■西村(智)委員 立憲民主党の西村です。よろしくお願いいたします。
今日は、蔓延防止等重点措置が他の地域にも適用拡大になるということで、先ほど尾身会長も当委員会で、現状認識、また今後の課題についていろいろと答弁してくださいました。非常に印象的だったのは、今がクリティカルな状況であるということ、それを国民全員が共有すべきであるということ、また、政治が意思決定をする前の段階で専門家会合として意見を言う、そういうスタンスに専門家会合が切り替わっていくということを尾身会長は今日この場で宣言をされたんだというふうに受け止めております。非常にこれは重たいことだと思っておりまして、私たち国会にいる者としても、この危機感を共有して対応していかなければいけないと改めて強く感じております。
ところで、やはりこの間の感染拡大に変異株が影響しているということは、これはもう紛れもない事実だろうと思っております。であるからこそ、厚労省の対策本部でも変異株への対応ということでいろいろなことを取り組んでおられるんですけれども、私の目から見ますと、この変異株に対する対応そのものが、ちょっとやはりまたこれも、PCR検査体制の充実が遅れてきたのと同様に遅れているんじゃないかというふうに申し上げざるを得ません。
具体的に、先日、この委員会で川内委員と政府参考人との議論がいろいろありまして、そのときに、要は、その週でPCR検査で陽性となった人に対してスクリーニング検査をやるんだけれども、人数が必ずしも一致していない。スクリーニング検査は地方衛生研などでやったものは把握されているんだけれども、民間でやっているものについては把握できないということ、これは私も確認をしております。ですので、やはり、その辺りの体制も含めて、正確で迅速な分析、これがやはり変異株の封じ込めのためには必要なのではないかというふうに感じております。
それで、変異株スクリーニング検査だけではなくて、私はゲノム解析も必要だというふうに思うんですよね。今日は、この二点についてまず伺いたいと思います。
総理と大臣は、まずこの変異株スクリーニング検査で四〇%、全陽性となったうち四〇%の変異株スクリーニング検査を目指すというふうにおっしゃっていますけれども、それで本当に十分だというふうに大臣はお考えになっているんでしょうか。
私は、先ほど申し上げたように、政府参考人も、結局、タイムラグができたり、ほかの機関でやっているところの足し算をすることがなかなか難しいのでということを認めていらっしゃるということもあれば、やはり四〇%ということではなくて、最終的には一〇〇%を目指していくということをはっきりと宣言をしていただいた上で取り組む必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
■田村国務大臣 まず、感染研の、感染症研究所の専門家の方々の元々の助言は、スクリーニング検査、これは前も申し上げたと思いますけれども、全体の五%から一〇%でいい、それで状況はよく分かる、その地域でどれぐらいの変異株が広がっているか、こういうものをサーベイランスするのはこれで分かる、こういう話でありました。
ただ一方で、なるべく見つけて、積極的疫学調査、これを丁寧にやって囲い込むということをした方が、感染の拡大、もうやがては、これは尾身先生もおっしゃられるとおり、全て変異株に替わっていくであろう、それはもう避けられないであろうというのは、これは専門家の方々も皆さんおっしゃっておられるので、それをなるべく遅らせて、その間にいろんな対策を組んだり、感染を遅らせる。特に、N501Yの場合は感染力が強いという話でございますので。
そういうことで、なるべく多くというので、今、現実的にすぐできるというのは四割だろうということで、今それに向かって三〇%まで来ておりますけれども、民間の大きな検査会社、これは厚生労働省は連携できますから、そういうところにお願いして、週単位で集計していただいて、これぐらい全体の中でN501Yがありましたというようなことが分かるような形でお示しをさせていただいております。
その上で、実は、一〇〇%までというと、多分、東京なら東京都それから区、そこが検査の方をそれぞれお願いしておられますから、そういうところと連携して、例えば民間に出されているのならその民間に技術移転をしてということになろうと思います。それはお願いをすれば、ちょっと区、都は大変だと思いますけれども、お願いをすればそれなりにやっていただけるんだと思うんですが、問題は、ここが一番のポイントで、やるのは、結局、保健所を中心とする疫学調査をする方々なんです。しかも、深掘りでありますから、一〇〇%やろうと思うとかなりの人手がかかる。
今、感染が広がりつつある中で、そちらにばかりまた人を取られると、本来、保健所は御承知のとおりいろんな機能を担っておられますから、そういうところの問題があるので、そこをどれぐらいまでできるのかということをやはり確認しないと、我々も、できれば一〇〇%全部やって、それでそれを、全て出てきたものに対してはそこで囲い込みという思いはあるんですが、そこはマンパワーとの兼ね合いということもございますので、今そういうことを、都といいますか区といいますかとも、どれぐらいできるのか、保健所協会ですかね、の皆さんとも御議論をしてくれということで指示をいたしております。
■西村(智)委員 今、大臣からは、できれば一〇〇%を目指したい、囲い込むためにはそれが必要だというお話、本当に心強く思いました。やはり囲い込む、封じ込める、そういう決意を持っていただかないと、やはり検査体制の充実というのは進んでいかないことだと思います。
先日、私、ちょっと聞きましたら、要するに、抽出するのがまた大変だと、四〇%を。毎日毎日その中から四〇%ずつ抽出するというのもそれはまたなかなかこれも作業が大変なのでということもあって、私は一〇〇%を目指した方がいいんじゃないかというふうにも思っているわけなんです。
ちょっとそこのところは、大臣から今技術移転ということもいただきましたので、是非それをやっていただきたいというふうに引き続きお願いいたします。
そこで、次は、ゲノム解析の問題です。
今、大臣、ゲノム解析がどのくらいの割合でできているか把握していらっしゃいますでしょうか。
■田村国務大臣 以前、一〇%ぐらいやっていたんですけれども、ちょっと今すぐには出ませんので、確認をいたしたいと思います。
第何波かという言い方はあれですが、年末年始のあの感染が拡大する前は一〇%ぐらいやっておりまして、これは世界の中でも、一〇%ゲノム解析をやっているという国は優秀な部類の類いの国だというふうに専門家の方々もおっしゃっておられましたが、今どれぐらいなのかはちょっと分からないので、確認します。
■西村(智)委員 地方衛生研などでゲノム解析を行っているところは全国で十であるというふうに、先日の川内委員への答弁でもありました。
これも、私、確かに、有識者の方々からは、世界的にはやっている方だという評価は受けておられるのかもしれないというふうに思います。なんだけれども、先ほど大臣がおっしゃった変異型は、やはり感染力が強いものもあるし、それから、後でまた質問したいと思っているんですけれども、ワクチンが効きにくくなる可能性があるかもしれないと指摘されている変異もありますよね。そういったことからすると、やはりゲノム解析もちゃんとやっていって、実態を把握して、まさに封じ込める、囲い込む、そういう考え方でやっていく必要があるんじゃないかというふうに考えています。
今、全国で十しか地方衛生研でゲノム解析をやっているところはないんですけれども、そのほかの地方衛生研がゲノム解析を実施するということも、大臣、これは当然排除しない、やれるところがあればやっていただきたいというふうに考えておられるんじゃないかと思うんですけれども、同じ考えだということでよろしいでしょうか。また、もしそうであれば、予算措置等は行われているのかどうか。お願いします。
■田村国務大臣 十の自治体で可能ということで、今、実施件数含め最新の状況について改めて調査を、できることはできるんですが、どれぐらいやっているかということを改めて調査を実施しているところであります。
委員言われたとおり、地衛研でゲノム解析を行っていただくことは可能なんですけれども、必要な機器等がこれは当然要るわけでございまして、そういう意味で、これは、それこそ緊急包括支援交付金ですか、これを使って支援できますので、こういうものをお使いをいただきながら、ゲノム解析用の機器等々をそろえていただいてやっていただければありがたいということで、お願いいたしております。
■西村(智)委員 ゲノム検査のための機械、シーケンサーと呼ぶそうでありますけれども、これはやはりPCR検査の機器と比べると桁が一つ違うぐらい高いというふうに聞いています。なので、例えば地方衛生研究所が予算要望しても、自治体の財務当局にはねられてしまってなかなか買えないというような話も私聞いているんです。この緊急支援包括交付金があったとしてもです。あったとしても、やはりそういうようなケースがある。
こういった地方に対して、ゲノム解析、もっと幅を広げてできるように、厚労省として何か支援策、もっとありませんか。いかがでしょうか。要するに、緊急支援包括交付金があるにせよ、やはり自治体の財務というそのスクリーンが入ると、そこではねられてしまうというケースがあるということなんですよ。どうですか。
■田村国務大臣 ちょっと御理解いただきたいのは、スクリーニングとゲノム解析、今ゲノム解析、どうしても時間がかかります。ですから、スクリーニングならば比較的早く見つかるので、そこで封じ込めというのがやりやすいんですけれども、どうしてもゲノム解析はそれより時間がかかりますから、その分だけ遅くなりますから、スクリーニングと比べると、その抑え込みの効果というものはどうしても減ってしまうという状況がありますから、ゲノム解析を、例えば全部というのは事実上無理なんですが、やって、抑え込むというよりかは、どちらかというと、どういう広がり方をしているかだとかそういうことを検証したりだとか、あとは、新たなウイルス、つまり変異がどう起こっているか、そういうことを見ていく。実際、それがまたどう広がっていったかということを疫学的に調べる結果になるんですが、そういう使い方を主に今やってきておるわけであります。
言われるとおり、今、E484Kという、こういう変異株は、どうも感染力はN501Yほどはないんですけれども、しかし、場合によっては、言われるとおり、ワクチンや免疫の力を低下させるのかも分からないと言われていますので、今これは感染研の中でしっかり検証いただいておりますので、そういう結果を待って、どうしていくのか。そのときには、場合によってはゲノム解析というものをもっと大々的にお願いをしていくということも考えていかなきゃならないんだというふうに思いますが。
いずれにしても、ゲノム解析は我々もまだやっていかなきゃならないと思っていますので、各自治体に、今のところこの緊急包括支援交付金しかないわけでありますけれども、これを使ってしっかりとお願いをしてまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員 やっていただきたいと思うので質問しているんですけれども、やはり、緊急支援包括交付金の仕組みだけではなかなか自治体は動かないという現実がある。それはPCR検査体制の強化のときもそうだったので、重ねて質問させていただきます。
大臣、ちょっと一点だけ確認なんですけれども、先日、川内委員との質疑の中で、変異株スクリーニングの検査でゲノム解析をやらない、その後やらないという、スクリーニングだけでE484Kが確認できるかどうかということについて、大臣、ちょっとうにゃむにゃと答弁されたんですけれども、そこをもう一回。
つまり、スクリーニングをやりますと、N501Y、これは大体ひっかかる、その後ゲノム解析をやると484Kが見つかるということもあるということを答弁されたんですよね。ということであれば、変異株スクリーニング検査だけをやったときにE484Kの変異というのは確認できないということで確認させていただいてよろしいですか。
■田村国務大臣 スクリーニングをやった結果、今委員が言われたみたいにゲノム解析をその後やりますが、確定検査で、それで分かるということはありますが、E484Kのみの変異というもの、これを確認しようと思うと、スクリーニング関係なしに、陽性であるもののうちからゲノム解析をしたものの中でしか見つかってこない。つまり、E484K単独という言い方がいいのか分かりませんが、変異を見るという意味ではそういう話であります。
■西村(智)委員 そういたしますと、四月六日の時点で、N501Yの変異はないがE484Kの変異がある変異株が日本国内で千五百五十三例確認をされているということなんですけれども、これは全てゲノム解析によって把握した事例ということでしょうか。
■田村国務大臣 N501Yの変異はないがE484K、先ほど言われていましたけれども、スパイクの、アミノ酸の484がEからKに変わったという変異でありますが、これが確認されたのが千五百五十三例。これは、国立感染症研究所におけるゲノム解析の結果ということであります。
■西村(智)委員 結構多いと思うんですよね。つまり、例えばイギリス型、南アフリカ型、ブラジル型、この三つの変異があったというふうに確認をされているケースが今、千ちょっと超えたところだと思うので、それよりも多い数がE484Kの、言ってみれば単独のと言ったらいいのか、そういった変異であって、やはりこれはきちんとフォローしていく必要が私はあるというふうに思うんです。尾身先生も、やはりきちんと今後分析をしていきたいと。感染力がN501Yほどではないかもしれないけれども、そこはやはり、あらゆる変異についてきちんとフォローしていきたいというふうにもおっしゃっていたので、ここはやはりきちんと対応、分析ですね、やっていく必要があると思っています。
先ほどの、自治体にどうやったらゲノム解析の体制を取ってもらえるかということで、厚労省と文部科学省が三月二十四日に事務連絡を発出しています。自治体でもゲノム解析の体制の整備を行っているということで、大学等でも自治体から要請があれば協力してほしいというような通知、事務連絡が三月二十四日に出されました。これは非常に重要なことだと思っていて、できるだけスピーディーに、そしてまた効果的にやってほしいと強く思っているところです。
現時点で、民間や大学等でゲノム解析を行っているところはどのくらいありますでしょうか。先日川内さんが質問されました。私も実は同じ日に通告をしていたので、今週中にというようなことだったかと思いますが、そろそろ答弁していただけるのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
■田村国務大臣 申し訳ありません。実は、これは四月六日締切りだったんです。ところが、半数近くの自治体が未回答ということでございますので、これに関しては再度問合せを行っている状況でございます。
■西村(智)委員 やはりすごく時間がかかるんですよ。これはなぜかというと、私も、去年この場で文部科学省の方に、大学でPCRの機器を持っているところがあるだろうから、そこを調査していただいて、協力をお願いしたらということで、まずその大学の調査に物すごく時間がかかった。
出てきたのが七月の一日だったんですけれども、このときに、検査能力でいうと全国で七千二百二十四件の検査能力があるということでお話をいただいていたんですけれども、またその後いろいろあって、今年の三月三十一日時点では八千八百三十七件、合計で、そのくらいの検査能力があるというふうになりました。
ところが、実際に検査に協力できる体制が構築されていますよという大学が、今、二十七大学三十四部局、結構な数に上っているんですけれども、実際にそういった大学でどのくらいの検査件数がさばかれているのかということが明らかになっていないんです。何回も文部科学省に、これは厚労省のお話もあるんですけれども、文部科学省にも聞いたんですけれども、なかなか出てこなくて。確かにいろいろなことはやっていただいているようなんですよね。大学と自治体が連携して、地域において検査体制の整備に取り組んでいますよという話とか、それから、これは第二次補正だと思うんですけれども、PCR機器を活用した検査体制を整備して、検査に協力する大学には支援を行いますよとか、その公募をしたりとか、いろいろなことをやっていただいているんだと思うんですけれども、なかなか出てこない。
これは文部科学省の方に聞いたらいいのかと思うんですけれども、調査の後、実際このくらい回答が来ましたというようなところに対して、一体どういうアプローチをして実際にPCR検査に協力をしてもらったのか、定量的なお答えをいただければと思います。
■鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
大学等におけるPCR検査につきましては、地域における検査体制の整備を促進するという観点から、厚生労働省と密に連携して、大学等に対してアプローチを行ってまいりました。
具体的には、先ほど委員からも御紹介いただきましたが、令和二年度第二次補正予算におきまして、大学等が保有する機器のPCR検査への活用を促進するための事業を実施したり、また、令和二年六月十七日付で、文部科学省の補正予算のみならず、厚生労働省の交付金を含め、検査に協力する大学等が活用可能な予算上の支援措置等につきまして、厚生労働省と連名で周知をしております。また、令和三年二月十九日付で、大学等と自治体が連携し、各地域の検査体制の整備を行う好事例等につきまして、厚生労働省と連名で周知をしております。
また、先ほど、前回委員の方から御質問いただきまして、どれだけ増えたのか、そういったことも御質問いただいております。
昨年七月一日に、当時の加藤大臣の方から御答弁されておりますけれども、その検査体制以降、八大学九部局で、また、二十七大学三十四部局へと現状は増えているところでございます。
ただ、御指摘のとおりまだまだ課題がございますので、引き続き、厚生労働省と密に連携をしながら、大学等のリソースの活用をしっかりと促進してまいりたいと思います。
■西村(智)委員 このように、大学への支援も、今年度三月にようやく第二次補正による応募、大学への支援の応募が始まったということで、やはり遅いんですね。遅いんです。
心配しているのは、今、ゲノム解析の調査をしていただいています。六日の締切りだったということで、まだ半分ぐらいしか回答が返ってきていないということなんですけれども、申し上げたように、さっき触れたように、自治体の方ではなかなかシーケンサー、高くて買えない、買わないというところもどうもあるようです。
緊急支援交付金、包括交付金をもってもやはり買わないというところがあるようなので、やはりこういった大学だとかに協力していただくことが必要なんだと思うんですけれども、ゲノム解析を大学等に協力依頼をしていく際にどういうインセンティブを働かせるのか、これはやはり素早く出していただいて、大学が乗りやすいように、また自治体も大学と相談しやすいように、何か策をきちんきちんと出していく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、まずは厚労省に伺います。厚労大臣に伺いたいと思います。
■田村国務大臣 今もお話がありましたとおり、文科省と協力して、自治体、大学に協力していただきたいというお願いをしておりますが、そういう意味では何の経済的支援という話なんですが、これは当然、検査をやっていただいたその費用等々、人件費も含めてかかりますので、そういう意味では、これは行政検査の扱いでございますから、全額、国が実質的にお支払いをさせていただくということになっております。
■西村(智)委員 文科省の方はいかがでしょうか。やはり、去年のPCR検査の話が三月から応募開始というのだと、ちょっとやはり、なかなか腰が上がらないですよね。いかがでしょうか。
■鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
現在、我が国におきましても、新型コロナウイルスの変異株が複数確認されておりますし、今後の感染症対策を適切に進めていく上でも、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスのゲノム解析及びそのデータ収集は大変に重要であると認識をしております。
大学等で行いますゲノム解析につきましては、地方自治体から要請があった場合の協力、国立国際医療研究センター等が行うゲノムデータを集約する事業への協力、こういったことを、厚生労働省との連名で全国の大学等に対しまして依頼をしているところでございます。
また、協力する大学等に対しましては、ゲノム解析のための費用を地方自治体が支弁いたします。
文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省を始めとした関係府省庁と連携をしつつ、新型コロナウイルスへの対応をしっかりと進めてまいりたいと思います。
■西村(智)委員 大学等でゲノム解析するときに必要な費用を自治体が支弁するというのは、それはもう当然の話で、それ以外に何か考えないと、自治体がちゃんと大学に対して協力依頼をするにしても、何かインセンティブになるようなものがないとそれは難しいんじゃないですかということなんです。
今年三月に第二次補正を使って始まった大学保有検査機器活用促進事業、これは非常にいいことだと思うんですけれども、PCR機器を活用した検査体制の整備だけですから、ここにゲノム解析のことは何一つ含まれないわけですよね。やはり、何かこういったことは必要なんじゃないかと思うんですけれども、検討していただけませんでしょうか。
■鰐淵大臣政務官 お答えいたします。
ゲノムデータを集約する事業に協力する大学等に対しまして、集約したゲノムデータを活用する研究開発を支援することも厚生労働省の方で検討していると聞いております。
しっかりと、文科省としましても、連携をとって進めてまいりたいと思います。
■西村(智)委員 済みません、私、それがどの程度インセンティブになるのかどうか、正直言ってここで大臣政務官の答えをどういうふうに消化したらいいのか分かりませんけれども、何かやはりもうちょっと必要なんじゃないでしょうかね、もう少し。是非検討していただきたいと思います。
それで、厚労大臣、検査関係での質問の最後は、例えば理化学研究所、ゲノム解析できる体制は整っていると思います。例えばこういったところに協力をお願いするとか、もちろん、民間に今お願いしているところだとは思うんですけれども、やはり大手の理化学研究所にもゲノム解析は協力をお願いするべきではないかと思うんです。
私、本当に、今、検査の件数は増やしていかなければいけない局面だというふうに思います、PCR検査も、変異株スクリーニングも、ゲノム解析も。そうでないと実態が分からないし、対応がなかなか分からない。これからワクチンが始まっていくときの検証といったものも出てくると思います。いかがでしょうか。
■田村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、自治体そして大学には、文科省と連携で通知を出させていただいてお願いをさせていただきました。
理化学研究所は、私もそういえば昔、文科省の科学技術担当の政務官をやっていたなというふうに思い出したんですけれども、たしか、大学じゃないのでその通知は行っていないと思うんですよね。
ですから、ちょっとこれは文科省と、これは文科省所管でございますから、文科省と連携してというか文科省にお願いをさせていただいて、理化学研究所にも御協力いただけないかというような声かけをさせていただきたいというふうに思います。
■西村(智)委員 この答弁を大臣からいただいたので、もう私、今日は半分ぐらい満足でございます。ありがとうございます。ただ、まだ質問は続きますので、よろしくお願いします。
先日ちょっと触れさせていただいた、看護師の日雇派遣についてです。
やはり、驚くべきことが次々と明らかになりまして、先日の委員会の際には、規制改革推進会議の規制改革ホットラインに連絡、要請をしてきた団体が、NPO法人とされているその住所に実は看板も出ていない、本当に実体があるのかどうか極めて疑わしい、そういう団体であるということをお話ししました。
それで、まずは内閣府の方に伺いたいと思うんですけれども、この規制改革推進会議に、そういった実体のよく分からない団体からホットラインを通じて話がありました。一番最初に厚生労働省はそれを蹴ったんです、対応不可ということで。対応不可ということで一度蹴ったはずなのに、なぜかその後、専門チーム会合でしたっけ、そこで、要請をした団体の人からヒアリングを受けることになりました。それは、どういう経緯でそういうふうになったのか。
そして、その後、一度厚労省は蹴っているにもかかわらず、ニーズ調査をすることになるんですよね。平成三十年十一月二十八日のその専門チーム会合で、担当課長が出席をされて、いろいろ懸念があるという話をしながら、ニーズについては自分たちもよく分からないのでニーズは調査しましょうということになったんですけれども、そもそも対応不可としていたわけなので、ニーズの調査そのものも必要じゃなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども。
まず、内閣府に伺いたいと思います。この間の経緯、一体何があってこういうふうになったんですか。
■岡下大臣政務官 お答えいたします。
規制改革ホットラインは、広く国民から、企業等から、規制改革に関する提案を受け付けることを趣旨として設けられたものでございまして、個人、法人を問わず、どなたでも提案できるものでございます。
当時、規制改革推進会議に設けられておりました、ホットライン提案に関する専門チームの会合は、規制改革推進会議の有識者委員であるホットライン対策チーム主査が重要と判断した事項につきまして、議長又は議長代理の了承を得て検討されることとされていたところでございます。
本件につきましても、この取扱いに従いまして、当時のホットライン対策チーム主査が本件提案を取り上げることとし、平成三十年十一月十九日の規制改革推進会議に諮った上で、同年十一月二十八日の専門チーム会合で、提案者と厚生労働省からヒアリングを行い、議論したものと承知しております。
■西村(智)委員 主査が判断して、それで必要となったので専門チーム会合にかけるとしたと。
その間の議事録はありますか。議事録がないとすれば、その間の政策決定を裏づける公文書は公開していただけますでしょうか。
ちょっと止めていただけないと。
■とかしき委員長 筆記を止めてください。
〔速記中止〕
■とかしき委員長 筆記を起こしてください。
岡下内閣府大臣政務官。
■岡下大臣政務官 済みません、議事録についてのことでございますが、ちょっとそこで精査して、また御報告させていただきたいと思います。
■西村(智)委員 委員長にお願いです。
今、主査が判断して専門チーム会合にかけることにした、その間の議事録については今整理をして後でというようなお話がありました。
それから、私、もしそれがない場合に、それの政策決定を裏づける行政文書が何かあると思いますので、それの公開を是非理事会で諮っていただきたいと思います。
■とかしき委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
■西村(智)委員 非常に重要なことなんですよね、これは。
厚生労働省は、やはり当初、対応不可というふうに方針を明確にこれは言っています。また、平成三十年の十一月二十八日の会議でも、相当懸念があるということを伝えています。これがなぜ、規制改革推進会議の力によって規制が緩和されることになったのか、それを裏づけるものだと思いますので、是非よろしくお願いします。
それで、厚労大臣、最初、対応不可という方針だったんですけれども、それが何で変更されたんでしょうか。どうして対応不可という方針が撤回をされることになったのか。これはおととい、私はこの場で、次にお願いしますと通告しているはずです。
■田村国務大臣 御承知のとおり、平成二十四年に労働者派遣法の改正で日雇派遣というのは原則禁止になったわけでありますが、その中で例外的に、専門的な知識や経験、技術、こういうものを持っているような、そういう者に関しては政令に定めるということで、適切な雇用管理ができているということ、これは確認をしなきゃいけませんが、そういうことで、一応認めるということでありまして。
ただ、この十一月二十八日ですか。これは、私が聞きましたのは、やはり適正な事業運営、これは介護事業者が本当に適正な事業運営ができるのか、それから労働者が適正な雇用管理ができるのか、こういうことを確認しなきゃいけないので、慎重な検討が要る。ただし、そういう意味では、本当にニーズがあるのかというのを聞かなきゃいけないので、ニーズ調査をやろうということで、十一月二十八日に関してはそのような御回答になったということでございます。
その後、ニーズ調査をしまして、最終的に、専門的な、確かに、知識、技術、経験、これは当然のごとく看護師でありますからあるのは確かでございますから、そこで適正な事業運営、適正な雇用管理、こういうものができるかということを勘案した上で、これは労政審にも当然おかけをいたしております。六回ぐらい議論したと思いますが。それから、社会保障審議会医療部会の方にも議論をおかけして、安全面からも、それから雇用管理の面からもこれに関してはいいであろうということでございまして、最終的には認められたということであります。
■西村(智)委員 今、大臣は手続のことについて説明してくださったんですね。労政審にかけたとかいうことは、それは厚労省が対応の方針を変更した後の話であって、私が聞いたのは、なぜ対応方針を変えたのかということであります。つまり、なぜ労政審にかけるという判断に至ったのかということ。今は何もお答えになっていないと思うんですよね。
まさに平成三十年十一月二十八日に、本当にいろんな懸念が言われています。雇用管理上の懸念があるとか、その他もろもろ、本当にもろもろ、たくさんの懸念が言われているんですけれども、それらの懸念はどういう理由で払拭をされたんでしょうか。払拭されたからこそ対応方針を変えたということだと思うんですけれども。どういう理由で変えられたか。
■田村国務大臣 ニーズ調査をしなきゃいけないですよね、本当にそういうニーズがあるのかということであったわけでありまして、そこそこのニーズがあったということであります。
その上で、言われた雇用管理でありますとか事業運営上の適正さというもの、こういうものがやはりしっかりと確認されませんと、これは勝手に厚生労働省で決められませんので、そこで、先ほど申し上げた労政審でありますとか医療部会、こういうところにおかけをして、懸念のあったところをいろいろと御意見をいただいた上で、最終的におおむね妥当という御議論をいただいたわけでございまして、それをもってして今般に至ったということであります。
■西村(智)委員 今の大臣の答弁は、要約いたしますと、厚生労働省として平成三十年十一月二十八日に示した懸念は解決されないまま、解消されないまま労政審に諮った、こういうことですかね。
いや、そういうふうに言っているように聞こえますよ。だって、どういう理由をもって解消されたのかということについては何もお答えになりませんでした。何か懸念があるということだけを示しながら、いきなりニーズ調査に入って、ニーズがあるというふうに分かったので労政審にかけたということなんですけれども。
じゃ、ニーズがあったら何でもかんでもやっていいんですか。ニーズがあったら何でもかんでもやっていいんだったら、これはもう、労働者派遣法だってもっともっとずるずるになっていくということなんじゃないですか。
私、ニーズの問題も、それも当然あるでしょう、需給の話だから。なんだけれども、これはとにかく働く人の問題であり、看護師さんが関わるのはやはり人なわけですよ。人に対してやるときに、まさに日雇でやることでどれほどのリスクがあるのか、そのことを十一月二十八日に課長は得々と言っているわけでしょう。言っているにもかかわらず、何かニーズ調査をやって、ニーズがあるということだけを取り上げて、不安の解消、懸念の解消はおいておいたまま労政審にいきなりかけた。どうもこういうことなんですよね。
私、このままこれを許していってしまうと……
■とかしき委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
■西村(智)委員 失礼しました。
大臣、最後に一点だけ伺いたいんですけれども、この専門家会合で、本当に課長は頑張って慎重意見を言っています、反論しています。それから、平成二年の三月にアンケート調査もしています。このとき、でも、田村さんは大臣じゃありませんでした。この当時、田村さんが大臣であったら、同じように対応すると判断していますか。どうですか。
■とかしき委員長 田村厚生労働大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
■田村国務大臣 仮定の話ですのでお答えできませんけれども、当時、私が大臣であれば、大臣として適切に判断をしたんだというふうに思います。
■西村(智)委員 ため息ですが、終わります。