●西村(智)委員
先ほどの尾辻委員との質疑を伺っていまして、私も、今回、介護福祉士の国家試験を義務づけるということの経過措置の延長については、やはりいろいろ考えるところがございます。
政府の方は、介護職員の賃金も、処遇改善加算を拡充してきたこともあって、勤続年数十年以上の介護福祉士の賃金と全産業平均との差は縮まっているというふうに言うんですけれども、逆に言いますと、介護現場で働く皆さんは勤続年数が短い方が多いですし、十年未満の方の賃金とでは、全産業平均の賃金とは余り差が縮まっていないということなのではないかというふうに思います。
今回、野党の方からいわゆる障害福祉三法案というものが提出されておりまして、この中で、介護・障害福祉従事者の賃金を改善することについてもその内容として挙げられているところであります。提出理由としては、人材不足が深刻化しているけれども、その著しく低い賃金水準が人材不足の一番の原因であるというふうに提出理由では言われているわけです。
まず、大臣に伺いたいんですけれども、先ほどもありましたけれども、前回の法改正時に附帯決議で、国家試験の義務づけを確実に進める、これは衆議院と参議院の両方で附帯決議が付されています。今回はまだ人材不足が深刻化しているから延長するということなんですけれども、そもそも何が人材不足の理由とお考えか、これについて伺います。
●加藤国務大臣
今、西村委員御自身も御指摘のように、処遇改善のお話がありました。
介護人材不足の理由については、介護職以外の方々からすれば、体力的、精神的につらい仕事であるとのイメージがあることも影響していること、また、介護福祉士が実際に離職した理由、これはアンケートを見ると、心身の不調、あるいは、法人事業所の理念や運営のあり方への不満、職場の人間関係、そして、収入、労働時間や休日の勤務体制、こういったさまざまな要因が挙げられております。
そうした中で、賃金に関しては、これまでの累次にわたる処遇改善に加えて、昨年十月から、消費税の引上げの財源も加えて、経験、技能のある介護職員に重点化を図りながら、さらなる処遇の改善を行ったところであります。
介護人材確保には、こうした処遇改善のみならず、就業の促進、職場環境の改善による離職の防止、人材育成の支援など、総合的に取り組むことが重要だというふうに考えております。
●西村(智)委員
きょう資料としておつけしていますし、先ほど質疑の中でも出てまいりましたけれども、介護施設で働いていらっしゃる皆さんの今の新型コロナウイルスへの対応は、本当に大変な、私たちの想像を絶するものがあるというふうに思っています。
実際にクラスターとして発生したところなどでは、入院させるところが見つからずに施設内で対応せざるを得なかったり、また、職員の感染で人手不足になったり、職員への誹謗中傷も発生しているということであります。現場の方々は、とにかくこのコロナの大波は現場の努力では賄い切れない危機的な状況である、サービスの質を低下させないようにぎりぎりで骨身を削っているというふうにおっしゃっておられます。
私、やはり、海外で介護崩壊などということを言われていますけれども、日本国内でもそういった介護崩壊が起きないように、今、クラスターが発生はしていますけれども、多くの施設では現場の皆さんが本当に努力してくださって、消毒であったり、なれない防護服を着ての対応であったりということをやられて、対応しておられることで何とか持ちこたえておられるところが多いというふうに思うんですけれども、日本でもそういった現場で働く皆さんへの対応は急務じゃないかというふうに思います。大臣、いかがですか。
●加藤国務大臣
二つの視点があると思います。
一つは、まさに高齢者、あるいは障害者サービスも含めてでありますけれども、そうした方々を支えていくということは、別に感染症が拡大しようがしていなくても、そうした方々またその御家族の生活を支えていく、これは不可欠なものであります。そうしたサービスをしっかりと維持していくという観点から、それからまた、感染の状況を見ても、先ほど申し上げましたけれども、医療施設に加えて、福祉施設のクラスターというものがクラスター全体に占める割合が非常に高い、まさにクラスターが発生しやすい、特に福祉施設は高齢者が多い、また、基礎疾患を持っている方もいらっしゃいますので死亡者数も多い、これが見えているわけであります。
そういった意味からも、ここをしっかりと、感染拡大防止という意味からも、そこで働いている方々を守っていくということは非常に大事な視点だと思っております。
これまでも、感染拡大防止についてもるる私どもから通知をしたり、また、アルコール等の消毒液等の配付等にも努力をしてきたところであります。また、感染症が発生をした等々の場合の職員の不足に対する体制、あるいは、一時的に人員や運営の基準を満たすことができない場合にも介護報酬を減額しない、さらには、実際、いわゆる危険手当といったものについても、感染が生じたサービス事業所について危険手当等が支給できる、こういった対応もさせていただいたところであります。
さらに、先ほど申し上げましたけれども、介護現場で働く方々を守っていく、また、介護を含めたそうしたサービスが継続して提供できるように何をすべきなのか、そういった観点から現在第二次補正についての議論もさせていただいておりますので、そうした観点からしっかり検討させていただきたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
第二次補正でしっかりと私は盛り込むべきだというふうに思いますし、また、今野党が出している法案もぜひそのときには検討していただきたいと思っています。
今回、障害福祉三法案ということで、野党の方からは、介護・障害福祉従事者の賃金の改善、それから、ホームヘルパー等へのセクハラ、パワハラ防止、また、食事提供加算の廃止をしないこと、また、送迎加算については不利な内容の算定基準を定めてはならないこと、また、職場での介護及び通勤における移動中の介護を重度訪問介護の対象とすることなど、非常に重要な、今まさに重要な、必要な内容が多々含まれているというふうに思いますけれども、衆法の提出者にお伺いしたいと思います。
私、今回の、介護施設でコロナ対策に皆さんが本当に大変な状況の中で当たってくださっているのを拝見いたしますと、やはり、国会で、与野党全体でそういった方々の御努力に報いるというか、応援するというか、そういったことが必要なのではないかというふうに思うんです。他方、ずっと継続的な人材不足があって、非常にこのコロナが追い打ちをかけているということなんですけれども、やはり賃金の改善というのが喫緊の課題なのではないかというふうに思うんです。
ぜひ、そういったことについて、賃金の改善、それから介護現場、障害福祉現場で働く皆さんの献身的な御尽力に報いるような対応を国会としてとるべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
●山花議員
お答え申し上げます。
委員からの問題意識のとおりでございます。介護とか障害福祉の従事者というのは、要介護者であるとか障害者の方々が可能な限り自立した生活を営めるようにということで、その方々の生活の質というものを向上させるということと、あわせましてその方々の家族の負担を軽減させるという、本当に大事な仕事であると思います。
であるにもかかわらず、御指摘のとおり、他の産業、他の業種と比べましても賃金が低い水準にあります。私も、数字のある話じゃなくて現場で聞いたお話ですけれども、やっていても、もともと賃金が数字の上でもほかと比べて低いんだろうなと思うんだけれども、頑張っていても昇給がなかなか、ほかの同じ世代の人に比べて遅かったり低かったりということで、本当に気持ちだけで支えられている職場だというお話を伺ったこともあります。
それで、先ほど大臣の方から、アンケート調査なのでしょうか、イメージという言葉が少しひっかかったんですけれども、実際に身体的にも精神的にも負担が大きい職場であるというのは事実だと思います。そのことが介護とか障害福祉の人材不足の大きな原因であると思います。
新型コロナウイルスの感染ということで、今委員からも御指摘がありました。私も先日、集団感染が起こってしまったところの施設と、Zoomでの形でしたけれども、お話を伺う機会がありました。そういう中で、特に介護・障害福祉の従事者というのは、感染リスク、御自身が感染するというリスクももちろんすごくあるんですけれども、自分が万が一うつしてしまったら大変だという思いの中で本当に緊張感を持って仕事をされていると思います。
こういう中で、介護とか障害福祉現場において人材確保の厳しさというのが一層厳しさを増している中で、介護とか障害福祉従事者の職業生活の安定と離職の防止を図るという観点から、介護とか障害福祉事業者の賃金の引上げというのは早急な対応というのが必要ではないかと私どもとしては考えているところであります。
御紹介いただきました、私どもが提出いたしております介護・障害福祉従事者人材確保法案は、ケアマネジャーさんを含めて、現場の介護職員と管理部門の職員全体を対象に、平均一人当たり月額一万円賃金を上昇させることを想定した給付金の支給について規定をしております。さらには、御紹介のありましたとおり、介護現場におけるハラスメントの防止を念頭に、事業者に対して適切な就業環境の維持についての努力義務を課すということによって、給与以外の面での処遇改善についても規定をしているところであります。こういった内容でございます。
お金だけがその職業を評価するものではないとは思いますけれども、ただ、こういう状況の中で本当に頑張っておられる方々にエールを送るという意味でも、ぜひ、各党で御議論いただきまして、御賛同いただければ、こんな思いでございます。
●西村(智)委員
ぜひ、与野党の皆さんからも御理解いただいて賛同を得ていけるように、よろしくお願いいたします。
衆法の提出者の方、ここまでで結構でございます。ありがとうございます。
それでは、ちょっと時間が限られておりますので、先に進みます。
社会福祉法の方について。今回、社会福祉法の改正案によって、今までの相談窓口を一本に束ねるということが提案をされています。私は、いろいろな問題が複雑化していて、年代や、あり方といいますか見方も本当に多岐にわたっていて、必要なことだというふうに思いますし、これが有効な形で機能するといいなと思っている者の一人であります。ただ、幾つか懸念があって、それについて伺いたいんですけれども。
高齢者分野、障害、子供、生活困窮、この補助金が束ねられて一体的な執行を行うことができる仕組みとするということなんですけれども、そのときに、自治体の中で、やはり、いろいろな規模の自治体がありますけれども、いわゆる声の大きい分野はあると思うんです。そういったところだけが有利になってしまうんじゃないか。あと、声が小さかったり、それから、バックアップする団体が、強力なところがなかったりという分野、こういったところが割を食ってしまうのではないか。こういう心配をしているんですけれども、まさかそんなことはないというふうに思ってよろしいですか。
●加藤国務大臣
この新たな事業は、市町村全体で支援機関による包括的な支援体制を構築することで全ての住民を対象とした支援を実現し、また複雑化、複合化した支援ニーズに対応していこうということであります。
もう既にモデル事業を実践されておりますけれども、市町村が属性を超えて包括的な支援体制を構築するに当たっては、地域の関係機関と議論を重ねて実施を進めておられるというふうには思います。このプロセスが十分なされること、そして関係者間の連携が深まって真の意味での支援が行われることが非常に大事だと思います。
委員の御指摘は、市町村ごとに強い弱いじゃなくて、市町村の中において声が届きやすい団体と声がなかなか届きにくい団体があるということをおっしゃったんだというふうに思いますけれども、この新たな事業の実施の際も、市町村において包括的な支援体制を行う際には、事業実施計画の策定を通じて各分野の関係機関や地域住民と丁寧な議論を行い、考え方を共有し、意見を反映することに努力をしていただくとともに、事業開始後も、各分野の支援の実施状況を確認するとともに、地域住民や関係機関の議論を継続して、支援体制を改善するプロセスを繰り返していただくこととしております。
また、新たな事業を実施する市町村においては、まさに関係者の共通した理解のもとで効果的かつ適切な支援を実施するため、地域の関係機関、関係部局、また関係する団体ということでもありますが、体制構築に向けた考え方、支援の十分なすり合わせ、調整を行っていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、これは初めての試みでありますので、既にモデル事業でスタートしているところもありますけれども、今委員がお話しのように、これまで高齢、障害、子供、生活困窮という形でそれぞれ対応していたところがいわば一体として取り組んでいただく、まさに総合事業にふさわしい形での実施が行われていけるように、我々もさまざまなサポートをさせていただきたいというふうに思っております。
●西村(智)委員
ちょっとまだ心配なところがあります。子供とか知的障害の分野とか、やはりどうしても今までの全体的なところを見ていると声が弱いですし、有力な、バックアップしてくれる団体もそんなにないように思います。ぜひ、今大臣が答弁されたことがきちんと担保できるような、今後、厚労省としてのかかわりを持ち続けていただきたい。それはやはり予算だというふうに思います。
それで、私は、その四分野を束ねたところが究極のワンストップとして、何かそこに行けば全部が終わるというのではなくて、四分野を束ねたものが自治体の中に幾つもできるというのが、これはいい、そうあるべきじゃないかというふうに思うんです。
ところが、財源ですね。やはり相談窓口には財源がどうしてもつきものなんですけれども、その複数の相談窓口が無理やり一つにまとめられるようなことになりはしないかということが心配です。逆にまた、一つにまとめるんだから補助金は少なくてもいいよねというような話にもなりかねないというふうに思っているんです。そんなことはありませんよね。確認したいと思います。
●加藤国務大臣
なりかねないということを念頭に置きながら、そうならないようにしていくということが非常に大事なんだろうというふうに思います。
新たな事業は、適切に複数の支援機関間の連携を進めて市町村全体で包括的な支援体制を実現することを目的としておりますけれども、既存の窓口を統合した総合窓口もあれば、複数の相談支援機関間が連携して対応する、それぞれあるけれども、そこはよく連携をとってもらう、いろいろなやり方があるんだと思います。
介護、障害、子供、生活困窮の各法の実施義務に基づいて、人員配置基準や配置人員の資格要件等を維持していただきながら必要な支援を提供するとともに、その実施に係る国、都道府県、市町村の費用負担は各法に規定する負担割合と同様として、必要な予算を確保するというふうになっております。
ただ、何かこれを聞くと、がりがりの縦割りに聞こえるわけでありますから、そこをどううまくしていくのかということは、多分、それぞれの介護、障害、子供、生活困窮の中でつながっていく、そういう仕組みをどうつくっていくかということも非常に大事だと思っております。
いずれにしても、これは施行が来年の四月からでありますから、具体的な予算は令和三年度以降ということになりますので、それに向けて必要な予算を確保できるように努力をしていきたいと思います。
●西村(智)委員
ぜひ予算を確保してください。
私はこの仕組みを見ましたときに、生活困窮者自立支援法のまさに拡大バージョンというか、そういうものかなというふうに思ったんです。
今回、新型コロナの関係で、いわゆる困窮者自立支援法の自立支援機関が本当にすごくいろいろな役割を発揮しておられます。ところが、この支援法で柱になっているのは就労準備支援それから家計改善支援であって、今コロナで起きている現状でいえば、その二つの柱で対応できないものがすごくたくさんある。
すごくたくさんあって、実際に、例えば住宅確保給付金のことでいえば、私もここで質問させていただいて、すごく厚労省に頑張っていただいて、要件を緩和していただいて、よくなったというふうには思うんですけれども、まだまだやはり就労を前提とした仕組みでは対応できないものがたくさんあるし、あと、緊急小口資金とかはあるんですけれども、それ以外の支援策がなかなかないんですね。それ以外、ではそれが終わってからの経済支援はどうしますかというと、なかなか厳しい状況が続いているということであります。
それで、今回のコロナの状況が起きている中でこの法案の審議をしているという意味をやはり考えたときに、既存の仕組みでは対応できないというこの今のコロナの現実に、今回の法案審議を経て、今後、厚労省はどういうふうにコロナの状況を解決していこうと考えているのか。私は、やはり、自立支援機関の人たちがまさに現場でいろいろなお話を聞いているということが今後はすごく大きな意味を持ってくる、その経験が大きな力になってくるんじゃないかというふうに思うんです。
そういった方々の現場の経験、これが今のコロナの支援策につながっていくように厚労省として何をやろうというふうにお考えか、聞かせてください。
●加藤国務大臣
今委員から御評価もいただきましたけれども、住居確保給付金等々、あるいは緊急小口資金の貸付け、ケースによっては生活保護を的確に結びつけていく、こういった対応を進めていくということでありますけれども、同時に、私どもも、こうした感染症の拡大が起きている中で、どこに一番しわ寄せが来るかといえば、これまでもそうなんですけれども、やはり生活弱者あるいは社会的な弱者と言われている方々に大きなしわが寄っていく。
そうした意味で、実は四月に生活を守るプロジェクトチームというのを厚労省の中につくりまして、特に福祉サービス等を必要とする方の相談に直接当たっておられる有識者の方からも現場の実態の報告をいただいて、これから何を考えて支援をしていくのか、実際、今、意見も総括させていただきながら、今後の相談支援やこうした体制づくりに役立てていきたいというふうにも思っております。
また、本日、感染防止策を講じつつも地域における活動を継続する方策など、福祉の支援関係者間で情報を交換する、未来の豊かなつながりのための全国アクションが立ち上がるとも伺っております。こうした民間団体の皆さんの意見も十分賜りながら、好事例は横展開を図っていくとともに、また、それを支援していくために我々として何をどうすればいいのか、そういったことを常に考えながら対応させていただきたいと思っております。
●西村(智)委員
時間の関係で、雇用維持策については、後に時間があれば回したいと思います。
検査体制のことについて伺います。
補正予算の中に、PCR検査等の着実な実施のための経費として四十九億一千四百万円が計上されています。この詳細の説明を伺ったときに、この四十九億円は一日二万件のPCR検査をできるだけ早く達成するための経費であるという説明を受けました。そこで、その詳細はといいましてペーパーをもらったら資料の三枚目が来たんですけれども、ここにPCR検査等という文言が出てこないんです。
つまり、この四十九億円の中には、昨日でしたかね、承認されましたけれども、抗原検査も含むということでしょうか、あるいは抗体検査なども含むということでしょうか。
●加藤国務大臣
令和二年度補正予算案で、感染症予防事業費等国庫負担金、まさに今委員がお示しの表でありますけれども、まさにここにありますように、地方衛生研究所が行う行政検査、また、都道府県が行政検査を委託して行うものとする、医療機関において医師の判断により行う検査費用に係る患者自己負担分への補助経費、及び都道府県が検査を検査センターなどに委託する運営委託経費ということでありまして、これは全てPCR検査の関係を含むということであります。
●西村(智)委員
抗原検査や抗体検査もこの四十九億円の中に含むんでしょうか。
●加藤国務大臣
抗体検査については、別途、抗体検査を実施する……。(発言する者あり)
●盛山委員長
では、ちょっととめてください。
〔速記中止〕
●盛山委員長
時計を動かしてください。
加藤大臣。
●加藤国務大臣
失礼しました、抗体検査は別途予算を確保して実施するということであります。
抗原検査が入っているかどうか。抗原検査をまさに今のPCRと同じように実施するということでありますから、当然、そういった形で実施する抗原検査は対象になるということであります。
●西村(智)委員
抗原検査はこの四十九億円の対象になるということですと、一日二万件という方針の説明を聞く自治体などは、一体、一日二万件という方針というのはそのまま堅持されているのかなというふうに、何を最優先にやるのか迷う事態になるのではないかというふうに思うんです。
私は、厚労省がきちんと、この中に抗原検査も含むということであれば今からでもその方針をしっかりと打ち出すべきだというふうに思うんですけれども、これでこのような、つまり、補正予算ではPCR検査への対応というふうに出ている、詳細ペーパーといったらこれが出てきて、抗原検査も含むということですと、一体自治体が何を優先に体制を維持していったらいいのかということで迷いが生じて、結果として検査体制の確立がおくれてしまうんじゃないかという懸念を持つんですよ。
それで、その点について、もしまた大臣から答弁があればいただきたいんですけれども、私の方から先日ちょっと厚労省に問合せをさせていただきました。PCR検査をふやすためにということで、一つは、臨床検査技師に限らず、例えば研究者や行政機関などからPCR検査を経験している人材を募って、トレーニングをして好待遇で大学や民間機関でのPCR検査に当たっていただくことですとか、あと、オートメーション化ができる機器一式の購入、こういったことを検討できるのではないかというふうに考えたんです。人材研修については四十九億円の予算でやるということと、それから機器購入については一千四百九十億円の緊急包括支援交付金でできる、それで、どちらも自治体の判断でできるということのようだったんです。
ところが、その四十九億円の中身が、先ほども大臣からありましたけれども、この中に抗原検査も含むとか、人材研修もこの中に含むということになると、本当にこれでスピーディーな検査体制の確立を自治体がやろうというふうに思えるかどうか、ちょっとそこが心配なんですけれども、この点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
●加藤国務大臣
一つは、この四十九億というのが、規模感をどう見るのか、そうした御質問だとすれば、これは、四十九億で足りなければ、もちろん予備費等をしっかり活用させていただいて対応させていただきたいというふうに思っております。
緊急包括支援交付金については、それぞれの都道府県から計画を今聴取させていただいて、それに基づいて交付をさせていただくことにしておりますけれども、いずれにしても、こうしたPCRも含めた医療提供体制の整備等に必要なお金については我々としてもしっかりと都道府県を支援していく、必要な予算は確保していく、これは知事を含めて申し上げていることであります。
●西村(智)委員
都道府県から今計画を上げていただいているということで、先ほど私の方からちょっと提案させていただいた人材研修とか機器購入なども、恐らく、その計画の中に入ってくるか、入ってこないかということなんでしょう。
ですけれども、とにかく一日二万件という方針がまだ生きているのであるとすれば、どうやったら自治体に一日二万件に向けて動いてもらえるのかということを厚労省としてどう考えるのか、そこを明らかにしていってもらいたいんです。例えば、政府から積極的に自治体に情報提供していくのかとか、それから、自治体が実際にどういった対応をとったかということを厚労省が把握していくのかということですとか。
それから、さっき、いみじくも大臣は、四十九億で額が少なければ予備費からというふうにおっしゃいましたけれども、足りないと思うんですよ。一千四百九十億円も、これは全額国庫負担じゃないですよね。やはり足りないと思うんですよ。もっとそこはしっかりとつけなければいけないんじゃないかというふうに思います。
二点にわたってしまいましたけれども、いかがですか。
●加藤国務大臣
まず、予算の関係については、まず一千四百九十億、残りは例の地域創生交付金で全額、こういうスキームでやってきております。しかし、いずれにしても、そうした交付金で足りないということになれば、予備費であり、また、今、二次補正の議論もさせていただいておりますので、我々は、しっかり予算の確保をすることによって、都道府県におけるそうした取組が、予算がないじゃないかとか、そんな懸念なく取り組んでいただけるようにしていきたいと思っております。
それから、二万件を毎日実施というよりも、まず二万件の能力を立ち上げるということに私どもは取り組んできたわけでありまして、それに向けては、当然、例えばPCRセンター等を設置することによって、今言っている二万件というのは分析のところの数字を我々は使ってまいりましたけれども、やはりPCRの場合は、今、唾液を使うとかいろいろな技術開発をさせていただいておりますが、現状では拭うという行為がどうしても必要になってくる、そうすると拭う力をどうつけていくのかということで、今、東京都を含めてPCRセンター等のさまざまな対応をしていただいております。
そうした意味での、実際としてPCR検査ができる体制をしっかりつくっていく、そして、今委員御指摘のように、PCR検査を実施すればしっかりその費用が賄われていける、こういう体制をつくっていきたいと思っています。
●西村(智)委員
きのう開催された専門家会議でも、抗原検査は抗原検査として進めていくんだけれども、それによってPCR等検査の拡充が妨げられることのないよう並行してPCR等検査の拡充にも努めていくべきであるというふうに書かれております。ですので、ぜひそこは、厚労省の方から自治体にしっかりと情報提供もしていただいて、体制をきちんと拡充していただきたいと思います。
きょうは文科副大臣にお越しいただいております。
これまでも、何度となく、PCR検査の実施機関について、例えば大学とか民間機関の協力が得られないのかという話、実際に、得ているとか得られていないとかいう話がいろいろありました。それで、これも、専門家会議の中でも大学にやっていただくということも想定しているんですけれども、仮に大学の方でやっていただくとしても、大学も経営上の問題がありますから、施設であったりヒューマンリソースを割かなければいけなかったり、大学病院では手術の数を絞ったりというようなことで、本当にまともにやっていたら収入減につながっていきかねない話がやはりあるわけです。
ここは厚労省と文科省が協力して補償していくとかいうことを言ってあげないと大学の方は踏み切れないんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか、文科省として。
●亀岡副大臣
まさに今委員の質問にあったように、いろいろな研究機関でもPCRの機械を持っているところはたくさんあります。これも、しっかりとPCR検査ができるかというと、現時点ですぐできるという場合ではない場合が多いのであります。PCR検査を行っていない大学や研究施設においてPCR検査を行う場合には施設や人員の観点から本来の研究の実施に支障が生じる可能性がかなりあるということも聞いておりますので、そういうものがしっかり早く払拭できるように、BSL2の部屋が必要であれば、そういうものもしっかり、文科省としても、大学等においてPCR検査に協力いただくことも考えて、それぞれの大学の状況を踏まえつつ、適切な支援のあり方についてしっかりと今検討しているところであります。
●西村(智)委員
必要であればという文科副大臣の答弁でした。厚労大臣、いかがでしょうか。
●加藤国務大臣 大学といっても、二つあるんだと思います。医学部、要するに医療機関で、大学の附属病院でやる場合と、そうではなくて何とか研究所みたいなところでやる場合。多分、今副大臣から後者のお話があり、むしろ、西村委員は、附属病院等でやると、もともとの、PCR検査だけではなくて、新型コロナウイルスの患者さんを受け入れることによって通常の医療業務が制限をされる、それが経営にいろいろな意味で影響を及ぼしていると。これは別に、大学附属病院だけではなくて、民間病院でも同じことであります。
先日、新型コロナウイルスの関連の診療報酬については倍額以上にするような手当てもさせていただきましたけれども、しかし、それでも、今私どもの承知している限りでは、かなり経営が厳しくなってきているということは十分承知をしておりますので、四月分の請求が今出てきて、これが六月に支給されるということでありますけれども、そうしたタイミングもしっかり見据えながら必要な対策を考えていこうということで、今、第二次補正予算を含めて、中で議論させていただいているところでございます。
●西村(智)委員
時間ですので、終わります。