●西村(智)委員
田村大臣、御就任おめでとうございます。
西村です。どうぞよろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス、COVID―19の感染拡大で、やはり、私は、本当に社会の中で弱い人のところから先にしわ寄せが行ってしまっている、これを大変深刻に受けとめております。
もともと日本の中では、非正規の働き方、特に女性の賃金が低いということで、今回も、事業の休業とか休職というところで、そういったところが真っ先に切られてしまっているという実態があります。
それを顕著にあらわしているのが、一人親の八割が収入減、ないしは、そもそも仕事がなくなっている、こういう民間団体の調査だと思っておりまして、私たちは、一人親世帯へのさらなる支援を法案としても提出をし、求めていきたいと思っておりますので、ぜひそこは政府にも取り組んでいただきたいというふうに思っております。
こんな中で、先月、大変気になる最高裁判決が二件ありました。メトロコマース事件、退職金をめぐっての事件と、それから大阪医科大学の賞与に関する判決ということの二件でございまして、一言で申しますと原告側が敗訴したということだったんですけれども、私、この判決を受けまして、本当に、自分自身、立法府の中にいる一員として、また、いっときは行政の側にいて、まさに労働契約法の二十条にかかわった者の一人として、大変深く反省をいたしました。反省をしつつ、やはりこのままじゃいけないというふうに思ったんです。
旧労働契約法二十条をめぐっての裁判ではありましたけれども、大臣はこの判決をどういうふうに受けとめていらっしゃるか、そこから聞かせていただきたいと思います。
●田村国務大臣
委員御指摘の最高裁の判決でありますけれども、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の退職金でありますとか賞与の差について、不合理とまで評価することはできないとの判決であったというわけであります。
今回のことは個別の民民の判決でございますので、司法の判決に対して我々が何か言うというわけにはいかないわけでありますけれども、ただ、同判決において、賞与や退職金の相違が旧労働契約法第二十条に言う不合理と認められるものに当たる場合はあり得るというふうなことも示されているというふうに承知をいたしております。
いずれにいたしましても、我々、関係者に適切な理解がなされるよう、丁寧な情報提供を努めてまいりたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
この判決が私も怖いと思っているのは、これがひとり歩きしていってしまうということです。つまり、非正規の方に退職金や賞与が出ないということが最高裁判決で示されたわけですので、その理由について、判決の趣旨についてはいろいろありましょうけれども、やはりこれを定着させないために、まさに今、法制度を抜本的に見直していかないといけない時期に私は本当に来たんじゃないかというふうに考えているんです。
これまでも、法制度の見直し、改善、いろいろな形で行われてきました。私たちも法案を議法として出したりしたし、政府の方からも、今回、労契法の二十条だけでなくて、二年半前の働き方改革関連法でガイドラインなどを新たにつくり直していただきました。
だけれども、これまで下級審から含めて最高裁まで積み重ねられてきた判決の枠組み、それがやはりどうしようもなくあって、そういった手直しではちょっと追いつかないんじゃないかというふうに私は思ったんです。
大臣、端的に伺いますけれども、二年半前の法改正、働き方改革関連法、そして、それに引き続いてガイドラインの改定も行われました。これを、恐らく、今の大臣の答弁ですと、周知していくということだと思うんですけれども、本当にそれで非正規の皆さんへの退職金や賞与が支払われないというこの現実が改善をされていくというふうに言い切れますか。
●田村国務大臣
先ほども申しましたけれども、今回のこの判決でありますが、賞与や退職金の相違が旧労働契約法第二十条に言う不合理と認められるものに当たる場合はあり得るということも言っておるわけであります。そこはあの議論のときにもいろいろな議論をしたと思いますが、職務の内容、それから職務の内容や配置の変更、それにその他の理由、こういうものが同じだった場合には、同一労働同一賃金という概念のもとで、同じ待遇でなければならないという話でございますから、そういう観点をいろいろと御判断されて今回の判決になられたんだろうというふうに思いますが、いずれにいたしましても、我々は、同一労働同一賃金のガイドライン、これをしっかりと実現できるよう、このガイドラインの周知、これを徹底してまいりたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
まさにその不合理と認められるものがあった場合ということなんですけれども、やはり、これまでの日本の雇用慣行を引きずった中での判断だったんじゃないかと私は思っているんですよ。
一つには、女性の労働は安い、非正規の労働は安い、こういうバイアス。それからもう一つは、長期的な正社員ないしは有為な社員として貢献が期待できるかどうかというバイアス。それから、それと一体不可分、もう全て一体不可分なんですけれども、困難な仕事を任せられるのかどうか、処理できる仕事の困難度の違いがあるんだというバイアス。全てはやはり日本型の雇用慣行というか、長期で雇用するのが当然だという考え方の中で、不合理かどうかということを判断されたんじゃないか。
やはり、今までの、例えば男女別のコース、雇用管理区分による賃金格差についてもいろいろ争われてまいりました。この中では、示されてきた司法判断は、一概に違法とは言えないということで、男女間、男女別のコース制というのが差別ではないということで、結果としてやはりその差別を承認してきたということが私は経過としてあるんじゃないかというふうに思うんです。
ですので、今回のことはやはり非常に大きい判断だったというふうに思うんですけれども、今私が申し上げたことについて、大臣のお考えはどうでしょうか。
つまり、男女間の賃金格差というのは、日本型雇用の問題点、長期雇用の慣行、それから女性の仕事は安くていいというジェンダー格差、こういったものがやはり問題の底に潜んでいるんじゃないかというふうに思うんですけれども、これについて、大臣のお考えはいかがですか。
●田村国務大臣
男女間という性別で賃金格差があっては本来いけないことであることは、もう委員も御承知のとおりだというふうに思います。
ただ、勤務年数だとか、それから役職だとか、労働時間もそうかもわかりません。平たく言うと、人材活用、こういうものがどうであるかということもあるかもわかりません。こういうものに違いがあるとすれば、それは賃金として差が出てくるということはあり得るわけでありまして、女性だから例えばこの役職にはつけさせられないだとか、女性だから長期雇用というわけにはいかないだとか、こういうようなことを企業が強いれば、それは問題があるのは明白なことであります。
一方で、では、日本の国でキャリア形成していく上において、今、労働時間の話をしましたけれども、一定の長時間労働をしなければキャリアが形成できないということであれば、女性は、女性の生理的な問題もあります。それから、どうしても、出産ということをみずから望んだ場合には、出産という形の中において、会社の中において一定期間休まなければならない、また短時間の労働になるというようなこともあります。
そういうものがある中において女性の活躍が妨げられているとすれば、それはやはり女性にとって我々はゆゆしきことだと思っておりますので、だからこそ、長時間労働是正という形で我々が目指しているものは、男性ももちろん短時間で、短時間というか長時間労働を是正しなければいけませんが、女性もキャリア形成ができるような、そういうような働き方にしていくことが大変重要なところであろうということで働き方改革にも取り組んでおるわけでありまして、やはり、みずから望んでこうしようということがちゃんとできるような、そんな労働環境というものを整備していかなければならぬというふうに考えております。
●西村(智)委員
女性のキャリア形成が可能になるような、そういった政策というのはやはりやっていかなければいけない、大臣おっしゃったとおりだと思うんです。
ただ、今の、例えばパート・有期法の八条、九条の構図を見ますと、やはり長期雇用を前提にしているというふうに読める部分が非常に強いです。今現に働いている、何かさっき大臣の答弁の中で長期の就業というふうにおっしゃったかな、長期の就業がつまり見込まれるということを前提に評価がなされているのではないか。事業主が裁量で、これは長期の雇用が見込まれるということで、裁量の部分で待遇を決めているというところが裁量の自由の範囲の中であるんじゃないかというふうに、私は八条と九条の構図を見ると、そういうふうに思うんです。ですので、ここはやはり引き続きの大きな課題だというふうに思います。
それで、ちょっと具体的なことでお伺いしたいんですけれども、労働契約法二十条、パート・有期法の八条と九条、それから派遣法の三十条の三に移管したということになっておりますけれども、民事効も、それから行政指導の根拠としてもここは変わりないということで前回も答弁はあったと思いますが、この新法のもとで、どのような場合に行政指導の対象となっているのか。また、現に、これまでどういった指導が何件くらい、どういったケースに対して行われているのか、そこを示していただきたいと思います。
●田村国務大臣
有期雇用労働法第八条及び労働者派遣法第三十条の三の第一項、先ほども申し上げましたけれども、職務の内容、それから職務の内容及び配置の変更の範囲、さらにはその他の理由、こういう三要素を照らした上で適切と認められないもの、これに対しては、不合理と認められる相違を設けてはならないとされているわけでありまして、行政指導を行う際には、同条に照らして不合理な待遇差があることが明確な場合に行うこととしているということでございます。先ほど委員がおっしゃられた不合理というようなものが認められる場合には、行政指導の対象となるということであります。
ちなみに、件数でありますけれども、本年四月から九月末までのパートタイム・有期雇用労働法第八条に係る助言は二十五件、それから指導が二件であります。労働者派遣法第三十条の三に係る指導は九件となっておりまして、助言はありません。
●西村(智)委員
つまり、不合理な待遇差であることが明確な場合に行政指導等の対象といたしますということなんですけれども、明確な不合理に対してのみ指導するということであれば、これはやはり、非常に助言や指導の件数が少ないのもむべなるかなというふうに思うんですよね。やはり非常にハードルが高いのではないか。
また、先ほど大臣が答弁くださったように、八条の均衡待遇では助言、指導、それぞれ二十五件、二件ということなんですけれども、九条の均等待遇関係がゼロ件ということ、また派遣法の方でも指導が九件。五百万を超える企業が日本にある中で、男女間の賃金格差はもう明確に出ているわけで、明確に出ている中でこの指導件数、助言件数というのは、やはり私は少ないというふうに思います。
きょうは資料として、いろいろなところで明示されている男女間の賃金格差、その中でも正規と非正規の区分ということで、本当にこれだけのものが、たくさんたくさん出ているんですよね。厚生労働省の出しているガイドラインを見ても、待遇差、上げるためにすごく長い時間がかかっています。このまま同じスピードで格差を改善していった場合に、本当に男女間の賃金格差が是正されたと言える状況になるまでに相当な時間がかかってしまうんじゃないかというふうに、私はやはり指摘せざるを得ません。
これまでの裁判の積み重ね、判例の積み重ねというものもあります。コース別であれば男女間の賃金格差は是認されるというような、こういった社会慣行の中で、やはり私は、これを解決するキーワードというのは職務評価なんじゃないかというふうに思うんです。
大臣、済みません、これは通告をしていなかったんですけれども、職務評価についてお聞かせをいただきたいと思います。
私は、正規と非正規、そして男女の間の賃金の、待遇の格差の問題、これを解決するために、やはり職務評価というのが極めて重要だというふうに思っています。それは行政指導のツールとしても、また、事業主がそれぞれの事業所において取り組む場合においても、また、裁判の規範としても極めて重要だというふうに思うんですけれども、大臣自身の職務評価に対するお考え、また、これを本格的に日本の法制度の中に組み込むことについて、意見を伺いたいと思います。
●田村国務大臣
まず、前提で申し上げれば、賃金表、賃金テーブル、これが同じならば同じでなければいけない。これは男女であっても、同じところに位置すれば同じでなければならないわけですよね。
そういう意味からすると、職務評価や、そういう職務評価だけじゃなくて、そもそも勤続年数であるとかいろいろなものがそれにかかわってくるわけで、まず、そこに関して、スタートでもし違うものであれば、それは行政指導の対象になってまいります。
一方で、職務評価というのはなかなか難しいところもあるんですが、職務を因数分解すると、多分、業務と責任という形になると思うんです。
業務というのは、それぞれの能力等々も一定評価されるものだというふうに思いますけれども、それをどのような形で職務評価をしていくかというものが男女によって同じでなければならない。これが男女で違っていれば、それは問題があるわけであります。
一方で、職務の内容と、それから人材活用の仕組み、ここもポイントであるわけでありまして、当然、人材活用の仕組みが違っていれば、例えば配置の変更等々が比較的範囲が広かったりでありますとか、転勤があったりでありますとか、いろいろな違いがあります。そういうところも含めた上で、本来、待遇というものは見ていかなければならないわけでございまして、何を言いたいかというと、職務の評価だけではなくて、さまざまな部分、つまり人材活用の仕組みも含めた部分、いろいろなものも含めた上で、どう待遇というものを同一労働同一賃金という形の中でまとめていくか、ここが重要であるのではないかというふうに考えております。
●西村(智)委員
まさにそれが日本型の雇用慣行じゃないかというふうに思うんですよね。
配置の変更の範囲等々なんですけれども、時々聞く話として、例えば転勤があるコースの人、転勤がないコースの人、そこでテーブルが違って別の待遇になるという話は時々聞きます。だけれども、気がついてみたら、転勤がありますよと言っていたグループの人たちがほとんど転勤していないとか、それから、正社員への転換の仕組みがあるとします。あるんだけれども、気がついてみたら、正社員への転換のルートに乗っているのはほとんど男性であって、最初は非正規で女性と男性がいたのに、気がついてみたら非正規に男性は残っていなかったとか、こういうような実態があるということを踏まえないと、大臣が今せっかく答弁してくださった、まさに同一労働同一賃金が絵に描いた餅に終わっちゃうんだというふうに思うんですよ。
ですので、私はやはり職務評価というのは導入しなければいけないというふうに思います。そうでないと、いつまでたってもこの賃金格差が、それこそこの後、いつかは埋まっていくんでしょう、いつかは埋まっていくんだけれども、何十年先になるかわからない。その間に一体どれだけの非正規で働く女性たちがつらい思いをしなければいけないかということです。
また、今回のような新型ウイルスの感染拡大の中で、働く一人親は多くが非正規ですから、そういった人たちが本当に困難な状況に遭ったときに、真っ先に更に困難な状況に追いやられるということになってしまいますから、私は、そこは重要だということはもう一回申し上げたいと思っています。
重ねてなんですけれども、我が国はILO百号条約を批准しております。同一価値労働同一報酬の原則ですけれども、日本は国内法でどうですかと聞くと、返ってくる答えは労基法四条で担保していますということなんですけれども、それでもなおかつ、お配りをした資料のように、明確な男女間の賃金格差があり続けるということなんですね。
これは一体なぜですか、大臣。理由を教えてください。
●田村国務大臣
何度も繰り返しになって恐縮なんですけれども、要は、いろいろなパターンがあると思います。そもそも、非正規で働く中において、正規で働く方々と対比して重い責任を望まない、そういう方々がおられるのも事実。これはもう委員も御承知だと思います。
一方で、先ほど言われたように、例えば転勤、職場の異動等々、そういうものがあるかないかということで待遇が違っているんだけれども、実態としてどちらもなかったという場合は、これは本来、その部分に関しては同じでなければいけないわけでありまして、そこは我々も、そういう問題を見つければ、そこに対してはいろいろと企業に対して言っていかなければならないというふうに思っております。
違いというのは、いろいろな理由がある。これを言うとまた委員に怒られるかもわかりませんが、やはりその中には雇用期間も当然入ってきているわけで、もちろんそれだけじゃなくて、もともと成果というものだけを見れば、それは雇用期間が長かろうと短かろうと、成果だけを判断するという話になれば、それはそれでまた違ったあれが出てくるわけでありますけれども。
基本的に、言うなれば、先ほど来何遍も申し上げておりますが、職務の内容だとか人材活用の仕組み等々、こういうものが同じで、その他という理由の中には、例えば労働協定を結んで、定年、終わった後はちょっと給料が安くても仕方がないよねというようなものを結んでいた場合には、ここには差が出てくるわけでありますけれども、そういうその他の事情を考慮して、同じであれば同じでなければならないので、女性だからといって、他の条件が一緒なのに低いというのは、これは許されないことであります。
しかしながら、他の理由がいろいろある中で低い、先ほど言ったような、責任をあえてみずから望まないという場合で、同一労働同一賃金にはなっていないといいますか同じ待遇になっていないというのは、これはいたし方がない。
でも、その間の、言うなれば何かグレーみたいなところを多分委員はおっしゃっておられるんだというふうに思いますけれども、それに関しては、我々も、同一労働同一賃金、そういうような一つの大きな哲学があるわけで、各企業に対してはしっかりと周知をさせていっていただきたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
そういう御答弁だろうなと思いましたが、やはりそんなのわかり切ったことですよ。わかり切ったことは、今の法律、法体系の中でもうそれは現にこうなっていて、私が申し上げたいのは、つまり、ここから先の待遇差を本当に埋めるために何が必要か、そして、この構図を生み出してきた日本の雇用慣行、もっと言えば歴史、そういうものが男女間の賃金格差、本当に根深いところに埋め込まれてしまっているということを大臣には理解してもらいたいということなんです。
もう何度も言いませんけれども、やはり非正規、女性などの仕事は安くていい、そういうバイアスはあります。それから、一般的に勤続年数が短く、女性の働きは期待できないというバイアスもあると思います。それから、処理できる仕事の困難度が違うだろう、そういうバイアスもあると思います。
でも、そんなのはっきり言ってバイアスであって、それから、さっき、大臣、もう一回、大臣は雇用期間ということをかぎ括弧つきでおっしゃるんだけれども、確かに、実態として、雇用期間が、正規と非正規で入った人、気がついてみたら一緒に二十年たっていました、これも雇用期間です。だけれども、入社するときに、先ほど言ったバイアス、この人はきっと短い勤務期間だよね、短い雇用期間になるよねというバイアスがあって雇用する場合と、それから、いや、この人は男性だから長く働くはずだよねというバイアスと、やはりそこで、入り口のところで違っちゃっているということなんですよ。そこをぜひ理解していただきたいです。
だから、賃金格差、非正規、正規の問題というのは、ジェンダーの問題が本当に根深いところで組み込まれていて、そこに目を向けないと解決はしていかないし、また、そのためのツールとしては、私は職務評価だというふうに思っております。
アメリカのハリス副大統領候補が、自分が最後の女性副大統領ではない、なぜなら、小さい子供たちが、この国は希望の国だということ、可能性の国だということを自分が副大統領になったことで知るからだというふうに言いました。
私は、やはり日本にそういう法制度をつくりたい。女性のこれから社会に出ようという人たちが、これから先自分が出ていく社会は、ガラスの天井があるでもなく、同じように働くことができ、ワーク・ライフ・バランスももちろんなんだけれども、そういうふうに希望がある、可能性があるということを担保されたような法制度がある国に私はしたいというふうに思います。強く申し上げておきます。
それで、ちょっと時間がそろそろになってきてしまいましたので、済みません、きょうはコロナの関係で住居確保給付金についても通告しておりましたので、ぜひお願いします。
住居確保給付金、本当によかったと思いますけれども、ありがとうございます。フリーランスとか休職中の方々も一応対象者にしていただいて、よかったとは思うんですけれども、よくよく考えてみると、この住居確保給付金の要件が結構きついという話があちこちから聞かれます。
一つは、所得水準。住民税の非課税所得と家賃を、家賃というのは住宅扶助基準の上限額ということなんですけれども、これを合わせた額以下ということなんですが、これはやはりちょっと低過ぎるんじゃないかということが一つ。
それから、対象期間が一応最初は三カ月ということになっていて、反復、九カ月まで可能ということになっていますけれども、自分の住んでいるところについて三カ月ごとに不安になるというのはやはりよろしくないと思いますので、この辺の条件の改善を求めたいんですが、いかがですか。
●田村国務大臣
委員おっしゃられましたとおり、基本的には職を失った方々が対象ということであって、そういう意味では生活困窮者自立支援法に基づいて行っておる事業でありますけれども、休業者やまたフリーランスの方々まで、今回、コロナ禍において対象を広げさせていただきました。
今、住民税非課税プラス住居費というのがどうも条件として厳し過ぎるんじゃないかというようなお話でございましたが、もともと、御承知だと思いますが、これはリーマン・ショックのときに創設した事業でありまして、このときには住居の費用というのは入ってございませんでして、言うなれば住民税非課税というのが一つの基準になっていたわけでありまして、これを平成二十二年四月に要件緩和をいたしました。
いろいろな御議論はあろうと思いますが、ある意味、困っておられる方々に対して、何とか、住居がなければ職も探せないとかいろいろな御事情がある中において、先ほど申し上げました生活困窮者自立支援法の中において行っておる事業でございますので、そういう意味では、福祉政策といいますか公的扶助といいますか、言うなれば困った方々に対しての対応であるということを御理解いただければありがたいのと、それから、今、九カ月という話、これも、本来ならば自立していただいて生計を立てていただくための間のものでございますので、そういうものを一応我々は期待して、こういうような九カ月という形にしております。
これを延長しろというようなお声もあるのは重々承知しておりますけれども、それぞれ今状況を判断しながら、どうしていくかということは検討してまいりたいというふうに思います。
●西村(智)委員
やはり住居というのは基本なんですね。ですので、私は、ぜひここには、厚生労働省として、住居政策をきちんともう一回位置づけ直してつくってもらいたいというふうに思うんです。
新しい住居手当のあり方について、これはぜひ厚労省に旗を振ってやってもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
●田村国務大臣
厚生労働省でございますので、そういう意味からすると、困っておられる方々に対してどうするかという観点で、住宅といいますか、住居の対策というものは考えてまいりたいというふうに思います。
全体の住居は、これは国土交通省等々、所管の方だというふうに考えております。
●西村(智)委員
私は、それがやはり福祉としての住宅政策を日本で後退させてきた一つの構造になっているんじゃないかと思うんですよ。
ほかの先進国を見ますと、住居政策というのはほとんど福祉部局が取り扱っている国が多いです。やはりそういった現実を見ましたときに、基本中の基本ですから、まさにベーシック・ヒューマン・ニーズの、住むというところ、寝るところがある、夜露をしのいで寝るところがあるというのが基本だと思いますので、そこはぜひ考えていただきたい。
あわせて、これは決意を伺いたいんですけれども、住居確保給付金の補正予算額と、それから経産省でやっている家賃支援給付金の予算額が、天と地ほども額が違うんですよね。住居確保給付金が補正予算で百億、経産省の家賃支援給付金の予算額が二兆超え。
確かに重要なことではあるんですけれども、それから考えると、まさに人が暮らすところ、寝るところ、これが必要だという意味で、もうちょっとここは頑張ってもらいたい。余りに落差があり過ぎるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
●田村国務大臣
家賃支援金の方は、これはちょっと所管外でございますので。
これはもともと、もう御承知で、言わずもがなだと思いますが、事業者の方々が、要は、本当を言うと持続化給付金で対応したんですけれども、長期化する中において、家賃というものが非常に固定費として負担感が強いということがございまして、事業を行う上においてその家賃を何とか支援しようというものであります。
一方で、こちらは、それぞれの個々の住居を何とか困っている方々に確保しようということでございますので、必要な予算額はまた確保のために頑張ってまいりたいというふうに思っておりますけれども、ちょっと性格の違うものだということだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
●西村(智)委員
私は、頑張ってくださいとエールを送る意味でこの質問をさせていただいているんです。もうちょっとはっきり言っていただかないと、本当に大丈夫かいなとちょっと思っちゃいます。
家賃支援給付金が必要であるということは、これは私も同じ考えです。なんだけれども、一人一人の家賃への支援がそれと比べると額が余りにやはり少ないんじゃないか。ここは、今後第三次補正があるやに聞いておりますけれども、実態を見ながら、また、政策ももっと使いやすく、先ほど申し上げたような要件緩和なども検討していただきながら、ぜひ一人一人の命をその人に寄り添って守るということをやっていただきたい。
このことを申し上げて、終わります。