■西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
今日は、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。
質問時間が限られている中で、たくさんの質問を用意してまいりましたので、是非答弁は簡潔にお願いしたいと思っております。
この間、ストーカー相談事案が非常に高止まり傾向で、年間二万件ということでございます。私の地元新潟市でも、一昨年、繁華街の中で殺人事件が起きました。加害者の御家族が警察に相談をしていたんだけれども、事件が起きる数日前には、今落ち着いているので来ないでくださいというようなこともあったと報道をされております。現に殺人容疑ということで逮捕されているんですけれども、このストーカー事案については、やはりこういったふうに非常に深刻化しかねないということがあると思っております。
また、この間、著述家の内沢旬子さんという方が「ストーカーとの七〇〇日戦争」という本を出版されました。私も、斜め読みですけれども、見させていただきました。彼女は、自分自身の経験から、今回の法改正、一定のものとして評価をしつつも、やはり、恋愛のもつれからというこの対象範囲の縛りですね、これを拡大すべきであるというふうに訴えておられますし、また、加害者への治療を義務化すべきであるというふうにもおっしゃっておられます。
これは荻上チキさんが、「ストップ!つきまといプロジェクト」というところで調査を大規模にやられたんですけれども、この調査結果と併せて、二月二十四日に記者会見をされておられます。この「ストップ!つきまといプロジェクト」の中においてもいろいろな提言をされている。後で御紹介したいと思っておりますけれども、やはり、対象範囲を広げるということであるとか、治療的司法の拡大であるとか、それからいろいろな自治体の取組を加速化することとか、いろいろあるんですけれども、順次質問をさせていただきたいと思っております。
まず、ストーカーの実態なんですけれども、私も驚きました。相談件数が年間大体二万件であるんですけれども、令和元年、令和二年、見てみますと、加害者への指導警告件数は大体一万件程度、そしてストーカー規制法による警告実施件数は二千件程度、そして禁止命令等の実施件数は大体千五百件程度ということなんですね。
それで、先ほど小此木委員長は、声をかければその先に行為がやむこともある、だけれども他方で重大犯罪へとつながっていく危険性もある、こんなふうにも政府参考人を含めて答弁されていたかと思うんですけれども、実際のところ、繰り返していたり重大犯罪につながることが起こり得るというような数字が、その後の経過からも分かります。ストーカー規制法上の警告を実施したり禁止命令を発出した中で、その後行為が継続せず効果があったと認められたものが指導警告で約八八%、文書警告で八四%、禁止命令で六三%ということです。繰り返したり重大犯罪になっていく危険性はやはりあるということなんです。
私はやはり、ストーカー事案に関する実態を正確に把握するところから今回の法改正は議論されるべきではないかというふうに考えております。
まず一点伺いたいのは、ストーカーが被害者を傷つけた場合には傷害罪、精神的に追い詰めた場合には脅迫罪、あるいは名誉毀損罪というふうに、別の法律で検挙して服役しているという方もいらっしゃる。そうなると、実数よりも少なくなっている可能性があると思うんですね、ストーカー規制法で検挙された数の中で。ですので、お伺いは、逮捕及び服役しているストーカーの実数を把握しているかどうか。やはり、今後適切な更生に確実に導いていくために、傷害とストーカー規制法違反、両方を適用することができないのかどうか、ここを伺いたいと思います。
■小此木国務大臣 ストーカー事案についてですが、検挙罪名がストーカー規制法違反であるかを問わず、刑法犯等に該当するものについても検挙件数を把握しており、都道府県警からの報告によりますと、ストーカー事案に関連する刑法犯及びストーカー規制法以外の特別法犯の検挙件数は、令和二年において千五百十八件であります。
また、恋愛感情その他好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われた行為があった、御指摘の、傷害罪等のストーカー規制法以外の刑罰法規に該当するものであれば、当該刑罰法規の適用を受けることとなるほか、ストーカー規制法のつきまとい等に該当し当該行為が反復して行われた場合には、同法に規定するストーカー行為罪の適用を受けることとなります。
■西村(智)委員 私が先ほど申し上げたのは、つまり加害者の更生、先ほども与党の議員からも質問がありました。加害者の治療とか更生をしていくためにやはり、ほかの傷害の罪とかで服役したりしている方々は、言ってみれば、ストーカー規制法による治療とか更生の対象になっていかないと思うんです。ひとしく対象にしていくために、私は両方を適用することが必要だと思っております。
大臣、ちょっとこの後また更生のことについても伺いますので、今の答弁ですと、今の時点ではしていないということですね。これはやはり治療というか、再犯防止という点からも、ちょっと問題だというふうに思います。
それと、被害者の皆さん、やはり非常に再犯におびえておられます。そうした方々のために、限定した方法であっても加害者には一定期間近況報告義務などを設けて、情報は多少マスクしても構わないと思いますけれども、それを被害者に開示していくということはできないでしょうか。
■小此木国務大臣 加害者の中には被害者への強い執着心等から警告や検挙等をされた後もつきまとい等を続ける者がいるという実情に鑑みますと、委員御指摘の近況報告義務を行為者に課すことについては、その有効性の観点から、これは慎重な検討を要するものと認識しています。
ストーカー事案の行為者から再被害を受けるおそれが大きい被害者については、警察本部長等が再被害防止対象者として指定し、加害者の動向把握を行うほか、必要に応じ行為者に対する指導警告等の措置を実施するとともに、再被害防止対象者への連絡体制を確立して、検察庁、刑事施設等の関係機関、団体と緊密に連携して、再被害の防止に資する情報の提供や防犯指導を行うなどし、再被害を受けるおそれが大きい被害者の安全を図っているところであります。
今後とも、被害者の心情にも配慮しつつ、被害者の安全の確保を最優先にして、その不安を払拭するための適切な対応がなされるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
■西村(智)委員 警察の方にちゃんと情報が行けばそれは私も一定程度効果はあるかと思うんですけれども、他方で、やはり仮出所する場合の問題があると思っております。
加害者が仮出所する際に、保護観察の特別遵守事項をつける際には警察に知らせるようになっているということなんですけれども、一般遵守事項のみの仮出所であったり執行猶予による釈放、こういった場合は警察に知らせるようになってはいないんじゃないかと思うんです。
こういった場合であっても、ストーカー犯罪であれば、被害者の元に加害者が行くという可能性があるため、こういったものも警察に通知する対象としていただきたいと考えますけれども、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 委員御指摘のとおり、現在、特別遵守事項が定められた保護観察に付されているストーカー加害者については、これは現在、被害者等との接触等の禁止に関するものでありますけれども、この保護観察に付されているストーカー加害者については、被害者及びその親族等への接触等を試みているなどの問題行動等を保護観察所が把握した場合には、警察において、当該問題行動等の内容について保護観察所から連絡を受けているところであります。
御指摘の一般遵守事項の点を含め、保護観察所と警察の間のこうした連携の在り方については、今後のストーカー事案の実情等を踏まえながら適切に判断してまいりたいと存じます。
■西村(智)委員 前向きに答弁いただいたと思います。是非よろしくお願いいたします。
続いて、更生プログラム等について伺ってまいります。
ストーカー加害者への精神医学的、心理学的アプローチ、有効であるということでしょう。この間、平成二十八年度から働きかけが順次行われ、令和二年では、先ほどもありましたとおり、八百八十二人、こういった方々への働きかけが行われたと。資料の二枚目でございます。
ただし、まず、この八百八十二人という人数が、先ほどの、警告が行われたり指導が行われたり禁止命令が出たりというような方の人数に比べると極めて少ないということははっきりと言えると思います。また、八百八十二人の中でも、治療を実施した方は百二十四人。これはなかなか難しいのは私も分かりますけれども、やはり人数が少ないというふうに思うんですね。
そして、次の資料三枚目で、加害者への地域精神科医等への受診の働きかけの状況ということで、これは、令和二年の八百八十二人を地域別に出していただきました。そうしましたら、結構ばらつきがあるんですね。全く声をかけていない県もあります。もしかしたら加害者がいないということなのかもしれませんが、まさかそんなことはないでしょう。というふうに考えますと、これはやはりもっと警察庁、国家公安委員長として注力していただかないと、加害者への治療というものが行われないのではないか、進んでいかないのではないかというふうに懸念をいたします。
予算事業といたしまして、ストーカー加害者に対する地域精神科医療との連携ということで予算が計上されていると思います。何を行っているか、これは分かります。働きかけをやって、そして地域の精神科医療機関を受診していただく、その費用を助成するということだと思うんですけれども、令和元年度の予算額、それから都道府県警察での予算額、それから執行額、実際に幾ら予算に対して執行されたのか、実際これがどのくらい使われているのか、それをまずはお願いいたします。
■小此木国務大臣 平成二十八年度から、警察が加害者への対応方法やカウンセリング治療の必要性について地域の精神科医等の助言を受け、加害者に受診を勧めるなど、地域の精神科医療機関等との連携を推進することとしており、これに必要な謝金を予算措置していると承知しております。
ストーカー加害者に対する地域の精神科医療機関等との連携に係る経費は、令和元年度においては、警察庁で約一千百五十一万円を予算措置していたところ、都道府県警では約七百五十四万円が予算措置されており、その執行額ですが、約百六十万円となっているものと承知しています。
■西村(智)委員 お聞きいただいたように、非常に執行が少ないですね。恐らく、まずは働きかけが行われていないんだろうというふうに思います。また、実際に働きかけを行う現場の方が、なかなかこの重要性であったり重大性であったりということを認識していらっしゃらない。恐らくそういう研修を受けていらっしゃらないのではないかというふうにも思うんです。
そこでお伺いしますが、重大かつ深刻な事件を起こすストーカーは、傷害事件などで刑事課の警察官が逮捕、勾留に当たることになります。他方、このいろいろなアプローチの働きかけを行う警察の方は大体が生活安全部局の方でいらっしゃるので、そこのところで情報が共有されていない可能性があります。そして、同時に、刑事課の刑事たちがストーカーの病理に対する知識を持っていないということなんですよ。
ですので、働きかけ、まずは、刑事課の人は行っていないというふうに私も聞いてはいるんですけれども、やはりそういったことも含めて、現場の警察官全員をストーカーに関する研修の対象者にするべきではないか。特に、精神科の研修なども行われているんですけれども、生活安全課の警察官だけではなくて、刑事課の方も受講対象にすべきではないか。そして、刑事課の方からも医療的なアプローチがあるんだということを認識していただく必要があるんじゃないか。こういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 これは、前の前の委員の御指摘の中で、年間約二万件以上あるこの事案について、ストーカー加害者、令和二年中には、八百八十二人に対して受診の働きかけを行ったところ、百二十四という、やはり聞いただけでも少ない。
いろいろな数字に対して、本当に事案そのものが重大な、人の不幸になる話である割には、大変に対応が少ないんじゃないかという感想であろうかと思いますけれども、各都道府県警察では、ストーカー事案等の恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案については生活安全部門と刑事部門が共同して対応を行うこととしており、これは本当だろうかという御懸念だと思います。
ストーカー事案として加害者が検挙された場合には、刑事部門において検挙した場合であっても、生活安全部門が状況を把握した上で、必要に応じて医療機関等への受診の働きかけを行っているものと承知しています。
また、県警によっては、規模に違いはあるものの、精神医学的、心理学的アプローチに関する技能や知識の向上に係る研修は生活安全部門の警察官に限ることなく実施しているほか、ストーカー事案に対する基本的考え方や対応については全ての警察職員に教養を実施するよう、警察庁が各都道府県警察に指示しているところと承知しております。
委員御懸念のところについては、今後も、更にいい方向に向かうように警察庁を指導してまいりたいと存じます。
■西村(智)委員 であるとすれば、私からお願いは、やはり、傷害などのほかの犯罪と、それからストーカー規制法の違反、両方が適用になっているケース、少なくともこの実数だけは調べていただきたい。
冒頭の質問で、傷害罪あるいは脅迫罪、名誉毀損罪等々はストーカー規制法違反というカテゴリーの外に出ちゃっているんだと思うんですけれども、本来であれば、ストーカー規制法違反であるそうした傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、そこの重なる部分の実数、これを是非データとして取るということはやっていただきたいと思うんですけれども、これは通告はありませんが、どうぞお願いできませんでしょうか。
■小此木国務大臣 今のお話は、私としてしっかりまず受け止めまして、警察庁共に認識を深めたいと思います。
■西村(智)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
それで、ストーカー加害者に対する声かけというか、警察官からの加害者への声かけというか働きかけ、これは、タイミングがどうも各県警で違うということなんです。
内沢旬子さんからの様々な情報にもよりますと、例えば、京都府警などは、一旦逮捕されて、釈放時に声をかけるというようなところもあるし、警告するときに声をかける県警もあるというふうに聞いています。
声をかけるタイミング、やはりこれは大事だと思うんですよね。被害者の方からすると、やはりなるべく早いタイミングで声かけをしてもらいたいというふうに思います。警告時などの早期働きかけが可能になるように、通達レベルであっても何か定めていただきたいと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 年間二万件以上のこの事案について、それぞれの状況、場合、加害者の意識の違い等あることが想像されます。
平成二十八年度から、地域の精神科医療機関等との連携を推進し、加害者に受診を勧奨などしているが、どのようなタイミングでどのようなアプローチを行うことが効果的であるのか、十分な科学的知見が得られているとは言い難い状況でございます。現時点で警察庁において、加害者に対して声をかけるタイミングや対象について一律の基準を示すことは困難であると承知します。
今後とも、ストーカー加害者に対するカウンセリングや治療の効果についてしっかりと把握し、加害者のストーカー行為の再発防止のために効果的な方策について情報収集、検討を行うよう、これは常に行わなきゃいけませんが、警察を指導してまいりたいと存じます。
■西村(智)委員 今、大変驚くべき答弁をいただきました。重大な科学的知見が得られているとは言い難いということなんですけれども、重大な科学的知見が得られているとは言い難いのに、予算事業として一千百万円を超える予算を措置しているということは、私はちょっと問題だと思います。
私は、百歩譲ってそうであるとすれば、カウンセリングや治療について、既にもう警察庁がやるべきことは、情報収集というレベルではなく、どういったやり方が効果的なのかということについて、実効の上がる方策を検討していただかないといけないんじゃないかというふうに考えております。これは後で厚労省にも質問いたしますけれども、法務省の方は、例えばDV防止法の更生プログラムを、検討会を設けて、それなりにつくりました。徐々に進んでいっているというふうに思います。
やはり、このストーカー規制法についての更生プログラムないしはその治療の方策、こういったことについて、どういうやり方で有効な方法を講じていくのか、あるいはそれを検討するための場を設けるとか、もう本当にそのくらいのことをやらないといけないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 先ほど私、科学的知見が得られているとは言い難くというのを、重大と言いましたか。(西村(智)委員「十分な。失礼しました。十分な」と呼ぶ)十分なですよね。十分なと言いましたということで。(西村(智)委員「それで、質問」と呼ぶ)申し訳ない。もう一回お願いします。
■木原委員長 西村さん、簡潔にもう一度お願いいたします。
■西村(智)委員 済みません、時間がちょっと限られているので、委員長、お願いします。
私が申し上げたのは、今警察庁としてやるべきことは、十分な科学的知見が得られているとは言い難いというレベルでの科学的な、医療学的なアプローチを漫然とやるのではなく、それこそ検討会を設けるなり、厚労省と一緒になって新たなプログラムなりを構築していくとか、そういった行動、動きに着手するべきではないかということなんです。情報収集している段階ではないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 平成二十六年度及び二十七年度に、ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的アプローチに係る調査研究を行い、警察官等に対する専門家からのアドバイス、研修等の実施や、ストーカー加害者の更生に向けた関係機関による連携の枠組みづくりを行うことが望ましいという結論が得られたことから、警察庁においては、平成二十八年度から、地域の精神科医療機関等との連携を推進しております。
また、警察庁においては、令和二年度は現下の状況で開催しなかったんですが、平成二十八年度より、警察庁、都道府県警、医療機関関係者による連絡会議を開催し、より効果的な精神医学的、心理学的アプローチについて情報共有等を行っております。
関係省庁との連携については、ストーカー総合対策を踏まえ、ストーカー加害者が抱える問題に着目し、関係省庁が連携しつつ、その更生に向けた取組を推進しているところであります。
今後とも、医療機関等関係者との連絡会議を活用するほか、地域の精神科医療機関等とも連携して、そのカウンセリングや治療の効果について把握し、加害者のストーカー行為の再発防止のために効果的な方策について情報収集、検討を行うよう指導してまいります。
■西村(智)委員 厚労省に来ていただいているので、政務官かな、お願いしたいんですけれども、ストーカーに特化した治療方法、今、警察庁の方も、総合対策の結論を受けて始めましたというようなお話なんですけれども、やはり十分な科学的な知見が得られているとは言い難いと、まさに現状を吐露されたわけです。
やはり、厚労省として、実際に加害者が治っているという、そういった治療者は多くいらっしゃるので、どういった治療が有効なのか、これは全体を把握して、しっかりとここは国家公安委員会と一緒に、プログラムなり、まさに法務省がDV加害者に対する更生プログラムをつくったときのように、きちんと体系立ったものをつくっていっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
■大隈大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えいたします。
御指摘のストーカーの加害者についての精神医学的アプローチというのは大変重要な認識だというふうに、敬意を表したいと思います。
ただ、加害者のうち、必ずしも精神疾患があるということも断言できませんで、例えば警察庁が発表していただいている資料によりますと、その動機として、被害妄想などの精神障害があるとされている方の割合が約〇・四%、また、精神疾患の入院、通院歴、また精神疾患があるというふうな疑いを持っておられる方が一八・一%ということでございまして、精神疾患が必ずしも関連づけられるというわけではございません。
いずれにしても、効果が上がっている事例もありますので、委員御指摘のように、しっかりとした成功事例、成功事例といいますか、うまくいっている事例を横展開して、警察庁始め関連省庁と関連団体としっかりと情報共有しながら連携をしていきたいというふうに考えております。
■西村(智)委員 やはり、この点の省庁の縦割りをつないでいくのは、私は内閣府の役割だというふうに思っております。
平成二十七年三月にストーカー総合対策関係省庁会議が開催されて、そこで、出ております、ストーカー総合対策は策定されました。だけれども、この会議が、平成二十七年、平成二十八年、平成二十九年、これを最後にもう開催されていないようなんですね。やはりこれをちゃんと開催していただいて、今挙がっているような様々な課題を一個一個検討して潰していく、そういう作業を是非内閣府から主導してやっていただきたいと思っています。それが質問の一点目。
ついでに、ちょっと時間がないので、内閣府にもう一個。自治体の対応がやはりばらばらなんですよ。
資料におつけしています、これは、男女局が、平成二十七年三月、調査研究事業をやった報告書。相談窓口を周知していない自治体が六二%、相談窓口がないというところが五九%、それから、相談対応マニュアルがないというところが八七%、相談対応の質を向上する取組が実施していないというのが七六%、惨たんたる状況です。
自治体の機能強化、これはやはり必要だと思いますけれども、ちょっと併せて答弁いただきたいと思います。
■吉川大臣政務官 まず、前段のストーカー総合対策関係省庁会議でございますが、これは先生も御認識かと思いますが、これは定例開催の会議ではないものでありまして、主な内容といたしましてはストーカー総合対策の内容に関することが多いわけでございまして、この最後の平成二十九年、そこで必要であったから開催したわけであります。
ただ一方で、先生が御指摘いただくように、警察庁などとの連携を深めていくための会議、こういった会議に限らず、様々な形で、今後、適切な会議の開催の在り方について警察庁と検討していきたいと思っておりますので、御認識いただければと思います。
そして、二問目でございますが、この自治体の対応ということに関していただきました。
まず、内閣府といたしまして、平成二十九年十二月、ストーカー被害者支援マニュアルを作成し、地方公共団体に配付をしているところでございますが、一方で、窓口の在り方であるとか、活用方法、こういったところは決して十分ではない、このように認識をしているところでございますので、今後、あらゆる手段を使いまして、地方自治体に関して様々な対応の在り方ということに関して適切な対応をしてまいりたいと思います。
■西村(智)委員 小此木委員長、やはり内閣府の方から私ももっと頑張ってもらいたいと思うけれども、定例化している会議じゃないとさっき言い切られましたので、やはり、警察庁の方から、こういった課題がある、これもやらなきゃいけないというふうに、ちゃんとメッセージを出していっていただいて、そしてこの内閣府の会議が開催されるようにしていっていただきたいと思うんです。
それは、いろいろな課題がある中で、やはり、相談対応ですとか、それから私がさっき申し上げた加害者への治療的プログラムの内容ですとか、そういったものも含めてなんですけれども、ちょっともう一回、この法改正、今回のストーカー規制法の改正を機に現状を捉え直していただいて、もう一回、参議院の附帯決議にもありますが、この国会での質疑も踏まえて進めていっていただきたいと思いますけれども、その点、答えていただけませんか。
■小此木国務大臣 改めて、ストーカー総合対策関係省庁会議については、その会議の構成員を内閣府、警察庁等の関係省庁の職員としているほか、必要に応じ、構成員以外の関係行政機関の職員その他の関係者が出席できるとされていると承知しています。
警察においては、平成二十七年三月にストーカー総合対策関係省庁会議において策定されたストーカー総合対策等を踏まえ、配偶者からの暴力に関する関係機関協議会の活用のほか、関連する被害者支援連絡協議会、被害者支援地域ネットワーク等、既存の地域における関係機関の協議会の活用を考慮しつつ、関係機関との連携協力を推進していると承知しています。
委員お尋ねの会議は開催されておりませんけれども、ストーカー総合対策に基づく施策の取組状況については毎年関係省庁においてフォローアップしており、その情報共有を行っているところでありますが、今後、適切な会議の開催の在り方について、内閣府と検討を行うよう警察を指導してまいります。
■西村(智)委員 是非よろしくお願いいたします。
それでは、今度は、先ほど私、冒頭申し上げた内沢旬子さんの経験からちょっと伺いたいと思っているんです。
やはり、恋愛感情のもつれからというストーカーの行為の類型の限定、これがあるということの問題点は、先ほど与党の委員の方からも質問がありました。内沢旬子さんの場合は、こういうふうに言われたんだそうです。交際しているときは恋愛感情だが別れた後は憎悪感情なのでストーカー規制法は適用できないという警察本部の見解が出たというふうに言われたそうなんです。
この発言について、この判断はケース・バイ・ケースであるというふうに警察庁は言っているそうなんですけれども、こういった説明をして対処しなかった事案はどのくらいありますかということが一つ。それから、別れた後は憎悪感情となるというのは、警察庁で統一された見解なんでしょうか。
■小此木国務大臣 今の話ですけれども、交際しているときは恋愛感情だが別れた後は憎悪感情なのでストーカー規制法は適用できないとの見解については、警察庁の見解ではないと承知しています。
このような説明をしてストーカー事案として対処しなかった事案についても、警察庁として把握していないと承知しています。
■西村(智)委員 資料として私もおつけしています。お尋ねの事案数については警察庁では把握していませんということなんですけれども、結局、恋愛感情目的以外の目的で行われたものがストーカー規制法の適用に今なっていないので、済みません、この資料お手元にありますかね、真ん中ぐらいにピンクのマーカーが引っ張っているものなんですが、8なんですけれども、結局、対象になっていないから、それは把握できなくて当然なんだと思うんですよ。なんだけれども、先ほども与党の委員からも質問ありましたように、やはりこういう事例が結構あるんじゃないかなというふうに私も思うんです。
ですので、これはやはり範囲を拡大するということが必要なのではないかと。これは、荻上チキさんが「ストップ!つきまといプロジェクト」で行った調査でも明らかになっております。調査概要、次のページで資料で出しておりますけれども、多くのつきまといは恋愛感情にない(なかった)相手から受けているということなんですよね。
ですので、ここはやはり拡大していくことが必要だと思います。もう一回、大臣、いかがでしょうか。
■小此木国務大臣 内沢さんの、別れた後は憎悪感情なのでという、この憎悪感情もいろいろなものがあると思っていて、恋愛感情から、それが満たされなくて、破綻して憎悪感情につながる場合はこの対象になると思うんですけれども、だけれども、憎悪感情だって一つだけじゃない。完全にそれが、別れてしまって、恋愛感情が破綻した後の憎悪感情につながらない場合もある。ここが難しいところであるとは思いますけれども。
ちょっと私の私見を今述べましたけれども、難しいね、国家公安委員長としての思いですね、私見というか。
ストーカー規制法の立法当時、つきまとい等の事案の実態として、交際を求めたり復縁を迫ったりするなど、恋愛感情等に起因して行われる状況が多く認められ、これらの場合には、その相手方に対する暴力、脅迫、ひいては殺人等の重大な犯罪に発展するおそれが強い状況が見られ、また、国民に対する規制の範囲を最小限にすべきであるという点を考慮する必要もあった、これは今まで述べたとおりでありますけれども。そこで、規制対象を、恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で行われるつきまとい等に限定しているものと承知しています。
もう一つ、恋愛感情等の充足目的以外の目的で行われる行為を規制対象とするかどうかについては、ストーカー規制法の在り方そのものに関わることから、慎重な検討を要するものと認識しているが、ストーカー事案の実情等に応じた対応を適切に行っていくよう、今後も警察を指導してまいりたいと存じます。
■西村(智)委員 表現の自由との関係は私もよく承知をしているところです。
ただ、内沢さんには、これはやはり警察としておわびすべきことだと思いますよ。警察本部の見解だと言って、そういうふうに言われちゃっているんですから。是非そこは対応してください。
そして、もう時間がなくなりました。男性の被害者の相談、これは、荻上チキさんの調査チームでも、やはり男性の被害者が実は警察庁の統計よりももっと多いのではないかということが推測されております。男性被害者やトランスジェンダーの被害者が相談しやすい体制になっているのかどうか、相談しやすい窓口づくり、どういうふうに取り組んでいくのか、お願いいたします。
■小此木国務大臣 ストーカー事案について、早期の段階で被害者が関係機関の相談窓口につながることが重要であるところ、その性別等を理由に、被害者が警察への相談をちゅうちょすることがあってはなりません。
このため、警察においては、被害者から相談を受理する際に、被害者の安全の確保やプライバシーに配慮した相談室等で事情を聞くなどの対応を行っております。
また、被害者の多くを占める十代及び二十代の若年層を対象とした防犯教室等で活用するDVDやリーフレットでは、男性被害に係る事例も紹介するとともに、警察以外の相談窓口についても紹介するなどの取組を行っております。
引き続き、被害者が相談しやすい環境の整備に向けて、これら取組を推進するよう警察を指導してまいります。
■西村(智)委員 是非よろしくお願いします。
最後の質問になると思います。加害者や加害者家族の相談について伺いたいと思います。
私が冒頭申し上げた私の地元でのケース、加害者の御家族が警察に相談をしておりました。ただ、そこがうまくつながらなかったというか、かみ合わなかった可能性があると思っております。ストーカーの加害者やその家族についての相談機関を設けられないかという提案でございます。
薬物依存の場合は、まだ不十分とはいえ、保健センターで相談を受けられます。ストーカーも行為依存の一病態であるということから、相談機関を設けることが必要と考えますけれども、この点、厚労省はどういう見解でしょうか。
また、警察庁の委託調査、これは資料につけておりますけれども、平成三十一年三月、警察庁生活安全局というところの、この第二章の四のところに、ストーカー事案の加害者対応に関する連携事例ということで、いろいろな取組をやっているということが紹介されています。ほんの一部だけ抜粋しましたけれども、例えば、県の障害福祉担当課と市の保健所が連携したケースであるとか、保健所と社会福祉協議会が連携したケースであるとか、障害者就業支援福祉サービスセンターと連携したケースであるとか、いろいろなことが先進事例として載っております。
こういったことを横展開するということについて、厚労省から是非声をかけていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
■木原委員長 大隈厚生労働大臣政務官、時間が来ておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。
■大隈大臣政務官 お答えいたします。
厚生労働省といたしましては、ストーカー加害者やその家族について精神科領域に係る悩み等がある場合には、全国の精神保健福祉センター等において必要な助言や適切な機関につなぐなどの対応を行っておりまして、関係省庁と連携しながら引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
また、大切な、被害者の方に関しましても、一時避難等の支援、生活支援や心理的支援、就労支援を通じた、自立に向けまして中長期的な支援などの取組を行っているところでございます。
いずれにしても、うまくいっている事例をしっかりと横展開しながら、全国でしっかりと厚労省挙げて取り組んでいくということで努めていきたいというふうに考えております。
■西村(智)委員 具体的にどうするか、また後で伺いたいと思います。
最後に、委員長、この最後の資料を見てください。これは、ストーカー規制法改正、前回のSNSが適用になったときに各都道府県の条例がどういうふうに対応したかという一覧、これは内沢旬子さんが全国の都道府県警に調査をしたものです。
結構タイムラグがあります。すごい遅れているものもあるし、SNSをストーカー規制法が法改正されるもっと前にやっているところもあります。こういったところが満遍なく、ちゃんと今回の法改正もフォローができるように、是非国家公安委員長としてのお力を発揮していただきたい、お願いして、終わります。