●岡本あき子委員
今回の年金法改正案、やはり、私は、タイミングとしても非常に厳しい状況のときに、改めて中小企業の皆さんに、新たな社会保険料を負担してくださいと二年後とはいえ今お伝えをしなきゃいけない、そういう法案であるということについては非常に課題があると思っております。
修正案を提出されている方にお伺いしたいと思います。
資料三をごらんいただきたいんですが、これは前回適用拡大をした企業に対してのアンケートです。千三百四十四社、適用拡大になるところに伺っておりますけれども、これはちょっと見えにくいですが、真ん中に青、水色、白の帯がございます。この水色のところは、対象になったけれども社会保険料を払わなくて済むように回避したというのが四百三十六社になります。左側、青の四百四十四社は前回の適用拡大に伴って何かしらの見直しをしたというものです。
ただ、下をごらんください、赤で六三・二、青で六九・五とございますが、この六九・五というのは、社会保険料を払わなくて済む方向で何かしらの見直しを行った、いわゆる勤務時間を短くしたり、そういうような策を講じたということです。前回でもこれだけの企業が、半分以上になるかと推測しますけれども、逆に社会保険料を負担しない方向に動いていたというものがございます。やはり、社会保険料というのは非常に負担が重いものでございます。
今回、この法案、私も対象事業者全部に適用するのは望ましいと考えておりますが、その際の中小企業の負担を軽減することがセットでなければ、結果として回避する方に作用してしまうんじゃないかと思っています。
修正案提出者の方で、中小企業への支援というところも入っておりますけれども、やはり、今回新たに適用になる事業者へ新たな負担をさせない、この工夫が一緒でなければ納得感が得られるものではないと思いますので、ぜひ、この点、どのようにお考えか、答弁を求めたいと思います。
●西村(智)委員
お答えいたします。
まず最初に、委員の御懸念、お考えの点、私たち提出者としても共有しているということをまず冒頭申し上げたいと思っております。
委員も御承知のとおり、短時間労働者への被用者保険の適用拡大につきましては、その働き方や企業規模にかかわらず、支え合いの仕組みである厚生年金や健康保険による保障が確保されるべきものであります。また、昨年公表された財政検証のオプション試算Aの結果からも、被用者保険のさらなる適用拡大を進めていくことは特に基礎年金の給付水準を確保する上で効果が大きいということが確認されております。
しかし、他方なんですけれども、御懸念のとおり、適用範囲の拡大に伴って、特に中小企業者の社会保険料負担が増加することが懸念されております。また、御指摘いただいたとおり、今般の新型コロナウイルスの影響によって、特に中小企業者は厳しい経営状況に置かれていると承知いたしております。したがって、短時間労働者への被用者保険の適用範囲の拡大に当たっては、これらの御負担に配慮する必要があるというふうに考えております。
そこで、附則の第二条の三において、被用者保険の適用範囲の拡大が中小企業者に与える影響に鑑み、これらの中小企業者に対し、その経済的負担を軽減するため、新たに増加した社会保険料に相当する金額の全部又は一部の助成その他必要な措置を講ずるということを想定いたしております。
●岡本(あ)委員
コロナ関係で非常に不安、要は事業を続けられるかどうかという状況にまで不安に思っていらっしゃる中小企業の皆さんに、目的とすると理解はしますけれども、やはり安心を提供することとセットでなければ、この法律というのは、先ほど申し上げたとおり、前回でも必ずしも、ふえてはいますけれども、非常に効果的に実効が上がっているというところまでは言えないのではないかと私は考えていますので、負担をとにかく軽減をして、適用事業所になることがお互いにとって安心につながるんだということはぜひ忘れないでいただきたいと思います。
ちょっと、全体の中小企業の質問を時間の関係で一回飛ばします。
GPIFの件、法案提出者に重ねてお聞きしたいと思います。
先ほど下条議員からもございました。今回のコロナウイルスの関係、長期的に見るんだから一喜一憂する必要はない、それはごもっともです。ただ、逆に、利益が出たときは七十五兆円にもなりましたと一方でおっしゃっていたことも私は記憶しておりますので、逆に、今回、経済的に非常に厳しい見通しが一定程度長く続く可能性がある中では、やはり運用する株式の構成割合を見直すべきだと思っています。法案提出者に、改めてその意義をお答えいただきたいと思います。
●西村(智)委員
お答えいたします。
安倍政権に入りまして、年金積立金の資産の額に占める国内外の株式の構成割合が五〇%に引き上げられました。それ以来、リスクの高い株式の割合が高まった結果、損益の幅が非常に大きくなっております。御懸念のとおりです。
今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような危機的な事態がひとたび生じれば、株価の下落によって国民の財産が大きく目減りするということになります。このような年金積立金の運用を続けていくことは国民の不安や不信を招くだけであって、国民の年金制度に対する信頼が損なわれてしまいかねません。年金積立金は、国民の貴重な財産であるとともに、将来の年金給付の財源として重要なものであります。このため、資産の運用に当たっては、その価値を毀損することのないよう、安全かつ確実を基本とした運用が求められております。
そこで、野党案では、年金積立金の資産の額に占める株式の構成割合について、GPIF設立時の株式の構成割合を参考に、おおむね二〇%を超えない範囲で定めるものとして、これを法律上に明記することとしております。これによって、国民の年金制度に対する信頼を損なわず、年金積立金の安全かつ確実を基本とした運用を実施することができると考えております。
なお、株式の構成割合の変更ですけれども、市場その他民間活動に与える影響等を勘案して、公布の日から十年の経過措置を設けております。
●岡本(あ)委員
国民の皆さんから預かるお金ですので、やはり、安定した運用というところは改めて強調したいと思います。