置されるあの大規模接種センターと言われるものが本当に大規模接種センターなのかどうか、大規模かどうかということについては極めて疑義があると思っているんですけれども、便宜的にそう呼ばせていただきます。
そこで、いわゆる余ったワクチンを自衛官に接種するという方向で検討しているという報道が、おとといだったでしょうか、あったと思います。これは事実でしょうか。
■松川大臣政務官 お答えします。
大規模接種センターでは、ワクチンの余剰を抑えるために、会場の予約状況と来場して接種を受けに来た者の数を把握しながら必要な量を解凍して使うことで、まず余剰を局限するように努めます。
それでも、予約のキャンセルや当日の体調不良等によってやむを得ず余剰が発生した場合には、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きにおいて、新型コロナワクチンの接種予約がキャンセルされた等の理由で余剰となったワクチンについては、可能な限り無駄なく接種を行っていただく必要があることから、別の者に対して接種ができるような方法について各自治体において検討を行うことが示されており、防衛省・自衛隊が設置する大規模接種センターにおいても可能な限り無駄なく接種されるよう、早急に検討を進めてまいります。
■西村(智)委員 検討しているということですね。
それで、実は、この余ったワクチンの活用については、既に四月十三日の段階で、河野大臣が記者会見で述べておられるんですよ。余ったワクチンが出た場合には、接種券がなくても、記録することを前提に、医療従事者や高齢者を優先して接種するなど、現場で柔軟に対応してほしいと。なおかつ、若い方でも予診で問題がなければ打っていただいて記録をする、ほかの市や県の方でも構わないというところまで言っておられるんですね。かなり踏み込んでおられる、四月の十三日の時点で。
実際にこういった発言をされているんですけれども、その後、じゃ、自治体の現場で、この河野大臣の発言を受けて、何かがどういうふうにか変わったんでしょうか。あるいは、そもそも、この発言、厚労省は事前に聞いていたのかなという疑いがあるんですよ。
先ほども防衛政務官の方から手引の話、説明がありましたけれども、ここの手引を見ますと、確かに、ほかの者に対して接種することができるような方法について各自治体において検討を行うと書いてあるんですけれども、「キャンセルの生じた枠で接種を受けられるのは、接種券の送付を受けた対象者とする。」というふうに明確に書いてあって、今、現時点で接種券が送付されている方というのは高齢者だけですから、やはり現時点においても、この厚労省の手引によれば、高齢者しか余った分は受けられないというふうに読むことができるんですけれども、厚労省と河野大臣との間で、まず、すり合わせをしていたのかどうか、この発言の後どうなったのか、教えていただけませんか。
■田村国務大臣 まず基本は、ワクチンを有効に活用いただきたいというものが前提であります。
優先順位というものがありますので、そういう意味では、接種券を発行するという中において優先順位というものを、もちろん、医師等々と高齢者等々と対応は違うわけでありますけれども、言うなれば優先的な対応ということでありますが、ところが、接種券を出していた方を、例えば六時間以内に集まってくださいというのは、なかなか難しいのは事実ですよね。実務上、現場でやはり対応できないということもありますので、そういう方々、なかなか体制が組めない場合には、接種券がなくても有効に活用いただきたいということをお願いいたしております。
そこは、言うなれば、河野大臣とも考え方としては共通認識を持っているという中で発言をされたものというふうに我々としては理解いたしております。
■西村(智)委員 だとすると、おかしいですね。手引が何でこの状態のまま残っているのか。「キャンセルの生じた枠で接種を受けられるのは、接種券の送付を受けた対象者とする。」というふうに書いてあるわけですよ。
今の大臣の答弁を聞いていますと、基本、接種券の送付を受けた人だけれども、それでも、現状、それが六時間以内に来れるかというとなかなか来れない、だから、それはその場で判断してくださいということであれば、もう少し自治体の方に、この手引の改定も含めて、丁寧に説明してやらないと分からないんじゃないか。
実際に、例えば、かかりつけ医でも余っています。そこで、じゃ、ほかの方に打っていいかといって問合せをすると、自治体の方は、駄目ですという返事が来るんですよ、現状。ということをちょっとやはり見直さないと。
ワクチンがチェンジメーカーになるということ、これはもうみんなが期待しているとおりですし、また、新しいワクチンの正式承認もされるということで、これからどのくらいワクチンが国内に入ってくるか分かりません。また、国内での新たに開発されるワクチンというのも、私はすごく期待をしている。
こんなときに、ワクチンがすごく余るという状況になれば、例えば一回分とか二回分とか、そのぐらいは廃棄するというのは、国民感情としても、まあ、しようがないかというふうになったとしても、今の時点で、とにかくみんなが電話に殺到して、インターネット予約ができない人は、若い家族がいればその人に頼んでやってもらったりとか、それで駄目だったりとかという状況の中で、自治体の方が、つまりは厚生労働省の方が、何かこう、ちぐはぐな方針であり続けると、私はやはりこれはうまくないというふうに思うんですよ。
ここのところ、いろいろな話が出ていて、例えば、高齢者じゃない自治体の首長さんとか幹部の職員の方が打って問題になったりとか、それから、東京都なんかでは、消防署員、救急隊員、こういった方が打ったりしているところもあるというふうに聞いていますし、私の地元の県では、学校の先生、教職員に、余剰が出た場合には打つというふうにリスト化をしている自治体もあるんです。
それぞれでやっているところはあるんだけれども、結局、やはりこの手引が足かせになって、できないところもかなりあるし、自治体が正直に厚労省に問い合わせると、やはりこの手引どおりの話が返ってくるわけですよ。手引どおりの話が返ってくるんです。接種券がないと、接種券がある人がキャンセルが生じた場合には接種を受けられますよということで、結局、廃棄しているという状況があるんです。
大臣、余ったワクチンを捨てるということについて、大臣自身はどういうふうにお考えですか。(田村国務大臣「その前に事実関係」と呼ぶ)一番最初の質問だけは、私、正林さんにお願いし……(田村国務大臣「地方自治体への事実関係だけ、どういう通知になっているか。手引の内容」と呼ぶ)手引の内容ですか。分かりますよ、書いてありますよ。「それでもなお、ワクチンの余剰が生じる場合には、自治体において検討いただきたい。」と書いてありますよね。
だけれども、原則として、接種券の送付を受けた者を対象とするというふうに書いてあること、そして、「それでもなお、ワクチンの」だから、接種券の送付を受けた人がまずは最優先なんですよ。そこで受け切って、余ったときには、自治体において検討していただきたいというふうに書いてあるから、結局同じことなんですよ。大臣、どうですか。
■田村国務大臣 要は、先ほども申し上げておりますけれども、実態として、それができるところとできないところがありますよね。そういう方々がすぐ来ていただけないというような会場もあるわけで、そういうところは、余った場合に、当然そういう方がいないわけですから、捨てるしかないわけなので。だから、ここで、そういう場合には自治体で御判断いただきたいということを手引書に書かせていただいておるということでございます。
でありますから、そのように御理解をいただければありがたいというふうに思います。
■西村(智)委員 おかしいですね。実際に、かかりつけ医が、余ったワクチンがあって、これはどうしたらいいですかと自治体の窓口を通じて本省に確認したら、やはりそれはほかの人には打てませんと言われて、捨てたというところがあるらしいんですよ。
結局、そういうふうに、やはり政府の方からきちんとした方針がないがゆえに、一々そうやって問合せもしなければいけない。
どうでしょう。自治体の方がどういう状況で、例えばその余ったワクチンについてリスト化をしているのかということについて、まず把握をしているのかどうか。多分、都道府県は全体の状況を分かっていると思うんですよ、その都道府県内の市町村がリストを作っているかどうかとかということを。
そういうことを把握した上で、高齢者以外の方についてもというか、もっと言えば、接種券が届いていない方についてもリスト化をすることが可能ですということを、厚労省と総務省でちょっと相談して発出していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
■田村国務大臣 厚労省に確認したら今ほど来の話であったというようなことであれば、それは我々がちゃんと伝えていないということになると思います。
いずれにいたしましても、今、消防署員であるとか、いろいろな話がありましたが、余ったものをそういう対応をしていただくのは、これは結構でございますので、そういうことはより分かりやすいような形で各自治体にお伝えをさせていただくようにいたします。
■西村(智)委員 是非よろしくお願いいたします。
それの関係でもあるんですけれども、ファイザー社のワクチンが解凍した状態だと五日しかもたないというふうに言われてきました。言われてきたんだけれども、私もこれはびっくり仰天したんですけれども、EUのヨーロピアン・メディスンズ・エージェンシー、EMAですね、ここが五月の十七日に、実はビオンテックのワクチンについては、五日から一か月、三十一日間の解凍した状態での保存が可能であるというふうに認定をいたしたそうでございます。
これはすごく大きいと思うんですけれども、この事実関係を厚労省としてどういうふうに把握をしているか、また、今後、手引の見直しあるいは自治体や医療機関への周知、こういったものについて、どうでしょうか。
■田村国務大臣 今言われたとおり、EU、欧州の医薬品規制当局の方、EMAの方が、二度から八度、常温と言っていいんでありましょうか、これで約一か月というようなことを新しい方針として出されたということで、添付文書の改定手続等が行われる予定ということでありますが、FDAでも同じようにそういう発表をしております、五月の十八日だったというふうに思いますけれども。
そういう意味では、そういうことであるということであれば、我々もPMDAにそういうファイザー社から事実上手続を申し込まれてきておるというような話もございますので、添付文書の書換え等々、対応しなければならないというふうに考えておりますし、あわせて、そうなってくると、結構オペレーション自体が変わってくる可能性もあります、いい方向でという意味で。そういう意味では、各自治体にもこれはしっかりとお伝えをしなきゃならないというふうに思っております。
まだそこまで、添付文書書換えのところまで来ておりませんが、そうなれば、早急に対応してまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員 何かすごく、ワクチンというのはどういうものなのかなと、私も今回の報道を見て改めて考えました。解凍した状態で輸送すると被膜が壊れるというワクチンであるものが、解凍した状態で、五日間じゃなくて三十一日間保存できる、これ自体、なかなかすごい、どうしてそういうふうになるのかというのが、いま一つ素人の頭では分からないんですけれども、改定ということになれば、是非しっかりと周知をお願いしたいと思っております。
それで、冒頭の、私が申し上げた予約なんですよね。
高齢者の方がとにかく今すごくお困りになっていらして、みんな、とにかく感情のやり場がない。予約が、朝早くから準備して予約を取ろうと思ったのにできなかったとか、並んでいる列の何人前で終わってしまったとか、電話をかけても通じないとか、気持ちを考えますと、なかなか、本当に切ないものがあります。
例えば窓口、役所の方で何かしらの方法で予約をお手伝いするとか、そういったものも考えていかないといけないんじゃないかというふうに私は思うんです。既に職員が予約を手伝っているところもあるかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか、この辺りのこと。かかりつけ医の方もかなり混乱しているようなんですが、この辺について、厚労省になるのか、総務省になるのか、考えがあれば是非教えていただきたいと思います。
■田村国務大臣 それぞれの自治体でいろいろな御努力をいただいて、混乱が生じないようにということで、例えば年齢で区切って順番にやっていただいたエリアがありますとか、そういう秩序立ってやっていただいているところもあるというふうにお聞きします。
コールセンター等々に対していろいろな形で増強した場合には、しっかり財政支援ができるようにということを今までもやっておりますし、また、あわせて、インターネット等々で予約される場合、これは大きい自治体では難しいのかも分からないですけれども、ちっちゃい自治体では市の職員の方々がいろいろな形でお手伝いをされているというような事例もお聞きいたしますので、好事例なんかは厚生労働省の方から周知をさせていただくということは、これからも努力してまいりたいというふうに思っております。
いろいろな形でマンパワーの増強という形になれば、それは合理的な範囲の中において、接種対応という形で国費で対応ということもあるわけでございますので、世界中がやはり当初は混乱というのがありますが、だからといって混乱をいつまでも続けるというわけにいきませんから、我々もよく情報を収集して、なるべく早く予約をされる方々が対応できるように、自治体と協力をし合ってまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
済みません、内閣府、総務省、それぞれ政務の方からお越しいただいていたんですけれども、質問できませんでしたので、ワクチンについての質問はこれまでということで、御関係の方は退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。
続いて、雇用類似の労働者のことについて伺いたいと思っております。
大臣は、ギグワーカーという言葉は御存じですよね。今、日本の中で、ギグワーカー、ネットなんかで仕事を請け負って単発で仕事をされる方を、ギグ、そのワーカーというふうに言うんですけれども、今現在、日本で、我が国の中で、ギグワーカーというのは何人ぐらい実態としているのか。本業としてギグワークをしている人、あるいは副業とか兼業という形でギグワークしている人、どういう状況か教えていただけませんか。
■田村国務大臣 ギグワーカーという単発でネット等々で仕事を受けられてやっておられるというもの自体を抜き出しで、実はどれぐらいいるかということは試算が行われていませんので、我が省としても、ここに関しては確認できていません。
フリーランスという意味からすると、二〇二〇年の二月から三月にかけてということで、実店舗がなく、要するに、自営業で、一人で社長をやって仕事をされているという定義でありますけれども、こういう方々でいうと、本業とされている方が二百十四万人、それから副業とされている方が二百四十八万人、合計で四百六十万人、これは今言いました定義のフリーランスという意味でありますけれども、おられるというふうには、我々、これは試算をいたしております。
■西村(智)委員 実態が分からないんですよね。最近また、新型ウイルスの感染拡大の中で、実はギグワークをしている方が増えているんじゃないかという観測というか指摘もあります。私も何か肌感覚として、そうかもしれないなというふうに思います。
ただ、こうしたギグワーカーを含むフリーランスの方、特にこの新型ウイルスで大変困難な状況に置かれていて、それはもう常用雇用の方と比べても大変なことだし、コロナという状況がまた拍車をかけて、やはり私は、こういった働き方をする人たちの法的な保護ということを本当に真剣に考えていかなきゃいけない時期に入っているんじゃないかと思うんです。
国内でも、ギグワーカー、具体的に言うとウーバーイーツですけれども、そこの労働組合の方からは、とにかく大変悲惨な状況を私もお伺いをいたしておりますし、また、世界に目を向けますと、イギリスでは、ウーバーの運転手が最高裁で従業員であるというふうに認定をされました。それが今年の二月だったかと思います。フランスも、既に従業員という形で判決が出ています。他方、アメリカの方は、州によっては雇用主ということで認定されているところもあるようなんですけれども、イギリス、フランスの流れを見ますと、やはりウーバーの運転手は、従業員、労働者であるというような流れに私は傾いてきているというふうに思うんですね。
ところが、我が国はどうかといいますと、三月に、フリーランスで働く、雇用類似で働く皆さんのガイドラインというものができました。三月二十六日です。ここでは、面白い書き方なんですけれども、労働法制が適用される人は労働者として保護されます、それ以外のところは独禁法とか下請法とかそういうところで保護されます。何だかすごく面白い、赤いものが赤い絵の具ですみたいな、何かそういうような感じかなと思うんです。
ガイドラインができたんだけれども、現状、やはり、日本でいうと、フリーランスの人たちが、何か契約上の問題あるいは労働上の問題が起きたときに、労働局に相談に行くと、あなたは個人事業主ですねと言われることが多くて、逆に、公正取引委員会などに相談に行くと、あなたは個人事業主じゃなくて労働者の方じゃないですか、だから労働局に行ってくださいねというふうに言われるのが、結構どっちつかずで、なかなか保護されないという状況があると思うんです。それを改善するために出されたのが三月二十六日のガイドラインだと思うんですけれども、やはりまだまだ、具体的に個別のケースで見ると非常に問題が多いと思っております。
ただ、この間、当事者の皆さんが本当に粘り強く働きかけてくださったおかげで、例えば労災の特別加入などが芸能従事者には認められるようになりましたし、傷病手当もちょっとは前に進むのかなというふうに期待はしているところなんですけれども、まず、芸能従事者が労災の特別加入をこの四月の一日からできるようになっていると思います、現時点で加入状況はどういうことでしょうか。
■田村国務大臣 労災特別加入、今までもあったんですが、新たに四つの分野で、特別加入という形で四月の一日から取り組ませていただいておりますが、全体で七十二名、五月二十日現在。
今言われたのは芸能関係ですね。芸能関係作業従事者というところからいくと、五月二十日現在時点で六十四名ということであります。
なお、先ほどとの差ですが、柔道整復師の方々が八名という形になっております。
■西村(智)委員 少ないですね。もうちょっと周知していただくということが必要だと思います。
続けてなんですけれども、ガイドラインが出た三月二十六日には、「芸能従事者の就業中の事故防止対策等の徹底について」ということで通知が出されました。メンタルケア、更衣室、トイレの問題について言及があった、これは大変いいことだと思っているんですけれども、アスベストの問題がこの通知の中に入っていなかったというふうに思うんですよ。
実は、芸能従事者であってもアスベストとは無縁ではありません。今から五年前に、アスベスト被災が労災であるというふうに認定された方もいらっしゃるので、やはりこの通知についても、アスベストを例えば適時入れていくとか、見直しをしていく必要があるというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 フリーランスの方々、仕事を原因とする病気やけがということ、こういうことを経験したという方、アンケートを取りますと二割、このうち仕事を断念、中断する程度という方々が一割ぐらいおられるということでございますので、今言われたとおり、日本俳優連合からの要望、これを踏まえた上で、先ほどの更衣室でありますとか、あとトイレもそうなんですが、あと現場による事故防止の措置でありますとか、放送番組等の計画段階における作業方法における安全性を検討、こういうことを含めて要請を行ったところであります。これは、厚生労働省から、総務省、関係省庁と連合によりまして、関係団体に対して要請という形であります。
この中において、通知自体、アスベストの暴露というのは入っていないわけなんですが、ただ、当然、その制作管理者に対しては現場の状況に応じて具体的な安全衛生基準を定めていただくということになっておりますので、この中にはアスベストということも当然のごとく入ってきておるわけでありますが、多分、委員は、ちょうど今、アスベストの建設労働者の最高裁の判決も確定されたということもございまして、アスベストを、もちろん抜き出しで、なかなか目に見えて分からない場合もあるので対応をというような話なんだろうというふうに思います。
確かに、これはしっかり取り組んでいただかなければならないと我々も思っておりますので、周知、指導、これをやっていかなきゃならないというふうに思っておりますので、対応してまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員 是非よろしくお願いいたします。
次に、国民健康保険の加入者への傷病手当について伺いたいと思います。
新型コロナにかかる方、誰がかかるか、これはもう本当に分からないわけです。それで、国民健康保険に加入している被用者は、傷病手当を万が一というときには受け取ることができるんですけれども、被雇用者のみなんですよ。被用者の中でも、対象になっているのが被雇用者、雇われている人だけということで、実は、フリーランスがまだ国保の傷病手当の対象になっていないという問題がございます。
現在、国保の傷病手当の財政支援の期間が今年の六月末までということなんですけれども、何とかこれを延長しつつ、しかもフリーランスの方が対象になるような方法を考えていただきたい。同じ保険料を払っておられるわけです。払っているんだけれども、被雇用者のみという限定があるがゆえに、なかなか、いざ、万が一コロナに罹患してしまったときにも受けることができないという、区別というか差別といったらいいのか、そこを何とか解消していただく必要があるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 健康保険法ではこれは法定給付になっておりますが、国民健康保険に関しては任意給付ということになっておりますので、そういう意味では、今委員がおっしゃられた意味からすると、被用者であろうと自営業者であろうと、条例をお作りいただければ、これは傷病手当の対象に、各自治体、なります。
ただ、問題は、今言われている意味は、今回、コロナ禍で、国が、特別に財政支援を自治体に、特に被用者の方々、要するに雇われている方々に関しては財政支援をしております。
これはなぜ、じゃ、自営業者の方々にはしないかというと、そもそも自営業という形ですから、フリーランスもその範疇に入ってくるわけでありますが、結果的に言うと、休んでいるときの収入の状況がよく分からない。人によって違いますよね、職種によっても違うでしょうし。逆に、そういう期間の収入の補填の試算といいますか、どういう金額を補填すべきか、時期によってもいろいろ収入も変わりますので、それも分からないというようなこともございます。
そういうことも含めて、なかなか、もっと言うと、こういう言い方をするのがいいのかどうかは別ですが、結構自営業の方は自ら休まれることもあるわけですよね、状況に応じては。
だから、そういう意味からすると、ちょっとしたけが等々で休む、休まないということも含めて御判断もあろうかというふうに思いますので、なかなかそういうところが、雇われている方と自営業の方との間で、そこの仕分というのがなかなか難しくて、自営業の方々に関して国が補助するというのはどういう根拠で財政的な支援をするかというようなところもございまして、なかなか国の財政支援の対象にはなっていないということでございますので、委員が言われるように、なかなか、自営業者を対象にしている自治体が少ないということなのであろうというふうに思います。
■西村(智)委員 なのですが、現に、フリーランスといいながら、実際には、私、雇用主なのか労働者なのかと、それは個々のケースはあるとは思うんですけれども、やはり今の現状の日本の中でいうと、まず、元請、下請とか、要するに、発注者と受注者という関係でいうと、とにかく発注者の力がすごい強いですよね。下請をする人たちの方は言いなりにならなきゃいけない、ハラスメントが結構起きている。仕事も極めて不定期で、不安定で、特にこのコロナの状況になると、仕事がなくなるイコール収入が断たれるというようなことが現に起きていて、そこでコロナになっちゃったりすると、本当にもう大変だということで。
私は、やはり、今大臣が言われたこともあるんだとは思うんですけれども、だけれども、現時点で、じゃ、条例を作って傷病手当をやっている自治体が、数は少ないけれども、もう既に七つあります。七つある中で、何か問題が発生しているという話を大臣は聞いたことがありますか、今のような話。例えば認定が難しいとかいうようなことで、問題が発生したという事実はあるんでしょうか。なかったら、もうちょっと積極的に、傷病手当が、保険料を払っているわけですから、出るようにするということが私は必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 基本的に、さっきも申し上げましたが、法定給付ではないので、任意給付なので、各自治体がまず御判断をいただくかどうかということになると思います。
御判断いただいて作られているところ、対象になられているところに関しては、何か問題があるかというと、被用者に関しては問題があるということはお聞きはいたしておりません。
ただ、先ほど来言われておりますフリーランスの方に関しては、要は、ガイドラインでも書かれているとおり、労働者として認められるような、フリーランスとはいいながら、つまり、契約を結んでいるような形態でありながら、労働契約以外の、事実上労働契約と変わらないというようなものに関しては、これは労働者、例えば、業務指示、これに許諾の自由がないだとか、業務遂行上指揮監督に入っているだとか、こういうような労働者性が認められていれば、賃金という名目でなかったとしても、雇っているというような名目でなかったとしても、事実上労働者ということを認められる場合がございますので、そういう方に関しては、そもそもこれは保険者が国民健康保険ではなくなるわけでありますので、そういう中において対応ということになろうというふうに思っております。
■西村(智)委員 なかなか話がかみ合わないんですけれども、私は、大臣の頭の中には、フリーランスとか雇用類似で働いている方々の実態が、やはりまだよく入っていないんじゃないかなというふうに思うんですよね。もうちょっと、そういった方々が増えている、現に、フリーランスと言われる方々はもう既に、五百万人ですか、六百万人ですか、非常に多い数になっているわけですので、そういった方々がちゃんと安心して働くことができるようにというふうに考えるのが私は厚生労働省としての役目だというふうに思っております。
ちょっと時間がなくなってきたので先に進みますが、実際にこういう例があるんですよ。ガイドラインが三月二十六日に出ました。それで、ある芸能人の方が、ガイドラインに従って、独禁法や下請法の違反があるということを公正取引委員会に報告したんですけれども、五月の十九日に、公正取引委員会の担当部署から、審理に一年程度かかるというふうに話があったと。審理に一年以上かかり、下請法違反を調べてから更に独禁法違反も調べるため、場合によっては二年もかかるかもしれないという連絡を受けたと。二年かかってはなかなか救済ということにはならないし、しかも、指導等はするけれども、違反について強制的に是正する手段はないというふうな回答を得たということなんです。
せっかくガイドラインが出たのに、こういう答えが返ってくるような状況では、意味はないんじゃないかというふうに思うんですけれども、こういった対応、あるいは、一年、二年かかるという時間的な流れ、これは問題じゃないでしょうか。公正取引委員会に伺います。
■田辺政府参考人 お答えいたします。
個別の事案についてはお答えを差し控えさせていただきますが、公正取引委員会は、下請法違反行為に対し、迅速かつ効果的に対処しているところでございまして、年間八千件を超える指導を迅速に行うとともに、下請事業者が受ける不利益が重大であると認められる場合には、下請法の規定に基づきまして、親事業者に対して下請代金の減額分の返還など必要な措置を取るように勧告を行ってきているところでございます。
公正取引委員会といたしましては、引き続き、下請法違反行為に対しては、迅速かつ効果的に対処してまいりたいと考えてございます。
■西村(智)委員 一年、二年が迅速と言えるのかどうか、よく考えてみていただきたいと思いますよ。迅速と言ったら普通は数週間単位ですよね。一年、二年で、働く人たちの保護ができるとは私は思えません。ちょっと改善をしていただきたいと考えております。
あるいは、そうでないのであれば、やはり、労働者として適切に保護をしていくというふうにかじを切らなければいけないと思います。
大臣、雇用類似の人たちの労働者性について、やはり本格的に検討しなければいけないときだと私は思うんですよ。労働者性を認めて、そしてそれを保護していくというやり方です。
せっかくガイドラインが出て、そして公取にそのガイドラインに従って行ったのに、一年も二年もかかるようじゃ、これはなかなか審理が進まないということからして、そこでタイミングよくJILPTの報告書が出てまいりました。労働政策研究報告書ナンバー二百七、ここで、雇用類似の働き方に関する諸外国の労働政策の動向というものが出ております。
先ほど私は冒頭で、イギリスやフランスでウーバーの労働者が従業員であると認められた最高裁判決の話をしましたけれども、やはり、世界的な流れでいいますと、労働者性を認める方向になってきているんですよね、この報告書を読みますと。
伝統的な二分法を取っているのは、日本はすごくかたくなにそこなんだけれども、大体どこの国も工夫して、伝統的な二分法というのは何かといいますと、労働者性が認められたら労働法制できっちりと保護する、そうじゃない人は事業主としてきっちりと保護するという言い方が正しいのかどうか分からないけれども、そういったふうに、迅速に、適切に、効果的に対処をするというような、伝統的な二分法、労働者は保護するけれども自営業者は保護しないというやつですね。日本はとにかくかたくなにこれを維持しているんですよ。
なので、ガイドラインが出てきて、公取に行ったところで、一年、二年かかっちゃう。労働局に行けば、あなたは労働者じゃありませんと言われる。この壁をやはり突破していかないといけないんじゃないかというふうに思うんです。
JILPTの報告書では、この二分法を克服する実例としていろいろなことも言われております。ミックス型と言ったらいいのかな、個々のテーマに応じて、この部分についてはこの法律が適用できますねということで、例えば失業給付とか労災給付を適用したりというようなことがあって、日本も、例えば、芸能従事者に労災が特別加入できるようになりましたということはあるんだけれども、先ほど紹介した傷病手当とかは全然まだまだなわけですよ。
ということからすると、やはり、伝統的な二分法を克服するような実例を、海外の実例をきちんと政府の方でも捉えて、最終的には、私は労働者性を認めるという方法でいくのがいいと思うんだけれども、当面は、個々個別の法律で保護していくというやり方、これを何とかやっていただきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 なかなか難しいのは、自営業者というものをどう見るかというのと、フリーランスでありますとか芸能関係者だとか、それぞれ、労働者性が全くないものもあれば、委員がおっしゃられる労働者性が若干あるのではないかと言われる同じような働き方の形態でもあるわけで、そこの仕分は非常に難しいというのがあるんだと思います。
一方で、いろいろなのが、失業保険はなかなか難しいんでしょう。多分、自ら失業する自由といいますか、自営業を取りあえず今辞めておこう、じゃ、また戻ろうというのは、これは自由ですから。
だから、そういう意味からすると、それぞれ難しい問題があるので、多分その労働者性というものをそこで認められるかどうかというような話に、最終的には、ガイドラインになっているんだと思います。
とはいいながら、フリーランスの方々というような形態は様々ですから、いろいろな問題もあるので、そういう意味では、フリーランス・トラブル一一〇番というような形でワンストップの相談窓口をつくっているわけで、今言われたとおり、公取に頼んでもなかなか進まない、下請の、下請代金取引遅延法みたいなそういうものも、なかなか、どうなるんだという話が、進まないという話でありますから、そういうものがなるべく早くちゃんと動いていくようにしていくというのがまず第一義的にあるんだと思います。
せっかく、ガイドラインを作って、今窓口をつくって、動き出しているわけでございますので、まずこれが、委員から御指摘いただいているような、遅過ぎる、迅速ではないと言われないような対応にすべく、省庁をまたがっているものでありますから厚生労働省がやれる範囲というのはなかなか限界があるわけでございますけれども、他省庁にもしっかり我々働きかけてまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員 八千件の相談件数があるそうですね、公取に。迅速に、効果的にやっていただきたいけれども、やはり世界的な動向、各国の動向を見ると、もうこの伝統的な二分法は見直す時期にはっきりと入っている、はっきりと入っているんですよ。
大臣も読んでください。ほんの、まとめのところは、十九ページから二十ページを読んでいただくと大体報告書のエッセンスが全て入っていますので、そこを読んでいただくと、もう日本がこの伝統的な二分法にしがみついている理由はないというのがよく分かりますので、是非そこのところは、コロナの状況でもあります、検討していただきたい。強く要望して、終わります。